症例は44歳男性.排便時の違和感を主訴に近医を受診した.大腸内視鏡検査で直腸Rbに表面に陥凹を有する粘膜下腫瘍を認め,生検で直腸カルチノイド腫瘍と診断され当科紹介となった.全身精査で,カルチノイドは直径16mmでRb-Pの粘膜下層に位置し,内括約筋への浸潤は認めなかった.遠隔転移は認めなかったが,側方リンパ節263D-rtに石灰化をともなうリンパ節腫大を認めた.手術は内肛門括約筋合併直腸切除術,経肛門的J型結腸パウチ肛門吻合,回腸人工肛門造設術を行った.263D-rtは迅速病理組織検査でリンパ節転移と診断し,右骨盤神経叢切除をともなう側方郭清を施行した.最終病理組織診断はRb-P, 16×15mm, rt, 1型,sm, med, ly1, v0, n3(263D-rt-1/2), H0, P0, M0, Stage IIIbであった.術後3年3カ月の現在再発兆候はなく,側方郭清を含めた外科的治療は有用であった.
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