地質学雑誌
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115 巻, 1 号
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論説
  • 辻 智大, 榊原 正幸
    2008 年 115 巻 1 号 p. 1-16
    発行日: 2009/01/15
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    愛媛県久万高原町地芳地域における北部秩父帯は,構成岩石および地質構造に基づいて,北から泥質混在岩からなるユニットI,砂質泥質準片岩を主体とするユニットII,緑色岩-石灰岩体を主体とし,泥質混在岩および陸源性砕屑岩の整然層を伴うユニットIIIに区分され,構造的下位からユニットIII,II,Iの順で累重する.本研究では,粒度測定を用いた級化構造の記載法を提案し,それによって,本地域における砕屑岩類および枕状溶岩63ヶ所において上下判定を行うことができた.その結果,複数の大規模なブロックごとの上下判定結果は,一方向に一致する傾向がある.また,ユニットI,IIおよびIIIの砕屑岩整然層は北傾斜,南上位を示し,南北6 kmにわたって逆転した構造を示す.一方,ユニットIIIの緑色岩-石灰岩体は北傾斜,北上位で上下正常である.この大規模逆転構造は,大規模な転倒褶曲によって説明される可能性がある.
  • 溝口 秀治, 君波 和雄, 今岡 照喜, 亀井 淳志
    2008 年 115 巻 1 号 p. 17-30
    発行日: 2009/01/15
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    室戸岬地域の前期中新世四十寺山層は,日沖メランジュの上に堆積した海溝斜面堆積物と推定される.四十寺山層下部の泥岩は,枕状溶岩や火山角礫岩,火山性砂岩を挟在し,四十寺山ドレライトを含む.日沖メランジュには丸山ドレライトが貫入する.枕状玄武岩,火山角礫岩中の玄武岩質安山岩礫・ドレライト礫,丸山・四十寺山ドレライトは,非アルカリ岩系の玄武岩-安山岩に分類される.微量元素組成と単斜輝石組成を用いた判別図において,丸山ドレライトとドレライト礫はMORBに,枕状玄武岩や玄武岩質安山岩礫(椎名火山岩類),四十寺山ドレライトは島弧玄武岩に判別される.沈み込んだ四国海盆の活動的海嶺から付加体にマグマが直接供給されてドレライトの多くが形成された.椎名火山岩類の形成は,MORBマグマによる四万十泥岩の同化作用と分別結晶作用に由来する.ドレライトと椎名火山岩類は,海嶺の沈み込みに関連した海溝近傍火成活動の産物である.
  • 佐藤 雄大, 鹿野 和彦, 小笠原 憲四郎, 大口 健志, 小林 紀彦
    2008 年 115 巻 1 号 p. 31-46
    発行日: 2009/01/15
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    本研究は,秋田県男鹿半島西南部に分布する中新統台島層について調査し,その岩相と層序を明らかにした.台島層はデイサイト火砕岩,玄武岩質安山岩溶岩および同質火砕岩,淡水成堆積岩から構成され,下位より双六沢礫岩,双六沢デイサイト,双六玄武岩,館山崎デイサイト,椿砂礫岩の5部層に区分される.台島層を構成する火山岩の岩相と層序,これまで報告されてきた放射年代は,男鹿半島西部の内陸に分布する野村川層と同じであり,また,共に門前層を不整合に覆い,西黒沢層に覆われることから台島層と野村川層は対比可能である.台島層および野村川層火山岩は,それらの放射年代に基づけば,約21 Maに噴出・定置した可能性が高い.それらはバイモーダル組成で量も多く,いずれも古地磁気偏角は現在とは異なる北西を指す.したがって,台島層・野村川層火山岩の噴火は,日本海の急速な開裂の始まりを示す可能性が高い.
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