西日本皮膚科
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41 巻, 1 号
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図説
綜説
症例
  • 穐山 富雄, 本多 哲三, 堀 真
    1979 年 41 巻 1 号 p. 14-20
    発行日: 1979/02/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    58才男子例を報告した。右側頭部に初発疹(皮膚腫瘤)を生じ, その後顔面, 上腕部にも腫瘤を生じ, 肺野にも異常陰影がみられた。頭部, 肺野腫瘤の生検によりepithelioid sarcomaと診断した。本症の臨床像, および発生病理について若干の文献的考察を行なつた。
  • 磯田 美登里, 幸田 弘, 山下 正文, 米増 祐吉
    1979 年 41 巻 1 号 p. 21-24
    発行日: 1979/02/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    2ヵ月女児の仙骨部に脂肪腫, 多毛, 血管腫, くぼみがみられた潜在性二分脊椎の1例を報告した。また脊椎癒合不全症における皮膚症状について記載した。背部正中線上の皮膚ないし皮下の異常にたいしては, つねに深部の中枢神経系, 脊髄との関連を疑い, 精査する必要があると考える。
  • —とくに電顕像を中心に—
    篠田 英和, 堀 真
    1979 年 41 巻 1 号 p. 25-35
    発行日: 1979/02/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    DICを合併した悪性血管内皮細胞腫の1例(73才女子)について, その管腔形成過程を電顕的に検索し報告した。腫瘍細胞内にはよく発達したミトコンドリア, 粗面小胞体および多数のライソゾームがみられた。腫瘍細胞の管腔形成過程は, ライソゾームより放出される加水分解酵素による細胞内空胞で始まり, その増大とともに細胞外の管腔形成で終了すると思われた。これらの所見は, Hissらの胎生期における血管形成過程とほぼ一致するものであつた。
  • —両者の関係についての考察—
    山川 敬子, 福代 新治, 高岩 堯
    1979 年 41 巻 1 号 p. 36-40
    発行日: 1979/02/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    4才男子に生じたpityriasis lichenoides chronica(PLC)と18才女子(妊娠8ヵ月)に生じたpityriasis lichenoides et varioliformis acuta(PLVA)の各1例を報告した。前者は, 組織像では多数のリンパ球と組織球の浸潤, 赤血球の遊出像がみられたが, 臨症像よりPLCと診断した。後者はPLVAの典型的組織像を示し16ヵ月後に軽快した。両者の臨床および組織像よりPLCとPLVAは同一範疇の疾患であると考えた。
  • 町野 博, 川津 智是, 三木 吉治
    1979 年 41 巻 1 号 p. 41-45
    発行日: 1979/02/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    幼児期より四肢末梢部に角化性丘疹を反復発生した26才男子例を報告した。皮疹は全経過8週間前後で, 浅い瘢痕を残し自然消退した。組織学的には角栓が真皮内に穿孔し, 同部に膠原線維の角栓内侵入像がみられた。皮疹は外傷により誘発され, 針擦過, 刺入によりKöbner現象をみとめた。自験例を含めて文献的考察を行なつた。
  • 園田 明子, 中村 昭典, 大山 繁
    1979 年 41 巻 1 号 p. 46-48
    発行日: 1979/02/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    53才男子のRud症候群の1例を報告した。臨床像は, 魚鱗癬(おそらくX連関性魚鱗癬)に精神薄弱, てんかん, 脳波異常, 軽度の神経症状を伴つていた。検査所見では末梢血·血液生化学的検査·髄液検査などに特に異常を認めず, 内分泌検査ではLHが高値を示したほかは正常範囲内で, 染色体は正常であつた。本症候群はまだ内外において報告例が少なく, その本態·魚鱗癬の症型·発病機序については不明の点が多く今後の検索に待つ所が多い。
  • 永田 貴士, 田渕 富張, 坂崎 善門
    1979 年 41 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 1979/02/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    22才女子で, 生後まもなく頭髪の異常, 躯幹の環状, 蛇行状の皮疹を生じた, いわゆるNetherton’s syndromeについて種々の検討を加えて報告した。本症例の毛髪はbamboo like node, pili torti, cup like formを呈し, 皮疹は病理組織学的には湿疹様および尋常乾癬様の変化を示した。また本例ではMEDの延長が認められ, 皮疹にたいしてPUVA療法を行ない, ほぼ満足すべき結果を得た。
  • 柿坂 伸子, 宮沢 偵二, 石橋 正夫
    1979 年 41 巻 1 号 p. 54-57
    発行日: 1979/02/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    昭和51∼52年の2年間に観察した新生児は426名であつた。そのうちsalmon patchは35例, strawberry markは7例であつた。Salmon patchについてはその発生頻度, 性別, 発生部位, 分娩状態, 同胞観察などについて統計的観察を行なつた。Strawberry markについては生下時あるいは生後間もなくから, その経過を観察した。最初から定型的なstrawberry markを認めたものは1例もなく, 生後3∼10日の間に紅斑·貧血斑·毛細血管拡張などの初発症状をもつて始まり, 生後2週∼1ヵ月の間に定型的なstrawberry markを呈し, 生後2ヵ月半∼3ヵ月の間は増大傾向を示し, その後ほぼ変化のない状態が続き, 生後6ヵ月∼1年の間に消退傾向を示しはじめた。
  • 清水 千賀, 岸本 三郎, 上田 恵一
    1979 年 41 巻 1 号 p. 58-61
    発行日: 1979/02/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    54才女子例を報告した。5年前に左外眼角部外側の小結節に気付き, 某病院で内容物の摘出を受けたが, 1年ほどで再発をみた。手術を希望して当科を受診し, 組織学的にいわゆる皮膚混合腫瘍であつた。本症の位置づけなどについて, 若干の文献的考察を行なつた。
  • 宮本 由美子, 上田 恵一
    1979 年 41 巻 1 号 p. 62-67
    発行日: 1979/02/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    1才2ヵ月男児の左下肢後面, 左腹部に生後10ヵ月ころから出現した列序性疣状母斑について報告した。組織所見は典型的なEpidermolytic hyperkeratosisを示した。電子顕微鏡的には, トノフィブリルの特異な集塊形成と, その周囲を取り巻く小顆粒∼細線維状不定型物質が有棘層にみられた。トノフィブリルの電子密度は様々でモザイク状をなしていた。顆粒層では不定型物質は細胞内を満たし, トノフィブリルは細胞周辺へ圧排されていた。epidermolytic hyperkeratosisは先天的な角化異常の1型とされてきたが, ある疾患に特徴的な組織像とはいいにくいのではなかろうかと思われる。むしろ本症のepidermolytic hyperkeratosisは, ある種の先天性または後天性の表皮の異常増殖や角化異常が, 何らかの代謝異常を引き起こした時に生ずる特異な動態であると考えたい。
  • —とくに疼痛に関する考察—
    藤原 邦彦, 小野 友道
    1979 年 41 巻 1 号 p. 68-72
    発行日: 1979/02/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    3例の単発型グロームス腫瘍を報告した。2例は爪下に生じた有痛性の腫瘍で, 1例は後頸部に生じた無痛性の腫瘍であつた。自験例を含めて統計的に本症における痛みに関して検討し, つぎの結果をえた。1) 痛みは腫瘍の大きさとは必ずしも平行しない。2) 爪床に生じた例では他の部位に生じた例より一般に痛みが強い。
  • 浪花 志郎, 山口 康則, 西山 和光, 安野 秀敏, 越智 敬三
    1979 年 41 巻 1 号 p. 73-78
    発行日: 1979/02/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    52才男子, 約7年前から貨幣状湿疹および単純性痒疹が汎発性にくりかえし生じた。この間, ステロイドの全身·局所投与に抗ヒスタミン剤を併用したが, 皮疹の増悪や再燃を抑止できず, 副腎皮質機能の低下をきたした。皮疹改善およびステロイド離脱を目的として, ステロイドの全身ならびに局所投与を中止するとともに, 免疫抑制剤を投与した。Cyclophosphamide 100mg/日, 7日間の投与では, 貨幣状湿疹がかえつて増悪し, かつ自家感作性皮膚炎が急激に汎発性に生じた。ついでazathioprine 50mg/日の連日内服投与を開始したところ, 上記の各種皮疹は次第に軽快しはじめ, 約6週後にはほとんど消失した。この間, 特記すべき副作用は認められなかつた。また, 血中IgE値が次第に上昇する傾向を示した以外に, 細胞性や体液性の免疫能にたいする抑制的影響は認められなかつた。この点については今後の検討を要するが, 慢性に経過する湿疹や痒疹例にたいして, azathioprineによる免疫抑制療法は試みる価値を有するものと考える。
  • 向井 秀樹, 斉藤 隆三
    1979 年 41 巻 1 号 p. 79-83
    発行日: 1979/02/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    16才男子に見られた関節症性乾癬の1例を報告した。皮膚および関節症状はほぼ同時に発生し, 皮膚症状は典型的乾癬の像であつたが経過中に膿疱を形成し, 滲出傾向の強い皮疹となつた。爪甲の変化は強く, 爪甲の肥厚·白濁·点状陥凹·爪甲下膿疱が見られた。また地図状舌もみられた。関節炎症状はRA因子陰性で, 左右非対称性に存在し, DIPを中心に末梢に病変が強いなどRAとは異なつていた。難治性で紅皮症となつたが, MTX内服にて皮膚および関節症状は著明に改善した。
研究
  • 広永 正紀
    1979 年 41 巻 1 号 p. 84-87
    発行日: 1979/02/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    分離株総数1327のうち, Trichophyton rubrumは1049(79.1%), Epidermophyton floccosumは17(1.3%), T. mentagrophytes群は230(17.3%), Microsporum canisは17(1.4%), M. gypseum群は10(0.8%)であつた。T. mentagrophytes群は, Arthroderma vanbreuseghemiiの“−”株とcompatibleな12株(granulosum-asteroides型2, “powdery”型3, “persicolor”型7)と, 完全世代の不明な218株(granulosum-asteroides型1, T. interdigitale 217)が分離された。“powdery”型および“persicolor”型はともに足白癬よりの分離株で, A. vanbreuseghemiiあるいはその先祖型が, ヒト寄生菌へと分化したものと考えられた。M. canis 18株はすべてN.otae“−”と判明した。M. gypseum群はN. gypsea 8(“+”株2, “−”株6), N. incurvata 2(“+”株1, “−” 株1)であつた。
  • 下田 祥由, 清水 弥生, 福原 俊子, 内田 博子, 千葉 紀子
    1979 年 41 巻 1 号 p. 88-96
    発行日: 1979/02/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    色素性蕁麻疹の真皮ヒトマスト細胞の微細構造およびラット腹腔より得たマスト細胞をcompound 48/80にincubateした後の脱顆粒現象を透過型ならびに走査型電顕で観察した。ヒトマスト細胞は特有な絨毛様突起を持ち, 細胞質内には種々の電子密度の違いを持つ顆粒が存在した。顆粒の膜様構造は直線状, 渦巻状, 指紋状の形態を示し, 細胞質膜構造より形成されることが示唆された。Compound 48/80にincubateしたラットマスト細胞は透過型で観察すると顆粒は著明に膨化, 空胞化を示したが, 核の変化はみられなかつた。また走査電顕ではラットマスト細胞はゴルフボール様の球体で細胞表面に蕾状の顆粒が多数認められ, 細胞質内に充実性顆粒が多数存在する様子が窺われた。Compound 48/80にincubateしたラットマスト細胞はやや変形した球体を示し顆粒の空胞化, あるいは顆粒実質の放出のため細胞表面の顆粒状凹凸は減少し, 顆粒の放出された跡と思われる陥凹が認められた。
  • 藤井 誠史郎, 宇塚 誠, 植原 計一, 小林 敏明, 中嶋 啓介
    1979 年 41 巻 1 号 p. 97-103
    発行日: 1979/02/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    ポリオキシエチレン(POE)系非イオン界面活性剤のPOEラウリルエーテル, およびPOEラウリン酸エステルについて, POE基の鎖長に分布のある市販品と単一鎖長の合成品をもちいて, その組成の分析および動物による各種刺激性試験と培養細胞の増殖阻止試験を行ない, その差異を比較検討した。これらの市販品は単一物質でなく種々の成分を含んだ複雑な組成からなつていた。またこれらの界面活性剤の刺激性, 細胞増殖阻止度はPOEラウリルエーテルでは市販品·合成品ともほぼ同一の傾向を示したが, POEラウリン酸エステルではこれらに違いがみられた。培養細胞による増殖阻止試験は界面活性剤の刺激性·毒性を調べるのに有用な方法であると思われた。
  • 宇塚 誠, 藤井 誠史郎, 小林 敏明, 中嶋 啓介
    1979 年 41 巻 1 号 p. 104-108
    発行日: 1979/02/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    非イオン界面活性剤のポリオキシエチレンラウリルエーテル(LA-8 EO)について, HeLa-S3培養細胞にたいする細胞増殖阻止作用を細胞内高分子合成面から調べた。細胞内DNA, RNA, およびタンパクの合成はLA-8 EOによつて抑制された。この作用機序は主としてこれらの合成の前駆物質である核酸およびアミノ酸の細胞膜の透過性の変化にもとづくことが認められた。すなわちLA-8 EOは細胞の膜に直接吸着などの作用によつて物質の透過性を阻害することが示唆された。
講座
統計
  • 関藤 成文
    1979 年 41 巻 1 号 p. 116-128
    発行日: 1979/02/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル フリー
    The patients of drug eruptions who attended the Department of Dermatology, Branch Hospital, University of Tokyo, from 1966 to 1968, were 113 persons or 1.08% of the total outpatients. The number of drug eruption patients in their twenties was the largest—31 persons, and those in their thirties was the next largest—28 persons. The sum of both groups was slightly more than half of the total drug eruption patients. Cutaneous eruptions were classified according to the list of American Medical Association. Fixed eruption with 45.1% was the largest, followed by exanthematic eruption with 25.7%, erythematous eruptions with 11.5%, papulovesicular eruption with 8%, urticarial eruption with 2.7%, erythroderma with 0.9%, acne form with 0.9%, toxic epidermal necrolysis with 0.9%, photosensitive eruption with 0.9%. Causative drugs of 10 cases were ascertained by a provocation test and the ones of another 21 cases were suspected by determing that the patient had used one drug only. The largest group of causative drugs was antibiotics with 12 cases, followed by sulfonamide with 8 cases, sedativa with 2 cases and so on. Of the drugs used, chloramphenicol in 5 cases, sulfisomezole in 3 cases and carbamazepine in 2 cases were outstanding. Both in exanthematic and in papulovesicular eruptions, trunk and extremities were frequently involved but the face was seldom affected. In erythematous eruption, extremities most were frequently involved; secondarily, the face and trunk were affected. The dosage of drug, used in the provocation tests of exanthematic, papulovesicular and erythematous eruptions, was about one fifth of the normal single dose and when no reactions were observed in the following 24 hours, an additional dosage was used. If the distribution of exanthems in the provocation test was compared with that in the previous reaction, areas which were at an early stage and severely involved were unchanged. The tendency was observed that exanthems appeared earlier in the arms than legs. In 3 of 6 provocation tests, leukocytosis was observed. In other 3, leukopenia was observed. A decrease in the number of platelet was observed in both cases.
治療
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