西日本皮膚科
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56 巻 , 1 号
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図説
症例
  • 松谷 紫, 今村 隆志, 麻上 千鳥, 永谷 忠
    1994 年 56 巻 1 号 p. 3-6
    発行日: 1994/02/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    43歳の女性。8年前からアレルギー性結膜炎, 両眼表層角膜炎のため, 眼科にて加療中であった。2年前から両眼周囲にそう痒性紅色皮疹が存在していた。使用していた各種点眼剤の貼布試験にて, インタール®点眼剤as isで陽性を示し, さらに成分別貼布試験にて0.01%塩化ベンザルコニウムに陽性を示した。
  • 西 隆久, 三砂 範幸, 元木 清久, 幸田 弘
    1994 年 56 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 1994/02/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    31歳の男性の紅皮症型毛孔性紅色粃糠疹の1例を報告した。ステロイド, ビタミンA, エトレチナートなど種々の治療を試みたが, すべて明確な治療効果は認められなかった。発症後, 1年6ヵ月で自然治癒した症例と考える。
  • 吉澤 正浩, 音山 和宣, 勝岡 憲生
    1994 年 56 巻 1 号 p. 15-19
    発行日: 1994/02/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    76歳の女性, 初診の約半年前に両下肢に紫斑が出現し, 以後出没を繰り返していた。初診時, 皮膚アレルギー性血管炎あるいはアナフィラクトイド紫斑と考え, 以後経過観察していたが, 最終診断には至らなかった。その後の臨床症状および経過, 病理組織学的所見, 臨床検査成績から, 高γグロブリン血症性紫斑と診断し得た。さらに, その基礎疾患としてSjögren症候群が内在していることが明らかとなった。Sjögren症候群に合併する紫斑の本邦報告例を集計し, 紫斑の臨床像, 病理組織像および発症機序について考察した。
  • —症例報告と本邦報告例の文献的検討—
    市川 栄子, 浅野 さとえ, 岡部 省吾, 斉藤 明, 中村 遊香, 高橋 久, 長谷川 篤彦
    1994 年 56 巻 1 号 p. 20-26
    発行日: 1994/02/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    72歳の女性, myelodysplastic syndromeに併発した皮膚クリプトコックス症を報告した。原疾患に対する治療中に発熱と同時に左大腿内側に紅斑を伴う皮下結節が出現し, 漸次増数した。同時に全肺野に粒状陰影が急速に出現し, 呼吸機能悪化。皮膚病変の病理組織学的検査では, 真皮, 脂肪織に浮腫性の変性, 血管周囲にリンパ球を主体とした細胞浸潤と血管の変性壊死を認めたが, 肉芽腫様変化は認めなかった。また脂肪織一面に球形の菌要素が多数認められた。皮疹の組織片および喀痰の培養からCryptococcus neoformans serotype Aを検出した。髄液検査は施行し得ず, 血液, 尿培養は陰性。治療に用いたアムホテリシンB投与が奏効し, 皮疹, 肺病変ともに軽快した。なお, 本邦で報告された皮膚クリプトコックス症93例の記録を検討し, 1979年以降の症例をまとめた。
  • 篠田 英和, 西本 勝太郎, 本間 喜蔵
    1994 年 56 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 1994/02/01
    公開日: 2011/07/21
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    同一家族内に6年間にわたって感染, 再発を繰り返したTrichophyton violaceum感染症の3例を報告した。症例1は7ヵ月の男児(発端者)。顔面白癬, black dot ringwormを呈し4年間再発を繰り返した。症例2は59歳の女性(症例1の祖母)。顔面白癬で発症したが, 5年後に再び顔面白癬に罹患した。症例3は6ヵ月の男児(症例1の弟)。顔面白癬とblack dot ringwormの臨床を示したが, 1年後再び頭部浅在性白癬に罹患した。いずれの病巣からもT. violaceumを検出した。自験例の臨床症状の特徴は炎症症状が乏しい点であるが, これはT. violaceumのもつanthropophilicな生物学的性状に基づくものと考えられる。また, 6年間同一家族内において3人の構成員に白癬が再発しT. violaceumが再三分離された理由については, T. violaceumがごく親しい接触のある人の間で数年にわたりsubclinicalな形で保菌されるため, と推測されているが, 自験例はまさしくこの推測を支持するものであった。さらにこの推測を裏付けるため家族構成員に対しtooth brush法を行ったが, T. violaceumは検出できなかった。
  • 松永 若利, 石原 剛, 安野 佳代子
    1994 年 56 巻 1 号 p. 34-39
    発行日: 1994/02/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    日常診療において, 先天的に皮膚に瘻孔を有する患者に遭遇することはまれなことではない。その代表的疾患は耳介瘻孔であろうが, 最近, われわれは前胸部の胸鎖関節部の皮膚に小瘻孔を有する症例を18例経験した。多くは膿瘍を合併していて, せつや炎症性粉瘤と誤診しやすい。症例の中には数回にわたって切開排膿を受け, 何度も再発を経験する症例もあった。本症は皮下脂肪組織層で盲端として終わる短い瘻孔であるが, 組織学的には皮下皮様嚢腫と類似している。しかしながら, 皮下皮様嚢腫はいわゆる皮下の閉鎖性の嚢腫であり, 本症は瘻孔である。発生部位や組織所見では両者はきわめて似た疾患といえるが, 臨床的には明らかに異なった疾患と考え, ここに先天性前胸部皮下皮様瘻孔と仮称し報告する。
  • 酒谷 省子, 徐 信夫, 草壁 秀成, 清金 公裕, 安原 稔
    1994 年 56 巻 1 号 p. 40-44
    発行日: 1994/02/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    30歳の男子。10歳時に初めて右足底母趾基部の皮下腫瘤に気づいた。初診時, 計5個の皮下腫瘤が右側に偏在していた。腫瘤は病理組織学的に海綿状血管腫の所見を呈していた。胸部X線, CT, MRI所見から右側胸壁胸膜外に肺実質を圧迫して存在する腫瘤が認められ, 画像診断上, 海綿状血管腫が疑われた。しかし貧血, 便潜血はなく, 内臓諸臓器には腫瘤を認めなかった。自験例は他臓器病変を伴う他の血管腫症とは異なる, 予後良好な血管腫症と考え, 片側性皮膚血管腫症の名称で報告した。
  • 濱田 学, 田代 研児, 桐生 美麿, 今山 修平, 堀 嘉昭
    1994 年 56 巻 1 号 p. 45-48
    発行日: 1994/02/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    11歳の男子の下腿に生じたmicrovenular hemangiomaを報告した。本血管腫は組織学的にKaposi肉腫の初期像との鑑別が問題になることから, 過去に当科で経験した類似の血管性病変と比較検討した。
  • 佐藤 伸一, 丸山 道代, 戸田 淨, 渡辺 晋一
    1994 年 56 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 1994/02/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    62歳の男性に生じたclear cell syringoma(CCS)の1例を報告した。本症例はコントロール不良の糖尿病を伴っていた。CCSの発生起源については現在も定説はない。われわれは自験例についてモノクローナル抗ケラチン抗体を用い, 腫瘍内のケラチンの分布を免疫組織化学的に検討した。その結果, 1)正常エクリン汗器官で分泌部のみが強陽性に染まるCAM 5.2ではclear cellは陰性であった。2)正常エクリン汗器官の表皮内および真皮内導管のcuticleとluminal cellが染まる34βE12では, CCSでも同様の部位が陽性であった。3)表皮内導管の外層細胞のみが染まる34βB4ではclear cellは陽性であった。このように, エクリン汗器官由来の腫瘍における抗ケラチン抗体を用いた解析は, その組織発生を検討する上で有力な手段となる可能性が示唆された。
  • 田中 敬一, 広瀬 寮二, 吉田 彦太郎, 野中 薫雄, 守家 泰一郎
    1994 年 56 巻 1 号 p. 54-60
    発行日: 1994/02/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    42歳の男性。主として躯幹に紫紅色斑や網状色素沈着が6年間持続し, その後広範囲に浸潤を伴う紅斑の多発と皮下結節, 潰瘍化などの急性増悪症状をきたし, 組織学的にlymphomatoid granulomatosis(LYG)と診断した症例を経験した。本症例は入院後, LYGに必発とされている転移性肺腫瘍を思わせる肺病変が出現し, その後急速に皮疹および全身状態が悪化した。末期には瀰漫性リンパ腫として諸臓器が侵され死の転帰をとった。剖検において浸潤がみられた臓器は肺, リンパ節(両腋窩部, 両鼠径部, 縦隔洞, 後腹膜), 心, 肝, 脾, 胃, 腎, 睾丸などであった。紫紅色斑や網状色素沈着をLYGの前駆病変と考えると, 肺の結節性陰影が生じたのは実に8年目のことであり, その経過がきわめて長く, まれな経過を辿った症例と思われた。本邦と欧米における報告例について若干の考察を加えた。
  • 佐藤 俊宏, 片桐 一元, 工藤 芳子, 高崎 修旨, 寺師 浩人, 倉田 荘太郎, 高安 進, 中村 道利
    1994 年 56 巻 1 号 p. 61-66
    発行日: 1994/02/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    40年前の仙骨部外傷の後に多発性瘻孔を形成し, 有棘細胞癌が続発した62歳の男性を報告した。腫瘍の大部分は感染を伴い, 仙骨, 腸骨を中心に拡大する特徴があり, 外傷の既往を考え合わせると, 骨髄炎に続発したものと推測された。放射線療法, 化学療法を行ったところ, 潰瘍, 腐骨の生検では腫瘍細胞を認めなくなった。同時にSCC関連抗原も2ヵ月間正常域を維持したため, 感染病巣除去を目的として手術を施行した。しかし, 骨内の感染病巣は広範囲におよび, 十分に除去できなかった。その後, 残存した有棘細胞癌が再び増大し, 入院21ヵ月後に死亡した。治癒を目指すには徹底的な手術療法が必要であったと考えられるが, 病変の広さと持続する感染を考えると, その適応の決定は困難である。
  • 芦塚 文美, 広瀬 寮二, 清水 和宏, 田中 洋一, 鳥山 史
    1994 年 56 巻 1 号 p. 67-74
    発行日: 1994/02/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    85歳の女性の左外眼角部に発生した8×8×4cmの巨大なMerkel cell carcinomaの症例を報告した。光顕上, 腫瘍細胞は典型的なtrabecular patternはみられなかったが, GrimeliusおよびFontana-Masson染色で陽性顆粒が認められ, 電顕にて多数の直径80∼110nmのmembrane coated dense core granulesが細胞質内に確認された。また経過中に口腔底の扁平上皮癌が出現し, 本腫瘍が重複癌を生じやすいことが再確認された。本例では入院時, すでに下顎リンパ節への転移が確認されたが, 腫瘍と転移リンパ節への少量の放射線照射(Linac 12MeV, 総量40Gy)で一旦腫瘍の消失をみた。その後反対側の右頬部皮膚にも転移を認めたが, 再びLinac総量40Gyで腫瘍は消失した。患者は初診時より4年後に老衰による心不全にて死亡した。放射線照射の効果については, これまで明らかにされてはいないが, 自験例のごとく放射線照射単独療法で高い有効性が期待されるため, 単独あるいは手術との併用を試みるべき治療法であると考えた。
  • 石井 義輝, 寺師 浩人, 倉田 荘太郎, 橋本 裕之, 園田 忠重, 板見 智, 高安 進, 本多 朋仁
    1994 年 56 巻 1 号 p. 75-79
    発行日: 1994/02/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    足底踵部に発症したmalignant melanoma in situ(MM in situ)の切除6年後に, 再建に用いた局所皮弁上にmalignant melanoma(MM)が発症した, 65歳の女性の症例を報告した。1984年頃に生じた右足底踵部の色素斑を主訴として1985年当科受診, 生検を行った後, 辺縁5mm離し切除した。病理組織学的には表皮基底層を中心に異型のあるメラノサイトが増殖して胞巣を形成していた。1991年4月, 前回手術時に踵部の再建に用いた皮弁上に結節が出現した。Excisional biopsy施行しMM(Clark’s level IV, tumor thickness 3.5mm)と診断した。拡大切除およびリンパ節郭清術を施行した(術後診断: pT3bN0M0, Stage II)。DAV-feron療法(DTIC, ACNU, VCR, IFN-β), BCG内服を行い, 術後13ヵ月時点で再発·転移を認めない。自験例におけるMM in situの診断·治療の問題点と, 局所皮弁上に生じた病巣と原発巣との関連について考察した。
研究
  • —臨床像, 検査値と背景因子—
    西本 正賢, 沼原 利彦, 中嶋 邦之, 佐々木 道生, 吉田 智子, 高岩 堯
    1994 年 56 巻 1 号 p. 80-85
    発行日: 1994/02/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    われわれが1991年に診察したアトピー性皮膚炎患者203名(男性86名, 女性117名で, 平均年齢15.53±9.42歳)を対象に年齢と臨床型の関連, 臨床型と背景因子および検査値との関連について検討した。4歳までは紅斑丘疹型が多く, 苔癬化局面型は2歳から出現, 5歳以降で最多であった。痒疹型は小児期から, 顔面型は14歳, 紅皮症型は16歳以上に分布し, 20歳以上では顔面型·痒疹型の比率が増加し, 苔癬化局面型の比率が減少した。成人期の特徴として結節性痒疹様の大型結節のみられる痒疹型と, 躯幹四肢に比べ顔面に皮疹の著明な顔面型が挙げられた。痒疹型29名中9名, 顔面型23名中6名は当科通院中に苔癬化局面型から移行した。16歳以上の苔癬化局面型軽症群, 同中等症重症群, 痒疹型, 顔面型, 紅皮症型の5群の平均年齢は22∼23歳であり, 気道アトピー合併率に有意差はなかった。発症年齢は, 苔癬化局面型に比べ痒疹型·顔面型·紅皮症型で0歳発症が有意に高かった。総IgE値は苔癬化局面型に比し他の3群が有意に高かった。250PRU/mlを境界値とすると苔癬化局面型軽症群と3群間に有意差を認め, 軽症群に比して中等症重症群が高い傾向にあった。中等症重症群と他の3群間に有意差はなかった。1000PRU/mlを境界値とした場合, 苔癬化型と顔面型, 紅皮症型の2群間に有意差を認め, 痒疹型も高い傾向にあった。Df-IgE抗体, Df-IgG4抗体, Df掻破試験の陽性率は各群間で一定の傾向はなかった。
  • H-2脱落変異株を用いた解析
    利谷 昭人, 中山 樹一郎, 堀 嘉昭
    1994 年 56 巻 1 号 p. 86-92
    発行日: 1994/02/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    マウスB16メラノーマ細胞からMHC class I(H-2)抗原の脱落した変異株を作製し, NKまたはT細胞を除去した個体を用いて, メラノーマの実験的転移に対する宿主の防御機構を解析した。正常マウスのNK細胞はB16メラノーマのH-2+細胞よりもH-2-細胞に対して強い障害活性を持ち, これが転移の抑制に重要な役割を担っていることが示唆された。原発巣からの転移を反映させるために施した担癌処置は, NK細胞もT細胞も除去した個体において, 非担癌マウスよりも有意に転移を抑制した。In vitroでの, 正常マウス脾細胞とB16メラノーマH-2-細胞を混合培養(MLTC)すると, 刺激に用いたB16メラノーマ細胞だけでなく比較的広範囲の腫瘍細胞に対して細胞障害活性を示す細胞群が誘導された。また担癌個体の脾細胞を単純培養すると, 同様に細胞障害活性を示すeffector細胞が誘導された。以上の結果から, マウスB16メラノーマ細胞の担癌個体中には何らかの活性化キラー細胞が存在し, この細胞群もNK細胞と同時にB16メラノーマの転移に対する防御機構の一翼を担うことが示唆された。
講座
統計
  • 大坪 東彦, 石井 寛, 幸田 弘
    1994 年 56 巻 1 号 p. 100-104
    発行日: 1994/02/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和56年12月から平成4年4月までの10年4ヵ月間に佐賀医科大学皮膚科で経験したスポロトリコーシス21例について統計的観察を行った。1)年間の平均症例数は2例で, 外来患者総数に対する比率は0.14%を占めた。2)男性9例, 女性12例と女性にやや多く, 男女比は1:1.3であった。3)年齢分布は10歳以下が2例, 20歳代1例, 50∼70歳代が18例と中高齢者が大部分を占めた。4)秋から冬にかけての発症が70%を占めたが, 夏の発症も4例(19%)認めた。5)農業従事者が43%, 外傷の既往が67%に認められた。6)発症部位は上肢9例, 顔面6例, 下肢5例, 頭部1例であった。7)病型は固定型11例, リンパ管型10例とほぼ相半ばした。8)近年, 非定型的臨床例が増加している。9)スポロトリキン反応は15例に施行し, 14例(93.3%)に陽性を示し特異性の高い補助診断法として有益と思われた。10)組織内菌要素は生検を実施した18例中13例(72.2%)に認められ, そのうち7例は多数の菌要素が認められた。11)治療はヨウ化カリウムの内服により全例治癒した。
治療
  • 蜂須賀 裕志, 森 理, 前田 伴幸, 笹井 陽一郎
    1994 年 56 巻 1 号 p. 105-108
    発行日: 1994/02/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    19例の多発性円形脱毛症および全頭脱毛症の患者についてsquaric acid dibutylester(SADBE)の外用療法を行い, その臨床効果について検討を行った。2%SADBEアセトン溶液にて感作し, 0.001%から1.0%の濃度のSADBEを週に1度外用した。13例では著効を呈し, 11例は頭髪の完全な再生が認められた。しかし, そのうちの5例は脱毛が再発した。発毛が見られるまでの治療期間は4から24週であった。6例では24から56週の外用期間では発毛は見られず, 無効と判定した。SADBEの局所外用療法は円形脱毛症および全頭脱毛症に対する有効な治療法と考えられる。
  • 岩崎 泰政, 森 保, 宮本 義洋, 西山 成寿, 田中 稔彦, 山本 昇壯
    1994 年 56 巻 1 号 p. 109-113
    発行日: 1994/02/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    26歳の女性の側頭部の広範囲な瘢痕性脱毛に対して, 健側の浅側頭動·静脈をpedicleとした遊離側頭部皮弁を作製し, 患側の浅側頭動·静脈に吻合して生え際を再建し, さらにtissue expanderを用いて, 残存した脱毛部の再建を行ったので報告した。術後は脱毛部がほぼ完全に消失し, 髪際部の自然な毛流の再建も含めて整容的に良好な結果が得られ, この手術方法は側頭部の髪際を含む広範囲な瘢痕性脱毛の治療には非常に有効な方法と考えられた。
  • 松田 哲男, 堀 嘉昭, 占部 治邦, 松本 忠彦
    1994 年 56 巻 1 号 p. 114-120
    発行日: 1994/02/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    1%トルシクラート含有クリーム剤(SMW-102)の効果および安全性を検討する目的で, 足白癬2病型(小水疱型, 趾間型)の計60例を対象とし, 臨床評価を行った。採用症例55例の中で, 臨床症状の改善が認められたのは小水疱型, 趾間型ともに100%であり, 菌の陰性化は小水疱型64.5%, 趾間型79.2%であった。副作用は1例にかゆみを認めたが, 使用を継続できた。有用率は両病型をあわせて70.9%, 小水疱型で64.5%, 趾間型で79.2%であった。以上の結果より, SMW-102は足白癬に対し有用性が高く安全性の面においても優れた製剤であることが示唆された。
  • 中山 樹一郎, 堀 嘉昭, 占部 篤道
    1994 年 56 巻 1 号 p. 121-126
    発行日: 1994/02/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    高脂血症を伴う尋常性乾癬患者20例(3例は血清脂質レベルは正常範囲であったが何らかの血清アポタンパクの異常を認めたもの)に抗高脂血症剤のベザフィブラート(一般名bezafibrate, 商品名ベザトール®SR錠)の内服治療とステロイド外用療法の併用療法を施行しその乾癬皮疹および血清脂質の改善効果について検討し, 以下の結果を得た。1)乾癬の潮紅, 鱗屑, 浸潤·肥厚のいずれも統計学的に有意な改善がみられた。中等度改善以上の改善率は50%(20例中10例)であった。2)血清脂質値では, 治療後に総コレステロール, トリグリセライドが有意に低下し, またVLDL-コレステロールが有意に低下した。アポタンパクはA-IIが有意に上昇し, B, C-III, Eが有意に低下した。他に総脂質, エステルコレステロール, 遊離コレステロール, リン脂質が有意に低下した。血清脂質の中等度以上の改善率は60%であった。3)皮膚症状改善度と血清脂質改善度を総合的に考慮した全般改善度は中等度以上の改善率で50%であった。4)血清脂質の各パラメーターの変動と皮膚症状改善度との相関性では総コレステロールと皮膚症状の改善度に有意の相関が認められた。5)副作用は2例にみられ, その内訳は軽度の動悸と嘔気であった。薬剤との因果関係は断定できなかった。6)全般改善度および概括安全度を総合的に判断した有用度では, 有用以上が50%であった。以上の結果より高脂血症を伴う乾癬患者の外来での治療にはステロイド外用剤とベザフィブラートの内服療法の併用療法は試みるべき有用性の高い治療法と考えられた。
  • 藤岡 彰, 酒井 智恵, 羽金 重喜, 米元 康蔵, 西山 茂夫
    1994 年 56 巻 1 号 p. 127-131
    発行日: 1994/02/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎に対し有効といわれる米発酵エキスを主成分とする入浴液クアタイム®の有用性を検討した。臨床症状と保湿計による保湿能を検索し, それらを有用性の指標とした。アトピー性皮膚炎患者33名と正常人コントロール6名にクアタイム®を用いた入浴を1ヵ月させた。この際, 右前腕のみ浴槽につけないようにさせた。1ヵ月後, 臨床症状は改善し, 浴槽につけていた左前腕の保湿能は右前腕に比べ有意に改善した。さらに正常人コントロールでクアタイム®を10%尿素軟膏に溶かし経時的に保湿能を検討したところ, 外用60分後の保湿能は濃度依存性に高い傾向があった。以上より本剤はアトピー性皮膚炎, 特に保湿能の改善に対し効果をもつものと思われた。しかしその作用機序は不明で今後の検討課題といえる。
  • トリルダン®研究会
    1994 年 56 巻 1 号 p. 132-137
    発行日: 1994/02/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎を含む湿疹·皮膚炎群に対して, トリルダン®錠内服とアルメタ®軟膏外用の併用療法とアルメタ®軟膏による単独療法を行い, その臨床効果, 安全性, および有用性を比較検討した。アトピー性皮膚炎91例, その他の湿疹·皮膚炎群346例の合計437例を対象とした。その結果, 併用療法群のほうが単独療法群より明らかに優れた止痒効果および他の症状改善効果を示した。4症例にのみ胃症状, 眠気などの軽度の副作用がみられた。併用療法により, そう痒をはじめとする臨床症状の改善, ステロイド外用剤のランクダウンが期待できると考えられた。
  • 武田 克之, 荒瀬 誠治, 中西 秀樹, 田中 伸二, 桑原 章, 山本 昇壯, 矢野 貴彦, 岩崎 泰政, 麻上 千鳥, 冨永 和行, 堀 ...
    1994 年 56 巻 1 号 p. 138-142
    発行日: 1994/02/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    浅達性II度熱傷(SDB)の小範囲熱傷で評価可能症例22例においてアロアスクD®とバラマイシン®軟膏の臨床効果を比較し, 以下の成績を得た。1)受傷日から疼痛消失までの症例累積率の比較では, 有意差をもってアロアスクD®(A群)が優れており, バラマイシン®軟膏(B群)より早期に疼痛が軽減された。2)受傷日から滲出液消失までの症例累積率の比較では, 有意差をもってアロアスクD®が優れており, バラマイシン®軟膏より早期に滲出液が抑制された。3)受傷日から上皮化完了日までの累積上皮化率をアロアスクD®とバラマイシン®軟膏で比較すると, 両群間に有意差はなかったが, アロアスクD®の上皮化は早い傾向があった。また受傷日から上皮化完了日までの日数の頻度分布においても, 明らかにアロアスクD®のバラツキが少なく, 安定した効果が示唆された。4)副作用は全例に認められなかった。
  • 竹原 和彦, 佐々木 哲雄, 伝宝 憲一, 前田 学, 森 俊二
    1994 年 56 巻 1 号 p. 143-149
    発行日: 1994/02/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    強皮症におけるレイノー現象に対するウラピジルの臨床的有用性を検討する目的で, 3施設(東京大学皮膚科, 横浜市立大学皮膚科, 岐阜大学皮膚科)共同の研究班を結成し, オープン試験にて検討した。ウラピジル15∼30mg/日を計61例の強皮症患者に対して投与したところ, 著効1例, 有効14例, やや有効13例の成績が得られ, 有効以上が24.6%, やや有効以上が45.9%であった。病理別では手指に皮膚硬化が限局するType Iにおいて有効以上が26例中11例, 42.3%であり, Type I以外の群の有効以上の35例中4例, 11.4%に比して有意に優れた成績が得られた(p<0.05)。副作用は61例中23例, 37.7%にみられ, めまい·立ちくらみ, 頭痛·頭重感, のぼせ感·顔面熱感など本剤の有するα1-遮断作用および末梢血管拡張作用に基づくと考えられる症状が主体であり, 重篤なものはみられなかった。薬剤の用量に関しては有効性, 安全性, 有用性のいずれにおいても初回投与量15mg/日群の成績が30mg/日群の成績より優れていた。以上より, 本剤は強皮症, とくにその軽症例におけるレイノー現象に対して有用な治療薬剤であり, 15mg/日投与が至適用量であると考えられた。
  • 立花 隆夫, 北嶋 敏之, 松吉 徳久, 工藤 比等志, 是枝 哲, 松村 康洋, 高橋 健造, 太田 敬治, 藤田 真由美, 錦織 千佳子 ...
    1994 年 56 巻 1 号 p. 150-156
    発行日: 1994/02/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    保湿を重視し, さらにフケ, 痒みを防ぐ効果も期待できるよう配慮したNOV薬用スカルプローションを, 頭皮乾燥度が高い71症例(頭部粃糠疹36例, 脂漏性皮膚炎22例, アトピー性皮膚炎10例, 慢性湿疹3例)に使用した。本剤の使用により, 頭皮の乾燥, フケ, 痒みなどの症状の改善は90.1%(64例: 著明改善6例, 改善34例, やや改善24例)にみられ, また, 副作用として軽度のそう痒が3例に生じたものの, うち2例においては継続使用により消失した。さらに, 本剤の使用感についても57.7%(41例)の患者が, 良いもしくは非常に良いと返答した。同時に使用したヘアケア製品(ノブシャンプーD®, ノブリンスD®)による試験結果への影響は否定できないものの, 頭皮ケアは頭皮を健常に保つ上で有用であり, 頭皮の乾燥の改善がフケ, 痒みなどの症状の軽減をもたらすのは確かなようである。
世界の皮膚科学者
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