西日本皮膚科
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81 巻 , 2 号
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目次
図説
  • 陣内 駿一, 並川 健二郎, 森 泰昌, 山﨑 直也
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 81 巻 2 号 p. 83-84
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2019/05/20
    ジャーナル 認証あり

    症例:36歳,男性

    主訴:左中指爪の黒色線条

    既往歴:特記事項なし

    現病歴:201X 年9月頃に左中指爪に褐色∼黒色の黒色線条を自覚した。色素線条は徐々に幅が太くなり,軽度圧痛を伴うようになってきた。同年11月に近医皮膚科を受診し疣贅と爪下血腫の診断で凍結療法を3回施行されるも改善は認められなかった。翌年1月に前医を受診し悪性黒色腫の疑いで,同月当科に紹介された。

    現症:左中指爪甲に幅6 mm の黒色色素線条を認め,橈側の側爪郭にかけて爪の変形,また表面角化を認めた(図1 ab)。左肘,左腋窩リンパ節は触知しなかった。

    ダーモスコピー所見:左中指爪甲橈側に濃淡差の目立つ褐色∼黒色の色素線条を認め,濃淡の分布は不規則,非対称性であった。また triangular pigmentation も呈していた。指尖にかけて黒色色素の染み出しや,爪上皮部の明らかな Hutchinson 徴候は認めなかった(図1 c)。

    病理組織学的所見(HE 染色):錯角化を伴った角質肥厚,また表皮肥厚も認めており,dyskeratotic cell が散見された。clumping cell は明らかではなかった。腫瘍は真皮に対して圧排性に増殖しており(図2 ab),個細胞性の浸潤や間質反応を伴った明らかな浸潤は認められなかった。免疫組織化学染色では腫瘍細胞は p40(+),p16(+),S100(-),HMB45(-),Melan A(-)であった。

    診断:左中指爪甲下有棘細胞癌

    経過:腫瘍を局所麻酔下に切除し,人工真皮を貼付した。その後,病理組織学的検査で表皮内有棘細胞癌の診断となった。切除断端は陰性であったため翌 2 月に局所麻酔下で全層植皮術を施行した。その後,植皮の生着は良好で,再発は認めていない。また術後 1 年後の全身造影 CT でも明らかな遠隔転移を認めていない。

  • 福與 麻耶, 伊藤 宏太郎, 今福 信一
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 81 巻 2 号 p. 85-86
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2019/05/20
    ジャーナル 認証あり

    症例:73 歳,女性

    主訴:両耳後部の皮疹

    現病歴:5 年前より両耳後部の自覚症状を伴わない皮疹があるのに気付いていた。

    初診時臨床所見:両耳後部に限局して境界明瞭な局面が左右ほぼ対称にみられた。局面内には 1∼2 mm の灰色から白色の丘疹が密に集簇していた(図1 ab)。ダーモスコピー所見で白色真珠様の構造物がみられ,角質の排出像と周囲に血管拡張が認められた(図2 ab)。

    病理組織学的所見:真皮内に正常表皮と同じ構造からなる壁を有する囊腫を認め,囊腫内腔には層状の角質物質を認めた。囊腫壁周囲に軽度炎症性細胞浸潤を認めた(図3 ab)。

    診断,治療および経過:病理組織学的所見と特徴的な臨床像を併せて milia en plaque と診断した。外科的治療の希望はなかったためアダパレン外用にて経過観察中である。

綜説
症例
  • 圓島 瞳実, 三好 由華, 竹本 朱美, 中野 純二
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 81 巻 2 号 p. 103-105
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2019/05/20
    ジャーナル 認証あり

    生後2日,男児。出生時に全身のびまん性潮紅とコロジオン膜様落屑を呈していた。その後紅皮症状態となり,当科を受診した。初診時,全身が光沢のある薄い膜様鱗屑で被包され,いわゆるコロジオン児の状態で一部亀裂を生じていた。閉眼時の眼瞼外反と口唇の外反を認めた。病理組織学的には角層の軽度の肥厚を認め,不全角化はなかった。表皮は著変なく,真皮上層では毛細血管の拡張を認めた。遺伝子検査では,患児のトランスグルタミナーゼ 1遺伝子座の Exon 4でグアニンがアデニンに,また Exon 6 でシトシンがチミンに変異しており,それぞれの変異は両親から遺伝したものと判明し,非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症と診断した。20%尿素製剤の外用で症状は軽快したが,重症度や予後に関しては変異座や病理組織像における異常所見との明確な対応はみつかっておらず,今後の経過を慎重に観察していく必要がある。

  • 堤 碧, 中村 美沙, 河津 宗太郎, 伊東 孝通, 古江 増隆
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 81 巻 2 号 p. 106-109
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2019/05/20
    ジャーナル 認証あり

    88 歳,女性。子宮頚癌と直腸癌の手術歴がある。86歳時に高度の炎症性貧血を呈し,以後,輸血を繰り返していた。87 歳時に左人工股関節再置換術を施行され,リハビリテーション目的で当院に入院中だった。入院後,徐々に全身に灰青色のびまん性色素沈着を生じ,精査目的に88 歳時に当科を初めて受診された。病理組織学的所見では,真皮から皮下に Berlin blue 染色陽性顆粒の沈着を認め,画像検査で腹部実質臓器に鉄の沈着を示唆する所見があり,続発性ヘモクロマトーシスと診断した。血液検査で血清 IL-6 の上昇を認め,高度貧血の病態とヘモクロマトーシスの発生機序に関与すると考えた。

  • 北川 徳子, 三苫 千景, 和田 麻衣子, 内 博史, 古江 増隆
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 81 巻 2 号 p. 110-114
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2019/05/20
    ジャーナル 認証あり

    脂腺腫 (sebaceoma) は,中高年の女性の顔面に好発する脂腺系良性腫瘍である。腫瘍細胞は様々な組織パターンを呈し,rippled-pattern は,基底細胞様細胞が間質を挟んで平行に規則正しく並ぶ所見である。 症例は 77 歳,男性,初診の約 2 年前に頭頂部の常色結節に気付いた。結節は近医で切除されたが再発し,当科に紹介された。初診時,頭頂部に 12×11 mm の常色結節がみられた。切除標本は病理組織学的に真皮内に腫瘍胞巣がみられ,基底細胞様細胞が増殖していた。腫瘍細胞は rippled-pattern を呈して増殖している部分もあった。脂腺導管様構造を示す部分は明らかではなかった。免疫組織化学染色では Ber-EP4 は陰性で,P63 は大半の腫瘍細胞の核に染色された。また,rippled-pattern を示す腫瘍細胞の細胞質は adipophilin や perilipin に染色された。以上より rippled-pattern sebaceoma と診断した。通常の sebaceoma は中高年女性の顔面に発生することが多いが,rippled-pattern sebaceoma は高齢男性の頭部に好発する特徴がある。自験例は高齢男性の頭部に発生した典型的な症例だった。Rippled-pattern sebaceoma の特徴について考察し,報告する。

  • 深井 恭子, 小松 恒太郎, 松尾 雄司, 林 健太郎, 苅谷 嘉之, 宮城 拓也, 山口 さやか, 照屋 操, 高橋 健造
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 81 巻 2 号 p. 115-119
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2019/05/20
    ジャーナル 認証あり

    症例 1:87 歳,男性。18 歳時に L 型ハンセン病と診断された。5 年前から左足背に皮膚潰瘍があり,次第に隆起してきた。初診時,左足背に腫瘤があり,病理組織検査にて有棘細胞癌と診断し,左下腿切断術を施行した。症例 2:54 歳,男性。20 歳で L 型ハンセン病と診断された。43 歳頃より右第1 趾に皮膚潰瘍があり,47 歳時,病理組織検査にて有棘細胞癌と診断し右下腿切断術を施行した。30 代から左足底には胼胝があり,52 歳頃に皮膚潰瘍が出現した。54 歳時,潰瘍が増大し,病理組織検査にて有棘細胞癌と診断し,左第1~3 趾切断術を行った。術後約 3 カ月で術後創部から再発,肺に転移し永眠した。ハンセン病の慢性潰瘍は瘢痕癌の発生母地となる。瘢痕癌は他の有棘細胞癌より予後不良であり,ハンセン病の後遺症による神経障害で生じた難治性潰瘍は注意深く経過観察する必要がある。

  • 川上 麻衣, 清水 裕毅, 久保田 由美子
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 81 巻 2 号 p. 120-124
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2019/05/20
    ジャーナル 認証あり

    症例は 50 歳,女性。左下腿の虫刺様皮疹に対し市販外用薬を塗布していたが,同部が潰瘍を伴う隆起性病変となったため,1 カ月後,当科を受診した。初診時,左下腿内側に径 3 cm の黄色痂皮が付着した隆起性潰瘍病変を認め,ヨードコート®軟膏外用を開始したが悪化したため,壊疽性膿皮症などを疑った。血液検査で血清クロール濃度(Cl)が 156 mEq/l(正常:98∼108 mEq/l)と異常高値であったが,4 年前から高 Cl 血症であったことが判明した。詳細な問診の結果,約 10 年間,慢性頭痛に対してブロモバレリル尿素含有の市販鎮痛薬(ナロン®顆粒)を内服していることが判明した。臭素摂取過量による偽性高 Cl 血症を呈したと考え,血中臭素濃度を測定したところ 500 mg/l(正常 5 mg/l 以下)と中毒域であった。皮疹辺縁部の皮膚生検では表皮は偽癌性増殖を呈し,真皮内には膿瘍形成を認め,臭素疹と確定診断した。 その後,ナロン®顆粒の内服を中止したところ速やかに Cl は正常化し,皮疹も色素沈着となり軽快した。 軽微な外傷から生じた難治性の潰瘍病変は壊疽性膿皮症などをまず考えるが,臭化物の内服歴や高 Cl 血症を確認し,臭素疹を鑑別に入れる必要がある。

研究
  • 中川 優生, 千貫 祐子, 村田 将, 新原 寛之, 飛田 礼子, 森田 栄伸
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 81 巻 2 号 p. 125-127
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2019/05/20
    ジャーナル 認証あり

    牛肉アレルギーの主要抗原エピトープである糖鎖 galactose-α-1,3-galactose(α-gal)に対する感作の誘因として,マダニ咬傷の関与が示唆されている。今回我々は,マダニ咬傷後の患者 9 名について,牛肉特異的 IgE 値を経時的に測定することで,マダニ咬傷と牛肉アレルギーの関連性を調査した。その結果,マダニ咬傷後の患者 9 名中 3 名で,初診時に既に牛肉特異的 IgE が検出された。初診 2 週後には 9 名中 2 名で牛肉特異的 IgE の上昇がみられた。ただし,臨床的に牛肉アレルギーを発症した患者はいなかったが,α-gal 特異的 IgE は 9 名中 5 名で検出された。マダニ咬傷と牛肉アレルギー発症の関連性について,若干の文献的考察を加えて報告する。

世界の皮膚科学者
  • Dong-Youn Lee
    原稿種別: レター
    2019 年 81 巻 2 号 p. 131-132
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2019/05/20
    ジャーナル 認証あり

    Dr. Dong-Youn Lee is a professor and chair of the Department of Dermatology at Samsung Medical Center, Sungkyunkwan University, Seoul, Korea. He is a director for education program in Korean Dermatological Association. Dr. Lee graduated from Seoul National University (M.D., Ph.D.) and completed his dermatology residency and fellowship at the Seoul National University Hospital. On the weekends of his residency period, he participated in treating poor people free of charge. In 2004, he received International Board of Dermatopathology. He studied about innate immunity in sebocytes as a research fellow under the guidance of Professor Richard Gallo in the Department of Dermatology, University of California, San Diego from 2006 to 2008.

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