SLE, PSSをはじめとする膠原病およびその類縁疾患87例について, 抗カルジオリピン抗体(A-CL; IgG, IgM)をELISA法にて測定した。陽性例は21例であり, 強皮症15例を除いた6(男1, 女5)例について, 臨床症状を中心に検討し報告した。陽性例は, 皮膚筋炎(DM), DM+シェーグレン症候群(SjS), クリオグロブリン血症+SjS+橋本病, chilblain lupus, ベーチェット病, livedo reticularis with summer ulcerationの各1例ずつであつた。臨床所見ではA-CLに関連した末梢循環不全に基づくリベドー症状, 紫斑, 潰瘍は6例中2例で認められたが, 子宮内胎児仮死, 習慣性流産の既往は認められなかつた。検査所見では末梢血, 血液生化学検査では一定傾向はみられなかつたが, 抗核抗体はベーチェット病を除く5例に陽性であり, そのパターンはhomogeneous & speckled 4例, nucleolar 1例であつた。SLEの診断基準は満たさないが, LE様所見を備えた例が2例含まれており, A-CL陽性例はある程度共通の臨床病状, 検査所見を有し, SLEやDMなど各膠原病としては非定型的で診断基準を満たさない膠原病群としての症候群を形成していると推察された。A-CLは膠原病患者の病態の理解に役立つものと考えられる。
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