難治性円形脱毛症(汎発性脱毛症,全頭脱毛症,びまん性脱毛症,多発性融合性円形脱毛症)54例に平均17.1ヵ月間Glycyrrhizin(Glycyron
®, 成人9錠,分3)を内服させ,外用剤は漢方のLaiso,SK,OTN,101J及び101J-2などを,無効の場合は4~5ヵ月ごとに変更してcombination therapyをおこなった。悪化因子を調べたところ,ANA陽性30.6%,血清IgE上昇34.0%,金属アレルギー63.2%が認められた。金属アレルギーが明瞭で,容易に治癒しない8例では,歯や鍋の金属を分析して,抗原金属再侵入の低減をはかった。以上のcombination therapyの結果は,全治~著明改善24例(44.4%),有効(改善+引分け)13例(24.1%)で,有効以上68.5%となった。やや有効,無効,悪化は合計17例で,31.5%であった。副作用は1例もみられなかった。ANA陽性例でも66.7%, IgE上昇例においても58.7%は上記治療で改善をみたので,これらは真の悪化因子ではないかもしれない。アレルゲンとなっている金属の除去後顕著に発毛を見た症例は8例中6例,75.0%であったので,今後このような悪化因子の検討を続ける必要を認める。結論として,Glycyron
®を長期内服して,適切な漢方系の外用をおこなうことは,68.5%の有効率と,副作用のない点から,難治性円形脱毛症には推奨しうるcombination therapyと考えられた。
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