西日本皮膚科
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59 巻 , 3 号
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図説
症例
  • 水足 久美子, 小野 友道
    1997 年 59 巻 3 号 p. 345-349
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    職業上のゴム手袋装着により接触蕁麻疹の症状を呈し, プリックテスト, 使用テストまたはラテックス特異IgE抗体の測定によりラテックスによる即時型反応を確認した13例を報告した。医療従事者以外に美容師, 精密機械工場勤務者もいた。またRAST法でラテックス特異IgE抗体が検出されない症例もあり, プリックテストを始めとする皮膚テストが不可欠であることを再確認した。本邦でもラテックスによる接触蕁麻疹は少ないものではなく, 天然ゴム製品による即時型反応についての啓蒙と正確な診断が必要である。
  • 武下 泰三
    1997 年 59 巻 3 号 p. 350-353
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    41歳の女性に生じたアモキシシリン(サワシリン®, 以下AMPC)による膿疱型薬疹の1例を報告した。病理組織学的に角層下膿疱, Kogojの海綿状膿疱がみられた。皮疹消退後に行ったAMPC25mg内服試験により紅斑が誘発された。Patch testあるいはchallenge testにより原因薬剤が確定された膿疱型薬疹29例について文献的検討を行った。
  • 久保田 由美子, 古賀 哲也, 利谷 昭治
    1997 年 59 巻 3 号 p. 354-357
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    14歳の男子。3歳の頃よりアトピー性皮膚炎の診断で外用治療を受けていた。1996年1月に日光曝露後, 両頬部, 両手背にそう痒を伴う紅斑と丘疹を生じた。2月には四肢近位筋の脱力を自覚し, 歩行時, 転倒しやすくなった。1996年5月22日に福岡大学病院皮膚科を受診。特異的な皮膚症状(ヘリオトロープ疹とGottron’s sign)とGOT, LDH, CPKの上昇より皮膚筋炎の診断で5月30日入院した。アルドラーゼ7.8IU/1/37℃↑, ミオグロビン270ng/ml↑, 尿中クレアチン820mg/日↑, 抗核抗体80倍, 抗Jo-1抗体陰性で, 四肢近位筋の筋電図はいずれも典型的な筋原性パターンであった。病理組織学的には, 皮疹部では基底層の液状変性と真皮上層の血管周囲性の小円形細胞浸潤, 筋生検では筋線維の変性と軽度のリンパ球浸潤が認められた。入院後プレドニゾロン60mg/日内服を開始し, 皮膚症状は著明に軽快, 血清中筋原性酵素値も正常化し, 筋脱力症状も徐々に軽快した。現在プレドニゾロンを漸減しながら経過観察中である。
  • 澁江 賢一, 清水 昭彦, 古賀 哲也, 利谷 昭治
    1997 年 59 巻 3 号 p. 358-361
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    75歳の男性。約40年前に自覚症状を伴わない手掌および足底に限局する多発性常色の角化性棘状小丘疹を生じた。病理組織学的にはcornoid lamena様の不全角化角柱とその下方の顆粒層の著明な減少が認められた。自験例をporokeratosis punctata palmaris et plantaris(PPPP)と診断し, 本疾患と考えられる症例について文献的に検討し考察を加えた。
  • 佐々木 五月, 吉川 賢一, 穂積 豊, 三橋 善比古, 近藤 慈夫, 加藤 哲子
    1997 年 59 巻 3 号 p. 362-365
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    紫斑を主症状としベンスジョーンズ蛋白尿を認めるものの, 全身状態は比較的良好な全身性アミロイドーシスの71歳の男性例を報告した。沈着アミロイドの検索ではAL型で, 骨髄検査で軽度の形質細胞の増加が認められ, plasma cell dyscrasia(PCD)に伴う型と考えた。主として上半身に分布する紫斑をみた時はアミロイドーシスを念頭におき, 尿蛋白の検索, および皮下脂肪織まで含めた皮膚生検を行うことが大切であると思われた。
  • 信藤 肇, 林 雄三, 高田 知子, 杉田 康志, 矢野 貴彦
    1997 年 59 巻 3 号 p. 366-369
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    40歳の男性の左臀部に生じたnevus lipomatosus cutaneus superficialisの1例を報告した。腫瘤は広基性弾性軟で, 表面は正常皮膚色であるが中央に紅色調の部分もみられ, dermatofibromaあるいはneurofibromaを疑い, 全摘出を行った。病理組織学的には真皮内の膠原線維間に被膜形成のない結節状の異所性脂肪組織が認められ, 脂肪組織は成熟脂肪細胞よりなっており, 病巣中央では毛包やその周囲に多核白血球やリンパ球, 組織球などの単核細胞浸潤と多核の異物型巨細胞の出現があり, さらに肉芽組織の形成も認められた。以上の組織像より毛包炎, 毛包周囲炎後に脂肪組織のherniationが生じた可能性も想定されたが, 異所性脂肪組織はあたかも血管周囲に増生する像を示しており, 炎症性細胞浸潤や肉芽組織の形成は毛包周囲より大きな範囲を示していたことよりnevus lipomatosus cutaneus superficialisと診断した。限局性にみられた毛包炎, 毛包周囲炎は二次的変化とみなした。なお全摘出後2年以上を経過しているが再発はない。Nevus lipomatosus cutaneus superficialisと診断する際には脂肪組織の増殖が血管周囲に認められるという点が必須の所見と考えられる。
  • —本邦過去6年間報告例の集計—
    山中 直樹, 室 慶直, 大橋 勝
    1997 年 59 巻 3 号 p. 370-372
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    62歳の男性。30歳台後半より前胸部に黒褐色斑および黒色丘疹が多発してきた。47歳時および57歳時に多発性基底細胞上皮腫切除術を受けている。また50歳時から62歳時にかけて計4回左下顎嚢胞開窓術·摘出術を受けている。基底細胞母斑症候群の主要症状のいくつかを欠き, 家族歴がなく, 比較的高齢で発症するなど基底細胞母斑症候群としては非典型的な症例を経験した。あわせて過去6年間の本邦における報告例の合計138例についてその概要を報告した。
  • 上原 啓志, 神山 琢郎, 丸野 元美, 萩原 啓介, 當山 兼正, 高宮城 敦, 上里 博, 野中 薫雄
    1997 年 59 巻 3 号 p. 373-377
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    49歳の男性。25年前に四肢に鱗屑を伴う紅斑が出現し次第に全身に拡大した。乾癬の診断で25年前より約1年半, 20年前より約3年半, PUVA療法·ゲッケルマン療法による治療を受けた。15年前に左大腿部に小腫瘤が出現したが, 放置していた。徐々に隆起してきたため, 12年前に切除された。病理組織学的に有棘細胞癌であった。2年前には右大腿部の有棘細胞癌を切除された。さらに今回, 腰部から臀部, 右大腿にかけての3個のボーエン病および左大腿部の有棘細胞癌を切除された。現在まで計6個の皮膚悪性腫瘍の出現が認められた。本症例はタール製剤の外用およびデルモパン照射も併用されており, 光線療法に加えて発癌因子の相乗作用が予想される。欧米の白人に比べて危険性は少ないが, 日本人においても光線療法による発癌の可能性はあり, その危険性をはっきりさせ光線療法の適応, 治療指針を決めていく必要があると思われた。
  • 力久 航, 桐生 美麿
    1997 年 59 巻 3 号 p. 378-381
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    症例1は37歳の女性。乳癌stage II(T2a, N0, M0)で北九州市立医療センター外科入院中の1996年3月, 10年以上前より腹部に存在する黒色斑を主訴に皮膚科受診, 病理組織学的に悪性黒色腫と診断した。症例2は65歳の男性。胸腺癌で同院内科入院中の1996年3月, 10年以上前より存在する右背部の滲出液を伴う黒褐色斑を主訴に皮膚科受診, 病理組織学的に基底細胞癌と診断した。症例3は75歳の男性。直腸癌stage I(T1, N0, M0)で同院外科入院中の1996年5月, 数年前より陰嚢に存在する黒褐色調の結節を主訴として皮膚科受診, 病理組織学的に基底細胞癌と診断した。これまで重複癌の報告例の多くは, Warren & Gatesの基準1)に従っている。すなわち, (1)それぞれの腫瘍は明確な悪性像を示す, (2)それぞれの腫瘍は性質, 種類, 部位などが異なった別個の腫瘍である, (3)一方が他方の転移ではない, という基準である。この基準に基づき今回の3例を同時性の重複癌と判定した。3例ともそれぞれの腫瘍に因果関係はなく, 明らかな免疫能の異常も認められなかった。これらの発生は偶発的なものである可能性が高いと思われた。
  • 湊原 一哉, 樋口 哲也, 松永 剛, 丸山 隆児
    1997 年 59 巻 3 号 p. 382-384
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    84歳の女性。7年前, 外陰部Paget病と診断され広範囲切除術を受けたが, 平成8年5月, 切除端肛門側に約35×20mmの浸潤を触れる暗紅色斑が出現した。生検の結果, Paget病の再発と診断し, インターフェロンαの局注を1回100×104IUから300×104IU隔日で開始し, 総量9500×104IUを投与した。約5000×104IUを投与後, 紅斑は消退傾向を示した。病理組織学的には真皮上層にリンパ球の密な帯状の浸潤を認め, 表皮内のPaget細胞は, ほぼ消失していた。また治療前の腫瘍組織片をbcl-2抗体を用いて酵素抗体法で染色したが, Paget細胞のほとんどはbcl-2を発現していなかった。以上よりインターフェロンαが有効であった機序として, リンパ球による腫瘍細胞の破壊が促進されたこと, また腫瘍細胞に対して効率的にアポトーシスが誘導されたことが考えられた。
  • 穂積 秀樹, 大竹 直樹, 片平 充彦, 神崎 保, 堂地 勉, 家村 和千代, 江口 美貴, 吉永 光裕, 永田 行博
    1997 年 59 巻 3 号 p. 385-387
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    子宮体癌からの転移性皮膚癌の症例に加え鹿児島大学皮膚科で経験した転移性皮膚癌の統計を報告した。症例は59歳の女性。1993年4月に腹痛, 不正性器出血出現。4月14日鹿児島大学医学部附属病院婦人科を受診し, 子宮体癌Stage IIIの診断で, 切除·化学療法·放射線療法を受けた。同年10月, 後頭部に増大傾向を示す直径1cmの結節が出現し, 同院脳外科で内容除去術を施行した。生検で転移性皮膚癌が疑われたため, 精査, 切除目的にて1994年3月17日皮膚科紹介。初診時, 後頭部に弾性硬, 3×2×1.2cmの皮下結節が認められ, 全麻下に切除, 植皮術を施行した。病理組織学的所見で腫瘍細胞の乳頭状増殖, 管腔構造, および核の異染性, 大小不同を認め, 子宮体癌からの転移性皮膚癌と診断した。なお1985年∼1994年に当科で経験した転移性皮膚癌は13例で子宮体部原発は1例であった。
  • —Bcl-2発現に関する検討を加えて—
    湊原 一哉, 松永 剛, 小林 敏貴, 沢田 泰之, 丸山 隆児
    1997 年 59 巻 3 号 p. 388-391
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    74歳の女性。平成7年8月下旬に臍上部の自覚症状のない, 浸潤を触れる紅斑に気づいた。土浦協同病院皮膚科受診時, 臍上部に板状の硬結を触れる手拳大の紅斑が認められ, 右乳房には鳩卵大, 弾性硬で下床と癒着する皮下腫瘤が認められた。右腋窩には小豆大, 弾性軟のリンパ節を1個触知した。腹部紅斑の病理組織像では, 真皮の中層から皮下脂肪織に核小体の目だつ類円形でN/C比の高い異型細胞が瀰漫性に浸潤していた。皮膚原発B細胞性リンパ腫と診断し放射線療法を開始した。放射線療法に対する感受性は良好であったが, その後急速に内臓転移が進展, THP-COPおよびEPOCH療法を施行したが効果なく, 発症から8ヵ月という短期間で死亡した。腫瘍組織片を抗bcl-2抗体を用いて酵素抗体法で染色したところ, 腫瘍細胞のほとんどはbcl-2を発現しており, これが化学療法に抵抗し, 急速に死の転帰をとったひとつの要因と考えられた。
  •  
    吉野 雄一郎, 荒木 嘉浩, 水足 久美子, 小野 友道
    1997 年 59 巻 3 号 p. 392-394
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    症例は28歳の男性で身長183cm, 体重180kg(体表面積2.88m2)と高度の肥満であった。シンナーを吸入し酩酊中に家屋火災により顔面·胸腹部·四肢などにI度からIII度の熱傷を受傷した。熱傷面積41.5%, burn index 31.5で気道熱傷を合併していた。高度肥満のためインシュリン, 麻酔剤などの薬剤を大量に必要とした。また医療設備も体格に対応できなかった。今後本邦においても, これらの患者に対応する医療を検討する必要があると思われる。
  • 小出 隆, 西本 勝太郎, 小川 文秀
    1997 年 59 巻 3 号 p. 395-397
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    27歳の男性の整形外科装具下に生じた原発性皮膚アスペルギルス症の1例を報告する。右上腕骨骨折のため3週間のギプス固定の後, 装具で上腕の固定を続けていた。ギプスから装具にかえた頃に上腕屈側から内側に紅斑を生じ次第に拡大した。初診時, 数個の膿疱を伴う手拳大の不整形の紅斑と一部色素沈着がみられた。膿疱被膜のKOH検鏡で長く幅の広い菌糸がみられ, 培養でAspergillus nigerのみが分離された。局所および装具の清潔·乾燥, テルビナフィンクリームの外用で, 4日後には色素沈着を残すのみとなった。A. nigerの分離された皮膚アスペルギルス症報告例について若干の考察を加えた。
  • 窪田 卓, 佐藤 典子, 富田 靖, 石田 和人, 吉村 堅太郎
    1997 年 59 巻 3 号 p. 398-401
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    腹部にそう痒を伴う線状紅斑を呈した43歳の秋田県下在住の男性を生検したところ虫体が検出された。虫体の形態学的特徴より日本顎口虫の幼虫と同定された。初診時に9%の末梢血好酸球増多を示していたが, 血清IgE値は正常で, ドロレス顎口虫抗原を含む数種の蠕虫抗原に対する免疫血清診断は全て陰性であった。患者には発症前のシラウオ生食歴があるが, 感染源は不明である。病原虫体まで同定された顎口虫症は稀と思われるので報告した。
講座
統計
  • 岩崎 泰政, 森 保, 波多野 裕二, 森田 栄伸, 田中 稔彦, 山本 昇壯, 岡林 清司
    1997 年 59 巻 3 号 p. 407-412
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    広島大学医学部附属病院皮膚科において, 最近13年間に治療したICUに入室した重症熱傷患者194例について統計的検討を行った。年度別症例数では1990年までは増加傾向にあったが, 小児例の占める割合は減少した。年齢別では10歳未満と40歳台が多かった。受傷原因では小児例は加熱液体, とくに浴槽転落による受傷が最も多く, 成人例では加熱気体, とくに自殺企図が最も多かった。受傷場所は当施設より60km以内の距離がほとんどであった。熱傷面積の平均は44.1%体表面積であり, 世代間には差がなかったが, burn indexの平均は31.3であり, 成人例は小児例に比べ有意に高くIII度熱傷の症例が多かった。SCALDS scoreは全例10以上で平均は15.6であり, 成人例と老人例は小児例に比べ有意に高く重症であった。予後は救命157例, 死亡37例で死亡率は19.1%であり, また高齢化とともに不良となった。
治療
  • FK506軟膏研究会
    1997 年 59 巻 3 号 p. 413-426
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎に対する新規免疫抑制剤FK506(タクロリムス)軟膏の濃度設定を目的として, 顔面·頚部の急性型病変および躯幹·四肢の慢性型病変を対象にFK506軟膏のそれぞれ3濃度(急性型: 0.03%, 0.1%, 0.3%を1週間塗布, 全152例, 慢性型: 0.1%, 0.3%, 0.5%を3週間塗布, 全147例)の有効性および安全性を二重盲検群間比較試験で検討した。急性型病変に対して最終全般改善度で各濃度とも90%以上の改善率(「中等度改善」以上)を示し, 3日後全般改善度では濃度依存的な傾向が認められた。各濃度とも塗布部位に一過性の刺激感を示した(約60%)が, 感染症, 臨床検査値異常変動は0.3%群においてのみ認められた(それぞれ3/51例および2/51例)。慢性型病変に対しては, 最終全般改善度で「中等度改善」以上が3濃度とも85%以上の高率であったが, いずれの観察時期においても用量依存性は認められなかった。各濃度とも塗布部位での刺激感が同程度(32.6∼54.2%)に認められたが, 感染症, 臨床検査値異常変動は0.5%群においてのみ認められた(いずれも1/48例)。以上よりFK506軟膏の有効濃度は両病変とも大差なく, 有効性, 安全性より0.1%が妥当であることが示唆されたが, 慢性型病変に対して, さらに低濃度での検討が必要と結論された。
  • FK506軟膏研究会
    1997 年 59 巻 3 号 p. 427-435
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎に対するFK506(タクロリムス)軟膏の濃度設定を目的として, 躯幹·四肢での慢性型病変を対象にFK506軟膏2濃度(0.03%, 0.1%)および軟膏基剤による二重盲検群間比較試験(総症例数212例)を実施し, それらの3週間塗布での有効性および安全性を検討した。最終全般改善度の「中等度改善」以上の改善率は基剤群の49.2%に対し0.03%群, 0.1%群では, それぞれ71.6%, 91.9%と有意に高く, 0.1%群でとくに高率であった。安全性に関しては0.03%群, 0.1%群で, それぞれ35.7%, 36.2%に皮膚刺激感が認められ, 基剤群の9.9%に比べ有意に高い発現率であったが, それ以外の副作用は基剤群でのみ認められ, FK506軟膏群では認められなかった。以上より有効性, 安全性を考慮して慢性型病変に対しては0.1%が妥当と考えられた。先に実施した濃度設定試験では急性型病変に対しても0.1%の妥当性を示唆する成績が得られており, さらに全身塗布時の安全性を検討した試験では0.1%軟膏の安全性に問題のないことが確認されている。今回の成績と, これらの結果を総合するとFK506軟膏のアトピー性皮膚炎に対する臨床濃度は急性型病変, 慢性型病変に関りなく0.1%が妥当と考えられた。
  • —治療による末梢血中サイトカイン·QOLの変化—
    木村 京子, 山本 俊幸, 片山 一朗, 西岡 清, 入交 敏勝, 宮崎 和廣, 古瀬 善朗, 儘田 晃, 古谷野 妙子, 林 健, 古井 ...
    1997 年 59 巻 3 号 p. 436-443
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    中等症から重症の乾癬患者21例にシクロスポリン(CYA)を約2mg/kg/dayの低用量より1mg/kg/dayずつ漸増漸減し, 皮疹軽快時は休薬する間歇投与を行い, その効果, 安全性, 患者quality of life(QOL)の変化, 末梢血中サイトカイン値(IL-2, IL-6, TNF-α, GM-CSF)の変動について検討した。PASIは開始時平均26.5より終了時7.3に低下し, 終了時の改善度は高かったが, 寛解導入には平均15週, 3.9mg/kg/dayを要した。サイトカイン値はCYA投与前後でいずれも有意な変動は認められなかった。CYA投与による患者QOLの変化をアンケート形式で行ったところ, 乾癬による外観, かゆみ, 治療のわずらわしさなど多くの項目において, 有意なQOLの改善が認められ, 患者の満足度は高かった。安全性については投与中1例に口腔内悪性腫瘍の発生がみられた。その他は血圧上昇, 浮腫, BUN, Mgの軽度上昇などの副作用が認められたが, いずれも軽度から中等度で投与継続可能であった。今回の投与法の検討では, 速やかな寛解導入には3∼4mg/kg/dayは必要であり, 離脱は皮疹再燃のため困難であった。寛解維持のためには低用量にせよ長期間の投与が必要で, 安全性をさらに観察することが必要である。一方, 患者のQOL向上という観点からは, かなり有効な薬剤と思われた。
  • RXMざ瘡研究会
    1997 年 59 巻 3 号 p. 444-450
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    Roxithromycin(RXM)の炎症性皮疹を伴う尋常性ざ瘡(膿疱性ざ瘡)に対する有効性, 安全性, 有用性を多施設臨床試験で検討した。対象は20歳以上, 炎症性皮疹を10個以上有する患者とした。RXM錠(RXM150mgを含有)を, 1錠ずつ1日2回朝夕内服とした。著効は7日後に炎症性皮疹が40%以上減少し, 14日後にさらに軽快した症例とし, 有効は著効以外で14日後に炎症性皮疹が40%以上減少した症例とした。有効以上は74.5%(35/47)であった。“安全である”と判定された症例は87.5%(42/48)であった。有用性は76.6%(36/47)であった。臨床経過とともにはPropionibacterium acnesの病巣内菌数(n=28)は有意に減少した。検出されたP. acnesに対するRXMの最小発育阻止濃度(MIC)は≦0.025μg/ml∼>100μg/mlに分布し, MIC50は0.05μg/ml, MIC90は0.1μg/mlであった。副作用, 検査値の異常変動は, いずれも軽微なもので, RXM内服を中止するほどの症例はなかった。以上よりRXMは尋常性ざ瘡の炎症性皮疹の治療において, 有効で安全な有用性のある薬剤であることが示唆された。
  • 赤松 浩彦, 堀尾 武, 西嶋 攝子, 伊庭 仁樹, 黒川 一郎
    1997 年 59 巻 3 号 p. 451-455
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    膿疱性ざ瘡患者20例について, ロキシスロマイシン錠(150mg力価)を1回1錠, 1日2回, 14日間経口投与し, 投与前後における顔面の皮脂中の遊離脂肪酸量の推移と治療効果について検討した。その結果, グリセロールエステル量に対する遊離脂肪酸量の比率および炎症性皮疹の個数ともに, 投与前と比較して投与後において有意な減少が認められ, 両者には高い相関が得られた。またPropionibacterium acnesの菌量においても投与前と比して減少傾向が認められた。
  • HOC-155一般臨床研究班
    1997 年 59 巻 3 号 p. 456-462
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    硝酸オモコナゾール(HOC-155)の1%クリームの表在性皮膚真菌症(生毛部白癬, 皮膚カンジダ症, 癜風)に対する臨床的有効性, 安全性および有用性をオープン試験で検討した。治験実施症例数は生毛部白癬35例, 皮膚カンジダ症24例, 癜風17例であった。皮膚所見と菌所見より判定した最終総合効果は生毛部白癬96.0%(24/25), 皮膚カンジダ症94.4%(17/18), 癜風90.0%(9/10)と高い有効率が得られた。副作用発現率は3.0%(2/67)であり, 症状はすべて塗布部皮膚の局所症状であった。有用率は生毛部白癬92.3%(24/26), 皮膚カンジダ症88.9%(16/18), 癜風90.0%(9/10)と高い評価が得られた。以上の成績よりHOC-155の1%クリームは生毛部白癬, 皮膚カンジダ症および癜風に対して有用な薬剤と考えられた。
  • —濃度に関する検討—
    HOC-155濃度研究班
    1997 年 59 巻 3 号 p. 463-470
    発行日: 1997/06/01
    公開日: 2011/01/14
    ジャーナル 認証あり
    硝酸オモコナゾール(HOC-155)クリームの1%製剤および2%製剤の足白癬に対する臨床的有効性, 安全性および有用性を比較し, 至適濃度を検討するために19施設からなる研究班を組織して治験を実施した。治験実施症例数は219例(1%群110例, 2%群109例)であった。皮膚所見と菌所見より判定した最終総合効果は1%群70.5%(55/78), 2%群73.7%(56/76)と両群で高い有効率が得られ両群間に有意差は認められなかった。副作用発現率は1%群1.0%(1/100), 2%群1.0%(1/101)であり, 両群間に有意差は認められなかった。また, 症状はすべて塗布部皮膚の局所症状であった。有用率は1%群70.5%(55/78), 2%群73.7%(56/76)と高い評価が得られ, 両群間に有意差は認められなかった。以上の成績よりHOC-155クリームの至適濃度は1%と考えられた。
世界の皮膚科学者
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