西日本皮膚科
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41 巻, 6 号
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図説
綜説
症例
  • 田村 多絵子
    1979 年 41 巻 6 号 p. 1053-1060
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    Eosinophilic fasciitisの48才女子例を報告した。本症は四肢に好発する限局性の皮膚硬化と, 筋膜の肥厚にともなう下床との癒着をきたし, 好酸球増多と高ガンマグロブリン血症をともなうとされている。われわれの症例ではレイノー現象を初発症状とした。本症の臨床像, 組織像などにつき従来の報告例をまとめ, 若干の考察を行なつた。
  • —病理組織学的検討とその成因について—
    大山 勝郎, 林原 利朗, 友田 哲郎, 坂本 安弘
    1979 年 41 巻 6 号 p. 1061-1068
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    糖尿病性水疱5例(46才男子, 64才男子, 58才女子, 31才女子, 61才男子)について報告した。足背に2例, 趾に3例発生し, 組織学的に表皮内および表皮下水疱の混在型1例, 表皮内水疱2例, 表皮下水疱1例, 角層下水疱1例であつた。いずれも末梢神経伝導速度は異常な低下を示した。成因については不明であるが, 解剖学的に循環障害をきたしやすい下腿, 足背, 足趾にmicroangiopathyがおこり, 真皮上層から基底細胞にかけて浮腫, 変性, 壊死をきたし, 栄養障害におち入り, 水疱を形成するものと推測した。
  • 河野 剣治, 桐生 美麿, 和田 秀敏
    1979 年 41 巻 6 号 p. 1069-1074
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    局所皮弁のひとつのLimberg flapおよびその類似皮弁を皮膚疾患10数例に用いて, 整容的に満足ゆく結果を得たので報告した。軽度のdog earは生じたが, 皮弁の壊死および創離開などの合併症はみられなかつた。また類似皮弁との比較検討を行なつた。
  • 竹本 ひとみ, 西本 勝太郎
    1979 年 41 巻 6 号 p. 1075-1078
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    29才女子の右拇指に生じたCandida parapsilosisによる爪真菌症を報告し若干の考察を加えた。爪病変は爪先端部の黒褐色に着色した爪甲剥離と, その下の軽度の角質増殖からなつており, Zaiasのdistal subungual onychomycosisに一致する。KOH標本では, 爪ケラチン内に円形の胞子と少数の仮性菌糸をみ, 爪組織標本のメテナミン銀染色標本で, 爪甲遊離面の円形の胞子と, その下の爪ケラチン組織内への菌糸型での菌の侵入をみた。剥離した部分の爪甲を除去し, エンペシド液外用による治療を行なつたが, まつたく効果はみられなかつた。
  • 花田 勝美, 川口 陽子, 橋本 功, 加固 紀夫
    1979 年 41 巻 6 号 p. 1079-1087
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    後天的亜鉛欠乏症の7例を報告し, 各種臨床検査および組織学的検索を行なつた。皮膚病変部の病理組織学的所見は, 紅斑部が過角化, 不全角化, 有棘層肥厚, 表皮突起延長および真皮の慢性炎症像を, 水疱部が海綿状態, 表皮内水疱ないし膿疱, 真皮上層の浮腫, 急性炎症像をおのおの呈しており, 一部Munroの微小膿瘍, 棘融解細胞が認められた。電顕的にはランゲルハンス細胞, keratinocyteに多数の類円体を, 水疱部でdesmosomeの解離とtonofilamentの退縮を認めた。2症例の表皮組織内亜鉛はそれぞれ127.0μg/g, 101.6μg/gと低値を示した。血清亜鉛の低下は全身の代謝異常に関連するのみならず, 局所の皮膚組織内亜鉛低下をもまねき, 種々の皮膚病変を招来させるのかも知れない。
  • 丸尾 充, 上田 恵一, 草場 健二
    1979 年 41 巻 6 号 p. 1088-1092
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    約13年前より皮膚硬化が後頸部から始まり, 徐々に上背部, 上腕部に拡がつた糖尿病性浮腫性硬化症の48才男子例を報告した。組織学的にはHE染色で真皮は著明に肥厚し, 膠原線維は断裂, 膨化して間隙形成が認められた。アルシアン青染色(pH2.5)では間隙部に一致して淡青色に染まつた。また本邦報告例を集計し, 年令, 性別, 糖尿病との関係などについて統計的観察もあわせて行なつた。
研究
  • 山浦 英明
    1979 年 41 巻 6 号 p. 1093-1098
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    高令者の慢性湿疹で汎発性, 苔癬化傾向の強い症例では血清IgE濃度の増加がみられた。本湿疹患者のアトピー皮膚炎と異なる点はつぎの通りである。1) 高令者男子に多い。2) 家族歴, 既往歴にアトピー素因を有しない。3) 苔癬化局面はアトピー皮膚炎の好発部位に生じない。4) 血中好酸球数増多は比較的軽度である。5) RASTによる特異抗原の陽性率はきわめて低い。このように本症はアトピー皮膚炎とは病因, 病態論的に異質であると考えられ, 加令にともなうTリンパ球の機能異常がIgEの産生に何らかの役割を果していることが考えられる。
  • 下田 祥由, 宮崎 香代子, 田中 永子, 内田 博子, 福原 俊子, 千葉 紀子
    1979 年 41 巻 6 号 p. 1099-1107
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    外陰Paget病3例(男子2例, 女子1例)のPaget細胞を電顕的に検討した。2例の外陰Paget細胞は細胞質が明るく, トノフィラメントは認められず, グリコーゲン顆粒が散在性, 集簇性に存在し, 小胞体が豊富で, 電子密度中等度の分泌様顆粒が認められた。また細胞間細管が存在し, 外陰Paget細胞間にも小型のデスモゾームが少数存在した。1例は変形したミトコンドリアないし分泌性空胞様構造, リボゾームが細胞質に顕著に認められたが, グリコーゲン顆粒, 電子密度のある分泌様顆粒はほとんど認められなかつた。ただ隣接するkeratinocyteにデスモゾームの集塊, トノフィラメントの凝集などの異型性を認めた。3例のうち2例の外陰Paget細胞はエックリン腺起源ないしエックリン器官への分化を持つ細胞と推定されたが, 1例においてはその起源ないし分化への傾向を窺うことは出来なかつた。
  • 田中 道雄
    1979 年 41 巻 6 号 p. 1108-1115
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    昭和47年10月から52年10月までにえられたベーチェット病30例, 健康者100例の血清におのおの延べ552回, 670回にわたり, 0.5%, 0.7%, 1.0%, 1.3%濃度のカルボール加生理食塩水を試薬とするカルボール反応(重層法による沈降反応)を実施した。血清は働性を使用した。その結果本反応は, 1) 健康者では, 0.7% カルボール濃度以下では全例陰性を示した。1.0%以上の濃度では若干陽性例がみられた。2) ベーチェット病の臨床症状, 血沈値, CRP値とよく相関した。3) 病期, 炎症の程度に左右される本症患者の血清A/G比をよく反映した。4) 本反応の本態は推測の域をでないが, 本症の病勢判定に利用しうるものと考える。
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