西日本皮膚科
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41 巻, 4 号
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図説
綜説
症例
  • —とくに電顕像について—
    桐生 美麿, 幸田 弘, 占部 治邦
    1979 年 41 巻 4 号 p. 630-637
    発行日: 1979/08/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    16才男子および女子の2症例を報告した。また本邦報告例46例を蒐集して文献的考察をおこない, 多発性神経鞘腫はレックリングハウゼン病とは独立した疾患であると結論した。自験例の1例について電顕的検索をおこない, 単発性のものと差のないことを示した。さらにいわゆる“cross-banded structure”について検討し, これが基底膜に由来し, また周期の差は縞状構造物の切片方向のちがいにすぎないものと考えた。
  • 江上 和也, 堀 真, 吉田 彦太郎, 篠田 英和, 里見 行義, 木村 史
    1979 年 41 巻 4 号 p. 638-646
    発行日: 1979/08/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    75才男子に生じたclear cell acanthomaの1例を報告した。肉眼的には粗大, 凹凸不平, 一部糜爛状をていする比較的特徴のない腫瘤であつたが, 組織学的には, 細胞質が明るく, PAS染色強陽性, ジアスターゼ消化性の顆粒を多数ふくむ, やや大型の有棘細胞の集団がみとめられた。それらの細胞を電顕的に観察すると, 1) 細胞質内における多量のグリコーゲンの沈着, 2) 良好な発達を示す粗面小胞体, 3) 発育の不充分なmitochondria, 4) tonofilament, desmosomeの細胞内における存在, 5) lysosome様顆粒の存在, などの所見がみとめられ, glycogen顆粒の細胞質内における増加とともに細胞間腔が開大し, tonofilament, desmosomeの減少など変性壊死の傾向が著明となる所見が認められた。著者らは, 本症の本態は退行変性をともなう表皮細胞由来の良性腫瘍であると考えた。
  • 成田 博実, 緒方 克己, 石井 芳満, 井上 勝平
    1979 年 41 巻 4 号 p. 647-654
    発行日: 1979/08/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    クリオグロブリン血症性壊疽をともなつたIgG-κ型骨髄腫の63才女子例を報告し, クリオグロブリンの検索を中心に基礎疾患, 皮膚症状について考察を加えた。激痛をともなう広範な壊疽の出現を3回みたほか, 分枝状皮斑, 有痛性紫斑, 鼻出血, 四肢のしびれ感, 聴力消失などの多彩な臨床症状が認められた。検査成績では, 赤沈亢進 (室温では判定不能), 血圧上昇, 貧血, 連銭形成, IgG-κ型M成分, IgG-κ型クリオグロブリン, IgG以外の免疫グロブリンの減少, 骨髄中の異型形質細胞の増加, 尿中κ型Bence Jones蛋白などを認めた。特異所見として, 好中球内にクリオグロブリンと思われる物質の貪食像が観察された。
  • 山川 敬子, 西本 正賢, 小玉 肇
    1979 年 41 巻 4 号 p. 655-660
    発行日: 1979/08/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    Angio-immunoblastic lymphadenopathy with dysproteinemiaの47才男子例を報告した。原因不明の高熱を繰り返し, 経過中多種抗生剤の投与をうけ全身にそう痒をともなう落屑性紅斑が出現したという。当科入院時ほぼ全身に色素沈着と散在性の小脱色素斑がみられ, 胸部と上腕伸側には充実性丘疹が集簇していた。左腋窩に拇指爪甲大のリンパ節を1個, 両鼠径部に大豆大のリンパ節を数個触知した。鼠径部リンパ節組織では構築が軽度に破壊され, 形質細胞様細胞と免疫芽細胞の増生がfocalにみられ, 小血管は著明に増生し, 一部の細胞間はgraft versus host reactionでみられる組織像と似ていた。検査所見では, 血沈亢進, 白血球数増加, 貧血, LDH高値, 多クローン性高グロブリン血症, 皮膚反応 (DNCB感作試験, PHA皮内試験, ツ反応) の低下がみられた。本例はpulse療法を試み寛解に導入しえた。
  • 田尻 トヨコ, 加治 英雅
    1979 年 41 巻 4 号 p. 661-663
    発行日: 1979/08/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    36才女子例を報告した。約3年前より鼻根部左側寄りに自覚症のない隆起した小結節があり, 徐々に腫大し, 豌豆大となつた。肉眼的には薄い被膜に被われた灰白調の充実腫瘤で, 組織学的には上皮性の細胞塊と大小種々の管腔と豊富な間質から成り, いわゆる皮膚混合腫瘍と考えた。本腫瘍に特異的である浮腫状粘液腫様無構造間質の性状について組織化学的に検索したところ, ヒアルロン酸, シアル酸および硫酸化ムコ多糖(おそらくはコンドロイチン硫酸C)から成るとの結果をえた。また, 管腔内の物質もほぼ同様の性状を示した。これらをもとにして, 浮腫状粘液腫様無構造間質の起源について論じた。
  • 前川 嘉洋, 桑原 宏始, 谷脇 功一, 徳田 元
    1979 年 41 巻 4 号 p. 664-668
    発行日: 1979/08/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    38才男子の頭部外傷例, 19才男子の頸損例に鼻腔栄養の長期施行後, 腸性肢端皮膚炎様皮疹が生じた。2例ともに血清亜鉛埴は正常であつたが, 症例2(頸損例)では硫酸亜鉛投与により, 脱毛, 爪, 皮疹の著明な改善がみられた。長期にわたる鼻腔栄養により, 亜鉛の不足, 脂質の質的, 量的不足など低栄養下における異常代謝が本症発症の一因と考えられる。
  • 山本 昇壮, 江川 政昭, 高垣 謙二, 竹田 真円, 横山 隆, 石井 哲也
    1979 年 41 巻 4 号 p. 669-672
    発行日: 1979/08/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    潰瘍性大腸炎にて大腸亜全摘, 回腸直腸吻合術をうけた患者に, 経口摂取を中止し高カロリー輸液を施行中, 頭部, 顔面, 外陰部, 四肢末端などに比較的限局した黄色痂皮をともなう大豆大の丘疹, 紅斑が生じ, また脱毛および下痢がみられた。皮疹発現時の血清アルカリフォスファターゼ値は著明に低下し, 亜鉛値も低下していた。輸液を中止し経口摂取に変えたところ, 皮疹および腹部症状は急速に改善し, 同時に血清アルカリフォスファターゼ, 亜鉛値の上昇がみられた。以上のことから, 本症例の皮膚および腹部症状の発現には, 亜鉛欠乏が重要な役割を演じている可能性が示唆された。
  • —統計的観察ならびに最近の流行について—
    友田 哲郎, 堀川 澄, 小野 友道
    1979 年 41 巻 4 号 p. 673-677
    発行日: 1979/08/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    昭和49年から52年までに熊本大学医学部附属病院皮膚科を訪れた疥癬症例を報告し, 本邦における報告例(昭和43∼52年)とあわせて最近の疥癬の流行について若干の考察を試みた。すなわち最近数年間における本症の急増, その原因として主としてアジア諸国への海外旅行者の増加, DDT·BHCなど殺虫剤の製造·販売の禁止, 診断の遅れ, 家族ないし集団感染などと密接な関連が考慮されることなどについて述べた。
  • 中安 清, 丸尾 充, 赤松 真, 松下 隆行
    1979 年 41 巻 4 号 p. 678-681
    発行日: 1979/08/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    61才家婦の右上眼瞼に, 約3年前より生じたsubepidermal calcified noduleの1例を報告した。本邦報告例について臨床的に検討し以下の結果をえた。皮疹は通常は単発で, 表面は疣贅様∼顆粒状で, 半球状に隆起し, 色は黄白∼灰白色, 大きさは径1cmまでのものがほとんどである。発生年令は10∼20才台が比較的多く, 発生部位は耳介と眼瞼に好発している。
研究
  • —電顕的および酵素組織化学的研究—
    西村 正幸, 今山 修平, 幸田 弘, 占部 治邦
    1979 年 41 巻 4 号 p. 682-694
    発行日: 1979/08/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    外陰部ページェット病の7例について, 電顕的, 酵素組織化学的検索をおこない, 表皮のページェット細胞と下床の腺癌の関係, ページェット細胞の本態と由来について考察した。表皮のページェット細胞と下床の腺癌の分化度の差については, 表皮内においてページェット細胞の分化にたいし何らかの抑制が働いている可能性が示唆された。下床の腺癌はあきらかにアポクリン腺癌であり, 表皮のページェット細胞も分化度は低いが, 自験例はすべてアポクリン腺への分化を示していると考えられた。
  • 清水 康之, 阿曽 三樹, 神戸 直登, 竹原 直秀, 川口 俊夫, 坂井 重信, 渡辺 加代子, 薮田 良子, 島雄 周平
    1979 年 41 巻 4 号 p. 695-697
    発行日: 1979/08/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    1969年1月より1974年12月末までの6年間に鳥取大学皮膚科を受診した350名の円形脱毛症, 多発性円形脱毛症, 悪性脱毛症の患者のうち105名に脳波検査を実施した。その結果75名(71%)に何らかの異常脳波を認め, そのうち65名に自律神経中枢の異常を示す発作性異常波を認めた。105名の脳波検査実施例中45名にrapid ACTH testを施行し, 副腎皮質予備能を調べた。その結果副腎皮質予備能の低下している者を10名に認め, うち7名に発作性異常波を認めた。以上より, 自律神経中枢である間脳視床下部の機能異常を基盤として, 副腎皮質予備能の低下によつて表現されるように, 外界のストレスにたいして正常に反応する能力が低下していることが円形脱毛症の1病因であると考えた。
  • I. 移植皮膚癌の電子顕微鏡的観察
    上田 恵一, 岸本 三郎, 大瀬 千年, 赤松 真, 松下 隆行, 小森 万智生, 小森 泰, 外松 茂太郎, 田中 紀元
    1979 年 41 巻 4 号 p. 698-704
    発行日: 1979/08/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    C3H/Heマウスに自然発生した有棘細胞癌を移植した6代目の移植癌につき電顕的に検討し, 本腫瘍の有棘細胞癌における位置付けを行なつた。本腫瘍は日本放射線医学研究所(浦野宗保博士)より提供されたもので, 腫瘍を細切し, マウスの背部を切開して刺入した。移植後3週目には, 腫瘍は拇指大に腫大した。光顕的にはBroders分類第3度の所見を示し, 電顕的には, 腫瘍細胞の核は大型で, 不整形のものもあり, 核小体も大きかつた。細胞質内ではトノフィブリルの形成はきわめて悪く, リボゾームはpolysomeをなし, 小胞体の形成はよく, ミトコンドリアは異常を示した。細胞間は不規則に開大し, ミクロビリの形成は著明であつた。細胞間ならびに細胞内小胞体内にウイルス粒子が認められた。Basal laminaは保たれていたが, 不明確なところが多かつた。本腫瘍は実験皮膚腫瘍として諸種の操作を施行しうる可能性があると考えられた。
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