西日本皮膚科
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35 巻, 3 号
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図説
綜説
シンポジウム―頭部の癌および前癌―
  • 藤田 英輔
    1973 年 35 巻 3 号 p. 210
    発行日: 1973/06/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
  • 山本 忠利
    1973 年 35 巻 3 号 p. 211-215
    発行日: 1973/06/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    西日本地区の5大学における最近10年間の頭部,顔面に発生した老人性角化症,Bowen病と色素性乾皮症を集計し,それぞれ44例,4例,30例であつた。老人性角化症は前頭,側頭,頭頂部8,鼻背,鼻尖部5,前耳介4,眼窩部2,後頭部・耳介各1であつて,その他の部位では頬部,額部,耳後部,顎部などを合せた部位が23例を占めた。Bowen病はすべて女性で頬部2,項部・口唇部各1例であり,色素性乾皮症は男女比3:2で男性に多く,4才未満の発症が81%を占めていた。これらの病態と治療について若干の文献的考察とともに報じた。
  • —有棘細胞癌の病態にかんする知見補遺 その1—
    山本 慶一郎
    1973 年 35 巻 3 号 p. 216-224
    発行日: 1973/06/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    昭和38年1月∼47年6月の約10年間に西日本5大学皮膚科教室を訪れた頭部有棘細胞癌179例のアンケート調査の成績および同期間中山口大皮膚科を訪れた症例にかんする観察所見を分析して以下の結果をえた。
    1)性別にみると発現頻度は男性に高頻度であつた。
    2)年令別にみると60才以上の発現頻度は顕著に高かつた。
    3)前駆病変ないし発生母地別にみると,健常皮膚より生じたものは,広,狭義前癌性病変よりのものにたいしてやや多かつた。
    4)発生部位別にみると発現頻度は被髪頭部,口唇部および鼻部において高く,下限窩部および下口唇部ではそれぞれ上眼窩部および上口唇部よりも高頻度であつた。
    5)リンパ節腫脹の部位別発現頻度と頭部でのリンパ節支配領域との関係についてみると,後頭部,下眼窩部および下口唇部ではリンパ節腫脹の生ずる頻度が高かつた。
    6)TNM分類ではT1およびT2の症例がT3およびT4の症例より多く,N0例がN1,N2およびN3例よりも多かつた。また全例がM0であつた。
    7)BrodersのgradingによつてみるとIおよびIIの例はIIIおよびIVの例より多かつた。
  • 安田 勝
    1973 年 35 巻 3 号 p. 225-238
    発行日: 1973/06/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    西日本地区の5大学における過去約10年間の頭部顔面有棘細胞癌の治療と予後についてアンケート調査により集計した143例を検討した。1)手術療法(以下手と略す)としては根治的原発腺腫剔出,放射線療法(以下放と略す)としてはデルモパン,化学療法(以下化と略す)としてはブレオマイシンの全身投与などが主流をなしている。2)未治療例では手単独,化+放,手+放が多く,既治療例では一定しない。3)T1,では手単独,手+放,T2では手単独,化+放が多い。4)初発治療をみると,口唇では化,頭部では手,鼻背・鼻翼では放がやや多い,60才代では放,30∼50才代では化,70才以上では手がやや多い。5)未治療例は既治療例に比して予後良好。6)治療方法では手+放,手単独が予後良好。7)初発治療としては手が予後良好。8)TNM分類およびBrodersの悪性度と予後との間に相関関係がみられた。
  • 荒尾 龍喜, 松村 政成, 小野 友道, 藤原 邦彦, 大山 勝郎
    1973 年 35 巻 3 号 p. 239-246
    発行日: 1973/06/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    著者らの教室のほかに徳島,山口,九州,鹿児島各大学皮膚科教室例を加えた計188例の基底細胞癌の病態について検討した。これらの症例において男女はぼ同様,40才以下が5.2%に,60才以上が62.1%にみられ,大多数が顔面とくに下限瞼,鼻背鼻翼,鼻唇部およびそれらの周囲に集中して発生するのが認められた。組織学的には充実性未分化型が69.9%を占め,腺様型が10.4%で,色素沈着型が44.5%にみられ,遠隔ないし所属リンパ節転移を生じた例は1例も認められなかつた。以上の臨床像,光顕および電顕所見などより基底細胞癌の組織発生について論じた。
  • 児浦 純生
    1973 年 35 巻 3 号 p. 247-253
    発行日: 1973/06/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    文献的に,また,5大学のアンケートの集計の結果ならびに,わが教室における2,3の成績を綜合検討し,基底細胞癌(BCE)の治療について,つぎのごとく,結論した。
    1)BCEの予後は,発生母地,受診までの治療の有無,発生部位,TNM分類における位置などにも関係する。
    2)治療法として,高令で,手術侵襲に耐えざる場合をのぞいて,原則として,剔出がのぞましい。放射線の術後照射は,さらに有効である。T3,T4で,部位が鼻背,鼻翼,眼窩にいたるものは,整容的なことは度外視して,思いきり,広く,深く剔出する。放射線療法は,有効な治療法であるが,不適量な照射は,かえつて,Verwilderungをきたすおそれがある。
    3)BCEのタイプによつては,5-FU軟膏外用のみでも,完治に導きうる。ブレオマイシンは,術前,術後投与としての意義が大である。
  • 池田 重雄, 今井 清治
    1973 年 35 巻 3 号 p. 254-262
    発行日: 1973/06/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    過去10数年間にわたりわれわれが経験した頭頸部皮膚癌(有棘細胞癌,基底細胞癌が主体,マイボーム腺癌,線維肉種,隆起性皮膚線維肉腫各数例)および癌前駆症の手術療法の実際と予後についてのべた。頭頸部はもつとも人眼につきやすい部付であるため,手術療法による根治的効果とともに,術後の整容上の問題を十分考慮に入れることが必要で,そのためには頭部,額部,眼の周囲,鼻部,口の周囲,耳朶の部位的特異性に準じた手術術式を熟知しておくことが必要となる。他部位における皮膚癌と同様,まだリンパ節転移の認められない時期(第I期TN0M0)に手術療法を施行することが望ましい。すでに領域リンパ節転移の認められる症例(N1∼3)では,積極的に根治的頸部廓清術(radical neck dissection)を施行することが望ましい。なぜならば廓清をした症例としない症例とでは予後においてかなりの差が認められている。原発巣がT3∼4で,手術療法のradicalityに多少の問題が残るような症例,およびN1∼3で,根治的廓清が完全にはいかなかつたと思われる症例にたいしては,予後改善の目的で前者ではベータトロン,後者では60COの後照射療法を積極的に併用することが望ましい。顔面に多発する老人性角化腫,躯幹四肢に多発するBowen病,第II期乃至第III期初期の色素性乾皮症にたいしては,皮膚の若返りをかねてskin abrasion techniqueを施行することが望ましい。
  • 上野 賢一
    1973 年 35 巻 3 号 p. 263-268
    発行日: 1973/06/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    頭・顔・頸部の皮膚上皮性悪性瘍(基底細胞腫・有棘細胞癌・癌皮膚転移・老人性角化腫・白色角板症・ボーエン病・ケラトアカントームなど) 76例にデルモパンによる治療をおこない,その術式・下床の保護・治療効果・整容効果などを検討した。下床としてとくに問題となるものは,眼球・骨・軟骨などで,これらのAugenschale,鉛板などによる被覆,照射方法による負荷軽減につき解説した。長期間その経過を追求しえた48例では著効,有効30例(75%),軽快2例(5%),無効・再発および引続いて手術をおこなつたもの8例(20%)であつた。顔面ではとくに整容的効果が問題となるが,まつたく後遺症のないもの9例,一応満足すべき結果といいうるもの18例(31例中)であつた。悪性腫瘍の治療方式は患者の条件(年令・一般状態・社会的条件など)や加療者の特技などを考慮して選択すべきものであり,ここにおいても,Stahl oder Strahlといつた対立的争いをすることは無意味である。私は従来までとくに力を入れて専門としてきた皮膚放射線療法の頭顔頸部皮膚腫瘍への応用について,ここにその簡単な総説を試みた。
  • 三木 吉治
    1973 年 35 巻 3 号 p. 269-274
    発行日: 1973/06/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    5%5フルオロユラシル軟膏の単独塗布と閉鎖密封法によりBowen病,砒素性角化症の18例,38病巣の92%,有棘細胞癌23例の45%,基底細胞癌16例の81%に腫瘍の臨床的消失が認められた。副作用としては局所の疼痛,出血が主であり,本剤の吸収による全身性副作用と考えられるものは認められなかつた。本治療法はBowen病や砒素性角化症のような多発,表在型病巣にたいしては理想的な治療法と考えられるが,有棘細胞癌や基底細胞癌の単発,深在性病巣では単独療法としてはなお,検討を要する。
症例
  • 日野 由和夫, 安田 勝, 吉田 春彦
    1973 年 35 巻 3 号 p. 275-283
    発行日: 1973/06/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    生下時より全身が光沢のある緊張の強い膜様物に覆われ,典型的なcollodion babyとおもわれる生後3日の男児について報告した。本症例は生後2日目ころより下腹部・大腿よりしだいに大葉性の落屑をきたし,生後20日ころには膜はほぼ完全に剥脱し健常皮膚に復した。このような経過をとるものは比較的まれなものであり,新生児生理的落屑の重症なものと考えられる。電顕的観察もあわせて報告した。
  • 西尾 一方, 幸田 弘
    1973 年 35 巻 3 号 p. 284-291
    発行日: 1973/06/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    23才の男子の背部にみられたstoriform neurofibroma (Bednár tumor)について報告した。本邦では皮膚科領域における最初の例である。臨床経過をみると,腫瘍は緩慢な,しかし持続的な発育を示したが悪性徴候は現わさず,摘出後1年8ヵ月経過したが再発をみていない。組織学的に,特有のマット様構造ないし花むしろ模様を認めたほか,メラニン含有細胞も混在しており,色素型に該当する。さらに本腫瘍にかんして総説的に臨床像,組織像,治療および予後,組織発生,鑑別診断を記述した。
研究
  • 加藤 迪彦
    1973 年 35 巻 3 号 p. 292-313
    発行日: 1973/06/01
    公開日: 2012/03/24
    ジャーナル 認証あり
    掌蹠膿疱症は,今日なお本態が不明でなかなか治癒せしめがたい疾患である。この研究の目的は本症皮疹の特徴である膿疱30個を対象として,膿疱内および膿疱壁の細胞の状態の電顕的観察と膿疱内細胞の主体を占める白血球の病態とをデキストリン鉄を用いて,そのとりこみを電顕的観察し,I131γグロブリンのとりこみを測定した。γグロブリンの白血球内での存在については螢光抗体法を用いてその証明を試みた。結果は,膿疱壁の表皮細胞に種々の角化がみられ,デスモゾームの開離,細胞器管の変化と消失が認められた。また核内には封入体の存在がみられた。膿疱内の白血球は正常のものから崩壊した細胞までの種々の段階があり,細胞質内にびまん性γ-グロブリンの存在が認められ,I131γ-グロブリンのとりこみがみられた。これが単なるγ-グロブリンなのか,抗原抗体複合物であるかは不明である。
治療
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