59歳,女性。15年前に全身性エリテマトーデスを発症し,predonisoloneを内服中であった。顔面から下顎部にかけて皮下膿瘍を形成し,再発を繰り返していた。少数のメチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)とグラム陽性桿菌が検出され,感受性のある抗菌薬を投与したが改善しなかった。皮膚常在菌の
Corynebacterium の混入と考えられていたグラム陽性桿菌を原因菌と考え,精査を依頼し,16S rRNA遺伝子の塩基配列による系統解析で,
Nocardia niigatensis と同定された。臨床像から皮膚リンパ管型ノカルジア症と診断し,minocyclinの内服により約2ヵ月で略治した。本邦で6例目となる
Nocardia niigatensis 感染症を報告するとともに,SLE患者におけるノカルジア感染症について考察し,ノカルジア感染症診断における臨床側から検査室への情報提供が必要な具体的理由について言及する。
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