西日本皮膚科
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67 巻, 5 号
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図説
症例
  • 稲沖 真, 足立 舞子, 丸岡 千晶, 藤本 亘
    2005 年 67 巻 5 号 p. 449-453
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    ジャーナル 認証あり
    73歳の男性。高血圧に起因する慢性腎不全があり9ヵ月前から血液透析を開始した。両手の指の難治性の潰瘍のため当科に入院した。手指の潰瘍は2ヵ月前から出現し,右手の方が左手より重症であった。下肢には虚血症状はなかった。入院時検査では血清クレアチニン値の上昇,高コレステロール血症,高リン血症,副甲状腺ホルモンの軽度増加が認められた。手の単純X線写真では橈骨動脈,尺骨動脈,および指の動脈に石灰化が認められた。動脈造影では右前腕の内シャントへ大量の血液が流入し,指の動脈への血流は低下していた。以上の臨床症状と検査所見から,動脈硬化,二次性副甲状腺機能亢進症,steal症候群の3者が指尖潰瘍の形成に関与したものと推測した。プロスタグランジンE1製剤の静注,リン吸収阻害剤や高脂血症治療薬などの内服,壊死組織の除去を含む局所処置により潰瘍は消失した。
  • 林 宏明, 山口 雅英, 笹岡 俊輔, 稲沖 真, 藤本 亘, 石田 敦久
    2005 年 67 巻 5 号 p. 454-457
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    ジャーナル 認証あり
    患者は55歳の男性。10数年前に右足関節に顕著な腫脹と疼痛を経験し,その後下腿から足背にかけて色素沈着に気づいた。3年前より右外果の難治性潰瘍に苦しむようになり,他医にて遊離筋皮弁術を施行されたがその11ヵ月後に皮弁周囲に潰瘍が再発し当科を受診した。初診時,右外果と内果,皮弁周囲および足背に最大径10cmまでの底部が黄色を示す潰瘍を認めた。逆行性静脈造影で造影剤の膝下までの逆流を認め深部静脈弁機能不全症と診断した。静脈弁形成術後,右下腿・足部の潰瘍は速やかに縮小し約4ヵ月後に完全に上皮化した。自験例は,深部静脈弁機能不全を精査するためには逆行性静脈造影が有用であり,また深部静脈弁機能不全による難治性潰瘍において弁形成術が奏効することを示している。静脈性潰瘍における原因精査とその結果に基づいた適切な治療の重要性を強調したい。
  • 阿南 隆, 竹内 善治, 波多野 豊, 片桐 一元, 藤原 作平, 岩田 英理子
    2005 年 67 巻 5 号 p. 458-463
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    難治性の自己免疫水疱症患者に発症した静脈血栓塞栓症3例を経験した。いずれも複数の静脈血栓塞栓症の危険因子を有していた。症例1は80歳の男性で下肢の不全麻痺がみられた。症例2は34歳の男性で,肥満,喫煙歴に加え,血漿交換療法のための大腿静脈への長期にわたるカテーテル留置と同部への細菌感染がみられた。症例3はB細胞リンパ腫に伴う腫瘍随伴性天疱瘡の67歳の女性で,ステロイドパルス療法を施行されており,経過中に脱水症を来していた。全ての患者においてステロイドの内服,入院後の歩行減少が共通の危険因子として認められた。ステロイドは凝固促進作用があり,ステロイドを投与された患者では,高齢,心不全,呼吸不全,感染症,脱水症,運動の低下など他の血栓形成の促進因子が加わることにより容易に静脈血栓塞栓症を生じる可能性がある。入院の上,ステロイドを全身投与される自己免疫性水疱症の患者では静脈血栓塞栓症を生じる可能性が高く,積極的かつ適切な予防が必要であることを認識しなければならない。
  • 三浦 健太郎, 秋山 正基, 末木 博彦, 飯島 正文
    2005 年 67 巻 5 号 p. 464-467
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    ジャーナル 認証あり
    後頭部に生じたリウマトイド結節の1例を報告した。症例は76歳,女性。53歳時に関節リウマチに罹患し,71歳頃から長期臥床状態となった。3年前より後頭部に結節が出現し,初診時には28×22×12mmのドーム状に隆起した暗紅色,弾性硬,圧痛を伴う結節が認められた。皮膚付属器腫瘍,転移性皮膚癌を疑い全摘した。病理組織は真皮内に中央のフィブリノイド壊死巣を取り囲むように組織球が柵状に配列し,さらにその外層にリンパ球主体の細胞浸潤と血管の増生を認め3層構造を形成していた。Palisading granulomaの像を呈しリウマトイド結節と診断した。頭部のリウマトイド結節の報告例は少ないが,実際には潜在的な症例が存在するものと考えられた。
  • 尾野 大洋, 荻原 護久, 河原 和俊, 大橋 則夫, 関東 裕美, 伊藤 正俊, 吉田 正己
    2005 年 67 巻 5 号 p. 468-470
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    ジャーナル 認証あり
    70歳,男性。約6年前より腋窩部,鼠径部,臍窩部,肛囲に紅斑を生じた。近医でステロイド外用剤などで治療されていたが改善せず,当科を受診した。Hailey-Hailey病と診断し,タクロリムス軟膏を外用したところ,3週間で病変の著明な改善を認めた。Hailey-Hailey病の治療法として,ステロイド外用剤の使用以外に,タクロリムス軟膏の外用も有用と思われた。
  • 三角 修子, 前川 嘉洋, 三宅 大我, 横山 眞爲子
    2005 年 67 巻 5 号 p. 471-474
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    ジャーナル 認証あり
    症例は58歳,女性。1992年から慢性腎不全で人工透析を導入された。2003年1月頃から左上腕,右大腿,下腿に疼痛を伴う黒色壊死が突如出現した。2003年5月14日当科初診時,黒色壊死部周囲に暗赤色の皮膚病変を認めた。皮膚生検にて,表皮の変性,壊死と皮下組織の小中血管壁への石灰沈着の所見を認め,calciphylaxisと診断した。低カルシウム血症はなく,副甲状腺ホルモン値も正常値であったが高リン血症を認めていた。抗生剤の点滴と軟膏処置による保存的加療を施行した。当初,感染コントロールは困難で皮膚病変は拡大する一方であったが,塩酸セベラマーの内服を開始したところ,皮膚病変の進行は見られなくなり,潰瘍も縮小,経過は良好であるように思われた。しかし10月21日,嘔吐後に突然心肺停止状態となり,同日永眠された。
  • ―ドキシフルリジンによる光線過敏を伴った症例―
    田嶋 磨美, 斎藤 万寿吉, 加藤 雪彦, 大井 綱郎, 坪井 良治
    2005 年 67 巻 5 号 p. 475-477
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    ジャーナル 認証あり
    68歳,男性。1998年7月頃より左乳輪部に黒色丘疹が出現し増加してきたため1999年8月2日当科を受診した。初診時,左乳輪部に黒褐色の丘疹を伴う紅斑と,左上外側の拇指頭大の皮下腫瘤が認められた。画像検査より乳癌と診断し,当院外科にて胸筋温存乳房切除術を施行した。病期はT4cN0M0,stage III B,病理組織型は硬癌であった。またエストロゲンレセプター染色は100%,プロゲステロンレセプター染色は20%陽性。術後ホルモン化学療法としてtamoxifen citrate,cyclophosphamide,doxifluridineを投与,2ヵ月目より露光部に一致して紅斑・丘疹を認めた。Doxifluridineによる光線過敏を疑ったが原病の治療を優先と考え継続とした。その後再発転移なく術後4年経過した時点でdoxifluridineを投与中止,皮膚症状は略治した。術後5年経過した現在,乳癌の再発転移は認めていない。
  • 鈴木 康之
    2005 年 67 巻 5 号 p. 478-481
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    ジャーナル 認証あり
    7ヵ月,女児。生後4ヵ月頃より左上腕部外側に紅色結節が存在し,徐々に拡大することに母親が気づいた。当科初診時には,左上腕部外側に30×40mmの範囲に紅色結節が癒合し,紅色局面を形成していた。生検にてtufted angiomaと診断し,当初は経過観察のみであったが,生後9ヵ月の時点よりトラニラスト40mg(5mg/kg)の内服を開始した。内服後2ヵ月にて腫瘍の縮小傾向が見られ,内服後7ヵ月では軽度浸潤を残すのみまで著明に消退した。Tufted angiomaは様々な治療法が数多く報告されているが,未だ標準的な治療法が確立されていない。我々はトラニラストの投与によりtufted angiomaの消退が早まったと考え,自然消退例と比較し,その有効性について考察した。
  • 原 彰吾, 久保 宜明, 仙崎 雄一, 福本 大輔, 村尾 和俊, 宮岡 由規, 滝脇 弘嗣, 荒瀬 誠治, 西岡 安彦
    2005 年 67 巻 5 号 p. 482-486
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    ジャーナル 認証あり
    原発巣が組織学的に完全自然消退し,汎発性白斑を合併した72歳,女性の転移性悪性黒色腫を報告する。当科初診の4日前に外科で診断不明のまま,右腋窩皮下結節の摘出術を受け,組織検査で悪性腫瘍のリンパ節転移と診断された。術後に右前腕の色素斑を主訴に当科を紹介された。色素斑は雀卵大,不整形,灰青色調で白暈を伴っていた。また,全身に不完全な白斑がみられた。リンパ節転移巣の腫瘍細胞は抗S-100陽性,HMB-45は一部で陽性であった。原発巣と考えられた右前腕の色素斑には腫瘍胞巣はみられず,真皮上層にメラノファージを多数認め,その周囲の基底層のメラニン顆粒は著減していた。ダカルバジンによる化学療法とIFNβ局注を定期的に行い,右腋窩・右頚部リンパ節郭清も施行したが,新たな転移巣が出現したため,腫瘍抗原ペプチドによる樹状細胞療法を試みた。しかし,効果無く,約1年半後に呼吸不全で永眠した。
  • 鈴木 利宏, 籏持 淳, 川村 由実, 堀江 正樹, 大塚 勤, 山崎 雙次
    2005 年 67 巻 5 号 p. 487-489
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    ジャーナル 認証あり
    88歳の女性。当科受診の4ヵ月前に左内眼角部の腫脹がみられ,涙嚢炎の診断のもとに,眼科医による治療を受けていた。その後,同部に皮膚および骨欠損を来したため,当科を訪れた。初診時,左内眼角部に17×17mmの皮膚および骨欠損が認められた。起炎菌は同定出来なかったが,涙管に排膿が認められたため涙嚢炎と診断した。難治性であったので外科的療法を試みた。まず,肉芽の増生を抑える目的でデブリドマンと植皮を行い,その後,腔を閉鎖する目的で皮弁形成術を施行した。その後再発はなく経過は良好である。
  • 松本 真明, 松本 喜美, 池田 光徳, 小玉 肇
    2005 年 67 巻 5 号 p. 490-494
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    ジャーナル 認証あり
    53歳,女性。下顎では色素沈着を残し,下腿では色素沈着を残さない固定薬疹が繰り返し出現した。パッチテスト(皮疹部および無疹部)およびスクラッチパッチテスト(無疹部)は陰性。ミノサイクリン5mg投与による内服誘発テストでは,下顎と下腿に皮疹が再燃し,前額にも紅斑が新生した。病理組織像では下腿に比べ下顎の真皮にメラノファージが著明に多く認められた。免疫組織化学では,トリプターゼ陽性肥満細胞が下腿と比較して下顎の特に真皮乳頭層において有意に多く認められた。肥満細胞由来のケミカルメディエーターやサイトカインが,メラノサイトのメラニン合成やメラニンのケラチノサイトへの輸送を促進することも色素沈着を増強させる因子であると考えた。
講座
治療
  • 中村 哲史, 佐藤 恵美, 橋本 喜夫, 飯塚 一, 坂井 博之, 加藤 直樹
    2005 年 67 巻 5 号 p. 503-510
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎においてはそう痒および夜間の睡眠障害が日常生活のQOLを下げることが知られている。日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎治療ガイドラインによると皮膚炎に対しては,副腎皮質ステロイド外用剤・保湿剤,場合により免疫調節剤の外用を行うとともに,そう痒に対しては抗ヒスタミン剤・抗アレルギー剤の内服を補助療法として行うことが推奨されている。塩酸オロパタジンは抗ヒスタミン作用をもつ抗アレルギー剤(第二世代抗ヒスタミン剤)で,そう痒の軽減と睡眠障害の改善によりアトピー性皮膚炎患者のQOLを改善することが期待される。今回我々は塩酸オロパタジンをアトピー性皮膚炎患者22例に投与し,他覚的臨床症状,好酸球数の変動,さらに,そう痒および睡眠障害の程度をvisual analogue scale(VAS)を用いて10週間にわたり検討した。その結果,塩酸オロパタジン内服により他覚的皮膚所見,そう痒・睡眠障害および末梢血好酸球数を含む総合効果判定において86.4%で有用性を認めた。そう痒については内服前と比較して2週から10週まで有意差をもって改善を認めたばかりでなく,2週と10週,4週と6週・10週,6週と10週の比較でも有意差を認め,長期投与がそう痒のコントロールに有用であることが示唆された。睡眠障害は内服前と2週から10週まで有意差をもった改善を認め,さらに2週と8週,4週と6週・8週・10週でも有意差を認めた。好酸球数は内服前と内服8週目では有意差を認めなかったが,開始前は平均662.3個/mm3と高値であった好酸球数が8週目には558.83個/mm3と正常値へ減少した。副作用は全例に認めず,内服中止症例もなかった。以上より塩酸オロパタジンは,アトピー性皮膚炎のそう痒・睡眠障害を改善しQOLを改善することによりアトピー性皮膚炎に有用な薬剤と考えられた。
  • 須賀 康, 池田 志斈, 小川 秀興, 矢口 均, 石上 雅一
    2005 年 67 巻 5 号 p. 511-517
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    ジャーナル 認証あり
    尋常性乾癬の痒みに対する第2世代抗ヒスタミン薬の効果を検証する目的で,塩酸オロパタジンを用いた検討を行った。来院時の痒みスコアは日中,夜間ともに試験開始2週目より有意な低下を示した(p<0.01,Wilcoxon検定)。また,患者日記を用いて日中および夜間の痒みのVAS値を記録した結果,日中の痒みのVAS値は試験開始2日目より有意な低下を示し,夜間の痒みのVAS値は試験開始1日目より有意な低下を示した(p<0.01,Wilcoxon検定)。皮膚症状スコアは大きな低下を示さなかったが,痒みが改善した症例ほど皮膚症状スコアが低下する傾向が認められた。なお,試験期間を通して塩酸オロパタジンによると考えられる副作用は認められなかった。以上より,尋常性乾癬に対して塩酸オロパタジンは,速効的で高い止痒効果により患者のQOLを改善し,そう破の抑制により皮膚症状の改善に寄与すると思われる。
  • 伊藤 義彦, 中川 秀己
    2005 年 67 巻 5 号 p. 518-521
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    ジャーナル 認証あり
    尋常性乾癬に対するマキサカルシトール25μg/g軟膏(オキサロール®軟膏)とプロピオン酸クロベタゾール0.5mg/g軟膏(デルモベート®軟膏)の併用方法の違いによる治療効果について比較検討した。対象患者36人をI~III群に分け,I群は平日にマキサカルシトール25μg/g軟膏を1日2回,土日にはプロピオン酸クロベタゾール0.5mg/g軟膏を1日2回併用,II群は朝にプロピオン酸クロベタゾール0.5mg/g軟膏を1日1回,夜にマキサカルシトール25μg/g軟膏を1日1回,III群は両薬剤を1:1の割合で混合した軟膏を朝と夜の1日2回塗布し,それぞれの全般改善度を比較した。その結果,治療開始2週および4週ではIII群(混合群)の治療効果が最も高く,次いでII群(朝/夜併用群),I群(平日/土日併用群)の順であった。しかしながら,6週以降はI群でも高い治療効果が得られており,8週後においてはいずれの併用方法でも高い治療効果が認められた。本試験の結果より,これらの併用療法はいずれも有用性の高い外用療法であることが示唆された。
  • 伊藤 義彦, 中川 秀己
    2005 年 67 巻 5 号 p. 522-526
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    ジャーナル 認証あり
    尋常性乾癬に対するマキサカルシトール25μg/g軟膏(オキサロール®軟膏)とプロピオン酸クロベタゾール0.5mg/g軟膏(デルモベート®軟膏)それぞれの単独使用と両薬剤を混合したものの治療効果を比較検討した。対象患者64例をI~III群に分けて,I群はマキサカルシトール25μg/g軟膏の単独使用,II群はプロピオン酸クロベタゾール0.5mg/g軟膏の単独使用,III群はマキサカルシトール25μg/g軟膏とプロピオン酸クロベタゾール0.5mg/g軟膏の混合剤(混合比1:1)とし,これらを1日2回塗布し,それぞれの全般改善度を比較検討した。本試験の結果から,治療初期の段階で,効果発現を早める目的としてマキサカルシトール25μg/g軟膏にプロピオン酸クロベタゾール0.5mg/g軟膏を併用することで早期より皮膚症状の改善効果を得ることができるが,6~8週後にはマキサカルシトール25μg/g軟膏単独でも著明な改善効果が認められ,最終的にはマキサカルシトール25μg/g軟膏単独でも十分コントロールが可能であることが明らかとなった。
  • 久保田 由美子, 清水 昭彦, 中山 樹一郎
    2005 年 67 巻 5 号 p. 527-532
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    ジャーナル 認証あり
    チオカルバメート系抗真菌剤であるリラナフタート(ゼフナート®)クリームの1日1回塗布による足白癬に対する有効性,安全性および有用性を福岡大学病院皮膚科および関連施設の症例で検討した。解析症例は28例(小水疱型6例,趾間型19例,角質増殖型3例)で4週間塗布後の皮膚症状と菌検査の結果を考慮した総合効果判定における有効以上の有効率は,それぞれ小水疱型60%,趾間型64.7%,角質増殖型33.3%であったが,長期使用による最終判定時の有効率は,それぞれ,100%,88.9%,100%となった。皮膚症状は特に趾間型において1週後より有意に軽快したが4週後の皮膚症状改善率と菌陰性化率はそれぞれ72%と59.2%でやや解離がみられた。また菌陰性化には各型平均6.5週,4.4週,3.9週を要した。以上の結果と全例副作用もなかったことより,ゼフナート®クリームは足白癬の治療に対し有用な薬剤であると考えられた。
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