角質増殖型足白癬は, 足底の角質増殖を特徴とする比較的稀な慢性難治性の足白癬である。今回この病型に対してアリルアミン系抗真菌剤, 1%テルビナフィンクリーム(ラミシール
®クリーム)の単純塗擦療法(L群)と尿素軟膏との併用塗擦療法(LU群)の有効性と安全性を比較検討した。薬剤は1日1回, 原則として10週間外用し, 投与方法の割り付けば無作為に行った。登録症例は40例(L群20例, LU群20例)で, そのうち有効解析症例は21例(L群10例, LU群11例), 12例は安全性のみ評価した。その結果, 最終皮膚所見は改善以上がL群90.0%(9/10), LU群100.0%(11/11), 最終菌陰性化率はL群70.0%(7/10), LU群82.0%(9/11), 最終総合効果は有効以上がL群70.0%(7/10), LU群82.0%(9/11)であった。分離菌の内訳は
T. rubrum8例(L群4例, LU群4例),
T. mentagrophytes1例(LU群)であり, また副作用は1例も認められなかった。解析症例が少なく, L群とLU群の間に統計的有意差を認めなかったが, 傾向としては併用療法の方がやや優れていた。以上の結果から, 従来の外用抗真菌剤では治癒させることが困難とされた角質増殖型足白癬に対して, テルビナフィンクリームは単独塗擦でも尿素軟膏との併用でも高い有効性と安全性を示すことが判明した。このことは, この外用剤の高い抗真菌活性と角質浸透性を示唆する所見と考えられた。
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