西日本皮膚科
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71 巻, 5 号
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図説
症例
  • 川上 延代, 玉井 真理子, 三好 逸男
    2009 年 71 巻 5 号 p. 471-473
    発行日: 2009/10/01
    公開日: 2009/11/19
    ジャーナル 認証あり
    ソバによる職業性接触皮膚炎と診断した, 24歳, 男性例を報告した。初診の8ヵ月前からソバ屋で働き始め, 2ヵ月後より両手掌に皮疹が出現した。数箇所の皮膚科にて抗アレルギー剤の内服, ステロイド外用による加療を受けていたが, 症状は次第に悪化した。当科初診時は両手掌, 手指に激しいそう痒と厚い鱗屑を伴う紅斑, 角化, 小水疱を認めた。手指には亀裂があり, 疼痛のために指を伸屈できない状態であった。パッチテストにて, 生ソバとソバ粉で陽性を認めた。血液検査上, 総IgEは正常範囲内であり, ソバの特異的IgEも陰性であった。ソバアレルギーは経口的, 経気道的または経皮的経路により反応が生じる。その主な症状は, 喘息発作, 蕁麻疹, 胃腸症状, 鼻症状, 結膜充血, アナフィラキシーショック, 接触蕁麻疹等のI型アレルギー反応によるものである。自験例のようにIV型アレルギー反応である接触皮膚炎の症状が出現した症例はこれまで報告されていない。
  • 仁井谷 暁子, 藤本 亘
    2009 年 71 巻 5 号 p. 474-478
    発行日: 2009/10/01
    公開日: 2009/11/19
    ジャーナル 認証あり
    31歳の女性が眼囲炎に酪酸プロピオン酸ベタメタゾン(アンテベート®)軟膏, プロピオン酸アルクロメタゾン(アルメタ®)軟膏を外用し紅斑を生じた。患者は過去に吉草酸ベタメタゾン(リンデロン®VG)軟膏・クリームによると思われる接触皮膚炎に対し, ベタメタゾン(リンデロン®)内服, 酪酸プロピオン酸ベタメタゾン軟膏外用にて軽快したという経験があった。貼布試験を施行した結果, プロピオン酸アルクロメタゾン, 吉草酸ベタメタゾン, 吉草酸デキサメタゾンおよび酪酸ヒドロコルチゾンに3日後, 7日後判定で陽性であり, Coopman, Goossensらの分類によるグループD1, D2に属するステロイド外用剤に対する交差反応が示唆された。しかし, 酪酸プロピオン酸ベタメタゾンは, その製剤であるアンテベート®軟膏の貼布試験で陽性反応を示したにもかかわらずステロイド主薬の貼布試験は陰性であった。
  • 藏岡 愛, 原 肇秀, 小川 文秀, 佐藤 伸一
    2009 年 71 巻 5 号 p. 479-482
    発行日: 2009/10/01
    公開日: 2009/11/19
    ジャーナル 認証あり
    35歳, 女性。2002年, Raynaud症状と手指から前胸部まで連続する皮膚硬化が出現した。近医で抗セントロメア抗体陽性のdiffuse cutaneous systemic sclerosis(SSc)と診断され, ステロイド, D-ペニシラミン, サラゾスルファピリジン, シクロスポリン内服や内服PUVA等の治療を受けるも軽快せず, 2005年8月当科紹介となった。全身に著明な皮膚硬化を認め, 逆流性食道炎を合併していた。プレドニゾロン(prednisolone ; PSL) 30mg/日内服開始し, 次第に皮膚硬化は改善した。PSL 7mg/日まで減量していたが, 2007年9月全身そう痒が出現し, 12月には手背, 背部, 下肢に紅色斑状硬化性局面を認めるようになった。病理組織所見も含め, generalized morphea様皮疹を伴ったSScと診断した。PSL 20mg/日内服に反応せず, タクロリムス軟膏外用, シクロスポリン内服併用で皮膚硬化・そう痒ともに軽快した。SScにはmorphea様皮疹を伴うことがあり, 限局性強皮症に準じた治療が行われる。自験例からステロイド抵抗性の限局性強皮症, 特にSScに合併したものに対して, タクロリムス軟膏外用やシクロスポリン内服併用は効果が期待できる治療法の一つと考えた。
  • 竹本 朱美, 山口 道也, 萩谷 ゆみ子, 武藤 正彦
    2009 年 71 巻 5 号 p. 483-486
    発行日: 2009/10/01
    公開日: 2009/11/19
    ジャーナル 認証あり
    症例1 : 3ヵ月, 女児。生直後から背部, 右大腿部に拇指頭大までのそう痒を伴う褐色斑および水疱が出現し, 顔面, 四肢にも同様の皮疹が拡大した。Darier徴候は陽性であった。抗アレルギー薬の内服とmediumクラスのステロイド外用剤で加療。その後9ヵ月を経た現在, 褐色斑の新生はなく, 個疹は消退傾向を示す。症例2 : 1歳9ヵ月, 男児。生後7ヵ月頃より腹部にそう痒を伴う小指頭大までの褐色斑が出現した。体幹および四肢に拇指頭大までの褐色斑が孤立性に散在しており, Darier徴候は陽性であった。Mediumクラスの外用剤のみで治療を行い, 個疹は徐々に消退傾向を示す。病理組織学的に, 2例ともに真皮乳頭層を中心に明るい胞体を有した類円形の細胞が帯状に浸潤し, リンパ球や少数の好酸球を混じていた。Toluidine blue染色にて, 豊富な細胞質を有した浸潤細胞は細胞質内顆粒の異染性を示したことから, 肥満細胞症と診断した。皮疹部組織を検体としたc-kit 遺伝子変異の検索では, 症例2にのみ, 816番目のアミノ酸がアスパラギン酸(GAC)からバリン(GTC)への点突然変異を認めた。816番目の点突然変異は成人例での報告が多く, 小児例の本邦報告例は自験例を含め13例と比較的少なかった。
  • 武田 浩一郎, 神崎 保, 坂江 清弘
    2009 年 71 巻 5 号 p. 487-489
    発行日: 2009/10/01
    公開日: 2009/11/19
    ジャーナル 認証あり
    21歳, 女性。背部の皮膚の結節を主訴に来院した。自覚症状はなかったが徐々に拡大した。生検を施行し特殊染色, 免疫組織化学染色を含めた組織学的検索を行い, 間質に粘液成分の乏しい未分化な類上皮様細胞に富んだ部分と, 粘液に富んだ間質を伴う成熟した紡錘形細胞に富んだ部分の双方の組織像を持ったnerve sheath myxomaと診断し, 腫瘍の全切除を施行した。興味深いことに腫瘍間質に好酸球浸潤が多数みられたが, 過去の文献ではこのような好酸球浸潤を来す症例は報告されていない。Nerve sheathmyxomaは, 本邦で過去40例の報告がなされている比較的稀な腫瘍である。良性腫瘍でありこれまで転移の報告はなく, 完全に切除されれば再発はみられない。
  • 小平 知子, 原 弘之, 照井 正
    2009 年 71 巻 5 号 p. 490-493
    発行日: 2009/10/01
    公開日: 2009/11/19
    ジャーナル 認証あり
    33歳, 女性。左大腿伸側部に5×8mmの弾性硬の淡褐色結節を認め, 皮膚線維腫を疑い切除した。典型的な皮膚線維腫の病理組織像に加え基底細胞腫様の表皮変化を伴っていた。免疫組織学的検討の結果, basaloid epidermal hyperplasiaを伴った皮膚線維腫と診断した。
  • 吉福 明日香, 植木 ゆり, 玉井 真理子, 三好 逸男, 東 裕子, 金蔵 拓郎, 山野 嘉久
    2009 年 71 巻 5 号 p. 494-496
    発行日: 2009/10/01
    公開日: 2009/11/19
    ジャーナル 認証あり
    症例は41歳の男性。右顔面の三叉神経第I枝領域の帯状疱疹で当科に入院した。750 mg/日のアシクロビルを開始したが, 翌日より, 頭痛, めまい, 嘔気, 眼振が出現した。髄液検査で細胞数の増加(リンパ球優位)を認め, PCR法でvaricella-zoster virus-DNAが陽性であった。帯状疱疹による髄膜脳炎と診断し, アシクロビル2250 mg/日に増量し, メチルプレドニゾロン500 mg/日を3日間併用した。その結果, 髄膜脳炎の後遺症もなく回復した。自験例のように比較的若年者で, 基礎疾患のない患者においても帯状疱疹の髄膜脳炎を合併することがあり, 注意を要する。
  • 山岡 俊文, 室井 栄治, 裴 祥宰, 富村 沙織, 穐山 雄一郎, 坂本 藍, 小池 雄太, 池原 進, 小川 麻子, 小川 文秀, 竹中 ...
    2009 年 71 巻 5 号 p. 497-502
    発行日: 2009/10/01
    公開日: 2009/11/19
    ジャーナル 認証あり
    中毒性表皮壊死症の2例を経験した。2症例ともにステロイドパルス療法, 免疫グロブリン大量静注療法を施行した。各医療機関において, ステロイドパルス療法はまず行われるべき治療法であるが, 次の手段として, 保険適応のある血漿交換療法を行うのか, 保険適応のない免疫グロブリン大量静注療法を行うのか, 議論が分かれるところである。全身の皮膚バリア機能が破綻する中毒性表皮壊死症において, 感染症は常に背中合わせであり, 四肢の太い血管を必要とする血漿交換療法は, びらん上にルートを確保する必要がある場合がありリスクを伴う。しかしながら, 免疫グロブリン大量静注療法は部位を選ばず投与が可能で, ルート確保時における感染症のリスクも低く, さらに感染症に対しても効果がある。中毒性表皮壊死症の本態は表皮の壊死による全身のびらん, それに伴う感染症であり, 皮膚の上皮化を促進させ, 重症感染症に効果がある免疫グロブリン大量静注療法はステロイドパルス療法終了後, 直ちに施行すべき治療法と思われる。
  • 馬場 直子, 松下 茂人, 吉井 典子, 指宿 敦子, 久留 光博, 河井 一浩, 金蔵 拓郎, 西山 賢龍
    2009 年 71 巻 5 号 p. 503-505
    発行日: 2009/10/01
    公開日: 2009/11/19
    ジャーナル 認証あり
    60歳, 女性。1999年7月, 腎細胞癌に対し左腎摘出術を施行された。その後多臓器への転移を認め, 摘出術を計4回施行された。2008年3月に左肺への転移を指摘されたため3月末からsorafenib 800mg/日の内服が開始された。内服開始5日目に手掌・足底に亀裂, 落屑, 水疱が出現した。投薬の中止により, 皮疹は消退した。皮膚生検による病理組織像では著明な表皮壊死が認められた。Sorafenibによる副作用として手足皮膚反応が知られるが, 高度の表皮壊死を来たす例が数例報告されており, 自験例も臨床経過, 病理組織よりsorafenibによる反応と診断した。Sorafenibは腫瘍増殖抑制効果や血管新生阻害作用を有する新しい分子標的薬で, 本邦でも2008年1月25日に厚生労働省の承認を得ており, 進行期の腎細胞癌に保険適応となっている。有害反応としての手足皮膚反応は国内第2相試験では55%にみられたが, 限局性で高度の表皮壊死を来たす例もある。今後, 本邦でのsorafenibの使用頻度は増加すると思われ, 有害反応としての皮膚所見を熟知しておく必要があると考えられた。
講座
治療
  • 皆川 智子, 萩原 千尋, 西川 陽平, 松崎 康司, 中野 創, 澤村 大輔, 北山 友佳子, 金澤 拓蔵, 大見 義紀
    2009 年 71 巻 5 号 p. 512-516
    発行日: 2009/10/01
    公開日: 2009/11/19
    ジャーナル 認証あり
    皮膚の乾燥症状を伴うアトピー性皮膚炎または乾皮症の32例に対し, 青森ヒバ抽出エキスであるヒバ油・ヒバ水を含んだ製剤であるひばの森+(プラス)HIBA Lotion®およびひばの森+(プラス)HIBACream®を使用し, その安全性と有用性について検討した。青森ヒバ抽出エキスはヒノキ科アスナロ属ヒノキアスナロ(青森ヒバ)の木部を水蒸気蒸留することによって, 抽出・分別される天然の植物エッセンスである。2週間の使用において全ての症例で安全性を確認した。また有用性は, 皮膚所見, 表皮角層水分量および角層細胞の形態観察によって評価した。その結果, 本試験に使用した2種類のスキンケア製剤は, いずれも乾燥性皮膚に対し安全に使用でき, かつ皮膚症状を改善することが明らかになった。
  • 荒尾 友美子, 久保田 由美子, 八坂 典子, 宮地 素子, 中山 樹一郎
    2009 年 71 巻 5 号 p. 517-525
    発行日: 2009/10/01
    公開日: 2009/11/19
    ジャーナル 認証あり
    現在本邦での爪白癬に対する治療の主流は塩酸テルビナフィン(TBF) 125 mg/日 6ヵ月連続内服療法とイトラコナゾール(ITCZ)400mgパルス療法でその有用性はほぼ同等であるが, TBF 6ヵ月内服療法の完遂率は50~70%と決して高くない。今回我々は混濁比の平均5.27の趾爪白癬患者88名にTBF 125mg/日短期3ヵ月連続内服療法を行い, 安全性および有用性を検討した。3ヵ月完遂率は高いものの, 6ヵ月目の受診例は半数以下であった。混濁比は経時的に有意に減少し, 6ヵ月後の有用性は高かった。一方(混濁比4未満の)軽症例では脱落例が多かったため, 電話調査を実施した。患者より軽快したという回答を多く得たことを考慮すると, 6ヵ月後の受診率の低下は患者のコンプライアンス以外に病巣の消失が関与していることが推測された。TBF は3ヵ月の内服で, 軽症では患者のコンプライアンスの低下を注意して治療にあたれば十分有用であった。中等症, 重症では一見臨床的, 数値的には有効性は認められるものの, その後の再発率などの詳細な検討が必要と考えられた。
  • 國行 秀一, 吉田 有紀, 前川 直輝, 山中 一星
    2009 年 71 巻 5 号 p. 526-530
    発行日: 2009/10/01
    公開日: 2009/11/19
    ジャーナル 認証あり
    慢性の湿疹・皮膚炎患者に対するオロパタジン塩酸塩(オロパタジン)の止痒効果と外用ステロイドのランクダウンおよび減量効果について, 99例の患者を投与群49例, 非投与群50例の2群に無作為に振り分け, 調査を行った。皮疹重症度・痒みのVAS値・痒みスコア・ステロイド外用剤スコアについて両群間の違いについて検討した。調査の結果, 投与群では非投与群に比べ, 皮疹の重症度は8週後に有意に軽快し, 痒みVAS値・痒みスコアはそれぞれ2週後・4週後・8週後に有意に減少していた。さらにステロイド外用剤スコアは投与群で有意に減少した。以上の結果よりオロパタジンの止痒効果・皮膚症状の改善効果・ステロイド外用剤の減量効果がランダム化群間比較試験で示された。
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