地質学雑誌
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108 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 川村 喜一郎, 池原 研, 金松 敏也, 藤岡 換太郎
    2002 年 108 巻 4 号 p. 207-218
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    パレスベラ海盆のタービダイトの帯磁率異方性に寄与している磁性鉱物は,砕屑性の約50μmのチタン磁鉄鉱であった.それらは数個単位で配列しており,その長軸方向は配列方向と直交していた.この時,最大帯磁率方向は,従来から考えられてきたような,チタン磁鉄鉱の長軸方向を示しているだけではなく,配列方向を示す場合があることがわかった.帯磁率異方性から推測されるチタン磁鉄鉱の長軸・短軸方向と配列方向から,北西→南東と北東→南西の古流向が認定できる.これらタービダイトの供給源は採取地点から約300km離れた七島-硫黄島海嶺であると予想される.
  • 本山 功, 仲村 佐知子
    2002 年 108 巻 4 号 p. 219-232_2
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    北海道北部稚内市の宇流谷川に露出する増幌層上部と稚内層について放散虫化石層序の検討を行った.その結果,増幌層上部はEucyrjdium inflatum帯a亜帯,稚内層はLychnocanoma magnacornuta帯に対比された.産出した放散虫群集は北太平洋のODP Sites 883, 884 and 887から報告されている同時代の放散虫群集に類似しており,房総半島の中新統から産出するような相対的な温暖種の多くが産出しなかった.このことは,北海道北部は当時相対的に寒冷な北方系の放散虫生物地理区に属していたものと考えられる.また,増幌層と稚内層は従来不整合関係にあるとされてきたが,放散虫化石層序からもE.ifflatum帯b亜帯の欠如により宇流谷川において両層が不整合関係にあることが再確認された.しかしながら,今回不整合が認定された層準は従来の岩相層序学的研究により示されている地層境界よりも80m上位であることが明らかになった.
  • 川上 源太郎, 川村 信人, 在田 一則
    2002 年 108 巻 4 号 p. 235-248
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    北海道中央部夕張川地域に分布する下部漸新統紅葉山(もみじやま)層に挟在する流紋岩質凝灰岩層から,砂泥質岩起源の変成岩片を見い出した.流紋岩質凝灰岩層は典型的な逆級化-正級化構造を示し,重力流堆積物であると考えられる.変成岩片の大部分は砕屑物として混入したもので,起源となる変成岩類が珪長質火山活動場の基盤浅部を構成していたと考えられる.変成岩片には,多様な変成度のものが認められる.斑状変晶ザクロ石はMnやCaに富む化学組成のものが多く,緑色片岩相~角閃岩相の変成度を示す.日高変成帯は紅葉山層堆積盆の近傍に位置する高温型変成帯であり,これらの変成岩片の起源として想定される.とりわけザクロ石の化学組成の特徴は,日高変成帯と一連の変成作用で形成された冬島変成岩類のザクロ石とよく類似する.日高変成帯の陸化は一般に後期中新世とされているが,下部漸新統からの変成岩片の発見は,日高変成帯の低変成度部がそれよりも早期に上昇したことを示す.
  • アディカリ ダンダ パニ, 公文 富士夫, 川尻 潔
    2002 年 108 巻 4 号 p. 249-265
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    青木湖は北アルプスの山麓,標高822mにある貧栄養湖である.表層堆積物の粒度分布を検討し,1954年以降の電源開発のための人為的水利用が堆積物の性質と堆積速度に大きな影響を与えていることを明らかにした.青木湖の北東部から採取した2.2m長のコア試料は,おもに粘土質シルトから構成されており,年代的には約1万年間をカバーしていた.この柱状試料中の有機炭素・窒素含有率と珪藻殻含有数の増減はよく一致しており,湖の生物生産性の増減が有機炭素・窒素含有率の増減に反映している.1954年以前の青木湖の生物生産性は,気温と連動した水温の変化に支配されていた可能性が高いので,有機炭素含有率の時代的変遷を基にして完新世の気候変動を復元することができた.完新世にはそれぞれ5つの温暖・冷涼期と1つの変動期が認められた.それらの多くは,小氷期,中世温暖期,完新世最温暖期などの汎世界的な寒暖変動とほぼ一致する.
  • 須藤 斎, 高橋 雅紀, 柳沢 幸夫
    2002 年 108 巻 4 号 p. 266-278
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    埼玉県川本町の植松橋付近の荒川河床に露出する中新世海成堆積物より珪藻化石を抽出した結果,珪藻化石を含有する試料は,すべてYanagisawa and Akiba(1998)のDenticulopsis lauta帯(NPD4A)下部の,Denticulopsis praelautaの終産出層準(D41 : 15.7Ma)とCavitatuss lanceolatusの初産出層準(D41.5 : 15.6Ma)の間に位置づけられることが明らかとなった.その結果,これまで土塩層最下部と考えられていたこのシルト岩層は土塩層には帰属せず,より下位の中部中新統下部に属することが判明した.
  • 亀田 純, 松木 宏彰, 田中 秀美
    2002 年 108 巻 4 号 p. IX-X
    発行日: 2002年
    公開日: 2010/12/14
    ジャーナル フリー
    Pseudotachylyte was found along the Nojima fault at Nojima-Hirabayashi, Awaji Island (Figure 1, Otsuki, 2000) where the largest displacement of surface rupture was observed in 1995 Hyogo-ken Nanbu earthquake (Awata et al., 1996). On August 2000, a fault outcrop was excavated at this location and 20 m long and 3 m wide fault zone was exposed (This survey was held by Prof. Otsuki (Tohoku University) supported by Fault Anatomy project). Pseudotachylyte is formed by melting of rocks associated with co-seismic slip. We introduce the detailed photographs of pseudotachylyte, which suggest physical properties and dynamic features of fault zones. We are analyzing microscopic and mesoscopic properties of the pseudotachylyte and find some interesting flow textures developed between the pseudotachylyte and surrounding fault gouge layers. These microtextures will be valuable sources for considering the mechanical/chemical conditions of fault rocks during frictional shearing.
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