西日本皮膚科
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52 巻 , 6 号
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図説
症例
  • 倉田 三保子
    1990 年 52 巻 6 号 p. 1103-1108
    発行日: 1990/12/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    23歳, 看護婦。外科病棟勤務1年5ヵ月後より両手に湿疹が出現し, さらに4ヵ月後より注射薬の溶解, 注射器洗浄時に合計6回, 手掌から始まり全身に及ぶ蕁麻疹が出現し, アナフィラキシー反応を伴つた。抗生剤24種類につき検査を行つた結果, パンスポリン®のopen patch testおよびケフドール®のprick testで各々20分後, 30分後に(++)の反応を認めた。さらにchlorhexidine gluconate(CHG)およびヒビテン®の各々0.50%, 0.05%において48時間closed patch testで48時間後にはCHG, ヒビテン®とも(?+)を示し, 96時間後にはヒビテン®は(++)を示したがCHGは(-)であつた。本症例はヒビテン®に含有される色素, 香料, 界面活性剤などによる遅延型アレルギー性接触皮膚炎に伴つてパンスポリン®およびケフドール®によりアレルギー性接触蕁麻疹を生じたものと考えた。
  • 浅谷 雅文, 鈴木 裕介
    1990 年 52 巻 6 号 p. 1109-1113
    発行日: 1990/12/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    2例のpostthrombotic syndromeに超音波療法を施行した。症例1: 37歳女子。マーケットの立ち仕事を誘因として左下腿の血栓性静脈炎に続く下方の板状硬結。安静と血小板凝集抑制剤, 末梢循環改善剤内服により急性期症状を改善させた後, 残つた板状硬結に対して超音波療法0.8W/cm2, 5分間, 週2回施行。2回目より疼痛, 牽引痛が消退し, 計11回施行までに板状硬結は著しい改善をみた。症例2: 79歳女子。左下腿下方の有痛性浸潤性紅斑と黒褐色色素沈着, 浮腫, 疼痛をともなう板状硬結局面。下方静脈造影にて膝窩部深部静脈が描出されず, 深部静脈閉塞によるpostthrombotic syndromeと診断。安静·下肢挙上にて広範囲の浮腫が消退したが, 板状硬結と有痛性紅斑が残存。これらに対して超音波療法1.0W/cm2, 5分間, 施行したところ, 計3回までに圧痛が消退し, 計6回までに板状硬結の改善をみた。
  • 梅林 芳弘, 行木 弘真佐, 斎藤 義雄
    1990 年 52 巻 6 号 p. 1114-1119
    発行日: 1990/12/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    84歳男子のリウマチ因子陽性を示した関節症性乾癬の症例を報告した。皮疹は顔面, 臀部, 掌蹠に限局し, 爪の変化を伴つていた。指趾の関節痛を訴え, X線上遠位指節間関節の破壊が著明であつた。リウマチ因子はラテックス凝集反応134U/ml, RAPA320倍, Waaler-Rose反応8倍であつた。HLA-A2, B39陽性。本邦の関節症性乾癬の報告例のうち, リウマチ因子陽性のものは24%(23/95)。リウマチ因子陽性の関節症性乾癬は爪の変化, 遠位指節間関節の変化を示す割合が低い。関節症性乾癬のリウマチ因子陽性率は混在するであろう慢性関節リウマチの寄与のみによつては説明できず, 関節症性乾癬自体にリウマチ因子陽性率を高くする何らかの機序がある可能性が示された。
  • 松原 勝利, 野田 徳朗, 中野 一郎, 鹿野 由紀子, 前田 学, 森 俊二, 村瀬 全彦
    1990 年 52 巻 6 号 p. 1120-1126
    発行日: 1990/12/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    63歳男子。1988年8月頃より出現した指尖潰瘍のため岐阜県白鳥病院入院, 皮膚生検の結果鞏皮症と診断され9月21日に当科に転科した。主に躯幹に地図状の硬化局面が多発してみられ, 色素沈着と光沢を伴つていた。この色素沈着の中央部に色素脱失もみられた。顔面と前胸部には毛細血管拡張がみられた。Raynaud現象なし。神経学的異常所見なし。D-ペニシラミン(D-PC)を300mg/日投与開始一週間後, 全身の筋力低下が出現し深部反射は消失した。同時に発汗異常, 髄液蛋白細胞解離, 神経伝達速度の低下, 筋電図で神経原性変化を認めたことにより急性多発性根神経炎の合併と診断した。D-PC中止により神経症状の改善が軽度ながらみられたこと, およびD-PCによるリンパ球刺激試験が強陽性であつたことより, 本症合併にはD-PCとの関連が示唆された。1989年末に胸水貯留し鎖骨上部リンパ節生検の結果, 悪性リンパ腫と診断され, 以後化学療法を開始したが, 1990年1月25日肺炎を併発して死亡した。
  • 三浦 美穂, 葉狩 良孝, 島雄 周平, 重政 千秋, 星野 映治
    1990 年 52 巻 6 号 p. 1127-1132
    発行日: 1990/12/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    44歳女子の肺線維症を伴うPSSに, 5-FUの投与を試みた。5-FU療法施行前に, 呼吸困難および肺活量比(以下%VC)やCO拡散能(以下DLCO)低下などの肺拘束性障害を認めた。治療開始後は, 呼吸器の自覚症状および%VC値やDLCO値の継続的改善を認めた。皮膚硬化に関しては, 触診上著明な改善はなかつたが, 舌突出困難, 頚部後屈制限, 正座困難などの症状が改善し, 皮膚病変にも有効であることを示唆していた。治療中重篤な副作用は認めず, 5-FUが呼吸器病変を合併したPSSの症例に有効であることが示唆された。また, 本例では橋本病の合併も認められ, まれな合併と考えられたので併せて報告した。
  • 小野 秀貴, 佐々木 哲雄, 中嶋 弘
    1990 年 52 巻 6 号 p. 1133-1135
    発行日: 1990/12/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    全身性鞏皮症に筋炎症状を伴ういわゆるsclerodermatomyositisの1例を報告した。症例は56歳男子。初診の4年前より両手指のRaynaud症状, 半年前より両手指浮腫状硬化, 四肢の脱力感, 歩行時の臀部から大腿後面の筋肉痛が出現。初診時, 全身の瀰漫性色素沈着と皮膚硬化, 各所に潮紅と毛細血管拡張を認めた。検査では, 抗核抗体160倍(speckled)陽性, 筋原酵素軽度高値, 筋電図myogenic patternなどの異常を呈し, 食道病変と肺線維症を伴つていた。組織学的には, 前腕および胸部皮膚で, 真皮から皮下組織に及ぶ膠原線維の著明な増加と真皮血管周囲の軽度の細胞浸潤を, 左大腿部筋生検で, 筋鞘核の増加と軽度の浸潤細胞を認めた。免疫組織化学的検索では, 真皮血管周囲の浸潤細胞の大部分は, 活性化Tリンパ球であつた。
  • 豊本 貴嗣, 春木 智江, 丸山 友裕, 高橋 省三, 諸橋 正昭, 津幡 眞一, 岡田 敏夫
    1990 年 52 巻 6 号 p. 1136-1140
    発行日: 1990/12/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    27歳女子および1ヵ月男児の結節性硬化症の親子例を報告した。母親は典型例。男児例は胎児期より心臓腫瘍, 生後1∼2週で腰部の表面平滑な腫瘤, 生後1ヵ月の頭部CTで石灰化を認めた。皮膚の腫瘤はその後, 典型的ないわゆるなめし皮状を呈するようになつた。男児例においては脳内石灰化, shagreen patchが生後まもなく発見され, 非常に早期に診断できた。さらに成長するにつれ, 本症にみられる他の症状が出現してくる可能性が考えられる。
  • 白石 卓, 村上 義之, 今山 修平, 堀 嘉昭
    1990 年 52 巻 6 号 p. 1141-1144
    発行日: 1990/12/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    1986年, WeissとEnzingerによつて提唱されたspindle cell hemangioendotheliomaの1例を経験した。症例は52歳女子で, 左手に, 22歳頃から, 30年余に渡つて11個の結節を生じた。個々の結節は一定の大きさまで増大すると, その増大がとまること, および, 組織学的にも悪性と考えられる像を認めないことから, 良性腫瘍の可能性を考えた。
  • 久保田 由美子, 占部 篤道, 今山 修平, 堀 嘉昭
    1990 年 52 巻 6 号 p. 1145-1149
    発行日: 1990/12/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    11歳時, 右鼠径部, 下着のゴムのあたる部位に, 小指頭大のそう痒を伴う淡紫紅色斑として初発し, 13歳時, 同部の隆起を主訴として当科を受診した。臨床的に隆起性皮膚線維肉腫(dermatofibrosarcoma protuberans: DFSP)を疑つて切除した。病理組織学的には, 腫瘍細胞は典型的な花むしろ模様(storiform pattern)を形成しており, DFSPに一致する所見と考えられたが, 腫瘍結節の一部に, 腫瘍細胞が特定の増殖形態をとらず密に増殖している個所がみられた。その後, 経過観察していたところ, 3年半後に同部に腫瘤が再発したため, 再入院となり, 周囲の正常部も含めて広範囲に腫瘤切除を施行した。近年DFSPに対しては, 初回より広範囲切除術が行われているが, それにもかかわらず再発例がみられること, 組織学的に一部に線維肉腫様変化が認められたDFSPは再発する率が高いことなどより, 組織学的に典型的所見, つまり均一な花むしろ模様を呈しないDFSPは, 広範囲切除後も特に長期にわたる経過観察の必要があると考えた。
  •  
    儘田 康子, 山本 泉, 鈴川 活水, 丸木 親, 小池 順平, 徳竹 英一, 吉田 克哉, 高橋 信博, 小林 孝誌
    1990 年 52 巻 6 号 p. 1150-1153
    発行日: 1990/12/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    66歳男子のGarcin症候群の1例を報告した。患者は初診までの4ヵ月間に, 嗅覚異常と左側の脳神経III, IV, V, VI, VII, VIIIの麻痺を順次発症した。脳神経麻痺の出現と同じ頃より, 顔面, 右前胸部, 左下腿, 左足底に淡紅色の皮膚結節·浸潤性局面が生じてきた。右前胸部の皮疹の病理組織学的検索より, 本症例を悪性リンパ腫(diffuse lymphoma, mediumsized cell, B cell type)と診断した。化学療法にて皮疹は色素沈着を残して消退し, 脳神経麻痺も若干回復したが, 診断確定後4ヵ月で患者は死亡した。
研究
  • 寺尾 浩, 中山 樹一郎, 占部 篤道, 堀 嘉昭, Doo Chan MOON
    1990 年 52 巻 6 号 p. 1154-1158
    発行日: 1990/12/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    慢性放射線皮膚炎上に有棘細胞癌が発生した3例の炎症性浸潤細胞について慢性放射線皮膚炎部分と有棘細胞癌部分のパラフィン包埋標本を4種のモノクローナル抗体を用いavidin-biotin-peroxidase complex(以下ABCと略す)法にて染色した。慢性放射線皮膚炎では浸潤細胞の50%はT細胞であり, 3例中2例において有棘細胞癌が慢性放射線皮膚炎と比較してT細胞の比率で低下していた。また有棘細胞癌においてnatural killer細胞の腫瘍巣内浸潤がみられたが, 慢性放射線皮膚炎では表皮内への浸潤は認められなかつた。慢性放射線皮膚炎患者1例について凍結標本における浸潤細胞を8種のモノクローナル抗体を用いABC法にて染色したところsuppressor/cytotoxic T細胞の比率がhelper/inducer T細胞の比率より高い結果を得た。
  • —第VIII因子関連抗原, von Willebrand factor, MEC-1抗原について—
    鈴木 裕介, 西山 茂夫, 瀬川 彰久, 山科 正平, 増澤 幹男
    1990 年 52 巻 6 号 p. 1159-1163
    発行日: 1990/12/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    著者らが作製した血管内皮細胞(endothelial cell, EC)特異的単クローン抗体MEC-1を認識するエピトープの局在を, 培養微小血管EC(5歳ヒト包皮由来)を材料に, 螢光抗体法と免疫電顕法により解析し, 従来よりEC特異的マーカーとして知られる第VIII因子関連抗原(factor VIII related antigen, FVIII-RAg), von Willebrand factor(VWF)の局在と比較した。螢光抗体法では, MEC-1陽性構造は主として核に隣接する一部の細胞質に偏在して観察されたが, FVIII-RAgとVWFは細胞質全体に分散しており, MEC-1抗原とFVIII-RAg, VWFとの間に, 明らかな細胞内発現のパターンの差を認めた。しかし, 免疫電顕法では, 陽性反応はいずれの三者に対しても主にWeibel-Palade体(W-P体), 粗面小胞体(RER), ライソゾーム, ゴルジ装置に認められ, 反応陽性を示すオルガネラに質的な差異は認められなかつた。ただしRER陽性率がMEC-1抗原では低かつたのに対し, FVIII-RAgやVWFで高く, これがMEC-1抗原の細胞内発現パターンに差が生じた理由と考えられた。一方, ゴルジ装置では三者とも同じような染色パターンを示したが, いずれも免疫反応はゴルジ装置全体に出現したわけではなく, その一部, とくにbuddingしてW-P体やライソゾームを形成すると思われる部位にのみ認められる傾向があつた。W-P体は一般に反応陽性であつたが, 一部のW-P体には反応の弱いものがあり, W-P体に存在する各種抗原の含有量が個々のW-P体で異なる可能性が考えられた。以上の結果から, 1)MEC-1の合成, 貯蔵, 分解がFVIII-RAgやVWFと同様にECで行われること, 2)ただしその代謝パターンには若干の違いが存在することが示唆された。また, 本研究により, FVIII-RAg, VWFがゴルジ装置の一部に集積し, それがbuddingしてW-P体に輸送される可能性が示唆され, 従来の生化学的, 形態学的推定が裏付けられた。
  • 宇都宮 正裕, 大浦 一, 滝脇 弘嗣, 荒瀬 誠治, 重見 文雄
    1990 年 52 巻 6 号 p. 1164-1171
    発行日: 1990/12/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    レーザードップラー血流計を用い, 健康成人男子を被験対象に全身29ヵ所の皮膚血流量を測定した。血流量は, 下口唇, III指腹で最も高く(33∼34ml/min/100g), 次に耳垂, 手掌, 頬部, 踵, III趾腹, IlI指背, 顎部, 前額部の順に続いた(7∼11ml/min/100g)。掌蹠, 指趾, 顔面以外の部位ではいずれも低値であつた(2∼3ml/min/100g)。今回の数値は, 先に報告された他の血流量測定法(133Xeクリアランス法, 水素ガスクリアランス法)による数値に比して低値であつた。本稿ではさらに同血流計の皮膚科的応用例および本装置の有用性, 問題点についても言及する。
  • 佐々木 哲雄, 小野 秀貴, 中嶋 弘
    1990 年 52 巻 6 号 p. 1172-1176
    発行日: 1990/12/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    全身性鞏皮症(PSS)28例, 混合性結合組織病(MCTD)7例, overlap症候群(PSS+皮膚筋炎)3例において, 抗核抗体と皮膚, 肺, 食道病変の関連を検討した。PSSは抗Scl-70(topoisomerase I)抗体陽性15例(60%がBarnettタイプIII), 抗セントロメア抗体陽性8例(63%がタイプI), 抗RNP抗体陽性2例, その他の陽性3例で, MCTDとoverlap症候群は全例抗RNP抗体陽性であつた。抗セントロメア抗体群では抗Scl-70群に比して有意にタイプIが多かつた。発症年齢および現年齢は共に抗セントロメア抗体群, 抗Scl-70抗体群, 抗RNP抗体群の順に高かつた。抗SS-A抗体が13例, 抗SS-B抗体が3例, 抗Ki抗体が3例および抗ミトコンドリア抗体が2例で, いずれも他の抗核抗体と共存してみられた。Sjögren症候群の合併は, 抗Scl-70抗体群20%, 抗RNP抗体群50%, 抗セントロメア抗体群38%にみられた。肺線維症は抗Scl-70抗体群100%, 抗RNP抗体群42%, 抗セントロメア抗体群38%にみられ, 抗Scl-70抗体群は他の2群に比べて有意に高率であつた。食道機能異常は抗Scl-70抗体群87%, 抗RNP抗体群89%, 抗セントロメア抗体群63%にみられた。以上の成績より, 抗核抗体はPSSにおける皮膚病変の程度, 内臓病変の合併を予測する1つの手段となりうることが確認された。今後, PSSにおける抗核抗体の病因的意義が明らかにされることが期待される。
  • 前田 学, 鹿野 由紀子, 森 俊二
    1990 年 52 巻 6 号 p. 1177-1181
    発行日: 1990/12/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    計111例の全身性鞏皮症(PSS)患者(男:女=10:101, 49.5±10.9歳)を対象に25項目のアンケート方式によるADL(activity of daily living)調査を1987-1989の3年間に亙つて行つた。ADLは動作の難易度に応じて0∼4点の5段階の点数を与え, 何ら支障のない場合を100点満点とした。その結果, 49例(44.1%)は100点, 33例(29.7%)は90点台, 20例(18.0%)は80点台, 4例(3.6%)は各々70点台と60点台で1例のみ24.5点であつた。PSSのscore診断で0∼3点の軽∼中等症群と4∼6点の重症群の両群間でADLスコアを比較すると, 後者の方が有意に低値であつた。PSS 12例の3年間に亙るADLスコアの変動は少なく, ほぼ一定値を示した。「階段の昇降」, 「タオルを絞る」, 「座位から立位へ」が支障者数およびADLスコア値の面から障害が強く, 一方, 「洋式便所の使用」や「スプーンで食べる」は障害の程度が少なかつた。このADLスコアはPSSの重症度の評価や経過観察に有用であると考えられた。
講座
  • 植木 宏明
    1990 年 52 巻 6 号 p. 1182-1190
    発行日: 1990/12/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    これまでの各編で, SLE, PSS, MCTD, UCTD, Sjögren syndromeなどの膠原病症例を中心に私の経験と印象を記してきたが, 最終回は残りの皮膚筋炎, 成人Still病, urticarial vascultisなどについて二, 三, 触れてみたいと思う。そして, これまでの臨床症例から, 原因不明の疾患については確かな治療法がないのは残念なことではあるが, 早期発見, 早期治療と的確な対応によつて延命効果や生活の質の改善はある程度は期待できる。しかし, 細菌やスピロヘーター, リケッチャ感染症に対する抗生物質やある種のウイルス感染症に対するワクチン療法のごとき決定的な効果は所詮無理である。原因の解明と根本的な治療法の開発が切実であるが, 長い年月の掛かる地道な研究が必要である。今日巷には原因不明の癌に対する特効薬が数百種類も出回つていると聞くし, 厳重な二重盲検試験に合格していない薬剤が販売されている。患者や現場の医師からみれば, 藁にでも縋りたい気持にもなるが, やはり地道な基礎的研究を放棄しては患者に期待される成果は得られないことを銘記しておく必要があろう。後半の項目では膠原病の病因へ向けての探求の現場にも少し触れてみたい。
治療
  • —ステロイド剤の減量とマイルドな外用剤への変更について—
    城野 昌義, 小野 友道, 荒尾 龍喜, 木藤 正人, 前川 嘉洋, 野上 玲子, 古城 八寿子, 友田 哲郎, 工藤 昌一郎, 武藤 公一 ...
    1990 年 52 巻 6 号 p. 1191-1196
    発行日: 1990/12/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎患者53例にリザベン®を投与し, うち39例で長期(3ヵ月以上)投与が行われ, 併用副腎皮質ホルモン外用剤(ステロイド外用剤)の1日使用量の減量およびよりマイルドな外用剤への変更の可否を基準に, リザベン®の有用性を検討した。ステロイド外用剤の離脱例7.7%, 減量例51.3%と, ステロイド外用剤の減量は59%で行い得た。マイルドな外用剤への変更は59%で試み, 35.9%で変更できた。以上2パラメーターのいずれかを満たし, リザベン®が有用と判定された症例は74.3%であつた。全症例を通じ, 内服を中止させざるを得ないような副作用は認められなかつた。この結果より, アトピー性皮膚炎患者にリザベン®を併用することは有意義なことであると考えられた。
  • 大野 敦子, 沼田 恒実
    1990 年 52 巻 6 号 p. 1197-1201
    発行日: 1990/12/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    広島大学附属病院皮膚科アレルギー外来にて加療中のアトピー性皮膚炎患者のうち頭部に病変を有する26例を対象に, シャンプーの使用が臨床症状におよぼす影響と補助的治療効果について試験を実施した。各患者の従来の治療法に加え, ラウリル硫酸アンモニウムを主成分とする低刺激性シャンプー(コラージュシャンプー)を規則正しく使用させたところ, 26例中2例について鱗屑の増加, 落屑·そう痒感の増強がみとめられたが, 26例中21例(80.8%)に補助的効果がみとめられた。アトピー性皮膚炎患者に対して石鹸をはじめとする洗浄剤を使用することは好ましくないという意見もみられるが, 本シャンプーの使用は多くの症例においてアトピー性皮膚炎の臨床症状を悪化させることなく補助的治療効果を有する可能性があると考えられた。
  • 山田 秀和, 辻井 陽子, 山上 七寿子, 荒金 兆典, 佐伯 光義, 原田 正, 吉田 正己, 手塚 正
    1990 年 52 巻 6 号 p. 1202-1207
    発行日: 1990/12/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎は皮膚科外来でしばしば遭遇する疾患であるが, 西洋医学的治療では満足できる効果が得られていないのが現状である。このような背景から当院皮膚科においても漢方薬と西洋医学的治療法との併用に注目して実施している。今回, われわれは, 小柴胡湯と五苓散料との合剤である柴苓湯に注目し, 西洋医学的治療法との併用を試みた。対象は, 当院皮膚科を受診したアトピー性皮膚炎患者18例に対し柴苓湯エキス細粒(カネボウ薬品)を原則として4週間以上, 可能な症例については8週間の連続投与とした。併用薬剤は抗アレルギー剤, ステロイド内服剤は除き, その他の併用療法は可とした。その結果, そう痒, 潮紅, 丘疹, 肥厚·苔癬化, 掻破痕について有意な改善が認められた。一方ステロイド外用剤の減量が16例中7例に, さらに内5例で離脱が可能であつた。また, 内服剤については, 10例に抗ヒスタミン剤の併用が行われていたが, 内5例は投与中止可能であつた。このことからアトピー性皮膚炎の治療法の一つとして柴苓湯の有用性が示唆された。
  • Caroline W. CARDIN, Robert B. AMON, Jon M. HANIFIN, 堀 嘉昭
    1990 年 52 巻 6 号 p. 1208-1216
    発行日: 1990/12/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    Zinc pyrithione(ZPT)が, シャンプー中では0.95%∼2%, 整髪料中では0.1%∼0.25%の濃度でフケ症や脂漏性皮膚炎に対して効果があり, しかも安全な薬剤であることはすでによく知られている。最近, 大阪府下樟葉と寝屋川両市で日本人男女を対象として実施されたフケ防止効果の臨床調査により, Head and Shoulders rinse-in-shampoo(1% ZPT)および, Head and Shoulders shampoo(1% ZPT)とHead and Shoulders conditioning rinse(0.3% ZPT)併用は, Merit shampooとMerit moisture rinse(いずれもZPT配合)併用よりもフケ減少に有意な効果を示すことが判明した。また, すべてのZPT配合品はplaceboシャンプーよりもフケ減少に有意な効果を示した。フケ防止効果の程度に関連して, Head and Shoulders rinse-in-shampoo, またはHead and Shoulders shampooとHead and Shoulders conditioning rinse併用が, Merit shampooとMerit moisture rinse併用よりもフケの減少に有意に(p≤0.05)効果があると, 重度のフケ症の被験者自身により判定された。その上, Head and Shoulders shampooとHead and Shoulders conditioning rinseを併用した被験者は, 使用後, Merit sbampooとMerit moisture rinseを併用した被験者よりも有意に(p≤0.05)頭皮が改善され, また, 頭皮の乾燥程度が軽減したと判定した。Head and Shoulders shampooとHead and Shoulders conditioning rinse併用は, Merit shampooとMerit moisture rinse併用よりも有意に(p≤0.05)フケ防止効果と頭皮のかゆみや乾燥を防ぐ効果があると被験者自身により判定された。この臨床調査によると, 日本人の37%は調査対象に該当する程度のフケ症であるにもかかわらず, フケとり製品を使用していないことがわかつた。これらの被験者が, Head and Shoulders shampooとHead and Shoulders conditioning rinseの使用によりフケ症が改善されることは明らかである。Head and Shoulders shampooとHead and Shoulders conditioning rinseの継続的使用は, 日本人におけるフケ症の治療と予防にきわめて有用性が高いと思われる。
  • 金子 史男, 竹之下 秀雄, 下田 肇
    1990 年 52 巻 6 号 p. 1217-1221
    発行日: 1990/12/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    皮膚の乾燥症状を呈するアトピー性皮膚炎と老人性皮脂欠乏性皮膚炎を中心に, 他の皮膚乾燥症を加えて, 精製ツバキ油10%含有製剤(A-10: 製品名アトピコオイルローション)と20%含有製剤(C-20: 製品名カンピーノオイルローション)の長期使用による臨床効果を検討した。その結果, A-10を使用した84例中74例(88.1%), およびC-20では80例中66例(82.5%)に乾燥症状の改善傾向をみた。A-10およびC-20使用中の調査から, それらの使用感は「しつとり感」があると答えたものは, 前者では72.6%, 後者では65.0%であつた。副作用と思われる症状は, 小児のアトピー性皮膚炎などの炎症の強い部で刺激性と思われる症状が, A-10に8.3%, C-20に5.0%みられた。しかし, 12週間の使用に対しても, 感作性によるアレルギー性接触皮膚炎などの重篤な副作用はなかつた。これらのことから, A-10およびC-20はいずれも炎症の弱い皮膚乾燥部に皮膚表面調製剤として効果的に使用できるオイルローションである。
  • 山本 昇壯, 高橋 博之, 森 保, 片岡 和洋, 隅田 さちえ, 波多野 裕二, 岡野 伸二, 杉田 康志, 浜中 和子, 綿枝 耕二, ...
    1990 年 52 巻 6 号 p. 1222-1229
    発行日: 1990/12/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    親水軟膏にレチノイン酸とα-トコフェロールのエステル体(tocoretinate)を含有するL-300軟膏の第三相臨床試験として, 主として難治性皮膚潰瘍患者32例を対象に, 有効性および長期投与した際の安全性について検討した。最終全般改善度では「改善」以上の改善率は68.8%であり, 「有用」以上の有用率は68.8%であつた。副作用として1例に疼痛の発現を認めたが, 何ら処置することなく消失した。なお, 本剤に起因する臨床検査の異常変動は認められなかつた。また, 7週間以上投与した18例の長期投与例では, 改善率は83.3%, 有用率は77.8%と, それぞれ高い値が得られた。以上より, 本剤は長期投与に際して有効かつ安全で, 有用性の高い皮膚潰瘍治療剤であると思われる。
  • プロブコール臨床調査研究班
    1990 年 52 巻 6 号 p. 1230-1238
    発行日: 1990/12/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    眼瞼黄色腫患者に対してプロブコール1日1,000mg投与し, その退縮効果を検討した。解析対象50例中, 高コレステロール血症群(高コ群)25例(50%), 脂質正常群25例(50%)であつた。高コ群では23例(92%), 脂質正常群では17例(68%), 全体では40例(88%)に退縮効果を認めた。両群共に総コレステロールは投与1ヵ月後には低下したが, 低下の程度と黄色腫退縮効果には相関を認めなかつた。全例に副作用を認めなかつた。この退縮効果は, 血清コレステロールを低下させる作用とLDLに対する抗酸化作用による泡沫細胞形成の抑制と, HDLによるコレステロール逆転送の促進によると考えた。末梢組織での同様な泡沫細胞浸潤性疾患である動脈粥状硬化症にも退縮効果が期待される。本剤の優れた有用性から, 眼瞼黄色腫治療のファーストチョイスとなりうる薬剤であると考えた。
  • 中山 樹一郎, 松本 忠彦, 桐生 美磨, 堀 嘉昭, 矢幡 敬, 和田 恭子, 上田 説子, 原 幸子
    1990 年 52 巻 6 号 p. 1239-1245
    発行日: 1990/12/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    尋常性ざ瘡, 浅在性毛包炎に初期治療としてnorfloxacin(NFLX)1日600mgを投与し, 改善あるいは寛解状態となつた例にNFLX1日300mgを維持療法として最長8週間投与し, 再発予防効果および安全性を検討した。維持療法における再発例数は24例中8例であり, コントロール群(外用剤のみ投与, 25例中17例再発)にくらべ有意に再発が抑制された。副作用は初期投与で58例中2例にみられ, 投与中止によりすみやかに症状は消失した。維持療法期間中は副作用は認めなかつた。以上の結果からざ瘡, 毛包炎の治療および再発にNFLXは安全かつ有用と考えられた。
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