抗 BP180 抗体を有し,痒疹様結節が先行した結節性類天疱瘡の 2 症例を報告する。1) 62 歳,女性。初診の約 2 年前から四肢,体幹,頭部にそう痒を伴う結節が出現し,結節性痒疹として加療していたが,大腿に水疱が出現した。抗 BP180 抗体陽性,生検および蛍光抗体法の結果から結節性類天疱瘡と診断した。プレドニゾロン (以下 PSL) 5 mg/日,ミノサイクリン 150 mg/日の内服で水疱は消失した。ミノサイクリンの漸減中に結節が再燃したため,PSL 15 mg/日へ増量し速やかに改善した。2) 55 歳,女性。2007 年 3 月頃両上肢にそう痒を伴う結節が出現し,全身に拡大した。結節性痒疹として,ステロイド外用,ナローバンド UVB で治療開始したが,6 月に四肢に水疱が出現した。抗 BP180 抗体陽性,生検および蛍光抗体法の結果から結節性類天疱瘡と診断した。PSL 25 mg/日,ミノサイクリン 100 mg/日の内服で水疱は消失した。2010 年 4 月に水疱の再燃を認め,PSL 50 mg/日の内服で水疱は消失したが,強いそう痒が持続したため,ベタメタゾンの内服へ変更した。そう痒は軽度改善したが,結節は残存している。これまでの結節性類天疱瘡の報告例を検討すると,痒疹結節が生じた後に水疱が出現した結節先行例が多いため,臨床症状が痒疹結節のみでも結節性類天疱瘡を念頭に置いて,BP180 に対する抗体測定や蛍光抗体法を行う意義があると考える。
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