西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
39 巻, 6 号
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
図説
綜説
  • 中溝 慶生
    1977 年 39 巻 6 号 p. 855-859
    発行日: 1977/12/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    By means of the method of paired comparison, the value of the topical treatment of psoriasis by ultraviolet (UV) light irradiation, especially in combination with crude coal tar ointment and anthralin paste, was studied.
    1) Our studies had indicated that UV light irradiation was an important component in the Goeckerman treatment of psoriasis, especially the combination UV-B (Toshiba FL 20 S. E-30 305 nm) irradiation with crude coal tar was superior to UV-A (Toshiba FL 20 S. BLB 352 nm) irradiation with crude coal tar and tar alone.
    2) In the combination of UV light irradiation with anthralin paste, UV light irradiation was found to be equally effective, with no significant differency in therapeutic effect between UV-A and UV-B irradiation. But clinically, the combination of UV light irradiation with anthralin paste had little more effect than anthralin paste alone.
    3) Earlier improvement of the psoriatic lesions was seen in the topical corticosteroid treatment group than the anthralin treatment and Goeckerman treatment groups, the mean treatment duration was each 22 days, 30 days and 34 days. But early relapse was also seen in the topical corticosteroid treatment group, the Goeckerman treatment group had a longer duration of remission than the the topical corticosteroid treatment group, the mean remission period was 8.7 months and 4.1 months.
    The Goeckerman treatment was superior to the topical corticosteroid treatment.
症例
  • 石倉 一夫, 加畑 雅行, 佐藤 静生, 境 繁雄, 菅原 光雄
    1977 年 39 巻 6 号 p. 860-867
    発行日: 1977/12/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    41才男性の後頭部より項部にかけて, 隆起した苔癬化局面, 粗大皺壁形成をもつlichen myxedematosusを報告した。検査成績で内分泌機能は正常, GOT, GPT, γ-gl, β-glucuronidaseの高値を認めるがM成分はなかつた。尿中ウロン酸値は減少。組織学的に真皮上層から中層の結合織の離開と同部にヒアルロン酸の沈着を認めた。電顕的にfibroblastのrERは拡大し, 細顆粒状物質を入れる。Fibroblast, collagen周囲にも同様物質が認められる。Luftのrutheniumred染色で, 結合織成分間に太いfiber様構造が大きなnetworkを作りその中でさらに細いFilament構造がくもの巣状にみられ, 交叉点には不定形塊状物質の沈着をみた。fibroblastのrER, vacuole中にも同様filament構造が認められ, 本症の局所ではfibroblastでの分泌が亢進しているものと推測した。
  •  
    瀬戸山 充, 田中 貞夫
    1977 年 39 巻 6 号 p. 868-879
    発行日: 1977/12/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    本論文は皮膚に原発した4例の悪性脂腺腫瘍について臨床的病理組織学的検索結果をまとめたものである。うち2例は脂腺分化をともなう基底細胞癌, 他の2例は脂腺癌とみなされる。症例はそれぞれ54才女性, 67才女性, 53才男性と69才女性である。腫瘍はいずれも顔面, 頭部に発生しており, 大きさは1.0~3.0cm大の隆起性病変である。組織学的には脂腺分化をともなう基底細胞癌では泡沫細胞と好塩基性細胞質を有する未分化細胞からなり, 一方, 脂腺癌は泡沫細胞と好酸性細胞質を有する未分化細胞からなり両者の未分化細胞の性状に差が認められた。上記の所見は両腫瘍の本態ないしは組織発生の点で差があることが推察されたが, これらの点について検討し, さらに本邦報告例について文献的に考察した。
  • 堀 真, 佐伯 武彦, 里見 行義, 江上 和也
    1977 年 39 巻 6 号 p. 880-885
    発行日: 1977/12/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    45才女性の子宮頸癌術後の放射線照射部の臀部皮膚に8年後, 線維肉腫の発生をみた。約2年間の経過で肺, リンパ節転移がみられ死亡した。最終的な診断は線維肉腫で, 電子顕微鏡的にもそれに一致する所見をえた。線維肉腫の診断は場合により, 隆起性皮膚線維肉腫, 線維性組織球腫, 血管拡張性肉芽腫から鑑別されねばならないことが痛感された。
  • 岡田 哲哉, 田代 正昭
    1977 年 39 巻 6 号 p. 886-891
    発行日: 1977/12/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    線維芽細胞や組織球から構成される腫瘍の2例について報告した。このような腫瘍の分類ならびに名称にかんしては種々の説があり一定の見解には達していない。自験例の組織学的所見において, 1例は多数の泡沫細胞からなる部位と線維ならびに線維芽細胞からなる部位がみられ, 他の一例では組織球様細胞の部と線維ならびに線維芽細胞からなる部がみられ, さらにその線維芽細胞と線維は渦巻状配列や車軸状配列を呈していた。線維芽細胞や組織球からなる腫瘍をfibrous histiocytomaという概念のもとに一括して, これを細分して考える湯本の説に賛同し, 自験前例はfibrous xanthoma, 後者は狭義(仮称)のfibrous histiocytomaと考えた。
  • 多田 ひろし, 益田 勤, 西岡 裕定, 荒田 次郎
    1977 年 39 巻 6 号 p. 892-897
    発行日: 1977/12/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    皮膚原発性と考えられる白血性細網症の55才男子例を報告し, 鑑別診断について考察した。皮疹は紅色丘疹ないし浸潤性融合局面が下腿を除くほぼ全身性に認められるが腫瘤状の増殖はない。肝脾腫をともない, 末梢血液中の白血球数は約50,000/mm3に増加し, 異常細胞は分画中50.4%を占めた。組織学的には細網細胞が真皮から皮下脂肪組織にびまん性に増殖するが, 腫瘤状の増殖, 附属器組織への破壊性浸潤像はなかつた。リンパ節および骨髄は基本構造は保たれており, 異常細胞の浸潤も認められた。皮疹がリンパ節腫大に先行し, 脾腫も軽度であり, 骨髄中の異常細胞の占める割合は23.8%と低いことから, 皮膚原発性の白血性細網症と考えた。全経過は5ヵ月であつた。
  • 児浦 純義, 大畑 宜久, 田代 正昭
    1977 年 39 巻 6 号 p. 898-902
    発行日: 1977/12/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    第1例 37才男子, 初診の約1週間前に左側腕屈側のほぼ中央に, 軽度の圧痛を有する皮下結節に気づいている。摘出時の所見は表皮下から真皮, 皮下脂肪織にかけて存在するほぼ長円形の割面白色の実質性の腫瘍である。第2例 39才女子, 初診の約12日前に右前腕の皮下硬結に気づいたが, 約4日前からやや増大してきたという。腫瘍塊は真皮下層より, 脂肪織におよんでいる。両者とも, 病理組織学的にいわゆるnodular fasciitisの所見を呈した。
  • 金光 明, 稲田 修一, 山本 昇壮, 藤井 佳子, 高木 俊雄
    1977 年 39 巻 6 号 p. 903-907
    発行日: 1977/12/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    生後3ヵ月の男児にみとめられた興味ある臨床像を示す新生児皮下脂肪壊死症を報告した。生後1ヵ月ころより右上腕, 左上腕, 背部に圧痛をともなう皮下硬結が生じ, しだいに患部は陥凹してきた。光顕所見では皮下脂肪織に脂肪細胞の変性, 壊死と多数の組織球, 異物型巨細胞の浸潤, 部分的にカルシウム沈着がみとめられた。電顕的には組織球, 異物型巨細胞に大小の脂肪空胞とときに針状の空隙がみとめられ, 一部に網状構造を示す変性脂肪細胞はこれらの浸潤細胞にとり囲まれていた。
  • 田野 由和夫, 西村 正幸
    1977 年 39 巻 6 号 p. 908-911
    発行日: 1977/12/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    28才, 22才, 25才女子の陰部疱疹の3例を報告した。ウイルス分離できた2例はいずれも単純疱疹ウイルスI型であつた。3例とも発赤, 腫脹, 疼痛が強く, 小水疱, 糜爛形成も著明で, またI型単純疱疹ウイルスが分離され, 川名のいう急性型と一致する。また28才女子例は分娩直前であつたため, 新生児の経産道感染防止のため帝王切開をおこなつた。
  • 安藤 謙治, 津田 真五, 柴田 英徳, 加生 丈夫
    1977 年 39 巻 6 号 p. 912-915
    発行日: 1977/12/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    皮膚に広範囲に転移癌を生じ死亡した45才男子について剖検した。剖検により癌細胞(印環細胞)が皮膚, 甲状腺, 顎下腺, 心臓, 副腎, 胆のう, 胆管, 腸間膜に観察された。初診約8ヵ月前に胃癌の診断で胃亜全摘術をうけているが, 胃の組織学的所見は不明である。原発巣は組織学所見, 電子顕微鏡所見および, 胃切除の既往歴などにより上部消化管(胃)が強く示唆された。
研究
  • 重見 文雄, 白石 聰, 浦野 芳夫, 大崎 正文
    1977 年 39 巻 6 号 p. 916-920
    発行日: 1977/12/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    Sunburn反応および8-MOP塗布後にUVAを照射して生起する紅斑反応(PUVA紅斑)における局所線溶の変動を追求した。両反応とも局所線溶は紫外線照射1~6時間後に, sunburnにおいては真皮下層で, PUVA紅斑においては真皮上層で亢進した。Sunburnではこの時期に潮紅が増強し, 12時間以降は潮紅の減弱とともに局所線溶活性も真皮全域で低下し, 72時間後には紅斑は消退し, 線溶現象も認められなかつた。他方, PUVA紅斑においては局所線溶の亢進期には紅斑が生じることなく, 正常活性に復した約18時間後から紅斑を認めるようになつた。それ以降は紅斑はしだいに増強したが, 局所線溶は真皮上層で減弱し, 96時間後には消失した。この間, 真皮下層の線溶活性は動揺していたが, 96時間後も正常活性が保たれていた。また, 抗プラスミン剤の投与はPUVA紅斑を抑制した。
  • I. 低温灰化法の検討
    花田 勝美, 菅谷 彪
    1977 年 39 巻 6 号 p. 921-924
    発行日: 1977/12/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    皮膚組織内のZn測定法を検討し, とくに組織の恒量化に要する時間を部位別に表皮, 真皮に分離して観察した。恒量化後の灰化には低温プラズマ灰化法を導入し, 原子吸光法にて測定, 再現性, 回収率および検量線について満足すべき結果が得られ, 組織内亜鉛の定量法として有用であることが認められた。
  • 土岐 尚親
    1977 年 39 巻 6 号 p. 925-928
    発行日: 1977/12/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    臨床的に紅皮症と診断した11症例に抗プラスミン剤のひとつであるtranexamic acid, 1日6カプセル内服療法を行なつた。療法の結果は著効1例, 有効2例, 無効8例であつた。紅皮症と線溶系酵素の関連性, 紅皮症にたいするtranexamic acidの作用機序について解明すべく, リジンセファローズアフィニティークロマトグラフィー法により患者血中の線溶系酵素およびインヒビターをおのおの測定した。結果は抗プラスミン療法の著効した1例においてのみ, 紅皮症状態においてプラスミノーゲン, 即時型アンチプラスミン低値をみたものの, 他の全症例, 全経過を通じて異常値をみとめなかつた。Tranexamic acidの各種蛋白分画酵素にたいするインヒビターとしての性質より, 紅皮症の発現機序について考察した。
講座
治療
世界の皮膚科学者
feedback
Top