西日本皮膚科
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31 巻, 2 号
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図説
特別講演
  • 矢村 卓三
    1969 年 31 巻 2 号 p. 91-95
    発行日: 1969/04/01
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル 認証あり
    蕁麻疹は多くの原因によつておこつてくる皮膚の一反応で,それは皮膚の一過性の紅斑性,白色性腫脹である。われわれはその発現機序について研究し,つぎの結果をえた。
    1)蕁麻疹をおこすものでもつとも考えられるものはヒスタミンで,それは皮膚の真皮上層の血管周囲に存在するマスト細胞から遊離され,それがその部の血管に働いて,血管拡張,透過性亢進,すなわち蕁麻疹をおこしてくる。このマスト細胞からヒスタミンを遊離さすヒスタミン遊離物質は多くは血行を介して皮膚に到達するようである。
    2)デルモグラフィーは主としてキニンが関与するように思われる。
    3)コリン性蕁麻疹についてはさらに検討する必要がある。
シンポジウム—薬疹—
  • 樋口 謙太郎
    1969 年 31 巻 2 号 p. 96
    発行日: 1969/04/01
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル 認証あり
  • 吉田 彦太郎
    1969 年 31 巻 2 号 p. 97-104
    発行日: 1969/04/01
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル 認証あり
    薬疹を“体内に吸収された治療薬物による皮膚障害”と仮りに定義し,蕁麻疹型,湿疹皮膚炎型,非特異的紅斑型,多型滲出性紅斑型,紫斑型,水疱型,固定疹型,色素異常型,ざ瘡様発疹,結節性紅斑型,光線過敏症型,エリテマトーデス型,血管炎型,扁平苔癬型,粘膜疹型,尋常性乾癬型,類乾癬型,膿胞性乾癬型,毛孔性紅色粃糠疹型,ジベル薔薇粃糠疹型,天疱瘡型,丹毒型,増殖性膿皮症型の各病型を原型と考え,それらの重症型として紅皮症型(剥脱性皮膚炎型),皮膚粘膜眼症候群,Toxic epidermal necrolysisの3型を想定した。また上記定義にしたがつた場合に副腎皮質ホルモン内服時のせつ腫症,抗生物質によるカンジダ症なども薬疹に含まれることになるが,これらは医原性皮膚疾患として別にとりあつかうべきであろうと考える。なお主な臨床型について若干の説明を加えた。
  • 武田 克之
    1969 年 31 巻 2 号 p. 105-118
    発行日: 1969/04/01
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル 認証あり
    薬疹の発生機序について,生体側の条件を臨床的,実験的に検討して次の結果をえた。薬疹患者で,体質的に抗体産生経が亢進しているという直接の証明はできなかつたが,誘発試験陽性の薬疹患者では,血清免疫グロブリン変動がめだち,被疑薬剤投与すると全例補体価が上昇し,過敏薬剤添加による白血球·血小板減少率の上昇がめだち,先天性素質に基づく感作状態の成立が予測された。また発症を促進する因子として,自律神経の関与は大きく,とくに副交感神経緊張状態は,皮膚の滲出性炎症傾向をたかめ,皮膚障害をもたらす。さらに一次的·二次的な肝障害,NH3処理機能の低下は,皮膚障害と悪循環を形成して発症を助長し,Chemical mediatorとしてのHistamineの関与も予測できた。すなわち薬疹の発生には生体の抗体産生能力の異常,抗原抗体反応に対する皮膚を含む生体諸臓器の反応性の亢進が大きな役割を演ずる。
  • 高橋 勇
    1969 年 31 巻 2 号 p. 119-127
    発行日: 1969/04/01
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル 認証あり
    薬疹の診断ということは,その発疹と原因薬剤とが何らかの形で関係づけられねばならないことである。現在までの診断法として,臨床的経験より,発疹の形,皮膚反応,誘発試験,およびin vitroでの抗原,抗体の検出により原因薬剤を追求しようとする努力がなされてきているが,いずれも特異性に欠けている。われわれはここ数年間薬疹の疑われる症例につき,薬疹の型,原因の薬剤などと皮膚反応との関係を詳細に検討したが皮膚反応の診断的特異性にもかなりの問題点があるのに気付く。また一例の患者につき,皮膚反応の面から多過敏性と交叉過敏性について論じた。次にin vitroにおける原因基剤の検索法として,25例の薬疹患者の末梢血リンパ球培養を行ない,PHAおよび原因薬剤添加時のリンパ球の幼若化とH3-Thymidineのuptakeを試みて,数例に好成績をえたが,方法論的にも薬剤濃度,溶解性などが問題となり,また添加薬剤が,体内での薬剤と同一抗原と同じようにリンパ球に作用するものかは疑問であり,今後の課題となるであろう。
  • 中溝 慶生
    1969 年 31 巻 2 号 p. 128-134
    発行日: 1969/04/01
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル 認証あり
    原因薬剤を確認することが薬疹治療の原則である。重症型治療剤のfirst choiceはステロイドホルモンであるが,輸液そのほか全身治療に主眼をおくべきである。軽症型では原因薬剤を中止しただけでも消褪するので対症療法で経過をみるべきで,固定疹では反覆発生を避けることである。
症例
  • 皆見 紀久男, 田代 正昭, 猿渡 邦彦
    1969 年 31 巻 2 号 p. 135-140
    発行日: 1969/04/01
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル 認証あり
    40才の男子,福岡県の炭鉱で働いているころ(昭和29年),右肩甲部に皮疹を生じ,次第に増大し,右上肢,右にかけて広範囲の紅褐色の皮疹を生じ,黄白色の鱗屑を付着し,周辺は隆起している。昭和41年4月に鹿児島大学皮膚科の受診の結果, Chromoblastomycosisと診断され,Hormodendrum pedrosoiを同定された。3年間にファンギゾンの点滴静注1330mg,局所注射1429.5mg,3%軟膏塗布およびODT療法ならびに外科的切除によつて治癒した。
治験
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