1998年3月より1年6ヵ月間に県立岐阜病院の外来を受診した910例を対象に凍瘡の既往を検討した。対象は膠原病群80例,レイノー病43例,各種皮膚疾患787例で,平均年齢52.6歳(3~90歳),男334例,女576例。凍瘡(+)例は0~20歳台は少ないが,30~60歳台では優位となり,70歳以後は凍瘡(-)例と同数であった。凍瘡(+)例は男137例(41.0%),女365例(63.4%)と女に有意に多かった。好発部位は手·足両方が196例(39.0%)と最多で,足単独183例,手単独102例,手·耳,手·足·顔(耳),耳単独の順であった。膠原病では凍瘡(+)例は54例(67.5%)と多く,全身性強皮症(SSc)は81.5%,レイノー病72.4%,不全型SSc 70%, SLE 68.8%,シェーグレン症候群(Sjs)66%,べ一チェット病57.1%,サルコイドーシスと関節リウマチ(RA)は54.5%,皮膚筋炎50%が凍瘡(+)で,抗セントロメア抗体陽性例は凍瘡(+)21例(75%)と多かった。凍瘡出現はA)幼少時に出現し,20歳未満で自然消失した若年型,B)成人以後も存在し中年期に消失した中年型,C)現在も毎冬に出現する継続型,D)成人以後に出現,又は自然消失後再燃した遅発·再燃型の4つに区分可能で,若年型は膠原病,レイノー病,皮膚疾患各々46.3, 42.9, 58.8%で中年型は各々22.2, 17.9, 17.3%,継続型は7.4, 17.9, 19.4%,遅発·再燃型は24.1, 21.4, 4.6%であり,膠原病とレイノー病は遅発·再燃型が多かった。10分間15℃冷水負荷脈波試験前後の指尖容積脈波高を検討した結果,継続型は中等度·高度低下が多く,末梢循環動態障害が示唆された。体温不安定群に凍瘡(+)例が最多で,有意に遅発·再燃型が多かった。凍瘡既往有無とその出現型は膠原病を示唆する指標の一つとして重要と考えられた。
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