西日本皮膚科
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51 巻, 2 号
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図説
綜説
症例
  •  
    杉原 久美子, 出来尾 哲, 地土井 襄璽
    1989 年 51 巻 2 号 p. 222-226
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    61才男子に生じた関節症性乾癬の1例を報告した。本疾患は本邦においてもいくつかの報告がみられるが, 典型例は比較的まれである。自験例は, 皮疹が蠣殻状で浸出傾向を有し, しかも分布が外陰部, 腋窩など非定型的乾癬であつた点, 皮疹と関節症状が平行した点, 血清RA因子が陰性であつた点などほぼ典型的な関節症性乾癬の像を呈した。
  •  
    高橋 典大, 星野 稔, 馬場 徹, 上野 賢一
    1989 年 51 巻 2 号 p. 227-231
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    40才女子。繰り返す原因不明の38℃代の発熱, 圧痛を伴う全身の表在リンパ節腫脹, 自覚症のない浸潤性小紅斑を主訴に来院。皮膚病理組織像は真皮浅膚の血管周囲性単核細胞浸潤であり, 非特異的な反応性皮疹と思われた。頸部リンパ節病理組織像は, いわゆるstarly skyの像を呈し, 組織球性壊死性リンパ節炎と診断した。発熱, 皮疹, リンパ節腫脹は自然経過で寛解し, 軽快後3年以上を経た現在も再燃をみていない。
  • —特に免疫組織学的所見について—
    山口 令子, 豊田 裕之, 川島 真, 肥田野 信
    1989 年 51 巻 2 号 p. 232-236
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    Lymphocytic infiltration of the skinの4例(男子1例, 女子3例)を経験し, うち1例につきモノクローナル抗体を用いた酵素抗体法を施行したところ, 真皮の浸潤リンパ球は, T細胞主体で, CD4陽性細胞が優位であり, HLA-DR抗原陽性T細胞は約半数であつた。この所見から慢性エリテマトーデスやリンパ球腫と異なる独立疾患であることが示唆された。
  • 福井 良昌, 安立 あゆみ, 大橋 勝
    1989 年 51 巻 2 号 p. 237-241
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    外陰部に出現した巨大尖圭コンジローマの一例を報告した。組織学的には, 空胞細胞を持つた典型的な所見を示す部分と, 細胞配列が乱れ多数の細胞分裂像を含み, 悪性化を思わせる部分が存在し, 悪性腫瘍への移行期にあると考えた。電顕的観察では, 核内に径約50nmのウイルス様粒子が密に充満しており, 一部は格子様構造を示した。切除した腫瘍組織より抽出したDNAに何型のHPVが存在するかフィルターハイブリダイゼーションで調べ, HPV6 DNAと反応するDNAが検出された。
  •  
    桐原 義信, 堀江 昭夫, 大森 正樹, 末永 義則
    1989 年 51 巻 2 号 p. 242-245
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    63才女子の頭頂部に生じた円柱腫を報告する。組織学的に, 真皮内に充実性胞巣を形成していたが, 腺腔形成像は明らかでなく, 周辺は好酸性の硝子化した線維性結合織におおわれていた。腫瘍細胞には, やや小型の濃染性の核と大型の淡染性の核を持つ2種類の細胞がみられた。微細構造上, 大小のlipidが細胞質内にみられ, 隣接細胞と少数のdesmosomeにより接着し, 細胞間には無構造物質が認められた。
  • 池田 光徳
    1989 年 51 巻 2 号 p. 246-249
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    76才男子。14∼15年前より出現した右鼻唇溝部の結節を主訴として受診した。摘出標本の組織学的検索により, 毛包上皮腫といわゆる皮膚混合腫瘍との合併例であつた。後者はアポクリン腺への分化を示し, 両者の間には線維性の結合織による明確な境が認められた。これら2種類の皮膚付属器腫瘍の合併はきわめてまれである。同じ結節中に2種類の腫瘍が存在したことはこれらが同一の起源に由来することを示唆する。われわれはこれらがともに成年期になつてfacial cleft lineに発生することから, その起源をprimary epithelial germ cellのようなpluripotential cellと推測した。
  • —Bazex症候群の不完全型か—
    荒瀬 誠治, 中西 秀樹, 原田 伸, 重見 文雄, 武田 克之
    1989 年 51 巻 2 号 p. 250-255
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    四肢伸側に毛孔性皮膚萎縮を持つ中年男子に基底細胞癌が多発した。他の5人兄弟には皮疹をみなかつたが, 母親にも同様の毛孔性皮膚萎縮をみたことよりBazex症候群が疑われた。毛孔性皮膚萎縮は幼児期より前腕, 下腿の伸側ではつきりしており, ほとんどに体毛を伴つたが一部では脱落していた。基底細胞癌は42才時より顔面に初発し, 以後, 頭頸部や限界線照射の既往がある躯幹にも多発した。以上の臨床所見と, 頭髪, 発汗の異常はみられなかつたことを考えあわせ不完全型のBazex症候群と考えた。なお患者は22才時, 尋常性乾癬のため躯幹に限界線照射を受けたが, 両部にも多数の基底細胞癌が出現したことより, Bazex症候群患者には放射線治療は禁忌と考えた。
  • Small Cell Variant
    音山 和宣, 堀内 保宏, 鈴木 義史, 野崎 修, 増澤 幹男
    1989 年 51 巻 2 号 p. 256-260
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    茨城県鹿島郡生まれの79才男子に発症したSézary症候群の一例を報告した。腫瘍細胞は脳回転状の核を持ついわゆるSézary細胞は少なく, ヘテロクロマチンに富む核の切れ込みを有する直径6∼8μmの小型の細胞が主体であつた。これら腫瘍細胞はOKT4陽性のhelper-T細胞であつた。ATLA抗体は陰性であつた。エトレチネート50mg/日の投与を試みたが効果はみられなかつた。本邦におけるSézary症候群患者の発生分布を検討した。
  •  
    高崎 修旨, 板見 智, 藤原 作平, 高安 進, 横山 繁生
    1989 年 51 巻 2 号 p. 261-267
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    右頬部に急速に増大する有茎性腫瘍を生じた89才女性を報告した。腫瘍はダルマ型を呈し, 基部は正常皮膚で被われ弾性硬, 上部はびらん, 潰瘍を形成し, 弾性軟であつた。組織学的に腫瘍は表皮との連続はなく腫瘍基部は核/細胞質比の高い小型の未分化癌様細胞で占められ, 一方, 上部は扁平上皮癌様細胞, 肉腫様細胞, 未分化癌様細胞の3種の細胞よりなり, 相互の移行像も認められた。扁平上皮癌様細胞には腺腔構造並びにロゼット様構造を認め, さらに免疫組織学的に種々の方向への分化を示唆する所見が得られたため, 単に未分化癌とするよりも, 癌肉腫の中の“Kombinationstumoren”とするのが妥当と考えた。
研究
  • 鈴木 裕介, 増澤 幹男, 西山 茂夫
    1989 年 51 巻 2 号 p. 268-271
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    SLE, PSS患者における血漿中FVIII-RAg値, β-TG値を測定した。SLE42検体の血中FVIII-RAgは平均値193%(SD94)であり, 健常人コントロール群(12検体, 95±17%)と比較して有意に上昇していた(P<0.05)。また統計的有意差は得られなかつたが, SLEでは年令に比例して血漿中濃度が上昇する傾向があり, 一方コントロール群では年令による濃度差はみられなかつた。SLE各症例別に蛋白尿の有無, 赤沈, CRP, 低補体血症, CH50値低下と血中FVIII-RAgとの関係を検討したが, 有意の相関は認められなかつた。また臨床的には, レイノー症状, リベド様紅斑, アクロチアノーゼの有無と血中FVIII-RAgとの相関もなかつたが, その他の血管障害を示す臨床症状, すなわち環状紅斑, 壊死性血管炎, リベド上に生じた潰瘍, 微小血栓を有する小結節, 血栓性静脈炎を生じた各症例においては, 血中FVIII-RAgは150%以上の高値を示した。血中β-TGについてはPSS 15検体において平均値240ng/ml(SD89)であり, コントロール群(6検体, 120±23ng/ml)と比較して有意に上昇していた(P<0.01)。以上より, SLEでは血中FVIII-RAgが, PSSでは血中β-TGが有意に上昇しており, SLEでは主に血管内皮細胞の損傷·破壊機転が, PSSでは主に血小板消費·凝固機転が, それぞれ血管内で作働していると考えられた。
  • —患者の無疹部皮膚における角層機能の変化—
    只木 行啓, 田上 八朗
    1989 年 51 巻 2 号 p. 272-276
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    Etretinate内服による表皮角層機能に対する影響を患者の無疹部皮膚を用いて検討した。Etretinate内服により角層水分含有量は経時的に増加し, 生体角層水負荷試験での水分保持機能は高くなつた。経表皮性水分喪失量(TEWL)は内服2週目より上昇した。以上よりetretinateの内服は正常皮膚にも影響して角層水分保持機能を高め, 角層バリア機能を低下させるよう作用していることが明らかになつた。
  • 中村 猛彦, 山村 文衛, 丸尾 圭志, 水足 仁好子, 松永 若利, 荒尾 龍喜
    1989 年 51 巻 2 号 p. 277-280
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    熊本大学医学部附属病院に収容された重症熱傷患者で剖検に至つた症例計11例(男子6例, 女子5例, 平均年令51.4才)を対象とし, 主要臓器の組織所見を検討し, 若干の考察を加えた。受傷の原因は火炎, 熱湯などで, Burn Indexは平均48であつた。受傷後死亡までの期間は, 6日から50日の平均23日であつた。肺·肝·腎など諸臓器の病理組織学的所見としては, 循環障害, 栄養障害による変性像と, 感染による急性, 慢性の炎症像が混在し, これに加えて既往に伴う臓器変化がオーバーラップすることで, 多彩な様相を呈していた。これらの所見は, 熱傷自体による組織のダメージもさることながら, それに付随する感染症などの因子が病像を複雑化することを示唆しており, 重症熱傷患者の治療上, さらに検討を要する問題と思われた。
  • 作間 俊治, 熊野 祐司, 森 良一
    1989 年 51 巻 2 号 p. 281-287
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    単純ヘルペスウイルス(HSV)を経皮的に感染させたマウスを用いて, vidarabine(ara-A)軟膏の効果を検討した。HSV1型(HSV-1)側腹部皮内接種マウスにおいて, 接種3時間後よりara-A軟膏を塗布した群は, 対照群に比し死亡率の低下がみられた。接種24時間後より塗布した群は, 死亡率は低下しなかつたが, 生存期間の延長がみられた。Acyclovir耐性のHSV2型を側腹部に皮内接種したマウスにおいても, ara-A軟膏塗布により死亡率の低下および生存日数の延長がみられた。HSV-1会陰接種マウスにおいては, ara-A軟膏塗布により生存期間の延長がみられ, 抗HSV-1抗体を含むヒト血清の腹腔内注射との併用により, 死亡率が著しく低下した。
  •  
    西 隆久, 海塚 安郎, 西島 君実, 高橋 雅弘, 元木 清久, 幸田 弘
    1989 年 51 巻 2 号 p. 288-293
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    副腎皮質ホルモン剤による全身療法無効の水疱性類天疱瘡に, ニコチン酸アミド1500mgとミノサイクリン100mg内服の併用療法を行い著効を呈した2症例を報告した。症例1は19才女子で, プレドニゾロン45mg/日内服およびパルス療法はもとよりDDSにも全く反応しなかつたが, ニコチン酸アミドとドキシサイクリンの併用により, 2日後より皮疹の新生が止み, またそう痒も激減した。以後プレドニゾロンを急速に減量したが皮疹の再燃はなく, 5ヵ月間の投与で薬剤の投与を一切中止したが, 以後現在まで再発をみていない。症例2は77才の女子で, プレドニゾロン50mg/日とDDS 75mg/日で治療を開始したが効果なく, さらに胃潰瘍による大量吐血をきたしたため, プレドニゾロンをいつたん中止した。1週間後よりニコチン酸アミノとミノサイクリンの併用にベタメサゾン6mg注を再開したところ皮疹は急速に改善し, ベタメサゾン0.5mg/日との3者併用療法で, 6ヵ月後, 完全寛解状態にある。
講座
統計
  • 佐藤 典子, 真家 興隆, 正橋 寿子, 村井 博宣, 多田 有平, 八木 英一, 戸村 敦子, 佐藤 俊樹, 新沢 みどり, 早坂 祐子, ...
    1989 年 51 巻 2 号 p. 304-309
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    1972年1月から1988年5月までの当科で経験したcutaneous malignant lymphoma 22例を臨床的, 組織学的, 免疫組織化学的に検討した。男女比は12:10で, 発症時年令は40から49歳にピークがあつた。病型分類では菌状息肉症8例, セザリー症候群1例, ATLL 4例, B細胞リンパ腫3例, 組織球性リンパ腫2例, および分類不能4例であつた。組織は全例びまん性であり, LSG分類では多形細胞型14例, 大細胞型4例および中細胞型2例で, 本分類適用外の組織球性リンパ腫true histiocytic lymphomaは2例であつた。腫瘍細胞のサブセットは9例がT細胞性, 3例がB細胞性であつた。ATLL以外の例でATLA抗体陽性のものはなかつた。治療は放射線療法, 光線化学療法, 外科療法, 免疫療法および化学療法を単独あるいは組み合わせて施行した。50%生存期間は全体(22例)では69ヵ月であつた。病型別の50%生存期間は菌状息肉腫·セザリー症候群では93ヵ月であるのに対してATLLでは15ヵ月, B細胞性リンパ腫では6ヵ月, その他34ヵ月であり菌状息肉症·セザリー症候群の予後が良好であつた。これは多臓器浸潤が早い時期に起こるか否かが一因と思われ剖検所見もこれを裏付けた。極初期に適切な治療をした3例は再発がなく早期診断·治療の重要性が示された。
治療
  • TV-02軟膏研究会
    1989 年 51 巻 2 号 p. 310-316
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    乾癬患者を対象に, 活性型ビタミンD3である1α,24R-dihydroxy cholecalciferol(1α,24R-(OH)2D3: TV-02)を含有するTV-02軟膏の至適製剤濃度を決定するため, TV-02 1μg/g, 2μg/g, 4μg/g含有軟膏の3群について二重盲検法により検討した。同時に, 比較対照薬として代表的ステロイド軟膏の吉草酸ペタメタゾン軟膏または酪酸ヒドロコルチゾン軟膏を用い, 同一人で比較検討した。本試験は4施設の共同研究として実施し, 下記の成績を得た。
    1) TV-02軟膏3群の中等度改善以上の改善率は, ステロイド軟膏(吉草酸ベタメタゾン軟膏, 酪酸ヒドロコルチゾン軟膏)とほぼ同等であつた。
    2) 著明改善の改善率では, TV-02軟膏2μg/gおよび4μg/gが, TV-02軟膏1μg/gよりも高く, ステロイド軟膏より優れた傾向を示した。
    3) TV-02軟膏の2μg/gと4μg/gとの比較においては, 両者にあまり効果に差はなく, 安全性を考慮すれば至適製剤濃度は2μg/gと考えられた。
  • TV-02軟膏研究会
    1989 年 51 巻 2 号 p. 317-324
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    乾癬患者を対象に, 活性型ビタミンD3である1α,24R-dihydroxy cholecalciferol(1α,24R-(OH)2D3, TV-02). 4.0μg/g含有するTV-02軟膏の単回投与(5g, 10g, 20g)および連続投与(10g/日×7日間, 20g/日×7日間)による安全性確認試験を, 8施設の共同研究として実施した。その結果, 血清Ca, P, クレアチニン値および尿中Ca, P, クレアチニン値に特に変動は認められなかつた。血中の1α,24R-(OH)2D3はいずれもN. D. (検出感度の25pg/ml以下)であつた。また1α,25-(OH)2D, 24,25-(OH)2D, 25-OH-Dについても一定の傾向の変化は認められなかつた。連続投与の7例中5例に皮疹重症度の改善傾向がみられた。以上の結果から, TV-02軟膏は乾癬に対して, 全身性の影響が少なく安全性の高い治療薬としての可能性を示すものと考えられた。
  • 山本 修, 松尾 聿朗, 大城戸 宗男
    1989 年 51 巻 2 号 p. 325-328
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    新しく開発されたboothタイプの医療用紫外線照射装置M-DMR-TS型を用いて, 尋常性乾癬10例に対して内服PUVA療法を行つた。その結果, 皮疹消失5例, 著しく軽快1例, かなり軽快1例, やや軽快3例で, 本装置を用いた内服PUVA療法の有効率(かなり軽快以上)は70%であつた。皮疹消失までの照射回数は5∼11回(平均8.2回), 総照射量は29∼65J/cm2(平均47.8J/cm2)で, 従来の内服PUVA療法の報告にくらべると照射回数, 照射量が比較的少くて効果が認められた。また, 1回の治療時間の短縮も可能となつた。
  • 高島 明, 松波 江利子, 山本 敬三, 水野 信行
    1989 年 51 巻 2 号 p. 329-334
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    全身用立型UVA照射装置(M-DMR-TS型デルマレイ)の特性をのべ, かつ外用PUVA治療での有用性をしらべた。本装置の特徴を以下にあげる。(1)1回の照射で全身の照射ができる。(2)照射率が従来の装置に比べて高い。したがつて全身の照射に要する治療時間を大きく短縮することができる。また(3)分光放射束は305∼440nmに分布し, 352nmにピークをもつ。(4)体表面各部位の照射率は比較的均一に分布する。(5)装置内の温度上昇が強い。本装置を使つて尋常性乾癬および他の全身性皮膚疾患を外用PUVAで治療した。乾癬に対する治療成績は, 治療30回PUVA単独療法で著効以上が13/23例(56.5%)およびエトレチネート·PUVA併用療法で12/19例(63.2%)であつた。そのほかPUVA15回で著効以上の例は成人型アトピー性皮膚炎の5/7例(71.4%), 滴状類乾癬で3/3例(100%)および斑状類乾癬で1/2例(50%)であつた。これら54例の治療中, 本装置が原因と思われる副作用あるいは事故は1件もなく, その安全性は高く評価できた。
  • 石井 徹, 小島 伸恭, 藤井 勝善, 横尾 和久, 青山 久
    1989 年 51 巻 2 号 p. 335-340
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    熱傷創部感染症および熱傷創の術前·術後の感染予防にスルバクタムナトリウム·セフォペラゾンナトリウム(スルペラゾンSBT/CPZ: 以下S/C)を原則として成人には1回2g(力価)を1日2回, 3日間以上投与し, その臨床効果を検討した。対象は術前より明らかな表在性二次感染あるいは創面より菌の分離がみられた8例を含む植皮術実施例26例と植皮術を実施しなかつた4例である。その結果, 植皮術を行つた26例中術後早期に死亡した2例を除き, 全例で植皮の生着を認め, これは本剤の投与により創部における菌数の増加が抑制されているためと考えられた。また, 植皮術を施行しなかつた4例においても, 創面培養および発熱などの全身症状より, 本剤の投与は有効と判定された。副作用はいずれの症例においても特記すべきものは認められなかつた。今回の治療の成績およびS/Cの抗菌スペクトル, 安全性などより考慮し, S/Cは熱傷創に対する感染および感染予防に有用な化学療法剤と考えられる。
  • 利谷 昭治, 大島 恒雄
    1989 年 51 巻 2 号 p. 341-347
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    プロピオン酸クロベタゾールを0.5%含有するマハディ軟膏とマハディ外用液の皮膚疾患における治療効果を検討した。アトピー性皮膚炎, 接触皮膚炎, 急性湿疹, 慢性湿疹, 脂漏性湿疹および乾癬などを対象疾患として, マハディ外用液は, 使用部位を頭部に限定して行つた。マハディ軟膏とマハディ外用液は, 各疾患に非常に有効であり, 副作用はまつたく認められなかつた。薬剤別に効果を総合すると, マハディ軟膏は24症例で, きわめて有用が17例(70.8%), 有用が7例(29.2%)であり, マハディ外用液は, 21症例で, きわめて有用が16例(76.2%), 有用が5例(23.8%)であり, 全症例が有用以上であつた。今回の治療成績より, マハディ軟膏とマハディ外用液は各種皮膚疾患に対して, 有用な薬剤であると評価することができる。
  • —Difluprednate軟膏とBetamethasone-17-valerate/Gentamicin軟膏の比較—
    西本 勝太郎, 山本 憲嗣, 塚崎 直子
    1989 年 51 巻 2 号 p. 348-351
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    副腎皮質ステロイド外用療法時における, 湿疹·皮膚炎病巣部のブドウ球菌数を, ガラス管, 小ブラシを用いた洗浄法によつて測定し, その変動を二薬剤(Difluprednate軟膏およびBetamethasone-17-valerate 0.1% Gentamicin軟膏)について比較した。結果は,
    1) 病巣のブドウ球菌数は症状の改善度と並行して減少し, 皮疹が治療した状態では, ごくわずかの菌しか検出されない。
    2) 病巣部のブドウ球菌数は, 外用剤に含まれる抗生剤よりはむしろ皮疹の湿潤度, いいかえれば外用ステロイドの治療効果に強く影響された。
    以上より, 明らかな感染のない湿疹·皮膚炎病巣に対しては, 充分な強さの外用ステロイド剤の使用のみで良いことを確認した。
  • —0.05% Difluprednate軟膏単純塗布の場合—
    阿曽 三樹, 島雄 周平, 岩崎 和美, 井上 忠典, 森村 司, 岡田 しのぶ, 三原 基之
    1989 年 51 巻 2 号 p. 352-358
    発行日: 1989/04/01
    公開日: 2012/03/03
    ジャーナル 認証あり
    自家感作性皮膚炎1例, 尋常性乾癬4例, 計5例の患者に0.05% difluprednate軟膏30∼60g/dayを単純塗布し, 血清11-OHCS値, 末梢循環好酸球数, 血糖値の変動並びに臨床効果を観察した。外用中, 血清11-OHCS値は40g/day塗布3例中2例で明らかな低下が認められたが, 30g/day, 60g/day塗布各1例では低下は認められなかつた。末梢循環好酸球数は30g/day, 40g/day各1例で明らかに減少した。血糖値は40g/day 1例で一過性に上昇した。臨床効果は非常に優れていた。Difluprednate軟膏はその臨床効果と比較すると, 副腎皮質機能抑制作用は軽度であり, 臨床効果と全身作用の分離を示すコルチコステロイド外用剤と考えられた。
世界の皮膚科学者
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