2004 年から 2014 年に当科で経験したマムシ咬傷による入院症例 81 例を検討した。男性 51 例(63.0%),女性 30 例(37.0%)と男女比は約 3:2 であった。受傷時の平均年齢は 57.3 歳であり,世代別では 60 代が最も多かった。症例は 7~10 月の夏から秋に集中しており,8 月が最多であった。受傷時刻は 16~24 時が 46 例(56.8%)と大半を占めるが,8~12 時も 16 例(19.8%)と二峰性の分布であった。受傷場所は田畑,玄関先の順に多かった。受傷部位別では指が大半を占めており,次いで踵・足背が多かった。74 例(91.4%)が受傷後 6 時間までに受診していた。初診時は Grade Ⅱ群が 38 例(46.9%)と最も多く,Ⅰ群とⅡ群を合わせて 57 例(70.4%)と軽症例が多い傾向がみられた。治療経過中の最大腫脹時はⅢ群が 27 例(33.3%),Ⅳ群が 25 例(30.9%)であり,重症になるにつれて creatine kinase(CK)最高値平均値の上昇と平均入院日数の延長がみられた。81 例のうち死亡例と DIC 合併例はなかったが,腎不全合併例が 1 例(1.2%),複視合併例が 6 例(7.4%)であった。81 例のうち 70 例(81.4%)でセファランチン
® が投与され,45 例(55.6%)にステロイド全身投与が行われた。抗毒素血清は 81 例のうち 52 例(64.2%)に行われた。二次感染予防の抗生剤は 78 例(96.3%)に投与されており,破傷風予防は 56 例(69.1%)で行われていた。
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