強皮症におけるレイノー現象に対するウラピジルの臨床的有用性を検討する目的で, 3施設(東京大学皮膚科, 横浜市立大学皮膚科, 岐阜大学皮膚科)共同の研究班を結成し, オープン試験にて検討した。ウラピジル15∼30mg/日を計61例の強皮症患者に対して投与したところ, 著効1例, 有効14例, やや有効13例の成績が得られ, 有効以上が24.6%, やや有効以上が45.9%であった。病理別では手指に皮膚硬化が限局するType Iにおいて有効以上が26例中11例, 42.3%であり, Type I以外の群の有効以上の35例中4例, 11.4%に比して有意に優れた成績が得られた(p<0.05)。副作用は61例中23例, 37.7%にみられ, めまい·立ちくらみ, 頭痛·頭重感, のぼせ感·顔面熱感など本剤の有する
α1-遮断作用および末梢血管拡張作用に基づくと考えられる症状が主体であり, 重篤なものはみられなかった。薬剤の用量に関しては有効性, 安全性, 有用性のいずれにおいても初回投与量15mg/日群の成績が30mg/日群の成績より優れていた。以上より, 本剤は強皮症, とくにその軽症例におけるレイノー現象に対して有用な治療薬剤であり, 15mg/日投与が至適用量であると考えられた。
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