Ca拮抗剤塩酸diltiazemのレイノー現象に対する有用性を乳糖を主体とするplaceboを対照薬とし, 全国19施設において二重盲検法による群間比較試験により検討した。試験実施症例は, レイノー病19例, レイノー症候群79例, その他1例の計99例であり, 有効性評価対象症例は92例〔D群(diltiazem群)48例, P群(placebo群)44例〕であつた。効果の判定は治療期4週にて実施し次の結果を得た。
1) 有用度は, D群がP群に比し有意に優れていた。
2) レイノー現象の発作時の諸症状に対する総合的な効果およびレイノー現象発作時の持続時間, 部位, 範囲, 痛みにおいてD群がP群より有意に優れていた。
3) 有用度の層別解析では, レイノー病において, また合併症のない患者においてD群がP群より有意に優れていた。
4) 副作用はD群50例中5例に, P群47例中6例に認められたが, 重篤な副作用および臨床検査値に留意すべき異常所見は認めず安全性の判定ではD群とP群間に有意な差はなかつた。
以上の成績より塩酸diltiazemはレイノー病およびレイノー症候群のレイノー発作に対し, 有用な薬剤と考えられた。
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