西日本皮膚科
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43 巻, 5 号
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図説
綜説
症例
  • 東儀 君子, 山本 昇壮, 高垣 謙二, 大畑 力, 地土井 襄璽, 中山 健吾
    1981 年 43 巻 5 号 p. 746-751
    発行日: 1981/10/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    55才男子の皮膚有棘細胞癌および肺癌を合併した多発性Bowen病の1例を報告した。砒素の摂取または接触の既往はない。約25年前より,全身に大小の色素斑が出現し,一部のものは次第に角化性または褐色痂皮性皮疹に変化してきた。同じ頃より,両手掌・足蹠に疣贅様角化性皮疹が多発してきた。約1年前,以前よりあつた右第1指の角化性皮疹が,潰瘍を伴つた腫瘤へと発展した。組織学的に,痂皮性皮疹はBowen病,右第1指の腫瘤は有棘細胞癌であつた。胸部写真で右肺下葉に異常陰影をみとめ,右肺切除術を施行した。組織学的に,扁平上皮癌であつた。Bowen病と悪性腫瘍の合併に関して,文献的考察を加え,本症例における三者の関連性について若干の考察をした。
  • 佐藤 恵実子, 今山 修平
    1981 年 43 巻 5 号 p. 752-757
    発行日: 1981/10/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    悪性血管内皮腫の1例(66才男子)を報告し,電子顕微鏡にて病理組織を観察した結果を述べた。腫瘍細胞巣は,種々の程度の内腔を持ち,血管内皮の特徴を持つ未熟な細胞と基底膜に囲まれていた。腫瘍巣に近接した間質は,pericyteを認めたが,間質には未熟な細胞は認められなかつた。以上の所見は,本症が血管内皮に由来する悪性腫瘍であることを示している。
  • 武井 洋二, 岡 大介, 米沢 士郎, 籏持 淳, 難波 昌子, 幸田 衛, 中川 昌次郎, 植木 宏明, 中川 定明, 三浦 洋, 広川 ...
    1981 年 43 巻 5 号 p. 758-766
    発行日: 1981/10/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    悪性血管内皮細胞隆の3剖検例を報告した。症例1は58才男子で,右膝部に初発し,転移は肺,脾臓,および右鼠径部,右股動脈周囲,腹部大動脈周囲,両肺門,気管周囲,左鎖骨下リンパ節に認められた。症例2は55才の女子で,顔面,頭部に初発し,肺,肝臓,脾臓,腎臓,骨および大動脈弓周囲,気管周囲,気管支分岐下,両肺門リンパ節に転移が認められた。症例3は35才男子で右上腕内側に初発し,転移は脳,肺,横隔膜,右腎臓,脾臓,第XI胸椎および腸間膜,腎動脈周囲,胃周囲,肺門,気管周囲,頸部大動脈周囲リンパ節に認められた。
  • —症例報告と本邦における放射線肉腫の統計—
    岡崎 美知治, 井上 勝平, 緒方 克己, 成田 博実
    1981 年 43 巻 5 号 p. 767-772
    発行日: 1981/10/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    放射線照射によると思われる80才女子のmalignant fibrous histiocytomaの1例を報告した。約50年前,結核性リンパ節炎を切除,放射線治療を受け,15年前,同部位が発赤,腫脹してきたため1年間にわたり放射線照射を受けた。初診時,右側頸部に6×3×1cmの腫瘤を認めた。切除,植皮術を行なつたが局所再発傾向が強く,冷凍凝固術,60Co照射などを試みたが救命し得なかつた。組織学的には,異型性を示すfibroblast様細胞とhistiocyte様細胞が増殖しており,storiform pattern,bizarre giant cellを認めた。本邦における放射線肉腫報告例24例を蒐集,自験例を含めて臨床統計的検討を行なつた。注目すべきは,照射原疾患として,最近子宮癌や乳癌などの悪性腫瘍群が増加傾向を示すことである。
  • 野村 茂, 水谷 仁, 志田 祐子, 日高 義子, 清水 正之
    1981 年 43 巻 5 号 p. 773-779
    発行日: 1981/10/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    最近5年間に三重大学医学部皮膚科教室において臨床所見より本症を推定しうるものに加えて,切除された組織標本を検討した結果,計8例のsolitary lichen planus-like keratosis(SLPLK)と思われる症例を見出し,これを集計した。患者は,男1例,女7例と女性に多く,年令は31歳より69歳までで,平均年令は53歳であつた。皮疹の分布は全例顔面(頬部6例,鼻根部1例,鼻背部1例)であつた。本症に発行する皮疹としては,色素斑(4例),疣贅様小腫瘤(2例)がみられた。組織学的には,全例の著しい表皮細胞内および細胞間浮腫,高度の表皮内への単核細胞の浸潤がとくに注目された。細胞の異型性を示す症例は1例のみであつた。
  • 野上 哲則, 石原 勝
    1981 年 43 巻 5 号 p. 780-789
    発行日: 1981/10/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    文身の赤色部分に生じた皮膚異常反応の1例を報告した。走査電顕X線分析法を用い,その組織中の色素顆粒に水銀を同定した。また赤色文身にみられた異常反応の既報告例65例の臨床像,組織像について集計検討し,種々の反応がみられることを考察した。
  • 幸田 衛, 植木 宏明
    1981 年 43 巻 5 号 p. 790-793
    発行日: 1981/10/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    難治性の陥入爪に,病変部の爪甲,爪床,爪廓,爪母を摘出する爪一部切除術を施行した。33症例64ヵ所中,7症例8ヵ所(12.5%)に再発がみられた。いずれの再発例も爪母の取り残しが原因と考えられ,再手術後の経過は良好であつた。
  • 大熊 守也, 栗本 圭久, 高橋 喜嗣, 手塚 正
    1981 年 43 巻 5 号 p. 794-796
    発行日: 1981/10/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    6才男児の右頬部,外陰部,右下肢に生下時よりみられたリンパ浮腫で,131I·RISA組織クリアランスは患側下腿で155時間,健側で9時間と半減時間の延長がみられた。blue dyeテストも患側足背のリンパ管は認知できなかつた。脳波,染色体検査も異常はなかつた。治療は,波動型マッサージ,弾性靴下着用,メリロート草製剤内服により2年6ヵ月経ているが,安静にすると下肢の太さが一時減少するのみである。また,包皮のcircumcisionにより排尿障害が解消された。
研究
  • —とくに皮膚萎縮とDNA合成抑制との関連について—
    野本 正志
    1981 年 43 巻 5 号 p. 797-803
    発行日: 1981/10/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    コルチコステロイドの皮膚萎縮作用とDNA合成抑制作用の関連についてラットおよび培養ラット皮膚線維芽細胞を用いて検討した。その結果,flmethasons pivarate,triamcinolone acetonide,clobectasal propionsteでは皮膚萎縮作用もDNA合成抑制作用も強く,hydrocortisone butyrate,betamethasone valerateでは両者とも弱かつた。これらの結果から皮膚萎縮作用とDNA合成抑制作用には相関関係が認められた。また培養ラットおよびヒト皮膚線維芽細胞との間にはコルチコステロイドに対する反応に差がみられた。
  • —ラットの実験的筋炎に対するビタミンEの抑制効果について—
    佐藤 静生, 菅原 光雄, 野村 和夫
    1981 年 43 巻 5 号 p. 804-807
    発行日: 1981/10/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    ラット後肢筋に20% NaCl溶液を注射し局所的筋炎を作製し,その組織中および血清の過酸化脂質を測定した。炎症筋組織では非炎症部の1.5~2倍高値であり,ビタミンEを前投与した場合には約40%低値を示した。しかしビタミンE欠乏食で飼育したラットを使用した同じ実験では,このような効果は得られなかつた。血清過酸化脂質は,筋炎の惹起により平均1.5倍,E欠乏食ラットでは8.3倍上昇した。ビタミンEの前投与は,この上昇をほほ完全に抑制した。ハイドロコーチゾン,パンテチンには抑制作用を認めなかつた。このビタミンEの抗酸化作用が,筋炎の抑制結果に起因するという病理学的証拠は得られなかつた。
  • 手塚 正, 上森 話文
    1981 年 43 巻 5 号 p. 808-811
    発行日: 1981/10/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    3M Microporeテープ,3M Transporeテープ,K-FAテープ,Drenisonテープ,ニチバン布テープの5種類の水分透過性について換討した。方法は(1)蒸溜水が総計1.3ml入る直径7mmの小孔を7個有するプラスチック小器具に水を入れついでテープで覆い,シリカゲルを入れた電気天秤中でテープを通しての蒸散量を重さの減少として測定する方法,(2)50×60mmのテープを10人の健康人の上腕内側に24時間貼布し,貯溜した水分を皮膚インピーダンス値で計測する方法である。(1)の方法では3M Microporeテープ>3M Transporeテープ=K-FAテープ>Drenisonテープ=ニチバン布テープとなり,いずれも0.1%以下の危険率で有意であつた。(2)の方法では貯溜した水分量はDrenisonテープ>K-FAテープで,1%以下の危険率で有意であつた。また,これらの水分透過性の差はテープ上の小孔の面積に相関していることが明らかになつた。
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