1998年5月1日より1年間,熊本赤十字病院救命救急センターを受診した患者総数40463名のうち,皮膚科関連疾患の患者4227名について,9つの疾患群(湿疹·皮膚炎群,蕁麻疹群,熱傷群,感染症群,頭部·顔面外傷群,その他の外傷群,爪疾患群,腫瘍群,その他)に分類し,患者数,年齢層,担当診療科について検討した。疾患群別の患者数は,その他の外傷群,蕁麻疹群,頭部·顔面外傷群,感染症群,湿疹·皮膚炎群,熱傷群,爪疾患群,腫瘍群,その他の順に多かった。年齢層では10歳未満の小児が多く,特に5歳未満の患者が全体の28.5%を占めた。熱傷患者448例のうち,年齢,重症度により入院治療を必要としたのは40例であった。今回の調査により皮膚科専門医として診療すべき患者が多いことが確認された。救急医療現場では,「救急皮膚科」患者に対し全身症状と皮膚症状の両者を適切に判断し,診断,治療を行わなければならない。特に感染症,外傷では,いわゆる境界領域に相当するものが多い。実際に診療を行うにあたっては,各診療科との連携が必要であり,治療方針,処置方法,および患者への説明について各診療科間で統一性を図る必要がある。
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