西日本皮膚科
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52 巻, 4 号
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図説
綜説
症例
  • 福沢 久美子, 森元 洋介, 板東 真弓, 三浦 貴子, 川村 正昭, 上田 宏一, 嵯峨 賢次, 高橋 誠, 今井 浩三
    1990 年 52 巻 4 号 p. 664-670
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    全身の紅皮症と抗HTLV-I抗体価の高値よりATLが疑われ, 精査によりHAMとくすぶり型ATLの合併と考えられた一例を報告した。北海道出身の75歳男子。両親が四国出身で, 過去2回の輸血歴があつた。全身の紅皮症はステロイド剤外用により軽減したが, 顔面の紅斑および紫斑と, 躯幹の魚鱗癬様皮疹は残存し, 生検にてATLの特異疹と診断された。単核球様のやや大型の細胞は異型性がみられ, 免疫組織学的にはT-cell系で, OKT4陽性細胞が優位であつた。皮疹出現の数年前から続いていた歩行障害は, 原因不明の痙性麻痺によることが判明し, 髄液中抗HTLV-I抗体価が異常高値を示すことと合わせてHAMと診断された。プレドニゾロン全身投与にて麻痺は改善した。血清抗HTLV-I抗体価はparticle-agglutination(PA)法にて8,192∼262,144倍陽性, ウェスタンブロット法にて血清, 髄液共にP-19, P-24, P-28, P-53の各バンドを認めた。サザンブロット法によるpro-viral DNAの検索結果は陰性であつた。本症例はくすぶり型ATLとHAMの合併例と考えられた。
  • —1症例の報告と本邦報告例の検討—
    梅林 芳弘, 行木 弘真佐, 斎藤 義雄
    1990 年 52 巻 4 号 p. 671-676
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    37歳男子。1歳のときいろりに転落して頭頂部に負つた熱傷瘢痕が, 35歳頃から潰瘍化し, 次第に拡大隆起してきた。組織学的には有棘細胞癌で, 骨, 硬膜への浸潤を認めたが, リンパ節, 遠隔臓器への転移はなかつた。SCC関連抗原の軽度上昇を認めた。1966年から1988年までに報告された本邦での熱傷瘢痕より生じた有棘細胞癌73例について検討した。発症年齢は平均54.8歳, 発症までの期間は平均41.6年, 部位は頭部が相対的に多く, 男女比は2.4:1で男子に多かつた。受傷原因はいろりが最多であつた。また, 受傷年齢によつて, A群(10歳以下に受傷)と, B群(20歳以上で受傷)に分けると, 発症までの期間はA群で51.7年, B群で22.4年, 最多部位はA群が頭部, B群が下肢, 受傷原因としてはA群ではいろりが多いが, B群ではさまざまであり, 受傷時意識消失をみる例が比較的多い, という相違があつた。受傷年齢が高くなるほど癌発生までの期間が短くなる傾向がみられ, その意義について考察した。
  • 西川 武志, 熊切 正信, 大河原 章
    1990 年 52 巻 4 号 p. 677-679
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    79歳男子。約10年前に左大腿部の小指頭大の腫瘤に気づいた。その後角質部が増殖し, とぐろを巻くようになつた。初診時, 直径約10mmで長さが約40mmに達する灰白色から淡黄色の湾曲した硬い皮角状腫瘤がみられた。組織学的には基底部上皮にtrichilemmal keratinizationがみられ, 1979年にBrownteinの提唱したtrichilemmal hornと考えた。また発生病理として自験例では表皮に開口したtrichilemmal cystとでも表現できうる組織構築を有していた。臨床的にも本症例のように大きいものはきわめて珍しいと考えられた。
  •  
    阿曽 三樹, 葉狩 良孝, 中村 衡蔵, 川口 俊夫, 清水 康之
    1990 年 52 巻 4 号 p. 680-684
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    46歳男子, 20歳男子, 13歳女子に発症したpitted keratolysisの3例を報告し, 本疾患の臨床所見, 組織学的所見, 原因菌, 鑑別診断, 治療について総説的に述べた。本邦において, pitted keratolysisの報告は少ないが, 本疾患はまれでなく, 他の疾患と誤られたり, 見過ごされている可能性があることを指摘した。
  • —組織化学的, 生化学的研究—
    西尾 達己
    1990 年 52 巻 4 号 p. 685-690
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    67歳男子の左上腕に生じたcutaneous myxomaを報告した。6, 7年前左上腕の鶏卵大腫瘤に気づくも自覚症状ないため放置していた。腫瘤はしだいに増大し手拳大となり, また周囲に同様の小結節が散在してきた。光顕では, 表皮は菲薄化, 真皮は浮腫状で粘液状基質でみたされ, 星芒状または紡錘形の細胞が散在する。膠原線維は断裂ないし細裂してみられるが染色性には変化はない。細網線維は, 細かな網状をなして存在する。アルシアンブルー, トルイジンブルー染色およびそれぞれの消化試験などの光顕組織化学的所見, 透析鉄染色と消化試験を組み合わせた電顕組織化学的所見より, 真皮の粘液状基質は, ヒアルロン酸であることが証明され, また真皮の星芒状, 紡錘形の細胞が分泌したものと考えられた。酸性ムコ多糖の電気泳動およびアミノ糖の生化学的分析の結果もこれを裏付けるものであつた。これらのことより本腫瘍はStoutの言うcutaneous myxomaで, Carneyらの提唱するNAME症候群, LAMB症候群にみられるmyxomaとは別の疾患と考えた。
  • 福島 幸子, 今山 修平, 堀 嘉昭
    1990 年 52 巻 4 号 p. 691-695
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    76歳女子。3年前より糖尿病の治療のため, アセトヘキサミド250mg/日の治療中であつた。平成元年(1989)3月糖尿病性白内障の治療のために眼科を受診し, 躯幹·四肢に紅斑があるのを指摘されて当科を受診した。当科初診時, 躯幹·四肢に辺縁に膿疱を伴う自覚症状のない紅斑が散在し, 腋窩, 乳房下, 鼠径部では集簇し融合傾向を示した。組織学的に不全角化を伴う過角化, 角層下に膿疱を認めた。同薬剤の投与中止により皮疹は軽快, その後再投与により再燃したが, 中止により再び消退した。本薬剤によるリンパ球刺激テストは陽性であつた。
  • 阪口 英, 酒井 和彦
    1990 年 52 巻 4 号 p. 696-700
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    82歳女子。昭和63年1月11日, 露出部に熱傷を負つたが放置していた。受傷3日目に左足の腐敗に気付き近医に入院したが, 切開排膿などの処置はなされなかつた。受傷後7日目, 当科転入院時には, 左足は発赤腫張し, 末梢側は壊死に陥り, 激痛を訴えていた。切開を加えると, 悪臭のある膿汁と気泡が大量に噴出した。皮下の壊死病巣は足関節を超えて, 下腿へと拡つていた。下肢X線単純撮影では, 左下腿下半部まで皮下気泡像を認めた。膿汁の嫌気性培養ではclostridumは検出されなかつた。入院後, 直ちにdébridementを行うとともに, 創洗滌, 局所酸素療法, 抗生物質の投与などを開始した。受傷後14日目に左下腿膝下部にて切断し, 断端は開放創にした。手術後3日目に突然, 全身の疼痛, 筋強直, 発熱などが出現し, 次いでけいれんを認めた。破傷風を疑い抗破傷風免疫ヒトグロブリン1万単位を点滴静注したが, 抗けいれん薬の処方量不足のため大量の発汗などによって水分を喪失し, それに対する補液が不十分であつたために, 脱水性ショックに陥つた。その後ジアゼパム40mg/日, 8回分服(胃管を通して)によつて, けいれんはコントロールすることができた。筋強直が消失するまでには約3ヵ月間を要したが, 退院させることができた。自験例を通して, 破傷風の診断, 治療, 予防法について報告したい。
研究
  • 宮下 正人, 多田 讓治, 荒川 謙三, 荒田 次郎, 原本 美千恵
    1990 年 52 巻 4 号 p. 701-706
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    48歳男子。約10年前, 左前腕熱傷のため種々の外用治療を受けるも治癒が遷延し, 外用剤に対する過敏性が示唆されたことがあつた。今回, 湿疹病変に対し種々のステロイド外用剤を使用したが軽快傾向を示さず, コルチコステロイド主剤および外用剤基剤に対する過敏性が疑われたため, 種々の主剤および基剤のパッチテストを施行した結果, 吉草酸ジフルコルトロン, ベタメサゾン, 吉草酸ベタメサゾン, ジ酢酸ジフロラゾン, フルオシノニドが陽性で少なくとも3系統以上のコルチコステロイド剤に感作されていることが判明した。
  • 福田 英三, 今山 修平
    1990 年 52 巻 4 号 p. 707-711
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    本邦において報告された薬疹を原因薬剤別に分類·集録する過程でプロドラッグの薬疹の存在に気付いた。ここではとくに合成ペニシリン類のバカンピシリンの薬疹を取り上げ, プロドラッグの観点から症例を検討し, つぎのように推論した。バカンピシリンによる薬疹とは, 腸管での吸収過程を経て生じたアンピシリンの薬疹である可能性が高い。したがつてバカンピシリンで論じられていた交叉反応は, 復元されたアンピシリンとの交叉反応を論じていたと考えられる。
  • 西 隆久, 海塚 安郎, 三砂 範幸, 幸田 弘
    1990 年 52 巻 4 号 p. 712-716
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    昭和56年佐賀医科大学附属病院開院以来, 皮膚科を受診した尋常性天疱瘡2例, 落葉状天疱瘡4例, 水疱性類天疱瘡5例, 結節性類天疱瘡1例の合計12例にDDS(4,4’-diaminodipenylsulfone)を使用し, 有効以上の症例9例, 有効率75%の成績を得た。以上からDDSは天疱瘡群に対し, 有効な薬剤と考える。
  • 第1報 線維芽細胞の倍加時間測定法に関する検討
    工藤 昌一郎
    1990 年 52 巻 4 号 p. 717-721
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    各種皮膚疾患の培養線維芽細胞の集団倍加時間を異なる2種の方法で測定した。1つは3H-チミジンを細胞に取り込ませた, オートラジオグラフィーによる標識率などから集団倍加時間を求める方法であり, 他方は培養細胞数を経時的に測定し, 電算機にて増殖曲線の回帰式を作成して求める方法である。これらの2種の方法を比較検討したところ, それぞれの方法で求めた同系統の細胞の集団倍加時間には密接な相関関係が認められ, 電算機を用いて算定する方法も十分に信頼できる方法であることが証明された。
  • 第2報 正常皮膚由来培養線維芽細胞との比較
    工藤 昌一郎
    1990 年 52 巻 4 号 p. 722-729
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    熱傷瘢痕と正常皮膚より得られた培養線維芽細胞を用いてその機能および形態を比較検討した。集団倍加時間は正常皮膚群が67.6±36.4時間, 熱傷瘢痕群が90.8±64.3時間であり, 両群間に有意の差が認められた。受傷後経過時間が短く, 大きな熱傷瘢痕より得られた線維芽細胞ほど集団倍加時間の遅延がみられた。培養液中へのコラーゲン産生量は受傷後半年以内の新しい瘢痕では陳旧性熱傷瘢痕や正常皮膚に比べ増加していた。熱傷瘢痕群の線維芽細胞の形態は正常皮膚群に比べ, 大型で不整なものが多かつた。
  • 内田 寛
    1990 年 52 巻 4 号 p. 730-736
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    子宮頚部扁平上皮癌関連抗原TA-4の有棘細胞癌組織内局在態度をMoAb-27ならびにMoAb-317を用いてbiotin-strept avidin法によりBroders分類別に検索した。対照には正常子宮頚部, 子宮頚部扁平上皮癌, 正常皮膚および正常口唇粘膜の各1例づつの組織を用いた。正常皮膚および正常口唇粘膜ではMoAb-27による反応は有棘層∼顆粒層の細胞質に瀰漫性にそれぞれ認められ, 角層および基底細胞層には認められなかつた。MoAb-317はすべての層に陰性であつた。正常細胞のTA-4は酸性TA-4ではなく中性TA-4であることが示唆された。有棘細胞癌ではMoAb-27による反応は, Broders I度およびII度の有棘細胞様細胞に陽性であり, 基底細胞様細胞および角化物では陰性であつた。Broders III度およびIV度のほとんどが陰性であつた。このことからMoAb-27はBrodersのII度とIII度を知る方法に有用であると考える。MoAb-317による反応はBroders I度およびII度の腫瘍巣先進, 浸潤部の腫瘍細胞の細胞質, とくに核周囲に顆粒状に集簇して陽性であつた。腫瘍細胞では酸性TA-4の発現が示唆された。腫瘍マーカーには酸性TA-4が望ましいと考えられた。
  • —フィブリンフィルム·Todd法による他の皮膚疾患との比較検討—
    堀内 保宏, 野口 俊彦, 増澤 幹男
    1990 年 52 巻 4 号 p. 737-742
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    Plasminogen activator(PA)活性が乾癬表皮に認められ, その病態との関与が示唆されている。Pityriasis rosea(Gibert)と乾癬との間にはparakeratosisとacanthosisといつた組織学的類似性がみられる。そこで, pityriasis roseaと乾癬類縁疾患を含む種々の皮膚疾患の表皮PA活性をフィブリンフイルム·Todd法により検索した。Pityriasis rosea(Gibert)15例, 脂漏性皮膚炎3例, 乾癬8例に, pityriasis rubra pilarisなどの炎症性角化症, 水疱症および湿疹皮膚炎を含む種々の皮膚疾患16例とをあわせて42例について検討した。すでに報告されているごとく乾癬の8例全例に強い表皮PA活性を認め, そしてpityriasis roseaの6例にPA活性が検出された。しかし, pityriasis roseaと診断した他の9例にはこのPA活性は検出されなかつた。このpityriasis roseaの2つの群の病理組織での差異はPA活性が認められた前者6例には顆粒層が消失しているのに, 後者9例には顆粒層が認められた。脂漏性皮膚炎の3例にはこのPA活性は検出されなかつた。また, この他の種々の皮膚疾患16例ではpityriasis rubra pilarisの全身播種例に部分的に活性が認められた以外湿疹皮膚炎群, 水疱症などにおいてもこのPA活性は検出されなかつた。これらの結果からpityriasis roseaにおいてその病期あるいは表皮のturn overの亢進するような病態の活動性によつては乾癬と類似した機序としてplasminogen activatorが関与してくるものと考えられた。
  • 中村 猛彦, 小野 友道, 吉村 浩二, 中村 真理, 加納 龍彦, 橋口 清明, 志茂田 治, 江崎 公明, 三嶋 基弘, 安竹 祥子
    1990 年 52 巻 4 号 p. 743-746
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    われわれの施設で独自に開発した局所麻酔剤含有外用剤を使用する機会を得た。本剤は局所麻酔薬としてlidocaineを10%含有するゲル状の物質で, 経皮吸収の促進と局所刺激の抑制を目的としてグリチルレチン酸モノヘミフタレートジナトリウム塩他が配合されている。今回本剤の除痛効果および安全性について若干の検討を加えた。パッチテストでは局所, 全身共とくに問題となるような所見は認められなかつた。経皮吸収量の指標として末梢血中のlidocaine濃度の測定を行つた結果, 薬剤の貼付部位や個体によりその数値に差を認めた。さらに臨床応用として凍結療法に際し同一個体の同一部位に使用した例では, 貼付部位の皮膚の状態により血中濃度がかなり大きく変動することが認められた。このように安全性や適応について検討の余地があるものの, 本剤は密封包帯法による使用で充分な除痛効果が得られ, 今後凍結療法やverrucaの処置など皮膚外科領域での有用性が期待された。
講座
  • 植木 宏明
    1990 年 52 巻 4 号 p. 747-752
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    前編までに, SLEを中心に免疫異常や免疫複合体について私見を述べたが, 今回は鞏皮症, MCTD(mixed connective tissue disease), UCTD(unclassified connective tissue disease)などについて, 症例を中心に触れてみたい。とくに, 鞏皮症(PSS)はある面ではSLEほど多彩ではないし, 全身的な浸襲には時間, 年月が掛かり, 一見派手な疾患ではないが, 著効を呈す治療法がなく悲惨な結果となることがある。しかも, 肺高血圧症や腎クリーゼを来すものもあり, 要注意である。MCTDやUCTDについては概念や予後などなお流動的であるが, 臨床の現場では必ず遭遇する疾患であり, 経過中に本性を見せることもある。
統計
  • 師井 庸夫, 今村 英一, 今村 朋子, 内田 潔, 末冨 淑子, 瀬口 允, 浪花 志郎, 名和田 素平, 平田 晴夫, 森 洋子, 永井 ...
    1990 年 52 巻 4 号 p. 753-760
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    昭和63年1月より12月までの1年間に, 隣接する宇部市と小野田市の2市で皮膚科医と麻酔科医を受診した帯状疱疹患者は1002例であつた。この1002例の患者につき統計的観察を行つた。その結果, 1)季節的には夏期に多く, 春にも少し多い傾向がみられた。2)女子にやや多く(男:女=1:1.4), 年齢的には50歳∼70歳代に最も多かつたが, 10歳代にも小さな山があり2峰性を示した。3)発生部位は胸·上肢が多かつた。4)基礎疾患を有するものは年齢別で大きな差がみられ10歳未満で7.9%, 10歳代で5.6%, 60歳代で35.4%, 70歳代で53.3%であつた。5)再罹患例は7例あり, うち1例は3度目の罹患であつた。6)発病後1ヵ月以上疼痛が続いた症例は52例(5.2%)であり, 70歳代が最も多く20例であつた。7)汎発性帯状疱疹は30例あり, 60歳代, 70歳代に多かつたが小児にも2例みられた。8)Hunt症候群を併発したものは7例, 9)眼疾患を併発したものは5例, 10)複発性帯状疱疹は3例であつた。11)悪性腫瘍を伴つた帯状疱疹患者は16例(1.6%)であつた。
治療
  • 和田 秀敏, 宮岡 達也, 山野 龍文
    1990 年 52 巻 4 号 p. 761-765
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    新しい創傷被覆剤であるスポンジタイプのキチン膜を24例の褥瘡患者の治療に用い, つぎのような結果および印象を得た。(1)総合効果は著効7例, 良好10例, 不変1例, 悪化6例であつた。(2)小範囲の褥瘡であれば本剤のみで治癒せしめることが可能である。(3)広範囲の褥瘡でも良好な肉芽形成, 潰瘍の縮小化がみられた。(4)緑膿菌感染を合併したものは無効であつた。しかし抗菌剤による菌の鎮静化後, 再び使用することにより同等の効果が得られた。(5)細菌汚染が疑われるものはキチン膜の早い時期での交換が望ましい。(6)スポンジタイプにより褥瘡に密着し固定性も良好である。
  • 勝岡 憲生, 太田 幸則
    1990 年 52 巻 4 号 p. 766-770
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    長期間, 広範囲に使用することが出来, 顔面, 頸部, 間擦部などの外用に適したコルチコステロイドとして開発された酪酸クロベタゾン(クリーム, ローション)(岩城製薬株式会社提供)を用いて, 臨床効果試験を行つた。対象疾患には, アトピー性皮膚炎, 接触皮膚炎およびその他の急性湿疹を選んだ。クリーム(20例), ローション(20例)の何れも優れた有効率と有用率を示した。副作用は1例も認めなかつた。以上より酪酸クロベタゾンは臨床的に有用な薬剤であると同時に, 安全性の高いステロイド外用剤であると考えられた。
  • CBB研究会
    1990 年 52 巻 4 号 p. 771-775
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    湿疹·皮膚炎群を対象にして酪酸クロベタゾンローション(岩城製薬株式会社提供)の臨床効果, 安全性, および有用性をopen studyにより検討した。対象となつた83例は乳幼児から老人にまでおよび, 対象疾患では脂漏性湿疹が, また部位では頭部が最も多かつた。試験の結果, 全般改善度では「改善」以上の改善率は81.9%, 安全性を加味した有用度では「有用」以上の有用率は81.9%と高い値を示した。以上より, 本剤は様々な湿疹·皮膚炎群の疾患に対し, 頭部をはじめ他の部位にも広く応用できる有用性の高い外用剤であると考えられる。
  • CBB研究会
    1990 年 52 巻 4 号 p. 776-780
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    湿疹·皮膚炎群を対象にして酪酸クロベタゾンクリーム(岩城製薬株式会社提供)の臨床効果, 安全性, および有用性についてopen studyにより検討した。対象となつた119例は乳幼児から老人にまでおよび, 総合的な全般改善度では「改善」以上の改善率は79.8%, 安全性を加味した有用度では「有用」以上の有用率は79.0%と高い値を示した。以上より, 本剤は様々な湿疹·皮膚炎群の疾患に対して高い有用性をもつ, 応用範囲の広い外用剤であると考えられる。
  • —尋常性ざ瘡を対象とする二重盲検法による比較試験—
    OPC-7251アクネ研究会
    1990 年 52 巻 4 号 p. 781-789
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    外用抗菌剤OPC-7251クリームの尋常性ざ瘡に対する至適濃度を検討するため, 0.5%, 1%および基剤を用いて, 二重盲検試験法による3種の組合せで左右比較試験を行つた。その結果, 1%群は膿疱の減少, 全般改善度, 有効性および有用性判定において基剤群に比して有意に優れていた。0.5%群は4週目の全般改善度において基剤群に有意に優つていた。0.5%群と1%群との間に有意差は認められなかつた。副作用は0.5%群と基剤群にそれぞれ1例軽度なそう痒が認められたが1%群には認められなかつた。以上の成績より, 1%が至適濃度と考えられた。
  • OPC-7251アクネ研究会
    1990 年 52 巻 4 号 p. 790-794
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    外用抗菌剤1%OPC-7251クリームを尋常性ざ瘡160例に使用し, 皮疹(閉鎖性面皰, 開放性面皰, 丘疹, 膿疱)の経過, 全般改善度, 副作用, 臨床検査などを観察し, 1%OPC-7251クリームの有用性を判定した。有用性評価対象157例に対し, 極めて有用は24例(15.3%), 有用72例(45.9%), やや有用29例(18.5%), 無用30例(19.1%), 有害2例(1.3%)であつた。有用以上の有用率は61.1%であつた。副作用は159例中5例に認められたが, その程度はいずれも軽度なものであつた。皮疹に対する効果は, いずれの皮疹も, 投与1週目より投与前に比して有意な減少が認められたが, その中でも膿疱の減少率が最も高かつた。
  • OPC-7251研究会
    1990 年 52 巻 4 号 p. 795-801
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    外用抗菌剤1%OPC-7251クリームの尋常性ざ瘡に対する臨床効果を21施設によるopen studyで検討した。実施症例総数114例のうち, 有用性評価対象症例は111例であつた。皮疹(閉鎖面皰, 開放面皰, 丘疹, 膿疱)の経過, 全般改善度, 副作用, 臨床検査結果により1%OPC-7251クリームの有用性を判定したが, 有用性評価対象111例のうち, 極めて有用は16例(14.4%), 有用は67例(60.4%), と有用以上の有用率は74.8%であつた。副作用は安全性評価対象症例112例中7例に認められた。皮疹に対する効果は, いずれの皮疹も, 投与1週目より投与前に比して有意な減少が認められたが, その中でも膿疱の減少が最も大きかつた。
  • —クリーム基剤を対照とした多施設共同二重盲検群間比較試験—
    OPC-7251アクネ研究会
    1990 年 52 巻 4 号 p. 802-813
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    外用抗菌剤1%OPC-7251クリームの尋常性ざ瘡に対する有用性を, クリーム基剤を対照として, 66施設による多施設二重盲検群間比較試験により比較検討した。実施症例数359例の内, 有効性評価対象症例は, 1%OPC-7251クリーム(以下, OPCと略す)投与群163例, OPC-7251クリーム基剤(以下, 基剤と略す)投与群170例の計333例であつた。有効以上は, OPC投与群で163例中116例(71.2%), 基剤投与群で170例中60例(35.3%)であり, OPC投与群が有意に優つていた(p<0.001)。副作用は, 安全性評価対象症例351例(OPC投与群172例, 基剤投与群179例)中, OPC投与群で6例(3.5%), 基剤投与群で6例(3.4%)であつた。皮疹(閉鎖面皰, 開放面皰, 丘疹, 膿疱)の経過, 全般改善度, 副作用, 臨床検査結果によりOPCの有用性を基剤と比較検討したところ, 有用性評価対象335例(OPC投与群165例, 基剤投与群170例)の内, 有用以上はOPC投与群で116例(70.3%), 基剤投与群で60例(35.3%)と, OPC投与群が有意に優つていた。本試験の結果から, OPC-7251は尋常性ざ瘡に高い有用性を有することが確認された。
  • 佐藤 俊次, 吉永 裕一郎, 早稲田 豊美, 久野 佑三, 新井 克志, 三村 一夫
    1990 年 52 巻 4 号 p. 814-820
    発行日: 1990/08/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    外鼻に発生した良性および悪性腫瘍の切除治療により外鼻の全層欠損を生じた3症例において, それぞれの症例における外鼻の再建法について検討した。すなわち, 外鼻の欠損範囲の大きさや部位により種々の局所皮弁, 1)鼻唇溝皮弁, 2)前額正中皮弁, 3)頭皮茎前額皮弁を用いて再建した。自験例を報告し, それぞれの手技について述べるとともに臨床的適応について考察した。
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