中等症から重症の乾癬患者21例にシクロスポリン(CYA)を約2mg/kg/dayの低用量より1mg/kg/dayずつ漸増漸減し, 皮疹軽快時は休薬する間歇投与を行い, その効果, 安全性, 患者quality of life(QOL)の変化, 末梢血中サイトカイン値(IL-2, IL-6, TNF-
α, GM-CSF)の変動について検討した。PASIは開始時平均26.5より終了時7.3に低下し, 終了時の改善度は高かったが, 寛解導入には平均15週, 3.9mg/kg/dayを要した。サイトカイン値はCYA投与前後でいずれも有意な変動は認められなかった。CYA投与による患者QOLの変化をアンケート形式で行ったところ, 乾癬による外観, かゆみ, 治療のわずらわしさなど多くの項目において, 有意なQOLの改善が認められ, 患者の満足度は高かった。安全性については投与中1例に口腔内悪性腫瘍の発生がみられた。その他は血圧上昇, 浮腫, BUN, Mgの軽度上昇などの副作用が認められたが, いずれも軽度から中等度で投与継続可能であった。今回の投与法の検討では, 速やかな寛解導入には3∼4mg/kg/dayは必要であり, 離脱は皮疹再燃のため困難であった。寛解維持のためには低用量にせよ長期間の投与が必要で, 安全性をさらに観察することが必要である。一方, 患者のQOL向上という観点からは, かなり有効な薬剤と思われた。
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