西日本皮膚科
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37 巻, 1 号
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図説
綜説
症例
  • 占部 治邦, 川野 正子
    1975 年 37 巻 1 号 p. 15-19
    発行日: 1975/02/01
    公開日: 2012/03/24
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    8才女児の両側頭部, 後頭部に境界不明瞭な“black dot”を呈する脱毛斑がみられた。病毛の直接検査, および走査電顕像から, 毛内性大胞子菌性寄生菌による頭部白癬と判定した。菌の集落はビロード状, 紫褐色を呈した。顕微鏡所見で, 多数の厚膜胞子, 菌糸の膨化をみ, また菌糸の側壁に多数の棍棒状ないし指状の長短様様の小分生子が直接あるいは短柄をもつて付着していた。発育試験ではthiamine添加により本菌はいちじるしくその発育が促進された。以上の所見から本症の病原菌をTrichophyton tonsurans Malmsten 1845と同定した。本菌による頭部浅在性白癬はまだ本邦では報告されていないが, われわれはかつて加藤らが記載した臙脂色菌はT.tonsuransにほかならないものと考えた
  • 西本 勝太郎, 前島 和樹
    1975 年 37 巻 1 号 p. 20-23
    発行日: 1975/02/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    長崎地方の女性5名(68才, 64才, 8才, 7才, 5才)にみられた頭部の“black dot” ringwormを報告し, その原因菌および臨床症状について若干の考察を加えた。わが国においても, Trichophyton violaceum による頭部白癬において, 炎症のほとんどない, 病毛が皮面で切断されて, 皮膚内に黒点として残る, いわゆる“black dot” ringwormが存在していたのではないかと思われる。治療においては, 全例グリセオフルビンが有効であつた。
  •  
    松本 忠彦, 本房 昭三
    1975 年 37 巻 1 号 p. 24-32
    発行日: 1975/02/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    5才時に発症し, のちに疣状白癬を合併し, 18才でクリプトコックス髄膜炎によつて死亡した慢性皮膚粘膜カンジダ症の1例を報告した。この例の免疫状態では, 細胞性免疫の低下と液性免疫の亢進という「免疫デビエーション」的現象が特徴的であつた。また本症におけるビタミンA, 鉄代謝の関与, 5FCによる治療などについても論及した。
  • 篠島 弘
    1975 年 37 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 1975/02/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    患者は24才男子, 約10年前に外尿道口左側唇部ほぼ中央にある大豆大, 単発, 半透明の腫瘍に気づいたが, 自覚症を欠如するためそのまま放置していた。組織学的検索をおこない, 以下のことを推論した。
    1)本症は組織学的には海綿体部尿道粘膜からなる尿道嚢腫(urethral cyst)であり, 嚢腫内容に主眼をおくと, 尿道粘膜より発生した粘液嚢腫(mucous cyst)といえる。
    2)この嚢腫は, 尿道側管の先天的あるいは後天的異常により発生したと考えられる。
    3)外尿道口部と縫線部に発生する嚢腫の病因について若干の考察を加えた。
  • 小林 登喜子, 肥田野 信
    1975 年 37 巻 1 号 p. 38-44
    発行日: 1975/02/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    44才男子, 全身の紅皮症状態, 色素沈着, 手足の著明な角化亀裂, 全身の表在性リンパ節腫脹および肝腫大あり, 末梢血中に21.5%におよぶ単核異型細胞が存在する。はじめブレオマイシン, エンドキサン, 6-MP, プレドニンのいわゆるBEMPによる多剤併用療法により, セザリー細胞は3.5%以下に減少し, 皮膚症状も著明に軽快した。続いて維時療法としてブレオマイシン, ビンクリスチン, プレドニンの3者併用をおこない皮疹, セザリー細胞とも良好な状態が続いていたが, 発熱, 倦怠感等の副作用を生ごたため5ヵ月で中止し, 昭和49年2月までの7ヵ月間はクロラムブチルとプレドニンの少量内服で, 皮膚は色素沈着のみ, セザリー細胞も5.5%以下という寛解状態をえている。昭和49年2月からはプレドニン少量内服のみで皮膚症状は同様に色素沈着のみ, セザリー細胞は1%以下と良い状態が続いている
  • 岡田 哲哉
    1975 年 37 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 1975/02/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    60才男子および70才男子に生じたBowen病を経験した。それらの組織像において, これまで表皮内癌と定義されているBowen病の組織像をとらず, 腫瘍細胞は基底膜を破り真皮内へ団塊状または単状に浸潤増殖する所見を呈した。その組織像は一見基底細胞癌に類似するも, Bowen病にしばしば見られる個々細胞の角化clumping cellなどの所見を示していた。またその角化機転において通常の有棘細胞癌の持つ好酸性, 玉ねぎ状角化に比べ, 好塩基性に染まる傾向が見られた。以上より, かかるBowen病が深部浸潤増殖して生じた癌をBowen carcinomaに相当するものと考え, ひとつのclinico-histological entityとして認めることに賛意を表する。
  • Microsporum canis の大分生子の電子顕微鏡的観察―
    猿田 隆夫, 綱脇 ヒロ子, 大隈 貞夫, 木村 秀人, 江藤 琉美子, 竹内 信親
    1975 年 37 巻 1 号 p. 51-57
    発行日: 1975/02/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    Microsporum canisによる頭部白癬の1例を報告した。最初頭部浅在性白癬の型で始まり, のち副腎皮質ホルモンの内服, 外用によりケルスス禿瘡へ移行した4才女児の症例である。またM. canisの大分生子を電顕的に観察した。
  • 安田 耕一郎, 大河原 章, 高島 巌
    1975 年 37 巻 1 号 p. 58-61
    発行日: 1975/02/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    最近われわれはBourneville-Pringle母斑症の初発疹として診断的価値の大きい, いわゆるwhite leaf-shaped maculeを有する症例を3例経験した。2例はleaf-shapedの白斑が生下時から存在し, 痙攣発作の出現より早期に出現していたことが確認された。とくに1例では, 脂腺腫などの本症に特有な皮疹はまつたく出現しておらず, leaf-shapedの白斑と痙攣発作の既往から本症と診断しえた。1例にはleaf-shapedの白斑のほかにいわゆるnevus depigmentosusを認めた。本症に特徴的な脂腺腫は生後2~5年を経てから現われることが多く, 痙攣発作は2年以内に発生することが多い。したがつて, 通常生下時より存在するleaf-shapedの白斑の認識は, 本症の早期発見および痙攣発作による知能低下を防ぐための有力な手がかりになると考えられる。
  • 川野 正子, 鈴木 達朗
    1975 年 37 巻 1 号 p. 62-69
    発行日: 1975/02/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    壊疽性膿皮症の2例を報告した。第1例は40才の女性で, 恥丘部に鵞卵大の潰瘍があり軽度の潰瘍性大腸炎と左下肢静脈の閉塞を合併していた。第2例は28才の女性で, 四肢・躯幹に小結節と小潰瘍の散在がみられた。鎖骨下動脈, 腹部大動脈, 右腎動脈, そのほかの動脈を含む大動脈炎症候群を合併していた。検査成績ではいずれもマントー反応陰性で, 血沈の著明な亢進が認められた。治療はステロイドの内服が有効であつた。合併症, 組織学的所見, 検査成績, 原因について若干考察した。
  • 石井 芳満, 井上 勝平, 緒方 克己
    1975 年 37 巻 1 号 p. 70-76
    発行日: 1975/02/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    最近われわれは先天性静脈瘻および外傷性動静脈瘻に併発したangiodermatitisの2例を経験し, 動静脈瘻結紮後中間層植皮術を実施してほぼ満足すべき結果をえたので報告するとともに, 本症とParkes-Weber症候群ならびにKaposi肉腫との関連性について文献的考察を加えた。
研究
  • 西本 勝太郎
    1975 年 37 巻 1 号 p. 77-80
    発行日: 1975/02/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    68才女性の“black dot”ringwormより分離された1白癬菌株についての検索結果を報告した。この菌は
    1) サブロー培地上で褐紫色, 粉末上の扁平な集落を作る。赤色色素産生はない。
    2) 毛髪に対しては毛内性大胞子性寄生。
    3) 長短不揃いの濃染する小分生子とまれにラセン器官を作り, 大分生子は生じにくい。のち厚膜胞子を作る。
    4) サイアミン添加培地で発育が促進されるのような性状をもち, これよりこの菌をTrichophyton tonsurans Malmsten, 1845に一致するものと考えた。
  • ―オートラジオグラフィーによる検索―
    竹田 勇士, 久木田 淳
    1975 年 37 巻 1 号 p. 81-85
    発行日: 1975/02/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    3H-Flumethasone Pivalateの皮膚吸収および分布の状態をオートラジオグラフィー法で検索したところ表皮角質層, 表皮有棘層および皮膚付属器により多くの沈着がみられた。この検索の結果と他のコルチコステロイドの皮膚吸収所見との比較をおこないその差異について考察した。
  • ―とくに基剤の影響―
    石原 勝
    1975 年 37 巻 1 号 p. 86-95
    発行日: 1975/02/01
    公開日: 2012/03/24
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    1. 2, 4時間密封時, 0.25% desoximetasone(DOM)クリーム(w/o型)は, 0.12% betamethasone valerase(BV), 0.025% fluocinolone acetonide (FA), 0.1% triamcinolone acetonide(TA), 0.05% dexamethasone(D)クリーム(いずれもo/w型)に比し, 血管収縮を生じ易いことを認めた(McNe-mar または2項検定)。
    2. 4時間密封時の血管収縮反応を濃度希釈法により, 比較検討したところ, DOMクリームは, BVクリームとの間には差がないが, FAクリーム, FA軟膏, BV軟膏に比し, 市販濃度の希釈率を有意に大にしても血管収縮が生じやすいことを明らかにした(ED50 値, 95% 信頼限界)。なお各コルチコステロイドのED50値(濃度)の比較では, DOM, BV, FA各クリーム, FA軟膏間には有意差をみなかつた。
    3. DOMの血管収縮反応の基剤による相違を濃度希釈法により検討したところw/o型, o/w型クリーム, 白色ワセリン間には有意差がなく, マクロゴール軟膏は, クリームに比し有意に劣る成績をえた。
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治療
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