昭和54年10月から昭和59年10月までの5年間に島根医科大学附属病院皮膚科外来を受診した掌蹠膿病症(PPP)患者68名について統計的観察を行つた。
1) PPP患者は全初診患者の0.7%であり, 男女比は9対5であつた。
2) 男女とも50才代前後の発症が多かつたが, 女子の方が高令で発症する傾向がみられた。
3) PPPは掌蹠のいずれかに両側に生じることが多く, 早晩, 掌蹠の両方かつ両側にみられることが多くなつていた。
4) 掌蹠外病変として爪の変化や, 手指背側および足趾背側の膿疱または水疱性紅斑性落屑性皮疹と頭部, 肘, 膝の紅斑性落屑性皮疹がみられた。
5) 掌蹠に膿疱を主体とした皮疹があり, さらに掌蹠外皮疹のみられた症例が多く, この病理では爪の病変の合併も多くみられた。
6) PPPの増悪因子として閉経, 高温·多汗, 歯牙疾患などがあげられた。
7) 末梢血白血球数, 赤血球沈降速度, ASO, ASK, CRPで異常所見を示した症例は少なく, これらの検査はPPPに必ずしも特異的とは思われなかつた。
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