西日本皮膚科
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76 巻, 6 号
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図説
綜説
症例
  • 黒木 りえ, 樋口 睦美, 山口 美奈, 川元 俊二, 今福 信一
    2014 年 76 巻 6 号 p. 540-545
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/04/16
    ジャーナル 認証あり
    当院産婦人科で妊娠の経過をみられていた 39 歳の女性。妊娠 27 週に左乳房に有痛性の皮下硬結出現した。妊娠 31 週に両下腿に有痛性紅斑が多発し,手足の関節痛を伴っていた。両下肢痛で歩行困難となり当院産婦人科に入院した。妊娠に伴う結節性紅斑と診断し,プレドニゾロン (PSL) 20mg/日の内服を開始し,下腿の紅斑は軽快した。また,左乳房の硬結が増大し,当院外科で画像診断上炎症を伴う乳癌が疑われ,針生検の結果乳癌と診断された。早期の乳癌治療目的で妊娠帰結の方針となり,妊娠 34 週で PSL 内服を終了し,帝王切開術を施行した。産後 2 日目より発熱,関節痛が再燃し,下腿の有痛性紅斑も残存するため下腿の紅斑の皮膚生検を施行した。病理組織像は結節性紅斑であった。臨床・経過より,結節性紅斑を伴う肉芽腫性乳腺炎を疑い,産後 26 日目に再度施行した左乳房の針生検の結果,肉芽腫性乳腺炎と診断された。PSL 30 mg/日から内服を開始し以後漸減して,下腿の結節性紅斑は消退し,左乳房の硬結も軽快した。
  • 佐藤 かすみ, 小林 政司, 侯 建全, 相原 道子, 高橋 一夫
    2014 年 76 巻 6 号 p. 546-549
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/04/16
    ジャーナル 認証あり
    64 歳,女性。十数年前より関節リウマチ (RA) と診断され,プレドニゾロン 2.5 mg/day を内服していた。約 3 年前に両下腿に小さな傷ができ,徐々に増大し潰瘍を形成し難治のため当科を紹介された。右下腿潰瘍部より生検した皮膚病理組織所見ではリウマチ性血管炎 (rheumatoid vasculitis ; RV) の像だった。 検査所見は,CRP 6.24 mg/dl,ESR 93 mm/hr,MMP-3 299.2 ng/ml,CH50 36.9 U/ml で RA の活動性が高かった。RA に血管炎を合併したリウマチ性血管炎と診断した。メトトレキサート 4 mg/week を追加し,初診の 4 カ月後にはインフリキシマブを導入したところ血液検査上,炎症所見の改善とともに両下腿潰瘍は縮小した。しかし,インフリキシマブ導入の約 2 カ月後には左下腿皮膚に環状紅斑が出現し,導入 5 カ月後には右足背にも出現した。その皮膚病理組織所見では,炎症細胞浸潤を血管周囲に稠密に認め,血管壁は破壊され,一部は内皮細胞が肥厚し閉塞していた。インフリキシマブにより血管炎が誘発された可能性,RA の制御が十分ではない可能性が考えられたが,インフリキシマブの継続により,炎症所見が落ち着いたまま維持され,環状紅斑が外用等でやや軽快したため後者の可能性が高いと考えた。 TNF-α 阻害剤で RA の加療の際に血管病変が生じた際には慎重な判断がもとめられる。
  • 成田 幸代, 室井 栄治, 持田 耕介, 加嶋 亜紀, 天野 正宏, 瀬戸山 充
    2014 年 76 巻 6 号 p. 550-554
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/04/16
    ジャーナル 認証あり
    69 歳,女性。初診の 1 カ月前より顔面に瘙痒を伴う紅斑が出現し,次第に胸部,背部,四肢に拡大した。臨床所見および病理組織学的所見から皮膚筋炎と診断。抗 HTLV-1 抗体陽性であり,免疫沈降法で抗 p155/140 抗体 (抗 transcriptional intermediary factor 1 : TIF1 抗体) が認められた。内臓悪性腫瘍の検索で,胸部 CT にて左肺野に結節影を認め切除した。病理組織学的に肺癌と診断され,その後次第に皮疹が増悪傾向を示したため,術後4カ月目に再度全身検索を行った。上部消化管内視鏡検査で胃に隆起性病変が認められ,病理組織学的に成人 T 細胞性白血病リンパ腫 (adult T-cell leukemia/lymphoma ; ATLL) と診断された。胃のほかには腫瘍性病変はなく,末梢血に異常リンパ球も認めなかった。肺癌に加えて二重癌として ATLL を合併した皮膚筋炎の報告は少ない。
  • 森 槙子, 平島 徳幸, 大津 正和, 古場 慎一, 藤﨑 亜紀, 藤﨑 伸太, 三砂 範幸, 成澤 寛
    2014 年 76 巻 6 号 p. 555-561
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/04/16
    ジャーナル 認証あり
    われわれは,2005 年から 2013 年の 8 年間に 5 例の aquagenic palmoplantar keratoderma (以下 APK) を経験した。全症例が 3 歳から 17 歳までの若年女性であった。入浴時や運動時などの手掌や足底の過度な浸軟という主訴や問診をもとに手部浸水試験を施行し,「hand in the bucket」 徴候を認め APK と診断した。診察時には特に症状を認めない例や,一見手湿疹や掌蹠角化症 (palmoplantar keratoderma) 様の症状を呈する例を経験した。症例 1,2 では皮膚生検を施行し,病理組織学的に過角化と角層内汗管の開大を呈していた。全例,塩化アルミニウム溶液の外用にて加療したところ,1 例では改善に乏しかったが,他 4 例では効果を認めた。掌蹠における難治性の湿疹性病変や過角化を有する若年の患者をみた際には病変部が浸軟しやすいかを確認し,わずかにでも APK を疑う場合,積極的に手部浸水試験を行うことが望ましい。
  • 池田 真希, 中原 真希子, 内 博史, 古江 増隆
    2014 年 76 巻 6 号 p. 562-564
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/04/16
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    76 歳,男性。3 歳時に顔面に熱傷を受傷した。初診の約 1 年前から右前額に紅斑を生じ,近医を受診した。皮膚生検で異型線維黄色腫が疑われ,精査加療目的に当院に紹介された。初診時,右前額に痂皮を伴い,軽度の浸潤を触れる紅斑を認めた。4 mm マージンで全切除した。病理組織学的に真皮浅層から中層にかけて異型の強い線維芽細胞様の紡錐形細胞が増殖しており,核分裂像を多数認めた。免疫組織化学染色の結果をあわせ,異型線維黄色腫と診断した。また病変部近傍の真皮浅層に solar elastosis,基底層の極性の乱れがあり,日光角化症も合併していた。熱傷瘢痕からは有棘細胞癌や基底細胞癌の発生が多いとされるが,稀ではあるが異型線維黄色腫も発生し,鑑別に挙げる必要がある。自験例では日光角化症も合併しており,紫外線暴露も誘因の一つと考えた。
  • 村田 真帆, 中原 真希子, 中村 美沙, 中原 剛士, 高原 正和, 師井 洋一, 古江 増隆
    2014 年 76 巻 6 号 p. 565-568
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/04/16
    ジャーナル 認証あり
    症例は生後 8 カ 月の男児。生後 2 週頃,右側胸部の褐色斑に母親が気付いた。生後 3 週頃,タオルや手で擦ることで皮疹が隆起することが数回あった。生後 1 カ 月過ぎから発毛を認め,それ以降は刺激による皮疹の隆起はなくなった。初診時には,表面に多毛を伴う 7×6 cm の不整形で境界やや不明瞭な淡褐色の局面を認めた。病理組織では,真皮全層にわたり好酸性に染まる平滑筋線維の集塊が多数見られ,大部分は毛包と無関係に増生していた。免疫染色では desmin,actin 陽性,vimentin,c-kit 陰性であった。 臨床所見と初診以前の症状,病理所見をあわせて平滑筋母斑と診断した。症状は経過とともに軽減することが多いことから,本例も特に加療は行わず経過観察中である。平滑筋母斑の報告は少なく,経過の報告も少数であるため,本例でも今後経過観察をしていく必要があると考える。
  • 都留 寛子, 内 博史, 栗原 雄一, 中原 剛士, 中野 美沙, 幸田 太, 師井 洋 一, 古江 増隆
    2014 年 76 巻 6 号 p. 569-573
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/04/16
    ジャーナル 認証あり
    症例 1:4 歳,男児。生下時から右踵部に皮下腫瘤が存在した。歩行で紫色に変化し,表面に角化と痛みを伴うようになってきたため当科を受診した。症例 2:46 歳,男性。2011 年に左踵部の皮下硬結を自覚した。疼痛と局所の多汗を自覚したため当科を受診した。2 例とも切除し,病理組織学的に真皮内にエクリン汗腺および毛細血管の増生が認められた。以上から eccrine angiomatous hamartoma (EAH) と診断した。自験例は EAH の比較的典型例と考えられた。
  • 水谷 和広, 山田 元人, 鈴木 教之, 萩原 里香
    2014 年 76 巻 6 号 p. 574-576
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/04/16
    ジャーナル 認証あり
    血管外皮細胞腫はまれな血管系腫瘍である。臨床診断が困難で,病理組織学的に診断されることが多い。確定診断には,HE 染色のみでなく,鍍銀染色や免疫染色が重要である。今回我々は右大腿に発生した血管外皮細胞腫を経験したので報告する。78 歳,女性。数年前から右大腿に発生増大した皮下腫瘍を主訴に外来受診した。直径 2.5 cm,弾性硬の可動性良好な皮下腫瘍を認めた。切除術を施行し,淡褐色腫瘍を得た。HE 染色で,小血管周囲に紡錘形腫瘍細胞が増殖する像がみられた。鍍銀染色で,黒染された細網線維が腫瘍細胞を取り囲む像がみられた。免疫染色で,CD34 に陽性を示し,CD31,α-SMA に陰性を示した。以上より,血管外皮細胞腫と診断した。
  • 白瀬 春奈, 山口 さやか, 平良 清人, 林 健太郎, 苅谷 嘉之, 山本 雄一, 高橋 健造, 上里 博
    2014 年 76 巻 6 号 p. 577-582
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/04/16
    ジャーナル 認証あり
    症例 1:85 歳,男性。右大腿に腫瘤が出現し,その後全身に紅斑や結節が多発した。病理組織学的所見では真皮全層に異型単核球細胞がびまん性に浸潤し,この細胞は CD4・CD7・CD56・CD123・TCL-1 が陽性,CD20・CD45RO・EBER はいずれも陰性であり,blastic plasmacytoid dendritic cell neoplasm と診断した。初診から 1 週間後に白血化し,約 1 カ月後に永眠した。症例 2:77 歳,男性。背部に腫瘤が出現し,その後全身に紅斑が多発した。病理組織学的所見では,真皮全層に稠密な異型細胞の浸潤がみられ,免疫染色より症例 1 と同様 blastic plasmacytoid dendritic cell neoplasm と診断した。THP-COP 療法や低用量エトポシド療法を行ったが,約 10 カ月後に白血化し永眠した。Blastic plasmacytoid dendritic cell neoplasm は,形質細胞様樹状細胞の前駆細胞が単クローン性に増殖しており,細胞膜の抗原解析では CD56,CD123,TCL-1 が陽性であることが診断の鍵となる。
統計
  • 伊藤 絵里子, 中原 剛士, 中原 真希子, 幸田 太, 高原 正和, 師井 洋 一, 古江 増隆
    2014 年 76 巻 6 号 p. 583-587
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/04/16
    ジャーナル 認証あり
    2009 年 4 月から 2013 年 3 月までに当科外来を受診しジャパニーズスタンダードアレルゲン (2008) を用いたパッチテストを施行した 235 例を集計し,日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会統計との比較検討を行った。計 235 例中,男性 42 例,女性 193 例,男性では 30 歳台および 60 歳台,女性では 60 歳台の年齢層が多かった。原疾患では,接触皮膚炎が全体の 54%と最多で,次いで薬疹,掌蹠膿疱症,金属アレルギーの順であった。日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会との比較では接触皮膚炎が最多である点は同じであったが,当科では薬疹症例の割合が高かった。当科での陽性率は,potassium dichromate が11.9%と最も高く,次いで mercuric chloride 8.1%,urushiol 7.2%であったのに対し,2009∼2011 年度学会陽性率では nickel sulfate 13.7%,urushiol 10.8%,cobalt chloride 7.6%の順であった。
講座
治療
  • 中原 剛士, 中原 真希子, 幸田 太, 北 和代, 竹内 聡, 古江 増隆
    2014 年 76 巻 6 号 p. 593-597
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/04/16
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎において搔破は皮膚症状の悪化因子であるため,搔破行動を抑制することは,アトピー性皮膚炎の治療に有用であると考えられる。本研究では,創傷治癒に使われるハイドロゲル保護剤を夜間に搔破の目立つ病変部に貼付し,搔破行動から貼付部位を保護することによりアトピー性皮膚炎の良好なコントロールが可能かどうかを検討した。16 例のアトピー性皮膚炎患者に,はじめの 2 週間,両肘窩あるいは膝窩にプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル (リドメックス®) ローションを単純塗布し,被検側にのみハイドロゲルを夜間に貼付した (試験①)。その後,プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルローションを単純塗布して十分に皮膚炎を落ち着かせた状態ののちに,被検側のみにハイドロゲルを貼付し,対照側には比較対象としてヘパリン類似物質 (ヒルドイド®) 軟膏あるいはローションを単純塗布し,両者のいずれが皮膚炎治療あるいは悪化防止に有用かを検討した (試験②)。プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル単独群とプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル+ハイドロゲル併用群はともに有意な皮疹改善効果を示し,併用群において皮疹スコアの低下が有意に大きかった (試験①)。また,プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル外用による治療後,ヘパリン類似物質外用では皮疹スコアが有意に増悪したものの,ハイドロゲル貼付では皮疹スコアは著変なく,皮疹スコアの増加はヘパリン類似物質群においてハイドロゲル貼付群より大きい傾向であった (試験②)。以上より,ハイドロゲル貼付はステロイド外用による治療効果を増強させること,ステロイド外用による治療後の悪化防止に有用であることが示された。
  • ―― 0.05%ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏の週 2 回外用の効果 ――
    照井 正, 木庭 幸子, 芦田 敦子, 奥山 隆平, 小澤 麻紀, 相場 節也
    2014 年 76 巻 6 号 p. 598-605
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/04/16
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎 (AD) は,皮疹の再燃を長期間繰り返す炎症性皮膚疾患である。その治療方針は,炎症を早期に収束させ再燃を予防することであり,このことは,患者 QOL 向上の視点からも重要である。今回,中等症以上の AD 患者を対象に,0.05%ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル (BBP) 軟膏によるプロアクティブ (PRO) 療法の効果を検討した。すなわち,BBP 軟膏連日外用で炎症の収束後,保湿剤連日外用をベースに週 2 回の BBP 軟膏を外用する PRO 群と保湿剤の単独外用療法群 (CON 群) の 2 群に分け,両者間で再燃予防効果や QOL について比較観察した。その結果,PRO 群はベースラインに比較して 8 週後または試験終了時において皮膚所見スコアに有意な改善が認められた。4 週後,8 週後または試験終了時の皮膚所見スコアでは,PRO 群において CON 群に比較して有意に低い値を示した。また,日中のかゆみの指標である VAS (Visual Analog Scale) と DLQI (Dermatology Life Quality Index) のスコアの推移では,ベースラインに比較して試験終了時に PRO 群において有意に減少した。週毎の累積の炎症収束維持日数では,PRO 群において,CON 群に比較して 3 週目から有意な延長が認められ,PRO 群の炎症収束維持率は CON 群に比較して有意に高かった。以上の結果から,中等症以上の AD 患者の炎症の収束後の再燃予防に,週 2 回の BBP 軟膏外用によるプロアクティブ療法が有効で,炎症の再燃までの期間を延長させることが示された。また,かゆみの改善や患者 QOL の向上に繋がる有用な外用療法であることが示唆された。
Q&A
  • 「フェキソフェナジン塩酸塩効果不十分な慢性蕁麻疹における増量投与とオロパタジン塩酸塩への変更投与の比較検討」について
    秀 道広, 森田 栄伸
    2014 年 76 巻 6 号 p. 606
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/04/16
    ジャーナル 認証あり
  • 森田 栄伸, 高橋 仁, 金子 栄, 千貫 祐子, 東儀 君子, 髙垣 謙二, 辻野 佳雄, 三原 祐子, 石飛 朋子, 福代 新治, 山 ...
    2014 年 76 巻 6 号 p. 607-615
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/04/16
    ジャーナル 認証あり
    島根県下 5 医療施設を受診した慢性蕁麻疹患者のうち,フェキソフェナジン塩酸塩の通常量 (120 mg/day) の服用にて効果不十分であった 24 例の患者を対象に,フェキソフェナジン塩酸塩の増量 (240 mg/day) 群 (フェキソフェナジン増量群:12 例) あるいはオロパタジン塩酸塩の通常量 (10 mg/day) への変更群 (オロパタジン変更群:12 例) の 2 群に無作為に割付,その後 4 週間の臨床症状を蕁麻疹重症度スコア,蕁麻疹活動性スコア,改変した蕁麻疹活動性スコア (modified Urticaria Activity Score : mUAS) により解析した。蕁麻疹重症度スコアは,フェキソフェナジン増量群では最終評価時に有意なスコア低下を認め,オロパタジン変更群では割付 4 週後および最終評価時に有意な低下を認めた。mUAS は,フェキソフェナジン増量群で 0∼1 週,2∼3 週,3∼4 週,最終評価時において有意な低下を認め,オロパタジン変更群で 1∼2 週においてのみ有意な低下を認めた。以上の結果からフェキソフェナジン通常量投与で効果不十分な慢性蕁麻疹に対してフェキソフェナジン倍量の増量投与は症状の改善に有効であり,さらにオロパタジン通常量への変更も効果はやや劣るものの有効であると結論した。フェキソフェナジンの倍量投与に要する費用の観点からは,抗ヒスタミン作用の高いオロパタジンへの変更も選択肢となり得ることが示唆される。(本論文は第 76巻4号〔2014年8月号〕p.p.372-380 に掲載されたものを一部訂正し,再掲載したものである。訂正箇所は下線にて表示している。)
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