地質学雑誌
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106 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 和仁 良二, 平野 弘道
    2000 年 106 巻 3 号 p. 171-188
    発行日: 2000/03/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    北海道北西部古丹別地域における白亜系は下位より中部蝦夷層群の滝見橋層(礫岩とシルト岩), 天狩峠層(砂岩とシルト岩), 白地層(砂岩シルト岩互層からなり上方粗粒化を示す), 上部蝦夷層群の中部羽幌川層(砂岩を挟在するシルト岩), 上部羽幌川層(砂質シルト岩から砂岩への3回の上方粗粒化ユニット)に区分され, その上位を第三系が不整合で覆っている.得られた軟体動物化石群集から, 白地層上部がセノマニアン-チューロニアン階境界に, 中部羽幌川層下部がチューロニアン-コニアシアン階境界に, 中部羽幌川層中部がコニアシアン-サントニアン階境界に, 上部羽幌川層中部~上部がサントニアン-カンパニアン階境界にそれぞれ対比される.
  • 里口 保文, 渡辺 真人, 中条 武司, 片岡 香子
    2000 年 106 巻 3 号 p. 189-204
    発行日: 2000/03/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    鮮新-更新統境界付近に挟在する広域火山灰層として重視されている, 上総層群下部の火砕鍵層Kd 38をKd 38火山灰層として再定義し, 房総半島東部から西部に至る13地点において対比の再検討を行った.Kd 38火山灰層は調査を行った各地点において, 岩相および記載岩石学的性質が異なるが, 佐野~会所地域, 横瀬~追原地域, 折木沢~小志駒地域の各地域内での岩相および記載岩石学的性質はほぼ類似する.さらにそれぞれの地域間においては, 下位の特徴的な性質を持つKd 38.2火山灰層の対比とKd 38火山灰層のユニット区分による岩相と記載岩石学的性質の関係から対比される.このような各地点におけるKd 38火山灰層の岩相や記載岩石学的性質の違いは, 降灰後の堆積過程の違いを反映している.
  • 大竹 正巳
    2000 年 106 巻 3 号 p. 205-222
    発行日: 2000/03/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    栗駒南部地熱地域に分布する赤倉カルデラは, 径約10×9 kmの地形的カルデラ壁を有し, カルデラ形成期火山砕屑物の奥羽山層, 陥没盆地を埋積した管ノ平層, 後カルデラ期のみみずく山デイサイトに埋積される.奥羽山層は, カルデラ形成に直接関与した火砕流堆積物(珪長質火山礫凝灰岩相)とカルデラ壁の崩落堆積物(凝灰角礫岩相)からなる.赤倉カルデラの形成は, 広域的な基盤岩の隆起に始まり, 直径約5 kmの奥羽山ドーム縁辺部に推定される構造的カルデラ壁(陥没断層)沿いからの火砕流噴出を引き金にして, 陥没と基盤岩の斜面崩壊が同時に発生した.形成時期は鮮新世もしくは前期更新世である.火砕流の噴出量は11 km3以上, 陥没深度は1,400 m以上ある.赤倉カルデラは基盤岩の広域隆起構造, 重力異常から推定される地下構造, 陥没盆地を埋積する堆積相, 構造的カルデラ壁沿いの火道, 再生ドームの存在などバイアス型カルデラに類似した特徴を有する.
  • 森下 知晃
    2000 年 106 巻 3 号 p. 223-233
    発行日: 2000/03/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    北海道の幌満かんらん岩体から, 蛇紋石マトリクス中にさまざまなサイズのかんらん岩角礫片を含むカタクレーサイトの転石を採取した.画像解析から, 岩片の形がサイズによらず不変であること, 岩片の粒径分布が修正フラクタル分布式(長濱ほか, 1994)に従うことが示された.露頭から採取したカタクレーサイトとの比較や, メソおよびミクロスケールでの粒径分布などからみて, 本岩石の形成は, かんらん岩の静的な蛇紋岩化だけでは説明されず, 断層運動によって多量のかんらん岩極細粒子(マトリクス)が形成され, それらが選択的に蛇紋岩化を受けた結果であると推定される.蛇紋岩化を起こした流体はカタクレーサイト形成とほぼ同時もしくはその後に破砕帯に短時間供給された.
  • ファブリ O.
    2000 年 106 巻 3 号 p. 234-243
    発行日: 2000/03/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    北部琉球弧にある種子島の中部中新統茎永層群(16-10 Ma)の上部で見られる変形構造(メソスケールの正断層と引張節理)には北東-南西方向の伸張を示すものが卓越している.8地点における断層のずれから復元した応力テンソルでは, σV1 (7地点)またはσ2 (1地点)であり, σ3軸はN5゜EからN73゜E(島弧に平行した伸張)であった.この北東-南東方向の伸張変形は東部九州や南部九州とは異なり, 種子島に限定されたものである.島弧直交型の伸張の欠如は中問主応力軸σ2と最小主応力軸σ3が入れ替わったことによるであろう.琉球弧の他地域(宮古島)と同様に, 応力配置のこの入れ替わりは海洋側に張り出した島弧の曲率増加に対応して局所的な島弧平行型ストレッチングが起こるとすれば容易に説明できる.
  • 榊原 正幸, 堀 武士
    2000 年 106 巻 3 号 p. 244-247
    発行日: 2000/03/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    The Omogiyama hornfels is one of the hornfelses sporadically occurring in the Sanbagawa metamorphic belt, central and western Shikoku, southwest Japan. They are originated from the Sanbagawa basic schists and distributed parallel to its schistosity. Large igneous bodies have not been found around the hornfels. The hornfelses are characterized by the assemblage of hornblende + actinolite + biotite + plagioclase + quartz. Based on the lack of large igneous rocks and the mode of occurrence of the Omogiyama hornfels, it seems that the hornfels was formed by high-temperature fluid flow along the schistosity of the Sanbagawa basic schists.
  • 佐藤 慎一
    2000 年 106 巻 3 号 p. V-VI
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    諌早湾奥部では, 1997年4月14日の潮止めにより約30km2もの広大な泥質干潟が干上がった. 大きな社会問題となった諌早湾干拓工事だが, 現世古生態学的に見ると以下の点で極めて重要な情報を我々に提供した. 1)一般に泥質干潟では底生生物の定量調査が非常に困難であるが, 諌早湾奥部では干潟が干上がることで初めて徒歩による貝類相の調査が可能となった. 2)調整池における潮止め前後の水質の変化と, それに伴う生物相の変遷を詳細に追跡することができた. これと類似の現象は, 過去の海進・海退に伴う一連の環境変動の中で何度も生じたであろうと想像できる. 従ってこれらの観察事項は, 洪積層や沖積層における貝化石群集に基づく古環境解析に対して, 重要な情報を提供することができると期待される.
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