西日本皮膚科
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47 巻, 4 号
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図説
症例
  • 佐藤 恵実子, 今山 修平, 佐藤 裕
    1985 年 47 巻 4 号 p. 613-621
    発行日: 1985/08/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    71才男子。多彩な皮膚症状を呈し, 心不全で急死した原発性全身性アミロイドーシスの1例を報告した。剖検により, 全身の諸臓器にアミロイドの沈着が認められた。皮疹部の光顕所見では, ダイロン, コンゴ·レツド染色で, アミロイドの沈着を真皮に認め, 血管周囲にもアミロイドの沈着が認められた。電顕所見では, 表皮基底膜直下から, 真皮にかけてアミロイド塊が認められ, その間を線維芽細胞が突起を伸ばしていた。一部, 線維芽細胞の突起の間に, 正常なコラーゲン線維が残存しているのが観察された。また, 血管内皮細胞の基底膜の間質側に密接して, アミロイド細線維が認められており, これら光顕·電顕所見から, 血管内皮細胞を透過したアミロイドの前駆蛋白が, 何らかの機序でアミロイド細線維となり, 組織間液の流れにのつて拡散し, 線維芽細胞, 最終的には表皮基底膜にさえぎられて蓄積していつたものと考えた。
  • 藤井 義久, 瀬口 俊一郎, 新海 浤, 高安 進
    1985 年 47 巻 4 号 p. 622-625
    発行日: 1985/08/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    四肢伸側, 腰背部, 臀部および頭部に典型的な皮疹を生じ多発性骨髄腫を合併した1例を報告した。患者は73才男子, 約10年前より上記の部位にそう痒性皮疹を生じている。検査所見では高IgG血症, 蛋白分画像にてM蛋白帯の出現, 免疫電気泳動にてIgG κ-typeのM-蛋白がみられ, 骨髄穿刺にて異型性の強い骨髄腫細胞が12.6%認められた。組織学的に真皮乳頭層にダイロン染色陽性物質がみられたが, 真皮の小血管, 胃直腸粘膜には認められなかつた。DACM法によるS-S結合染色では真皮アミロイドに一致して蛍光がみられた。また, 抗ケラチン抗体法ではアミロイド塊の一部に弱陽性所見を示した。本症例では, (1)皮膚アミロイドーシスに多発性骨髄腫が偶発的に合併したものか, (2)全身性アミロイドーシスの部分症状としてアミロイド苔癬の皮疹が生じたものか, 問題となるが, 血管周囲や胃直腸粘膜にアミロイド沈着を認めないことや, DACM, 抗ケラチン抗体の所見から, 多発性骨髄腫は皮膚アミロイドーシスに単に合併したものと推測した。治療として, 副腎皮質ホルモン単独あるいはこれと40%DMSOの等量混合溶液の閉鎖密封療法が著効を奏した。
  • 水野 正晴, 出来尾 哲, 住元 篤子, 岩本 俊之
    1985 年 47 巻 4 号 p. 626-630
    発行日: 1985/08/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    16才女子。10才頃より, 右肩から右側頸部にかけて, 粟粒大から米粒大の丘疹が集簇して存在していた。臨床的に一部は血疱状を示し限局性被角血管腫様であり, また一部は蛙の卵状で限局性リンパ管腫様であつた。光顕像は, いずれも表皮直下に1層の内皮細胞に被覆された拡張した管腔がみられ, PAS染色, PAM染色にて基底膜はほとんど染色されなかつた。血疱状丘疹の部分の電顕像は, pericyteは見られず, 基底板は連続性に乏しく, 内皮細胞間隙は接触しているのみの部分が多く, 一部は解離しており, リンパ管と考えられた。限局性リンパ管腫と限局性被角血管腫との鑑別には電顕像が必要であると考えられた。
  • 高橋 博之, 岡野 伸二, 矢村 宗久, 森田 栄伸, 碓井 美智子, 宮本 義洋
    1985 年 47 巻 4 号 p. 631-635
    発行日: 1985/08/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    65才男子の仙骨部, 上背部に発生した放射線潰瘍と, 42才男子の腰背部に発生した有棘細胞癌の症例について, 病巣部摘出後の皮膚軟部組織欠損部を広背筋皮弁, 大臀筋皮弁を用いて再建した。筋皮弁は圧迫などの外力に抵抗性が強く, 二次的欠損部に植皮を必要としないことが多いため, 体幹背部に用いた場合, 早期より仰臥位をとることができる。さらに, 深い潰瘍にも使用できる十分な組織量をもつており, 局所の血行を改善しbiological cleansing効果もすぐれている。体幹背部の再建において, 筋皮弁はきわめて有用性が高いと考える。
  • 布 清文, 三原 基之, 竹中 緑
    1985 年 47 巻 4 号 p. 636-639
    発行日: 1985/08/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    末梢血管拡張剤であるシンナリジンによる扁平苔癬型薬疹の65才女子例を報告した。初診時の病理組織像にて, 汗孔角化症に特徴的であると言われるcornoid lamella様不全角化を認め, また皮疹の治癒過程に汗孔角化症様の黒褐色色素沈着を認めた。
  • 西谷 敬子, 今山 修平
    1985 年 47 巻 4 号 p. 640-643
    発行日: 1985/08/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    口唇, 外陰部などの好発部位以外の場所に限つて少数の皮疹が認められた2例を報告した。原因と考えられる薬剤摂取歴はなかつた。うち1例ではエトレチネート外用が奏効した。
  • 松永 若利, 長野 博章, 荒尾 龍喜
    1985 年 47 巻 4 号 p. 644-648
    発行日: 1985/08/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    67才男子。右耳介上縁後面の腫瘤を主訴に来院。全身皮膚を精査したところ, 右耳介前面, 上背部, 右前腕に黒色扁平腫瘤が認められた。組織学的には, 右耳介上縁後面の腫瘤は棘融解型SCC, 右耳介前面の腫瘤は充実型BCC, 上背部, 右前腕の腫瘤はともに表在型BCCであつた。一見正常と思われる皮膚に皮膚悪性腫瘍が重複, 多発する例は比較的稀れであるが, 自験例は約50年間漁師として生活し, これまで大量の日光曝射を受けたことが考慮される。また, 文献的にも棘融解型SCCは日光による皮膚障害と密接に関連する腫瘍と考えられており, 自験例における皮膚悪性腫瘍多発の要因としては, 大量の日光曝射が関与するものと推察した。
  • 長野 博章, 江川 清文, 前川 嘉洋, 荒尾 龍喜
    1985 年 47 巻 4 号 p. 649-652
    発行日: 1985/08/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    眼窩内浸潤をきたした基底細胞癌(BCC)の2例を報告した。症例1は57才女子で右下眼瞼部, 症例2は69才女子で左内眼角部にBCCが生じ, 腫瘍切除術, 遊離植皮術が行われたが, 再発を繰り返し, 腫瘍は眼窩内へ浸潤した。眼窩内郭清術および骨削り術を行いmedian forehead flapおよび遊離植皮術にて再建を行つた。組織学的にsolid type BCCがsclerosing type様に変化し, 深く浸潤していたことが確認された。
  • 木内 一佳志, 沢村 大輔, 山本 雅章, 福士 堯, 河津 俊太郎, 貝森 光大
    1985 年 47 巻 4 号 p. 653-656
    発行日: 1985/08/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    Hemopoietic dysplasiaに合併したpyoderma gangrenosumの1例を報告した。リンパ球機能の低下と好中球活性の亢進がみられ, 本症と免疫異常との密接な関連が示唆された。治療として, 抗生物質の全身投与は無効であつたが, ステロイド全身投与で若干皮疹の改善をみた。
研究
  • 若松 信吾, 安 成烈, 木村 良三, 笹本 良信, 佐々木 健司, 野崎 幹弘, 平山 峻
    1985 年 47 巻 4 号 p. 657-664
    発行日: 1985/08/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    レーザー照射による単純血管腫の治療は, 選択的に血管だけを破壊することができず, 照射後の再発と皮膚表面の瘢痕の問題があるため, いまだ本治療だけで血管腫を完治させるまでにはいたつていない。そこでわれわれは従来使われてきたアルゴンレーザー装置のかわりに色素レーザー装置を用いて鶏の鶏冠および単純血管腫への照射を行い, 経時的に組織変化を観察した。色素レーザー装置は励起する色素の種類を変えることにより任意の波長を発振することができ, 0.7μsというきわめて短い時間のパルス発振方式である。そこで装置の発振波長を色素ローダミン575を用いることにより, 赤血球の最大吸収波長である575nmに同調させ鶏冠および単純血管腫への照射を行つてみた。組織学的には鶏冠の場合, 表在性の豊富な血管組織にレーザー光がほとんど吸収されるため均一な同部位の凝固変動が見られたが, 単純血管腫への照射では出力を変えることにより, 血管周囲の正常組織の変性を最小限にとどめて血管のみの選択的破壊変性が起るのが観察された。
  • 佐藤 静生, 花田 勝美, 鈴木 真理子, 松村 和子, 沢村 大輔, 田崎 理子, 千代谷 成史, 野村 和夫, 帷子 康雄
    1985 年 47 巻 4 号 p. 665-670
    発行日: 1985/08/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    0.6% Cis-platinum軟膏を試作し, 難治性の扁平疣贅7例, 尋常疣贅2例に連日塗擦した結果, 7例中5例, 2例中1例に有効以上の効果をみ, その平均効果発現日数は約10日であつた。皮膚悪性腫瘍に対しては, さらにマイクロ波, 赤外線, 発熱シートによる局所温熱療法を併用し, 有棘細胞癌の1例は5週後, その難治性潰瘍が上皮化し, 腫瘍細胞も消失した。乳房外Paget病の5例中4例も皮疹の改善とPaget細胞の消退傾向が著明であつた。マウスB16メラノーマに対してはcis-platinum 30μgを腫瘍内に局注後, 44℃, 30分加温した結果, 対照群に比して約40%の増殖抑制が認められた。Cis-platinum軟膏と加温による温熱化学療法は, 皮膚悪性腫瘍の治療法の一つとして検討する価値があると考えられた。
  • 滝 正, 井沢 洋平, 臼田 俊和, 平松 三芳, 松田 俊樹, 横尾 和久, 小塚 貞雄, 坪根 幹夫, 青木 自由治
    1985 年 47 巻 4 号 p. 671-673
    発行日: 1985/08/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    32名の第2∼第3度熱傷後患者の, 皮膚脱色素斑に対する外科的治療法として, 自家分層植皮術を行つた。方法は, 脱色素斑部の皮膚をハンドデルマトームで乳頭層∼真皮浅層の厚さで切除した後止血し, 厚さ0.1∼0.2mmの正常皮膚を脱色素部に移植し, tie over固定を行い, 1週間後tie over固定をはずした。Donor siteは放置し, そのまま上皮化するのを待つた。すべてのrecipient siteには, 3∼4週間後に正常皮膚と同じ発色を示し, 再度脱色することはなかつた。また, 脱色素部にはdopa反応陽性のmelanocyteは認められなかつたが, 発色部にはdopa反応陽性のmelanocyteが表皮基底層に認められた。
  • 林 正幸, 赤尾 信明, 近藤 力王至
    1985 年 47 巻 4 号 p. 674-677
    発行日: 1985/08/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    ヒトのノルウェー疥癬に相当する角質増殖型のブタ疥癬に罹患したブタの患部から虫体, 虫卵を多数含む角質, 鱗屑, 痂皮を採取し, 超音波破砕, 凍結乾燥などの処理を加えて粗抗原を作成した。当科で経験した疥癬患者14名, 正常人13名の血清中特異IgGの半定量を行うべく, この粗抗原を利用してELISAを施行した。その結果, 患者群は正常人群に比し有意差がみられ, 特異IgGの存在が示唆された。また, 発症後1ヵ月以内に来院した3名はことに特異抗体価が高かつた。
  •  
    近藤 靖児, 川田 暁
    1985 年 47 巻 4 号 p. 678-684
    発行日: 1985/08/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    われわれは当科で経験した有棘細胞癌28例の臨床的, 病理組織学的事項についてまとめるとともに, アンケートにより患者の予後を調査し, 病理組織像との関連を検討した。その結果, 患者の予後は腫瘍細胞の浸潤の深さとよく相関することがわかつた。そこで悪性黒色腫のレベル分類の一部を導入して, non-melanoma skin cancerである有棘細胞癌に新しいレベル分類の応用を試みた。
講座
  • リンフォカイン
    旭 正一
    1985 年 47 巻 4 号 p. 685-693
    発行日: 1985/08/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    免疫反応は, 生体が「異物」と認識した「抗原」に対する排除反応であると考えられる。抗原の認識からはじまつて, 抗体や感作リンパ球の産生がおこり, この抗体やリンパ球が抗原と反応し, さらにいくつものメカニズムが作用して, 最終的には炎症反応などの生体反応がおこつてくる。この間に多くの反応段階があり, 複雑な経路をたどつて反応が進行してゆく。この各段階において, いろいろな活性物質が細胞から放出されたり, 細胞外でつくられたりする。これらの微量活性物質は, 反応を進行させたり, 抑制したり, 細胞間の情報伝達をおこなつたり, 組織反応をおこしたりする。免疫学の研究がすすむにつれて, 新しい生体物質や活性因子が次々と報告され, ぼう大な数に達している。免疫学を理解するには, このうちのおもなのだけでも理解しておく必要があるが, あまりにも数が多くて, それぞれ長い名前がついており, BCGFだのMAFだのIFNだのといつたまぎらわしい略語が続出するために, 免疫の話が敬遠される大きな理由になつているように思われる。今回は, これらの物質のうちからリンフォカインをとりあげる。このような微量活性物質は, その機能(活性)が分つているだけで, 物質的性状は分らないものが大部分であり, 統一的に分りやすく解説するなどということは望むべくもないが, 本稿では, その存在が確実にみとめられ, 解析がすすんでいるものを重点的に解説した。
統計
  • 鹿野 由紀子, 藤広 満智子, 前田 学, 森 俊二, 北島 康雄
    1985 年 47 巻 4 号 p. 694-700
    発行日: 1985/08/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    昭和49年1月から昭和58年12月までの10年間に, 岐阜大皮膚科にて18例のスポロトリコーシスを経験した。年間平均症例数は1.8人であり, 外来新患患者数に対する割合は0.05%である。性別では男7例, 女11例(1:1.6)と女子に多く, 年令では9才以下, 60才, 70才代に多くみられた。罹患部位は顔面10例, 上肢8例と顔面と上肢にほぼ同数発生していた。病型ではリンパ管型3例, 固定型15例と固定型が多かつた。外傷の既往のあるものは6例(33.3%)であつた。スポロトリキン反応は16例に施行し, 13例(81.3%)に陽性を示した。組織内菌要素は16例中12例(75.0%)に認められた。治療はヨードカリ内服と温熱療法が著効を示した。
治療
  • —ブフェキサマック軟膏とのWell-Controlled Comparative Study法による比較試験—
    CA軟膏研究班
    1985 年 47 巻 4 号 p. 701-710
    発行日: 1985/08/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    1% Ara-Cを含有するCA軟膏(CA)の帯状疱疹に対する臨床効果の評価を目的として, 5%ブフェキサマック軟膏(BU)を対照薬とし, well-controlled comparative study法による比較臨床試験を14施設の共同研究として行つた。対象は第4病日(皮膚症状発現日を第1病日)までの症例とし, 試験期間は原則として2週間とした。試験開始日, 3日後, 7日後, 14日後に観察を行い調査表に記録した。試験を実施した112例中96例が解析対象となり以下の成績を得た。
    (1) 各観察日ごとの全般改善度の改善率(改善以上)は, 3日後でCA 31.1%, BU 26.8%, 7日後でCA 82.6%, BU 73.3%, 14日後でCA 95.7%, BU 95.3%であつた。各観察日ごとのCAとBUの間には有意差は認められなかつた。
    (2) 副作用がCAに1例, BUに1例認められたが, CAとBUの間に有意差は認められなかつた。
    以上の成績よりCA軟膏は帯状疱疹に有用な薬剤と判定された。
  • —6施設によるオープンスタディ—
    セファランチン研究班
    1985 年 47 巻 4 号 p. 711-715
    発行日: 1985/08/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    6施設の共同研究により, 帯状疱疹に対するセファランチンの有用性を検討した。
    1) 試験実施症例数は66例であつたが, 脱落および除外基準に該当した16例を除いた50例を解析対象とした。
    2) 改善度において, 皮膚症状は89.8%, 疼痛は75.0%, 全般改善度は83.3%と高率の改善が得られた。
    3) 有用度において, 有用率は69.4%であつた。
    4) 副作用は対象とした50例にはみられなかつた。
    5) 以上の点でセファランチンは帯状疱疹の治療に対し使用できる薬剤と考える。
  • Sultamicillin皮膚科研究会
    1985 年 47 巻 4 号 p. 716-726
    発行日: 1985/08/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    Sultamicillinは, Pfizer社により開発された半合成β-lactam抗生剤であり, β-lactamase阻害剤であるsulbactam(以下SBT)とampicillin(以下ABPC)とを, エステル結合により同一分子中に当量ずつ含有する。今回, 皮膚細菌感染症に対するsultamicillin(以下SBTPC)とbacampicillin(以下BAPC)の二重盲検試験を実施し以下の結果を得た。
    1) 担当医による総合臨床効果は, SBTPCとBAPCとの間に有意の差はなかつた。
    2) 委員会判定による臨床効果は, 両薬剤間に有意の差はなかつた。
    3) β-Lactamase陽性S. aureus分離症例における臨床効果は, SBTPCがBAPCよりも有意に優れていた。
    4) β-Lactamase陽性S. aureus分離症例における有用性は, SBTPCがBAPCよりも有意に優れていた。
    5) 層別解析においていくつかの項目で, SBTPCがBAPCよりも優れていた。
    6) 副作用の発現率は, 両薬剤間に有意の差は認められなかつた。
    以上より皮膚細菌感染症に対してSBTPCは, BAPCと同等またはより優れた薬剤であるといえる。
  • —臨床効果および全身的影響の検討—
    Budesonide外用剤長期投与研究班
    1985 年 47 巻 4 号 p. 727-735
    発行日: 1985/08/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    0.05% Budesonide(BDS)軟膏, クリームを各々初回量として5g/日以上の塗布を必要とする慢性皮膚疾患患者53例に4∼16週間単純塗布し, その臨床効果および全身的影響を検討した。
    1) 改善率(かなり軽快以上)は, 2週後に軟膏で70.4%, クリームで64.0%に達した。治療経過とともに改善率が高まり, 最終週では両剤とも100%を示した。
    2) 副作用は, 軟膏で31例中5例(16.1%), クリームで27例中4例(14.8%), 計58例中9例(15.5%)にみられたが, 重篤な副作用は認めなかつた。
    3) 有用性判定での有用率は軟膏で100%, クリームで92.3%, 全体で96.2%であつた。
    4) 血清コルチゾール値では, BDS外用剤塗布による著明な変動はみられなかつた。軟膏塗布で4週後に有意な低下を認めたが, 一時的で軽度であつた。
    5) 末梢血好酸球数についても, 血清コルチゾールと同様, BDS外用剤塗布による著明な変動はみられなかつた。軟膏で2週後に有意な低下, クリームで4週後に有意な上昇をみたが, いずれも軽度で一過性の変動であつた。
    6) 一般臨床検査は軟膏27例, クリーム25例で実施し得たが, BDS外用剤に起因すると考えられる異常所見は認められなかつた。
    以上から, BDS外用剤は長期投与においても優れた臨床効果が得られるとともに全身的影響も軽度な薬剤であると考えられる。
  • 四本 秀昭
    1985 年 47 巻 4 号 p. 736-739
    発行日: 1985/08/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    掌蹠膿疱症は慢性に経過する難治性の疾患である。本症の発症機序に病巣感染アレルギーが関与していると考えられているが, その本態となるといまだに不明である。したがつて本症の治療は感染病巣の治療をはじめ多岐にわたつており, 決定的なものがないのが実情である。著者は漢方薬により掌蹠膿疱症5例の治療を試みた。結果は著効2例, 有効1例, 無効2例であつた。有効であつた薬方は十味敗毒湯加ヨク苡仁, 麻杏ヨク甘湯, 加味逍遙散加ヨク苡仁であつた。これまでのところ掌蹠膿疱症に対し病名投与をしうる薬方はなく, 患者の証に合致した薬方を選択することが必要であると考えた。
  • ネチルマイシン研究班
    1985 年 47 巻 4 号 p. 740-745
    発行日: 1985/08/01
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル 認証あり
    皮膚感染症に対するnetilmicinの有用性を検討し以下の結果を得た。
    1) 皮膚感染病巣より分離したStaphylococcus aureusに対するnetilmicinのMICは, GMのそれよりも優れていた。
    2) 皮膚感染症患者51例にnetilmicinを使用し, 著効17例, 有効23例, やや有効4例, 無効7例で有効率78%であつた。
世界の皮膚科学者
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