西日本皮膚科
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39 巻, 2 号
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図説
綜説
  • 川村 太郎
    1977 年 39 巻 2 号 p. 149-162
    発行日: 1977/04/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    If one assumes nevi and phacomatoses to have been determined by deviated ontogenesis either at the, level of embryonal somatic cells or at the genetical level, the clinico-histological phenomena actually we encounter may be well explained. In case of nevocytic (melanocytic) nevi, deviatedly determined undifferentiated cells in the embryonal neural crest, by the effect of erroneous DNA-code(s) bestowed on them, are assumed to differenciate toward the cell spectrum spanned between the melanocyte and Schwann cell and to migrate to the skin to constitute the nevus tissue. When thus assumed, various features of the nevus tissue are clearly understood. For instance, the nevus cells which appear to have originated from the epidermis or nerves are actually the nevus cells having migrated with epidermal melanocytes or Schwann cells to grow on the foothold of the epidermis or the nerves. Similar explanation is possible for blue nevi and cellular blue nevi. If an adequate germ tissue is selected for other sorts of nevi, the origination of the latter from the former is possible to be explained. The mélanose neurocutanée of Touraine or Melanophakomatose of Musger, a phacomatosis simplest in its pathogenesis, differs from the nevocytic nevus only in the point that its phacomatoblast(s) (cf. nevoblast[s] of Pinkus-Mishima) with insufficient differentiating ability affected by their erroneous DNA-code(s) are distributed not only to the skin but also to the central nerve organs. The phacomatoblast(s) in v. Recklinghausen phacomatosis may be assumed to originate from the neural crest. The way of its (their) differentiation is bifurcated toward melanocyte on one hand and Schwann cell on the other. However, phaeochromocytoma reported to occur frequently in this phacomatosis, suggests the multiplicity of the differentiation of its phacomatoblast(s). The phacomatobiast(s) of Bourneville-Pringle phocomatosis may be assumed to originate from the embryonal mesenchyma. It (they) differentiates toward various directions, to be distributed to the skin, kidney, and other organs according to its fate, and to constitute abnormal tissue, i. e. the Bourneville-Pringle tissue. The Bourneville-Pringle tissue is the essential constituent in its each lesion and makes complex with other abnormal constituent(s) induced by it. If the explanation analogical to that of skin and kidney lesions is valid for the brain, its lesion (tuberous sclerosis) is likely to be induced by the Bourneville-Pringle tissue, though the evidence of this concept is not yet established. The pathogenesis of many other phacomatoses is possible to be explained by similar ways though there are still phakomatoses whose pathogeneses are not yet explained, i. e. Peutz-Jeghers syndrome, Gorlin-Goltz syndrome, et al.
症例
  • ―Minocycline内服により全身性のDLEよりSLEへと移行したと考えられる2例―
    清水 康之, 島雄 周平, 神戸 直登, 阿曽 三樹, 竹原 直秀, 三原 基之
    1977 年 39 巻 2 号 p. 163-167
    発行日: 1977/04/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    全身性に皮疹を有するDLEとして入院, および外来通院加療中の27才男子および72才女子に, いずれも経過中に気管支炎の併発を認め, tetracyclineと同じ母核を有するminocyclineの短期間の投与がなされ, それまで認められなかつた発熱をはじめとする種々の全身症状の出現, 萎縮角化性紅斑より浮腫性紅斑への移行, 検査的にもLE細胞, LEテストの陽性化, 抗核抗体の出現を認めた。しかし尿所見はいずれも正常であつた。Minocycline内服の中止とともに全身性に合成グルココルチコイドの投与を行ない比較的短期間で発熱をはじめとする全身症状, 検査成績は改善された。Minocyclineが全身性に皮疹を有するDLEより種々の全身症状を有するSLEへと増悪させたものと考える。
  • 和田 秀敏, 末永 義則
    1977 年 39 巻 2 号 p. 168-171
    発行日: 1977/04/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    14年前に陰茎に異物を注入し, 5,6年前より同部に潰瘍を形成し, 一見陰茎癌を疑わせる43才男子の陰茎パラフィノーマを報告した。異物を皮膚とともに切除し, 中間層植皮術をおこない, 好結果をえた。異物注入による弊害, 手術手技について考察した。
  • 隈本 亨
    1977 年 39 巻 2 号 p. 172-177
    発行日: 1977/04/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    糖尿病性水疱の3例(63才, 28才, 63才女子)について, 主として組織学的検討をおこなつた。3例より4個の標本を作成したがうち3個は表皮下水疱, 他の1個は角層下水疱であつた。真皮の変化は全例ほぼ同様で, 真皮上層の毛細血管増殖と拡張, 中下層の細小血管の壁肥厚, 内皮細胞の膨化, 管腔の狭小化を示したが, 閉塞像はみられなかつた。3症例ともに強いneuropathyが認められたことより, 糖尿病性水疱の発症にはmicroangiopathy, neuropathyも関与しているものと推定された。
  • 穐山 富雄, 本多 哲三, 高橋 勇, 牟田 隆世, 岡部 信和
    1977 年 39 巻 2 号 p. 178-182
    発行日: 1977/04/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    紫紅色斑を主訴とした64才男子にみられたクリオグロブリン血症を報告した。
    1) 電気泳動上M-componentが認められ, 骨髄所見では形質細胞の増加(40%)がみられ, 核小体を有するもの, 多核を有するものが混在した。
    2) 大量のIgG型クリオグロブリン(680mg/dl)が認められた。
    3) 多発性骨髄腫にともなうIgG型クリオグロブリン血症と診断した。
  • ―組織内に豊富な菌要素のみられた1例―
    猿田 泰夫, 中原 哲士
    1977 年 39 巻 2 号 p. 183-187
    発行日: 1977/04/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    症例58才男子, 公務員, 高知県安芸市在住, 昭和47年9月ころ, 倉庫の掃除をしていて土を掘りかえしたことがあるが, 外傷はうけなかつた。昭和48年2月ころ, 左上腕屈側部に虫刺され様の小丘疹が発生し, 掻破しているうちに同部に潰瘍を生じ徐々に拡大した。某外科医院で種々の治療をうけたが効果なく, 半年後には原発巣の周囲にも小潰瘍を形成し難治であつた。その後は自宅で創部の消毒のみをおこなつていた。皮疹発生より1年半後受診した。皮膚生検をおこない組織学的に検培するとともに真菌索養をおこないSporothrix schenckiiをえた。組織学的には真皮全層にわたる炎症性肉芽腫の像を呈し, HE染色, PAS染色とも真皮上層に無数の遊離胞子をみとめ, 分芽胞子, 分割した胞子も認められた。またHE染色にて好酸球に染まつた胞子の周囲に透明なhaloが観察された。
  • 大滝 倫子, 高野 信夫, 大友 弘士
    1977 年 39 巻 2 号 p. 188-193
    発行日: 1977/04/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    57才男子の有鉤嚢虫症を報告した。3年間インドのカルカッタに滞在中感染し, 帰国後皮下腫瘤の多発, 喘息を併発した。他院にてビチンを投与, 有鉤条虫成虫1隻の排出をみている。脳神経症状, 眼症状は認めなかつた。嚢液による皮内反応は嚢液濃度1×10-6まで即時型反応が陽性を示した。腫瘤16個はすべて筋肉内にあり摘出した。
研究
  • 高橋 勇, 山浦 英明, 船元 冨美子, 笹岡 和夫, 穐山 富雄
    1977 年 39 巻 2 号 p. 194-198
    発行日: 1977/04/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    34名の生後1年未満の乳児アトピー皮膚炎患者について血清IgE濃度を測定した。IgE値は最低10unit/ml以下, 最高900unit/mlを示し, 30例(88%)は100unit/ml以下であつた。アトピー家系の有無と乳児の血清IgE値との間には関連性がみられなかつたが, 皮疹の重症例において高IgE値を示す症例が多くみられた。また生後4カ月以上で血清IgE濃度は上昇する傾向がみられたが, 1才以上のアトピー皮膚炎児に比してIgE濃度の増加の割合は軽度であつた。
  • 宮河 昭雄, 中山 樹一郎, 利谷 昭治, 小倉 良平
    1977 年 39 巻 2 号 p. 199-205
    発行日: 1977/04/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    1) ラット表皮にはふたつのacid phosphataseが存在しており, 酵素学的性質はことなつていた。これら酵素の至適pHは5.0付近にあり, 至適温度は40℃付近にあつた。
    2) ラット表皮の精製acid phosphatase(APase1)の酵素反応には2価陽イオン, EDTA, 2-mercaptoethanolはなんら影響を与えなかつた。PCMBはAPase1を強く阻害した。
    3) ラット表皮APase1の分子量は約73,000であつた。
    4) ラット表皮APase1のKm値は3.84×10-5であつた。
    5) Fluorideと(+)tartarateによるラット表皮APase1の阻害は拮抗的阻害(competitive inhibition)であつた。
    6) ラット表皮APase1はnon-specific phosphataseであつた。
    7) ラット表皮APase1の酵素学的性質を肝などのライソゾームacid phosphataseと比較すると, APase1はライソゾーム由来のものとほぼ同じ性質を持つていた。ただし, 分子量だけはことなつていた。
    8) 表皮におけるacid phosphataseの局在様式の可能性についてのべた。
  • 石野 八州子, 堀 真, 前島 和樹, 西本 勝太郎
    1977 年 39 巻 2 号 p. 206-211
    発行日: 1977/04/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    悪性腫瘍患者47例, 良性腫瘍患者8例, および非腫瘍患者61例について, 末梢血リンパ球数測定, PPD反応, DNCB反応を行なつた。末梢血リンパ球数とPPD反応では, 悪性腫瘍群において, 他の2群よりも減少側向と反応減弱傾向(とくに死直前) がみられたが, はつきりとした有意の差は認められなかつた。しかしDNCB反応においては, 他の2群との間に明らかな差を認め, かつ腫瘍の進行度につれ反応性の低下がみられた。以上の結果より, 遅延型皮膚反応性をみるパラメーターとしては, DNCB反応がもつとも有用であり, 悪性腫瘍患者では, 連続的にDNCB反応を行なつていくことが必要であると思われた。
  • 猿田 隆夫, 仙頭 郁子
    1977 年 39 巻 2 号 p. 212-214
    発行日: 1977/04/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    Microsporum canisによる皮膚白癬症は, グリセオフルビン内服による治療に, 抵抗するように思われるところから, グリセオフルビンのM. canisにたいする抗菌力をin vitroで実験した。このとき対照として, Trichophyton rubrumおよびT. mentagrophytesを使用した。その結果, M. canisは, T. mentagrophytesに匹敵する強い抵抗力を示した。
  • ―0.1% Amcinonide Cream ODTの場合および他剤との比較検討―
    阿曽 三樹, 竹原 直秀, 清水 康之, 三原 基之, 薮田 良子, 島雄 周平, 臼井 敏明, 河本 裕子
    1977 年 39 巻 2 号 p. 215-224
    発行日: 1977/04/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    尋常乾癬5例に0.1% amcinonide cream 1日20gを7日間ODTし, 血清11-OHCS値, 末梢循環好酸球数, 血糖値および尿中Na+排泄量を測定した。血清11-OHCS値は4例に明らかな低下を認めた。尿中17-OHCS値はほとんど不変, 末梢循環好酸球数は全例において減少した。血糖値は2例で20mg/dl以上の上昇を認めた。尿中Na+排泄量は全例で減少を認めず, 1例で増加した。しかし, これらの変化は一時的なものであつた。以上より0.1% amcinonide cream 1日20g 7日間ODTした場合, 経皮吸収により副腎皮質機能抑制を惹起するが, その程度は中等度で一時的なものであるといえる。臨床的効果は従来のコルチコイド剤とほぼ同等の効果と考えられた。副腎皮質機能抑制度を0.025% 17α-desoxymethasone軟膏, 0.1% triamcinolone acetonide軟膏および0.1% amcinonideクリームとで比較した。その結果は0.025% 17α-desoxymethasone軟膏>0.1% amcinonideクリーム>0.1% triamcinolone acetonide軟膏の順で強く抑制の起る傾向が認められた。
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