西日本皮膚科
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46 巻, 6 号
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図説
症例
  • 西尾 一方, 柳沢 一明, 野見山 和彦, 藤平 隆司, 江藤 澄哉
    1984 年 46 巻 6 号 p. 1309-1315
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    54才男子。6年来の足踵部の再発性難治性潰瘍を主訴としたWerner症候群の1例を報告した。血族結婚の家系で, 父と姉も同症であつたと思われる。身長148cm, 体重44kgで, 脱毛, 四肢の硬化, 白内障などを認めた。内分泌学的に原発性性腺機能低下とインスリン抵抗性糖尿病が, X線検査で足趾骨の変形と軟部組織への石灰沈着がみられた。ほかに右大腿部にhidroacanthoma simplexを併発していた。本症例の報告とともに, Werner症候群の臨床と病因に関して文献的考察を加えた。
  • 麻生 和雄, 近藤 慈夫, 渡辺 修一, 穂積 豊
    1984 年 46 巻 6 号 p. 1316-1322
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    Rulon-Helwigは脂腺上皮腫の存在を認めず, 脂腺系基底細胞癌(basal cell carcinoma with sebaceous differentiation)とよぶべき腫瘍とした。著者らは, 85才女子の右前額部の暗赤色半球状腫瘍を病理組織学的および腫瘍細胞培養から検索し, また71才女子の顔面脂腺母斑より生じた脂腺系基底細胞腫(Leverのいう cystic basal cell epithelioma)と比較, 共通点は認められるものの前者は病理組織学的に脂腺構造が保持されていると考え, 脂腺上皮腫とした。本邦で自験例も含めてこれまで報告された脂腺上皮腫の臨床所見について考察した。
  • 佐藤 敬子, 前川 嘉洋
    1984 年 46 巻 6 号 p. 1323-1331
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    尿崩症を合併したatypical fibroxanthomaの61才女子例を報告した。本症例では扁平黄色腫切除瘢痕部にも腫瘤を生じ, 組織学的にatypical fibroxanthomaとnodular fasciitis様の所見が共存し, 極めて興味ある所見が認められた。併せてatypical fibroxanthomaの本邦報告16例を蒐集, 外国例と臨床病理学的に比較検討した。本邦例の平均年令は46才で外国例より若く, 若年者に発生した例では躯幹, 四肢への好発がみられた。また本邦例で再発は4例にみられたが, 転移例はなく, 放射線照射との関連はみられず, 3例に外傷との関連が認められた。
  • 島本 順子, 片岡 和洋, 水野 正晴, 堀内 賢二, 宮尾 尚敬
    1984 年 46 巻 6 号 p. 1332-1335
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    レイノー症状と両手指の瀰漫性浮腫性硬化を主訴とし, 全身性鞏皮症Barnett type 1と推定された症例について免疫組織学的検討を行つた。右第2指中手指節間関節部背側面を生検したところ真皮中層から下層にかけて膠原線維の軽度増加がみられ, 蛍光抗体直接法にて表皮基底膜部へのIgG, IgMの顆粒状沈着, とくにIgMの著明な沈着が認められた。左前腕伸側の軽度陥凹した紅斑部では真皮膠原線維の増加はみられなかつたが, 右第2指背部と同様に表皮基底膜部へのIgG, IgMの著明な沈着が認められた。
  • 斉藤 由希子, 稲田 修一, 功野 泰三, 横山 寧恵, 藤本 洋治
    1984 年 46 巻 6 号 p. 1336-1339
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    生後10ヵ月の女児に生じたincontinentia pigmenti achromians(Ito)の偏側例を報告した。生後4ヵ月頃から右臀部, 右下肢に帯状の脱色素斑が出現し, 次第に右胸腹部, 右背部に拡大した。脱色素斑はマーブルケーキ様Voigt境界線に一致した帯状をなしていた。脱色素斑に先行して紅斑などの炎症症状はなかつた。先天異常はなく, 家族内発症もなかつた。組織学的には脱色素斑部にメラニン顆粒の減少, DOPA反応にてメラノサイトの反応性低下があり, 電顕的にはメラノサイト内のメラノソームはやや少なかつたが, メラノソームの凝集塊などはなかつた。約2年後, 脱色素斑の消退, 拡大はなかつた。
  • 高山 紀子, 鈴木 正, 桜井 由美子, 富田 敏夫, 田嶋 公子, 川村 太郎, 池田 重雄, 野下 秋恵
    1984 年 46 巻 6 号 p. 1340-1346
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    若い女子に好発し, 鎖骨や脊椎などの身体の突出した部位に沿つてみられる褐色色素沈着が近年注目されている。著者らは5例を経験した。自験例および既報告例69例について考えを述べた。ナイロンタオルなどで摩擦することによる機械的刺激が要因と考えられるので, 病名としてはfriction melanosisが適当と思われる。しかし, 機械的刺激だけでは本症を起すには十分ではなく, 使用法, 体型, 体質などの要因が備わつてはじめて発症するものと思われる。ほかに, 接触物質, 強い日光の照射も要因として問題になりそうだが, この点についてはさらに検討を加える必要がある。組織学的には, 乳頭下血管叢の周囲を主とする真皮上層の担色細胞の出現が特徴的である。アミロイドの沈着は見られないのが普通であるが, 沈着することもある。自験例のうち1例にアミロイドの沈着をみたが, これは, 摩擦によつて二次的にアミロイドが沈着したものと考えられる。したがつて, 本症と診断するために, アミロイドの有無にこだわる必要はない。治療としては, 摩擦をやめることが最も重要である。
  • 西本 勝太郎, 松山 俊文
    1984 年 46 巻 6 号 p. 1347-1350
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    2例の先天性皮膚カンジダ症症例の臨床症状, 経過, 菌学的事項を報告した。両例ともに皮疹は生後2日以内に膿疱として認められ, 初診時鱗屑よりKOH標本にて菌糸と胞子を証明すると同時にCandida albicansを分離した。症例1(男児)では, 母親に妊娠中腟カンジダ症があり, 早期破水と羊水の混濁を認めた。症例2(女児)では, これに反し母親に妊娠中腟カンジダ症があつた以外分娩時何ら異常は認めなかつた。患者側には皮疹以外に異常はなく, いずれも抗菌剤外用にて急速に治癒した。わが国における症例, とくに新生児皮膚カンジダ症として報告された症例を含めて若干の考察を加えた。
研究
  • —副腎皮質ホルモン剤含有色素剤の検討—
    鈴木 生世, 臼田 俊和, 井澤 洋平
    1984 年 46 巻 6 号 p. 1351-1357
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    ステロイド剤中に含まれる色素剤について, 膠原病患者14名に対しパッチテストによる検討を加えた。Amaranth(FD & C Red No. 2)に5例, Erythrosine(FD & C Red No. 3)に2例, Tartrazine(FD & C Yellow No. 5)に1例, Sunset Yellow FCF(FD & C Yellow No. 6)に5例が陽性反応を示した。またSunset Yellow FCFを含むプレドニソロン製剤であるプレドニン錠には5例が陽性反応を示したが, プレドニソロン散に陽性のものはなかつた。プレドニン錠の反応はSunset Yellow FCFによるものと推測されるが, 色素剤以外の添加物による反応の介在も示唆された。以上の結果から, 膠原病患者に投与する副腎皮質ホルモン剤としては, 散剤が最も安全であると考えられた。
  • 四本 秀昭, 下川 優子, 浅井 ひとみ, 田渕 香代子, 前村 紘平, 田代 正昭
    1984 年 46 巻 6 号 p. 1358-1360
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    近年, 抗核抗体に関する研究が進みそれらの抗原側の解析が行われて抗核抗体のスペクトルが拡がりつつある。抗核抗体は膠原病のみならず肝疾患や悪性腫瘍でも出現すると報告され, 皮膚科領域では紅斑性天疱瘡と抗核抗体について報告されており興味深い。われわれは抗核抗体陽性を示した天疱瘡患者でセントロメア抗原, Sm抗原, nRNP抗原, Scl 70抗原, SS-A抗原, SS-B抗原に対する抗体の有無を調査した。基質にHEp-2細胞を用いた蛍光抗体法で尋常天疱瘡, 紅斑性天疱瘡, herpetiform pemphigusで各1例に抗核抗体が陽性で, いずれもspeckled patternを示した。これらの血清について上記抗原に対する抗体の調査を行つたが, 3例とも抗体は検出できなかつた。以上から, これらの患者血清中にみられた抗核抗体は上記以外のnonhistone核物質にむけられたものであると考えた。また, 以上の3例の天疱瘡患者のほかに紅斑性天疱瘡1例で抗DNA抗体が, herpetiform pemphigus 1例で初診時にのみラット肝切片を基質に用いた方法で抗核抗体が認められた。
  • 浅沼 広幸, 高島 巌, 須藤 学, 久保田 潔, 伊集 操
    1984 年 46 巻 6 号 p. 1361-1367
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    市販の0.025%フルオシノロン·アセトナイド軟膏を, 局方硼酸亜鉛華軟膏, 米国局方白色軟膏, 局方単軟膏, 10%亜鉛華白色軟膏(自家製), 20%亜鉛華単軟膏(サトウザルベ), 5%フルフェナム酸ブチル軟膏(コンベック軟膏)で希釈剤を作り, 血管収縮反応をみると, 希釈剤の別によらず, 2倍·4倍·8倍希釈では100%に, 16倍希釈でも高率に血管収縮がみられた。硼酸亜鉛華軟膏によるフルオシノロン軟膏の2倍および4倍希釈剤を作製し, 原濃度フルオシノロン軟膏と対側療法を行うと, 2倍希釈剤では原濃度のものよりも有効かまたは同等で, 4倍希釈剤では, 同等かまたはこれに劣る。2倍希釈剤を広汎に塗擦すると, 血中11-OHCS, 尿中17-OHCS値の低下がみられ, 全身的影響を無視しえない。硼酸の使用を廃した後, 20%亜鉛華単軟膏によるフルオシノロン軟膏の2倍希釈剤を実用化したが, 皮膚の粗ぞう化がみられるので, 5%フルフェナム酸ブチル軟膏による2倍希釈剤を作製して対側療法を行つたところ, 後者の有効例のほうが多かつた。日本薬局方から硼酸亜鉛華軟膏が削除された場合, 単軟膏基剤で, 亜鉛華10%程度の亜鉛華軟膏の収載を望みたい。
  • 川田 暁, 御藤 良裕, 佐藤 吉昭
    1984 年 46 巻 6 号 p. 1368-1373
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    新しく開発されたサンスクリーン剤, クレーム·エクラン·トタル10A+B, light tan(以下Nと略), 同colourless(以下Iと略)(RoC S. A., France)の2種類について, 健康人男女10名を対象に室内および屋外実験によつてその紫外線防御効果を検討した。被験試料はすべて塗布量2mg/cm2(厚さ20μ)で実験を行つた。まずsandwich法で波長別透過率を測定し, その実用性を確認した。室内実験では, デルマレイM-DMR-1型のSEランプに対するSPFを検討したところ, Nでは15ないし30, Iでは12以上であつた。次に外用PUVAに対するSPFは, N, Iともに平均11.2であつた。また, 真夏の伊豆下田海岸で測定した自然光に対するSPFは, Nが8.1以上, Iが9.8以上であつた。以上より, N, IはUVB域のみならずUVA域にも有効で, 実用性もすぐれていることがわかつた。したがつてこのサンスクリーン剤は, 光線過敏症患者にも十分応用できると思われた。
  • —Acycloguanosine Double Blind Studyの症例に関して—
    伊藤 祐成, 渡辺 靖, 本藤 良, 青山 友三
    1984 年 46 巻 6 号 p. 1374-1377
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    新しい抗ウイルス剤であるacycloguanosine(ACG)を, (1)発疹出現4日目以内の帯状疱疹に使用した2例, (2)偽薬使用1例, さらに, (3)発疹出現6日目より使用した1例の計4例について皮疹からのウイルス学的検討を実施した。(1)では発疹出現4∼7日目までウイルス抗原が証明でき, 8日目以降はできなかつた。(2)では11日目まで, (3)では18日目まで証明できた。また, 同時にウイルス分離も実施したが, (3)の1例にのみ発疹出現6日目まで, その分離に成功した。この4例では, 治療方法によつてウイルス抗原の消退時期に差が生じており, それが感染力·病勢などを軽減させるものであればACGは発疹出現4日目以内の帯状疱疹罹患患者には有効な薬剤と思われる。
講座
治療
  • —二重盲検法によるPlaceboとの比較対照試験—
    塩酸ジルチアゼム臨床研究班
    1984 年 46 巻 6 号 p. 1387-1401
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    Ca拮抗剤塩酸diltiazemのレイノー現象に対する有用性を乳糖を主体とするplaceboを対照薬とし, 全国19施設において二重盲検法による群間比較試験により検討した。試験実施症例は, レイノー病19例, レイノー症候群79例, その他1例の計99例であり, 有効性評価対象症例は92例〔D群(diltiazem群)48例, P群(placebo群)44例〕であつた。効果の判定は治療期4週にて実施し次の結果を得た。
    1) 有用度は, D群がP群に比し有意に優れていた。
    2) レイノー現象の発作時の諸症状に対する総合的な効果およびレイノー現象発作時の持続時間, 部位, 範囲, 痛みにおいてD群がP群より有意に優れていた。
    3) 有用度の層別解析では, レイノー病において, また合併症のない患者においてD群がP群より有意に優れていた。
    4) 副作用はD群50例中5例に, P群47例中6例に認められたが, 重篤な副作用および臨床検査値に留意すべき異常所見は認めず安全性の判定ではD群とP群間に有意な差はなかつた。
    以上の成績より塩酸diltiazemはレイノー病およびレイノー症候群のレイノー発作に対し, 有用な薬剤と考えられた。
  • 武石 正昭, 伊川 知子, 占部 治邦
    1984 年 46 巻 6 号 p. 1402-1406
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    帯状疱疹21例に対し, 1% cytosine arabinoside軟膏(CA軟膏)の臨床効果を検討した。総合効果判定において, 著効12例(57.1%), 有効8例(38.1%), やや有効1例(4.8%)で有効以上の割合が95.2%というすぐれた成績が得られた。副作用は全例において認められず, CA軟膏は帯状疱疹に対して有用な外用剤であると考えられる。
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