西日本皮膚科
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82 巻 , 3 号
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目次
図説
  • 阪野 恵, 高橋 玲子, 福山 國太郎
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 82 巻 3 号 p. 155-156
    発行日: 2020/06/01
    公開日: 2020/08/17
    ジャーナル 認証あり

    症例:82 歳,女性

    既往歴:なし

    現病歴:半年前に左手首に小豆大の腫瘤を自覚し,その後増大したが放置していた。腫瘤からの悪臭があり,近隣住民からの通報で救急搬送された。

    現症:左手関節屈側に易出血性の潰瘍を伴い不整隆起し,一部に壊死組織を付着する手拳大の腫瘤があった。 腫瘤辺縁部が陥凹し,潰瘍化していない部位は黒色調を呈していた(図1)。

    病理組織学的所見:小型円形~短紡錘形の核を有する腫瘍細胞が密な充実性増殖を示し,胞巣辺縁では核の柵状配列がみられ間質との間に裂隙を形成していた(図2a)。多数の核分裂像を認め,壊死を伴っていた(図2b)。

    画像検査所見:CT・ MRI 検査で局所の骨および神経までの浸潤を認めた。左腋窩リンパ節に 13×11 mm の腫大があり,炎症性リンパ節腫脹の可能性は否定できないが,原発巣の状態から転移の可能性が高いと考えた。

    診断:基底細胞癌 stage Ⅲ(cT3N1M0)

    臨床経過:手術適応はないと判断し,局所の悪臭・出血のコントロールと腫瘍縮小を目的として Mohs ペーストの外用を数回繰り返しつつ,4MVX 線 40 Gy/20 回照射の放射線治療を行ったところ腫瘤は著明に縮小した(図3)。

綜説
症例
  • 飛田 礼子, 千貫 祐子, 大藤 聡, 鈴木 久美子, 森田 栄伸
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 82 巻 3 号 p. 164-167
    発行日: 2020/06/01
    公開日: 2020/08/17
    ジャーナル 認証あり

    症例 1:60 代の女性。春に鼻汁があり,マスクをすることがあった。初診の 1 年前からモモを摂取した時に咽頭違和感を覚えるようになった。初診の 10 日前にモモを一切れ摂取したところ,30 分後に眼瞼浮腫,呼吸苦,鼻汁,咳嗽が生じて治療された。ハンノキ特異的 IgE が陽性で,アレルゲンコンポーネントを用いた血液検査では Pru p 1 特異的 IgE が陽性であり,ハンノキ花粉症に交差反応したモモアレルギーと診断した。症例 2:40 代の女性。約 5 年前から鼻炎症状を自覚していた。同時期より,モモを摂取した際に咽頭違和感が生じるようになった。初診の 10 日前にリンゴ,ハチミツ入りの豆乳を摂取し,その後雪かきをしたところ,顔面,両手にそう痒を伴う発赤腫脹が生じた。ハンノキ特異的 IgE は陰性で,アレルゲンコンポーネントを用いた血液検査では Pru p 1,Pru p 2,Pru p 3 特異的 IgE が陰性,Pru p 7 特異的 IgE が陽性であり,症例 1 とは異なる感作抗原と考えられた。

  • 橋本 安希, 井上 卓也, 阪野 恵, 成澤 寛
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 82 巻 3 号 p. 168-171
    発行日: 2020/06/01
    公開日: 2020/08/17
    ジャーナル 認証あり

    症例 1:71 歳,男性。ビルダグリプチン・メトホルミンン塩酸塩配合錠(エクメット配合錠®)内服開始後,紫斑が出現した。症例 2:59 歳,男性。ビルダグリプチン(エクア®)内服開始後,紫斑が出現した。2 症例とも内服中止にて症状が消失し,再度内服したところ皮疹が再燃したことより,紫斑型薬疹と診断した。近年 DPP-4 阻害薬による水疱性類天疱瘡発症の報告が相次いでいる。中でもビルダグリプチンや,ビルダグリプチンとメトホルミン併用症例での報告が多いが,調べえた限り紫斑型薬疹の報告はない。今回ビハダグリプチンおよびビルダグリプチン・メトホルミン配合剤内服併用により生じた紫斑型薬疹の 2 例を経験したため,水疱性類天疱瘡以外にも多彩な薬疹を生じる可能性があると考え報告する。

  • 岩永 知未, 井上 卓也, 成澤 寛
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 82 巻 3 号 p. 172-174
    発行日: 2020/06/01
    公開日: 2020/08/17
    ジャーナル 認証あり

    55 歳,女性。6 歳頃より前胸部の皮下腫瘤を自覚していたが,無症状であったため放置していた。当科初診の 2 カ月前より急速な増大と圧痛を認め,受診した。前胸部正中に約 5 cm の軽度圧痛を伴う皮下腫瘤を認め,画像検査にて胸骨柄前面皮下に囊胞性病変がみられた。全摘切除を行ったところ,病理組織検査にて線毛円柱上皮に覆われた囊胞壁を認め,平滑筋や腺組織も含まれており,気管支原性囊胞と診断した。囊胞上皮の一部にびらんと炎症性肉芽組織を認め,最近の急速な増大と圧痛の出現というエピソードとの関連が示唆された。皮下に生じる気管支原性囊胞は非常に稀であり,また,成人期になって手術をする症例も少ない。頚部に生じた場合には正中頚囊胞や側頚囊胞との鑑別も問題となる。治療時年齢が高くなるほど大型化する傾向があり,悪性腫瘍が続発した報告もあるため,病変を認めた場合には完全摘出が治療の基本である。

  • 中島 真帆, 石川 博士, 三根 義和, 市来 澪, 三原 裕美, 伊東 正博, 室田 浩之
    2020 年 82 巻 3 号 p. 175-178
    発行日: 2020/06/01
    公開日: 2020/08/17
    ジャーナル 認証あり

    80 歳,男性。30 歳時と 62 歳時に,後頚部皮下腫瘤摘出術の既往がある。2 度目の術後早期より同部位に皮下腫瘤を自覚しながら放置していた。腫瘤は徐々に増大し,初診時には 70×80 mm になっていた。 圧痛はなかった。単純頭部 CT 検査では,骨浸潤を示さない,石灰化を伴う分葉状の腫瘤影が認められ,一方で頭蓋内には腫瘤影は指摘されなかった。局所麻酔下に摘出した。病理組織検査では,胞巣状増殖を示し,一部で渦巻き状配列を呈し増殖する腫瘍細胞を認めた。腫瘍細胞は空胞状核を有し,核分裂像はなく,細胞境界は不明瞭であった。一部に骨形成,泡沫細胞を認め,免疫組織化学的所見と合わせ,metaplastic extracranial meningioma と診断した。自験例のような metaplastic type は皮膚科領域での報告は稀である。Metaplastic extracranial mengioma は再発の可能性もあるが,皮膚科領域では metaplastic type の再発リスクについて検討した文献はなく,考察を加えて報告する。

  • 末梢神経線維束の分布と痛みの関連について
    吉田 舞子, 江藤 綾佳, 中原 剛士, 古江 増隆
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 82 巻 3 号 p. 179-182
    発行日: 2020/06/01
    公開日: 2020/08/17
    ジャーナル 認証あり

    33 歳,女性。約 10 年前より右上腕伸側の圧痛を伴う紅色結節を自覚していた。超音波検査では血流を伴う境界明瞭な囊腫様構造を認め,切除術を行いグロムス腫瘍と診断した。単発性皮膚グロムス腫瘍は,四肢末端に好発し疼痛を伴うことが特徴とされる。発症部位として約 70% が爪甲下であり上腕は稀である。疼痛発生機序については諸説あり明らかとなっていない。自験例では腫瘍の線維性被膜内に多数の神経線維束とその一部が汗腺に近接している所見がみられた。そこで,当科で切除した 12 症例について汗腺や血管に分布する神経線維と疼痛の関連について検討した。腫瘍被膜内や実質内の神経線維の有無と疼痛の有無が一致する結果は得られなかったものの,神経線維への機械的な圧迫や牽引により疼痛が発生している可能性や,腫瘍の周囲に分布する神経線維が疼痛に関与している可能性もあると考えられた。

  • 馬場 まゆみ
    2020 年 82 巻 3 号 p. 183-187
    発行日: 2020/06/01
    公開日: 2020/08/17
    ジャーナル 認証あり

    脂腺癌は Meibom 腺を発生母地とする眼瞼型脂腺癌と,眼瞼以外の皮脂腺に由来する眼瞼外脂腺癌に大別される。過去には眼瞼型脂腺癌の報告が多く,眼瞼外脂腺癌は稀と考えられていたが,近年は頭頚部以外の発生報告も散見される。自験例は,当初近医にて Bowen 病と診断され,当院でも有棘細胞癌と考えた。脂腺癌の好発部位である頭頚部ではなく腹部に発生していること,また臨床的に黄色の顆粒状結節ではなく,紅色で表面が滑らかな結節であったことが理由であるが,病理組織学的に脂腺癌であった。過去の文献から眼瞼外脂腺癌を検索し,その発生部位を調べた。体幹部に発生した脂腺癌の症例は,2009 年の Yale 大学における脂腺癌 1349 例のうち 13.3%,1983~2018 年の本邦報告 160 例のうち 20.0% であった。頭頚部の発生報告と比較すると体幹部の発生は少ないものの,稀ではないことがわかる。また,脂腺系腫瘍が発生したときには Muir-Torre 症候群の可能性を考える必要がある。自験例は詳細が不明であるものの大腸癌の既往があり,診断基準を満たした。しかし高齢社会において重複癌も珍しくない時代となり,現在の Muir-Torre 症候群の診断基準を満たしてしまう症例も多くなることが予測される。 Muir-Torre 症候群の疫学の研究や診断基準の見直しも望まれる。

  • 鈴木 祥子, 立川 量子, 今村 和子, 今福 信一
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 82 巻 3 号 p. 188-191
    発行日: 2020/06/01
    公開日: 2020/08/17
    ジャーナル 認証あり

    45 歳,男性。左第 5 指先端に小潰瘍を形成し,近医皮膚科にて抗菌薬の内服・外用治療を行い小潰瘍は消失した。その約 2 カ月後に全身の瘙痒,発熱,全身倦怠感を主訴に当院消化器内科を受診し,同日入院した。血液検査ではTPHA 定量:132.7 C.O.I,RPR 定量:256 倍,AST:150 U/l,ALT:244 U/l,ALP:3767 U/l,胆道系酵素優位の肝機能異常があった。皮膚症状は,躯幹に痒疹様の結節,四肢に搔破痕が散在し,両下腿には鱗屑を伴う小紅斑が数カ所みられた。掌蹠には明らかな皮疹はなかった。右下腿の乾癬様の紅斑より皮膚生検を行い,HE 染色では真皮の血管周囲や間質にリンパ球,組織球,好中球,少数の形質細胞の浸潤を認め,抗トレポネーマ抗体による免疫組織化学染色は陽性であった。ウイルス性,自己免疫性,薬剤性肝炎は否定的であり,第 2 期梅毒,梅毒性肝炎と診断し,アモキシシリン水和物(サワシリン®)1500 mg/day 投与を開始した。投与数時間後に発熱・皮疹が出現し,Jarisch-Herxheimer 反応と考えた。アセトアミノフェン(カロナール錠®)投与で解熱し,皮疹も軽減し,その後退院した。アモキシシリン水和物内服を継続し皮疹は色素沈着となり,瘙痒も軽快した。第 66 病日には RPR 定量は 32 倍に低下し,アモキシシリン水和物は 8 週間の内服で中止した。梅毒の肝病変は 3 期梅毒に多いことは知られているが,早期梅毒に合併する肝障害の頻度は報告が少なく,文献的考察を加え報告する。

世界の皮膚科学者
  • Eli Sprecher
    原稿種別: レター
    2020 年 82 巻 3 号 p. 199-200
    発行日: 2020/06/01
    公開日: 2020/08/17
    ジャーナル 認証あり

    Eli Sprecher received his MD and PhD degrees from the Hebrew University of Jerusalem and specialized in dermatology at the Rambam Medical Center, Haifa. He spent a post-doctoral fellowship at Thomas Jefferson University, Philadelphia and served as attending physician at the Rambam Medical Center until 2008. During this period, he was Deputy Director for Academic affairs at the Rappaport Institute for Research at the Technion-Israel Institute of Technology, and founded as well as directed the Center for Translational Genetics at the same institution.

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