西日本皮膚科
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42 巻, 3 号
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図説
綜説
症例
  • 宮岡 達也, 本房 昭三, 幸田 弘, 占部 治邦
    1980 年 42 巻 3 号 p. 390-393
    発行日: 1980/06/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    Keratoacanthoma centrifugum marginatumの75才女子例を報告した。初診時, 右頬部に25×40mmの腫瘤があり, 中心部は15×10mmの瘢痕性陥凹を示し, 周囲は高さ5mm, 幅8mmの堤防状に隆起していた。腫瘤発生約8ヵ月後には自然治癒した。既報告例14例と自験例についてまとめ, 若干の考察を加えた。
  • 出来尾 哲, 池田 早苗
    1980 年 42 巻 3 号 p. 394-397
    発行日: 1980/06/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    1才8ヵ月の男児に生じたGianotti病を報告した。血清中のHBs抗原は陽性で, そのsubtypeは本症では比較的まれであるadrであつた。本症は一般にHBs抗原のsubtypeがaywであるHBウイルスの初感染によつておこるとされているが, 今後, 本症例のようにsubtypeがayw以外のものでおこつた症例についても検索がなされ, 本症の発症についてさらに検討することが必要であろう。
  • 日高 義子, 浜口 次生, 小西 得司
    1980 年 42 巻 3 号 p. 398-402
    発行日: 1980/06/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    皮膚病変を伴つた亜急性細菌性心内膜炎(SBE)の2症例を報告した。症例1は50才男子でOsler痛斑, Janeway発疹, Roth斑を, 症例2は38才男子で点状出血斑をきたした。Osler痛斑の病理組織所見は真皮上層小血管のleukocytoclastic vasculitisであり, PAS染色にて血管内腔に沿つてPAS陽性物質の沈着をみた。また血管壁外側にグラム陽性球菌の集簇をみた。2症例ともにUCGにて大動脈弁, 僧帽弁の肥厚, 疣贅形成があり閉鎖不全をきたした。症例1では肺, 脳への, 症例2では腎への塞栓症状を認めた。
  • 安野 洋一, 加賀美 潔, 前田 基彰
    1980 年 42 巻 3 号 p. 403-408
    発行日: 1980/06/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    Lupus erythematosus profundusの44才女子例を報告し, SLEやDLEの所見をもたない本症の診断に関して, 臨床所見, 組織所見を中心に若干の考察を行なつた。臨床的には, 発生部位は顔面についで上腕が多く, 皮疹は性状に特徴的なものは少ないが, 年余にわたつて存続し, 軽快または治癒後に特有な陥凹を残すことが多いなど, ある程度の観察期間を置けばかなり特徴的な所見を示す。組織学的には真皮深層から皮下組織にかけて, 血管周囲性ないし附属器周囲性にみられる稠密なリンパ球浸潤が主体で, lymphocytic vasculitisがみられ, 詳細にみれば皮下脂肪織に好酸性のフィブリノイド様変化が観察される。これらの所見から診断が可能であるが, しかしながらなお診断困難な場合もあり, 電顕的にLEに特徴的な変化を見出すことが必要である。
  • 酒井 康弘, 吉江 治彦
    1980 年 42 巻 3 号 p. 409-414
    発行日: 1980/06/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    水疱性類天疱瘡の75才女子例を報告した。下肢に神経痛様の疼痛があり, そのため下肢と腰部に灸を据えたが, その熱傷性変化が容易に治癒しなかつた。約2ヵ月後, 灸の部位に始まり, やがて腹部, 上肢などに拡がる多数の水疱が出現した。外用療法のみで水疱は消失, 治癒した。約1年後, 左大腿の鼠径部付近に鶏卵大の第2度熱傷を生じた。同部の水疱は治癒せず, かえつて拡大し, さらに腰部, 上肢, 胸部, 外陰部などに多数の水疱が出現した。組織学的には表皮下水疱で, 水疱内に多数の好酸球を認めた。螢光抗体直接法で表皮基底膜にIgG, C3の沈着があり, 間接法で血清希釈5,120倍陽性の抗基底膜抗体を認めた。全身の水疱はステロイド剤内服により約1ヵ月で治癒し, その後再発はない。しかし治癒後も高値の抗基底膜抗体価が持続している。
  • 柏 尚裕, 高岩 堯
    1980 年 42 巻 3 号 p. 415-418
    発行日: 1980/06/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    肝臓癌の皮膚転移3例を報告した。症例1は44才男子で肝臓癌の疑いにて入院中, 頭部, 背部, 顔面に転移性腫瘤を生じ, 6日後に死亡した。剖検にて胆管癌と診断した。症例2は52才男子で前立腺癌もしくは肺癌を疑われ, 頭部, 頸部, 四肢に転移性腫瘤を多発し, 7ヵ月後に死亡した。剖検にて胆管癌と診断した。症例3は45才男子で細網肉腫を疑われ, 頭部に転移性腫瘤を単発し, 3ヵ月後に死亡した。剖検にて胆管肝癌と診断した。
  • 丸尾 充, 大瀬 千年, 安野 洋一, 中安 清
    1980 年 42 巻 3 号 p. 419-423
    発行日: 1980/06/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    36才男子の陰茎包皮に生じたmulticentric pigmented Bowen’s diseaseの1例を報告した。約2ヵ月前から陰茎包皮に粟粒∼米粒大の黒褐色扁平丘疹が生じ徐々に数がふえ, 一部は線状に融合してきた。梅毒血清反応は陰性で単純疱疹ウイルスに対する抗体価は4倍以下であつた。組織学的には典型的なボーエン病の像であつた。治療は行なわずに経過観察しているが, 初診時より約3年たつた現在, 皮疹の状態はほとんど変化ない。また集計しえた本邦例19例について年令·性·経過などについて統計的観察を加えた。
  • 清水 千賀, 上田 恵一, 間嶋 崇哉, 木村 泉
    1980 年 42 巻 3 号 p. 424-428
    発行日: 1980/06/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    眼球突出を伴つたGraves病と指趾の肥大性骨関節症に併発した脛骨前粘液水腫, すなわちEMO症候群の49才男子例を報告した。組織学的に, 真皮では浮腫性となり, 膠原線維間は著明に離解し, 膠原線維には膨化と断裂がみられ, 紡錘状の線維芽細胞が多くみられた。アルシャン青染色は真皮中層で陽性を呈した。さらに電顕的にも検索を行なつた。また集計しえた脛骨前粘液水腫とEMO症候群について若干の統計的観察を行なつた。
  • —とくにその誘発波長について—
    水野 久美子, 石原 勝
    1980 年 42 巻 3 号 p. 429-433
    発行日: 1980/06/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    7才女子例を報告した。3才ころより日光照射後, おもに顔面, 耳介, 手背にそう痒を伴う紅斑, 丘疹, 小水疱を反覆して形成し, 瘢痕を残して治癒するようになつた。一般検査ではIgGの軽度上昇がみられ, アミノ酸分析では血中Tau., Glu., 尿中Lys., Glu.の上昇がみられた。トリプトファン負荷試験では尿トリプトファンの明らかな上昇はみられなかつた。尿中, 血中ポルフィリン値は正常であつた。種々の光線過敏性試験を施行したところ, 1) 5月晴天時, UV35のガラスフィルターを用いた3回の各1時間ずつの日光照射では全回丘疹, 小水疱を, UV37, 39使用部は各1回小水疱の形成をみた。2) 東芝医療紫外線M-DMR-II型による長波長紫外線30分照射では紅斑, 中波長20分照射では浮腫性紅斑をみたのみであつた。3) UV29を挿入したキセノンランプ30分照射では浮腫性紅斑をみたが, 7日間連日7分照射でも水疱の形成はみられなかつた。4) モノクロメーターでは340∼401nm照射部位に紅斑を生じた。以上の所見より長波長紫外線が本疾患の誘発波長であると推測された。
研究
  • 笹岡 和夫, 篠田 英和, 阿南 貞雄
    1980 年 42 巻 3 号 p. 434-442
    発行日: 1980/06/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    Tリンパ球の酵素組織化学的同定法とされるacid α-naphthyl acetate esterase(ANAE)染色法を用いて, 悪性リンパ腫のT, B cell typeの検索を行ない, 次の結果をえた。
    1) ANAE染色は, 手技的にE-EAC-rosette法より優れた点が多く, 悪性リンパ腫のT, B cell typeの同定法としては適当である。
    2) 悪性リンパ腫についての検索結果: (1)Non-Hodgkin’s lymphoma(14例)は, nodular patternは全例B cell type, diffuse patternの大部分の症例は組織型と関係なくT cell typeであつた。(2)Hodgkin’s lymphoma(1例)はT cell typeを示した。(3)いわゆるmalignant cutaneous lymphoma(12例)では, Sézary症候群, 菌状息肉症はすべてT cell type, 他のcutaneous lymphomaもほとんどがT cell typeで, B cell typeはわずか1例であつた。(4)T cell lymphomaの大多数で, 腫瘍細胞の表皮内浸潤がみられ, neoplasticなT cellは皮膚, とくに“表皮”に親和性を有する。また, T cell lymphomaは白血化して特異疹を伴う例が多く, 末血以外にリンパ節, 皮膚にANAE染色でT′ patternを示すneoplastic T cellが多数出現する。
  • —ダニ, ハウスダスト, 真菌抗原をもちいた皮内テストおよび白血球からのヒスタミン遊離反応の検討—
    沼田 恒実, 山本 昇壮, 矢村 卓三
    1980 年 42 巻 3 号 p. 443-447
    発行日: 1980/06/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    他のアレルギー性疾患を合併せず, 病歴からは特異抗原の示唆されない慢性蕁麻疹患者に皮内テストおよび白血球ヒスタミン遊離反応をおこない検討した。106例の皮内テストでは72例(67.9%)がダニ, ハウスダストおよび真菌抗原の少なくとも1つ以上に対して陽性を示し, とくにダニ, ハウスダスト, カンジダ抗原による陽性率が高かつた。65例の白血球ヒスタミン遊離反応では14例(21.5%)に抗原による白血球からの著明なヒスタミン遊離がみられ, 慢性蕁麻疹患者が感作された状態にあること, すなわちI型アレルギー反応が関与する可能性が示唆された。皮内テスト, 白血球ヒスタミン遊離反応のいずれにおいても, ダニ抗原の陽性率が高く慢性蕁麻疹における同抗原の役割が注目された。
  • —0.1% Halcinonide 軟膏単純塗布の場合—
    阿曽 三樹, 島雄 周平, 井上 多栄子, 田中 敬子, 清水 康之, 三原 基之, 河本 裕子
    1980 年 42 巻 3 号 p. 448-454
    発行日: 1980/06/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    各種の皮膚疾患患者5例に0.1% halcinonide軟膏を20∼40g/日単純塗布し, 血清11-OHCS値, 尿中17-OHCS値, 末梢循環好酸球数および血糖値を測定した。結果は1) 血清11-OHCS値は4例で明らかに低下した。2) 尿中17-OHCS値は1例で軽度減少, 1例で軽度上昇傾向を認めた。3) 末梢循環好酸球数は2例で著明に減少した。4) 血糖値は2例で上昇傾向を認めた。5) 臨床効果は従来の強いコルチコステロイド外用剤とほぼ同程度と思われた。以上の結果より, 0.1% halcinonide軟膏を20∼40g/日単純塗布した場合, 強い副腎皮質機能抑制がおこるが, 臨床効果と同様, 従来の強いコルチコステロイド外用剤とほぼ同程度であると考えられた。
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