52歳の女性。初診の10年前に,顔面,頚部,四肢の色素沈着,5,6年前に,手指の腫脹,硬化,屈曲困難,1年前に,Raynaud症状が出現。8年前より胸部X線にて心拡大を指摘。6ヵ月前に,労作時息切れ,心胸郭比63.2%,肝腫大等の心不全症状が出現。10日前より起座呼吸となり,2001年1月15日,当院内科入院。心エコーで肺動脈収縮期圧81.4mmHgと著明高値であり,肺高血圧症(PH)の診断。抗核抗体5120倍,抗セントロメア抗体陽性。嚥下困難と顔面,頚部,前胸部の毛細血管拡張,両前腕,右腰部に皮下石灰沈着があり,PHを伴ったCREST症候群と診断。肺線維症はないが,肺拡散能は低下し,酸素吸入療法等の対症療法に不応で,生命予後は不良と思われる。自験例は皮膚症状が先行していたが,PHの症状が出現して8年目に初めてCREST症候群の診断がなされた。CREST症候群でもMCTDと同様, PHを伴うことが多く,致命的であるため,皮膚症状や合併症の早期発見が重要である。
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