2例の一過性精神障害を伴った皮膚筋炎患者を報告した。症例1は65歳·男性(縫製業)。1998年11月20日より悪寒·発熱·関節痛·感冒様症状出現し,近医入院。肺CT像で右肺野浸潤影あり。12月13日より頬部·頚部·手指関節背に紅斑出現,プレドニン(PSL)60 mg/日投与するも効果なく,12月25日当科転院。両頬部·膝蓋部に紅斑と手指背にゴットロン徴候あり。虚脱感激しく,起立困難。PSL 100 mg/日に増量,12月29日より振戦,失語症出現するが,2日で寛解,翌年1月4日より失語症再燃,2日後に寛解,1月8日,喘鳴·呼吸困難,肺線維症増悪のため呼吸不全にて1月12日死亡。症例2は40歳·女性(パート·主婦)。1998年9月末,手指·足に浸出性紅斑·関節痛が出現し12月より紅斑増強,全身倦怠感,微熱,筋肉痛出現。12月24日入院,パルス療法後,PSL 50 mg/日内服,心身症·ノイローゼ(-)。翌年1月6日,睡眠障害出現し,10日より情緒不安定,独語,意味不明行動出現,看護不能となり,14日精神科転院。加療で5週間後意識清明化するも,PSL 25 mg内服中,不隠状態,失見当識が一過性出現するがその後精神異常を認めず。CT像で間質性肺炎所見あり。2例ともPSL投与量と相関しない一過性精神症状が出現したが,頭部CT像で異常を認めず。コルチコステロイド剤が誘発した可能性もありうるが,症候性精神症状と考えた。
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