西日本皮膚科
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60 巻, 6 号
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図説
症例
  • 森田 圭祐, 占部 和敬, 林 士弘, 中山 樹一郎, 古江 増隆
    1998 年 60 巻 6 号 p. 751-753
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/10/15
    ジャーナル 認証あり
    症例は51歳の女性。1996年3月25日, 左下腿を打撲し, その後同部に発赤, 腫脹が出現した。軽快傾向がみられないため受傷2週後の同年4月8日に国家公務員共済千早病院整形外科を受診し感染症を疑われて抗生物質の点滴静注を施行されたが軽快せず, 同院皮膚科紹介受診となった。皮膚科初診時, 下腿に浸潤を触れる環状紫斑が認められ数日の経過で皮疹は遠心性に拡大した。病理組織学的には真皮上層のleukocytoclastic vasculitisの像がみられ, 血液生化学的検査で軽度のIgAの上昇が認められたためanaphylactoid purpuraと診断した。なお, 皮疹出現時には薬剤の服用はしていなかった。その後プレドニゾロン内服を30mgから開始し, 投与量を漸減しながら継続投与した。皮疹が消失し, 再発傾向がみられなかったため, 治療開始9週後にプレドニゾロンを中止した。その後再発はみられていない。本例のような臨床像を呈したanaphylactoid purpuraは本邦では現在まで2例の報告しかなく極めて稀と思われる。
  • 竹下 弘道, 古江 増隆, 桐生 美麿
    1998 年 60 巻 6 号 p. 754-756
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/10/15
    ジャーナル 認証あり
    0歳, 男児の劣性栄養障害型と思われる先天性表皮水疱症の1例を報告した。生下時から四肢を中心に表皮剥離, 水疱, 糜爛, 稗粒腫形成が認められた。家族内に同症のものはいない。病理組織学的には表皮下水疱で真皮内にリンパ球の浸潤を伴っていた。生後5日目からビタミンEおよびフェニトインの内服療法をおこなったが, 顔面, 口腔内, 四肢などに水疱, 糜爛の形成が認められ, 足趾の融解および癒着, 爪の消失, 瘢痕形成などもみられるようになった。
  • 本多 芳英, 大井 綱郎, 古賀 道之
    1998 年 60 巻 6 号 p. 757-760
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/10/15
    ジャーナル 認証あり
    症例は17歳の女性。1989年11月急性リンパ性白血病(ALL)と診断され治療を開始した。寛解導入に至りAdVEMP療法による地固め療法をしていたところ, 1990年1月から顔面に黄色調の丘疹が出現し, 漸次全身に拡大してきた。初診時に顔面, 躯幹, 上腕, 大腿に黄褐色調の丘疹や結節が多発し, 個疹の融合傾向はなく間擦部には少なかった。病理組織学的には, 表皮直下から真皮中層にかけて組織球, 泡沫細胞を主体とする稠密な細胞浸潤がみられ, Touton型巨細胞も混在していた。浸潤細胞は, ズダンIV染色, リゾチームが陽性, PAS染色, 鉄染色, NCA, S-100蛋白は陰性であった。また, 電子顕微鏡的にLangerhans cell granuleは認められなかった。以上の所見から多発性成人型黄色肉芽腫と診断した。ALLに合併した黄色肉芽腫の報告は本邦では自験例を含め3例あり, その黄色肉芽腫は全てALLの寛解期中に生じていた。
  • 小笠原 理雄, 梅林 芳弘
    1998 年 60 巻 6 号 p. 761-762
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/10/15
    ジャーナル 認証あり
    1ヵ月の男児。乾癬の家族歴はない。初診の約1週間前から陰股部に落屑を伴う紅斑が出現し, 襁褓皮膚炎と考えて吉草酸ベタメタゾンを使用したが, 軽快しなかった。1週後, 小円形落屑性紅斑が躯幹に播種状に出現した。この時点で左大腿の皮膚を生検した。病理組織学的に表皮突起の延長, 顆粒層の減少, 角層内微小膿瘍が認められ, napkin psoriasisと診断した。
  •  
    中村 猛彦, 荒木 嘉浩, 山根 隆明, 小野 友道
    1998 年 60 巻 6 号 p. 763-767
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/10/15
    ジャーナル 認証あり
    57歳の女性。膵嚢胞性腫瘍の手術予定で熊本赤十字病院外科入院中に皮膚の変化を指摘され同院皮膚科を受診した。初診6年前から顔面∼頚部皮膚の潮紅, 毛細血管拡張, 四肢皮膚の萎縮, 皮下出血などが出現したが, 満月様顔貌, buffalo humpは極く軽度で多毛, 皮膚線条も認められなかった。患者は高血圧を合併し, デキサメサゾン抑制試験によって抑制されず, 血中ACTH低値, 腹部CTなど画像診断の所見から, 副腎腫瘍ないし原発性副腎過形成によるCushing症候群と診断した。治療としては術前から副腎皮質ホルモンを投与しつつ, 膵腫瘍切除と左副腎摘出を施行した。副腎の病理組織検査の結果は副腎腺腫であった。現在術後1年を経過し, 皮膚症状の改善傾向が認められている。本症例の臨床経過を中心に報告する。
  • 村上 義之, 安元 慎一郎, 古江 増隆, 松石 英城, 入江 康司
    1998 年 60 巻 6 号 p. 768-771
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/10/15
    ジャーナル 認証あり
    63歳の女性。不明熱の原因検索の過程で骨髄異形成症候群(MDS)が疑われ, 佐賀県立病院好生館内科へ検査·治療目的で入院した。慢性骨髄単球性白血病(CMMoL)の慢性期と診断された。その後急性転化時に両大腿に紫斑型の白血病細胞浸潤(特異疹)が認められた。
  • 栗田 佳和, 近藤 隆男, 原 一夫
    1998 年 60 巻 6 号 p. 772-775
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/10/15
    ジャーナル 認証あり
    頭頂部に潰瘍を伴う腫瘤があり, 臨床的に悪性腫瘍を疑わせた59歳の女性の増殖性外毛根鞘性腫瘍(proliferating trichilemmal tumor)の1例を報告した。また, 現在までに報告されている良性と悪性の増殖性外毛根鞘性腫瘍の比較検討をおこなった。
  • 川上 泰二, 村山 実, 末永 義則, 旭 正一
    1998 年 60 巻 6 号 p. 776-779
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/10/15
    ジャーナル 認証あり
    症例は46歳の女性。1992年転倒し後頭部右側を打撲した後, 同部に腫瘤が出現し, 近医脳外科で切除した。1996年同部に再び腫瘤が出現し, 再切除を実施したが, 1997年6月同部に腫瘤が再度出現したため, 7月2日産業医科大学皮膚科を受診した。隆起性皮膚線維肉腫と診断し, 入院の上, 腫瘤から3cm離して筋肉および骨の一部を含めて切除した。病理組織学的検査で, 真皮上層から皮下脂肪織にかけて, 紡錘形または卵円形の核をもつ腫瘍細胞の増殖がみられ, storiform patternを呈していたが, 核の異型性は軽度であった。CD34染色では, 腫瘍細胞は強陽性を示した。症例報告に加えて, 隆起性皮膚線維肉腫の1986年から1997年9月までの本邦報告例197例の検討をおこなった。
  • 肥後 順子, 岩本 孝, 木藤 正人, 小野 友道
    1998 年 60 巻 6 号 p. 780-783
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/10/15
    ジャーナル 認証あり
    60歳の女性。3年前から躯幹, 頭部に皮疹が生じ, 近医皮膚科で治療を受けたが難治であった。滴状乾癬が疑われ, 病巣感染の有無を確認する目的で咽頭, 肛門部などを診察したところ, 肛囲に境界明瞭な紅斑が認められた。この病巣に対して, ダイナボット社のストレップAテストパック·プラスを用いたA群β溶連菌抗原検出法で陽性所見が認められ, また咽頭培養ではA群β溶連菌は分離されず, ASLO, ASK, ASPの上昇もみられなかった。以上から滴状乾癬に併発した肛囲溶連菌性皮膚炎, perianal streptococcal dermatitis(PSD)と診断された。アモキシシリンを10日間投与したが皮疹の改善がなく, ロキシスロマイシンに変更したところ, 4週間後には肛囲の紅斑は消失し, 滴状乾癬も軽快傾向を示した。
  • 小野 友道, 萱島 研一, 岩本 孝, 肥後 順子, 木藤 正人
    1998 年 60 巻 6 号 p. 784-787
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/10/15
    ジャーナル 認証あり
    Perianal streptococcal dermatitis(PSD)の3症例を報告した。症例1は6ヵ月の男児で, 肛囲に鮮紅色斑が認められた。症例2は7歳の女児で, 軽度の倦怠感, 発熱(38℃), 両膝蓋部·肘部·足関節部に多形紅斑様皮疹および肛囲に紅斑が認められた。症例3は3歳の女児で, 苺状舌, 外陰·腔炎, 腋窩·大腿部に紅斑, 肛囲に境界鮮明な紅斑が認められた。3症例ともに, 肛囲紅斑からの擦過試料培養で, A群β溶連菌が検出された。抗生物質投与で3症例ともに軽快した。PSDの臨床的意義として, 1)接触皮膚炎, 脂漏性皮膚炎, カンジダ症および蟯虫症などの炎症性皮膚疾患, 性的虐待などと誤診されやすいこと, 2)肛囲が溶連菌のcarrierとして重要であること, 3)滴状乾癬などの病巣としての存在, の3点が挙げられる。本邦におけるPSDの報告は自験例が最初であり, 日本語病名としての「肛囲溶連菌性皮膚炎」を提唱した。
  • —新たな抗ハンセン病剤, とくにSparfloxacinの有用性について—
    杉本 真純, 石井 則久, 杉田 泰之, 中嶋 弘, 小澤 明
    1998 年 60 巻 6 号 p. 788-791
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/10/15
    ジャーナル 認証あり
    33歳の男性。初診の3ヵ月前から膝蓋部と下腿部に, 浸潤を伴う隆起性紅斑が出現し, 皮疹部の知覚は著明に低下していた。臨床症状, 皮膚スメア検査, 光田反応, 病理組織像およびPCR法の結果からハンセン病(少菌型)と診断した。Sparfloxacin(SPFX)を1日100mg, 単独で経口投与をしたところ, 皮疹は2週間後から消退しはじめ, 20週後には消失した。本症例は近年ハンセン病の治療薬として注目されているSPFXを単独で用い, らい反応を示すこともなく略治に至ったことから, 本剤は有用な治療剤と考えられた。そこで新しい抗ハンセン病剤, とくにニューキノロン系抗菌剤の有用性について文献的な考察をおこなった。
  • 栗崎 道紀, 中村 猛彦, 梅木 昇次, 小野 友道
    1998 年 60 巻 6 号 p. 792-794
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/10/15
    ジャーナル 認証あり
    44歳の男性。約30年前に右肩関節周囲炎の既往があった。初診の半年前に右肩甲骨上部の皮下結節に気づいた。皮下結節は徐々に増大した。病理組織学的に線維性被膜に囲まれ, その中に大小不同の境界鮮明な島嶼状の軟骨および骨構造が存在していた。炎症性細胞浸潤や核の異型性, 分裂像は認められず, これらの所見および臨床経過から外傷性化骨性筋炎と診断した。結節摘出後4年以上経過しているが再発は認められていない。
講座
治療
  • 松本 忠彦, 青木 明恵, 盛田 千登世, 伊藤 正俊, 楠山 法子, 石崎 純子
    1998 年 60 巻 6 号 p. 799-803
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/10/15
    ジャーナル 認証あり
    東邦大学医学部附属大森病院皮膚科, 東京女子医科大学附属第二病院皮膚科, 東芝病院皮膚科外来を受診した軽度および中等度のアトピー性皮膚炎, 接触性皮膚炎, 脂漏性皮膚炎, 尋常性ざ瘡など, 幅広い炎症性皮膚疾患患者に対して固形洗浄剤の使用試験をおこなった, 30症例においてそれまで使用していた洗浄剤に替わり本洗浄剤によって顔面は朝·晩2回, 躯幹·四肢は入浴時に洗浄をおこなった。その他の治療, 生活習慣はそのまま継続し4週間後の経過をみた。患者の内訳は女性29例, 男性1例, 年齢は21∼61歳(平均35歳)で, 20·30歳台が73.3%を占めた。4週間後の皮膚症状は著明改善20.0%, 中等度改善26.7%, 軽度改善40.0%, 不変6.7%, 悪化6.7%を示した。改善度は中等度改善以上で46.7%(14例), 軽度改善以上で86.7%(26例)を示した。うち16例は試験期間中, 薬剤の投与はおこなわなかった。副作用は尋常性ざ瘡1例に痒み·ひりひり感を生じ, アトピー性皮膚炎1例に症状悪化をもたらした。2例とも使用中止で改善し, 因果関係は不明であった。有用性は有用以上で56.7%, やや有用以上で90.0%を示し, 治療補助品として, 洗浄剤の果たす役割の重要性が示唆された。
  • 石井 則久, 中嶋 弘, 加藤 安彦, 南 陸彦
    1998 年 60 巻 6 号 p. 804-811
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/10/15
    ジャーナル 認証あり
    蕁麻疹23例, 湿疹·皮膚炎42例を対象に臨床的検討と併せてアステミゾール(ヒスマナール®錠)のサイトカイン産生に対する影響を検討した。そう痒の投与前重症度は, 蕁麻疹の18例(78.3%), 湿疹·皮膚炎の34例(81.0%)が「中等度の痒み」以上を呈していたが, 終了時には蕁麻疹2例(8.7%), 湿疹·皮膚炎4例(9.5%)に改善した。また「症状なし」は, 蕁麻疹10例(43.5%), 湿疹·皮膚炎5例(11.9%)であった。全般改善度は, 「中等度改善」以上で, 蕁麻疹73.9%, 湿疹·皮膚炎64.3%であった。好酸球数, 血清総IgE値およびT細胞中サイトカインの推移については, 慢性蕁麻疹とアトピー性皮膚炎について検討した。慢性蕁麻疹では, いずれも投与前後で有意な変動は認められなかった。アトピー性皮膚炎では, 血清総IgE値に有意な変動を観察しえなかったが, 好酸球数においては有意な減少が認められた。また, T細胞中サイトカインについては, 投与前後で有意な変動は認められなかった。しかし, 治療前値を健常者と比較すると, ヒスマナール®錠投与により改善度の低い群ではIFN-γ(Th1)が有意に少なく, 改善度の高い群ではIL-4(Th2)が有意に少なかった。さらに改善度の高い群では, IFN-γ/IL-4比は有意に大きかった。このことから, アトピー性皮膚炎では, 健常者と比較して治療前値がTh2優位な場合は高い改善度は期待できず, またTh1が健常者と差がない時は高い改善度が得られる可能性がある。従ってT細胞中のサイトカインの測定は, 薬物治療の効果予測に利用できると考えられた。以上から, ヒスマナール®錠は, 蕁麻疹, 湿疹·皮膚炎に対し有効な抗アレルギー剤と考えられるが, サイトカインに対する影響については, 今後さらに検討を要すると思われた。
  • 須藤 一, 小池 美佳, 角田 美英, 瀧本 玲子, 小林 雅明, 秋元 隆英, 水口 聡子, 川本 知江, 相川 洋介, 矢口 均, 小川 ...
    1998 年 60 巻 6 号 p. 812-817
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/10/15
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎患者117例を対象に, 塩酸エピナスチン(アレジオン®錠)の1日1回20mg, 8週間投与による有効性, 安全性を検討した。皮疹およびそう痒度の重症度スコアの減少に基づく客観的評価による最終全般改善度は, 中等度改善以上で39.4%であった。副作用として「便秘」および「軽度のGPT上昇」がそれぞれ1例で認められたため, 投与を中止した。また, 試験前後のRIST値およびアレルゲン別RASTスコアに変動は認められなかった。なお, 外用ステロイド剤のグレードダウンが可能であった症例は, 43例(36.8%)であった。以上の結果から, 塩酸エピナスチンはアトピー性皮膚炎患者に対し, 有用な治療薬と考えられた。
  • 中山 樹一郎, 古賀 哲也, 古江 増隆
    1998 年 60 巻 6 号 p. 818-821
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/10/15
    ジャーナル 認証あり
    高齢者のMRSA感染褥瘡に対するピオクタニン洗浄およびユーパスタ®外用の併用療法を長期間おこない, その間, 経時的に褥瘡表面から検出されたMRSAのコアグラーゼ型を決定し, それぞれのコアグラーゼ型のピオクタニンおよびユーパスタ®に対する感受性をin vitroで測定した。5例の褥瘡患者で検討したところいずれも調査期間中にMRSAのコアグラーゼ型が変異しMRSAのコアグラーゼ型によりピオクタニンおよびユーパスタ®による最小殺菌濃度が異なることが判明した。このことから本局所療法を長期におこなう場合褥瘡表面のMRSAのコアグラーゼ型を決定しその薬剤感受性を測定する必要があることが示唆された。
  • TV-02ローション研究会
    1998 年 60 巻 6 号 p. 822-831
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/10/15
    ジャーナル 認証あり
    尋常性乾癬患者を対象に, 活性型ビタミンD3であるタカルシトール(1α, 24(R)-(OH)2D3)を2μg/g含有するTV-02ローションの一般臨床試験を40施設の共同研究で実施した。実施症例数は87症例であり, 有効性·有用性の解析対象症例は67症例, 安全性の解析対象症例は85症例であった。最終全般改善度は「かなり軽快」以上68.7%(46/67), 有用度は「有用」以上67.2%(45/67)であった。また, 本剤による局所性副作用は3症例(3.5%)で4件(4.7%)認められたが全身性副作用および臨床検査値の異常変動(副作用)の発生はなかった。以上からTV-02ローションは尋常性乾癬に対して有用な薬剤であると考えられた。
  • 原田 昭太郎, 五十嵐 敦之, 北原 比呂人, 中川 秀己, 大槻 マミ太郎, 朝比奈 昭彦, 佐伯 秀久, 小宮根 真弓, 玉置 邦彦, ...
    1998 年 60 巻 6 号 p. 832-841
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/10/15
    ジャーナル 認証あり
    シクロスポリンの新しい剤型として開発されたシクロスポリンMEPC(micro-emulsion pre-concentrate, 以下MEPCと略す)について, 乾癬に対する臨床効果, 副作用などを検討し, その臨床的有用性を報告した。MEPCは, 内服後マイクロエマルジョン化されるよう設計された新しい経口製剤である。シクロスポリン療法の既往のない乾癬20例に対する治療(有効性解析対象16例)では, PASIスコアが治療開始2週間後には有意に減少(51.3%), 12週間後には90.4%(p<0.001)まで減少した。また, そう痒についても12週間の治療で明らかな改善を示した。全般改善度は, 解析対象16例の全例が著明改善と判定された。副作用は8例(高血圧·血圧上昇4例, 消化器症状3例, 帯状疱疹1例)に認められた。また, 臨床検査値異常変動では, 7例(BUN値上昇3例, ALP値上昇2例など)でMEPCによる影響が認められた。なお, それら副作用, 臨床検査値異常変動は, 帯状疱疹発症により内服を中止した1例を除き, いずれもMEPCの減量または対症療法により, 回復もしくはコントロールできた。その結果, 対象の95%の症例は, 安全またはほぼ安全に使用可能と評価された。以上の結果から, MEPCは現行のシクロスポリン製剤と同様, 乾癬治療において優れた臨床的有用性が認められた。さらに, その薬剤特性からも, 現行製剤で問題となっていた薬物動態の改善が期待でき, より高い効果と安全性が期待できる可能性が高いと考えられた。
  • —シクロスポリン現行製剤投与中の乾癬患者に対する切り換え試験—
    原田 昭太郎, 五十嵐 敦之, 北原 比呂人, 中川 秀己, 大槻 マミ太郎, 朝比奈 昭彦, 佐伯 秀久, 小宮根 真弓, 玉置 邦彦, ...
    1998 年 60 巻 6 号 p. 842-848
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/10/15
    ジャーナル 認証あり
    製剤的に吸収の安定化をはかるため改良されたシクロスポリンMEPC(micro-emulsion pre-concentrate, 以下MEPCと略す)について, シクロスポリンの現行製剤(SIM)を服用中の乾癬患者に対し, 同一用量で切り換えた場合の主として安全性と臨床効果について検討した。対象患者27例にMEPCの切り換え投与をおこなった。MEPCに起因すると考えられる副作用の発現率は33.3%であり, 血圧上昇が最も多く認められたがいずれも重篤な症状はなく, またシクロスポリンでの未知の副作用も認められなかった。MEPCとの関連が否定できない臨床検査値異常変動は, 血清クレアチニン値, BUNの上昇, 肝酵素の上昇などであった。これらはMEPCの減量または適切な治療により回復もしくはコントロール可能となった。総合的な評価として, 「安全である」との判定は59.3%の症例であったが, 92.6%の症例は, 安全またはほぼ安全に切り換えられると評価された。なお, SIMからMEPCへ切り換える場合, 臨床検査値, 血圧および臨床症状を十分にモニターし, 患者によっては用量の調節が必要になると考えられた。切り換え後のPASIスコアは, ほとんどの症例で不変または低下したことから, 臨床効果は切り換える前の状態が維持されるものと考えられた。以上, SIMからMEPCへ同一用量での切り換えは, その後定期的に検査データなどに留意することにより, 効果が減弱せず, 概ね安全におこなうことができると考えられた。
  • 山本 享子, 海老原 全, 中山 秀夫, 大久保 惇, 比嘉 良喬
    1998 年 60 巻 6 号 p. 849-852
    発行日: 1998/12/01
    公開日: 2010/10/15
    ジャーナル 認証あり
    コウジ酸は安全性と有効性が基礎および臨床試験において確認されて以来, 「日やけによるしみ·そばかすを防ぐ」目的で医薬部外品のクリームなどに配合され広く使用されている。医薬部外品は, 一般的に日常長期にわたって使用されるものであることから, 作用が緩和でしかも安全性の高いものでなければならない。我々は過去にコウジ酸配合製剤について有効性に関する報告を多くおこなってきたが, 医薬部外品としての使用状況を考慮し, 長期使用した場合の安全性が重要と考え, これまで試験をおこなった症例を中心に検討しまとめをおこなった。対象は, 肝斑が277例, 日光黒子が68例, PCD(pigmented cosmetic dermatitis)が70例の合計415例であった。年齢は, 40歳台から50歳台が最も多かった。使用期間は全て1年以上で, 最も使用が長期にわたった症例は, 肝斑の患者で14.25年であった。試験期間中, 有効性と使用部局所の皮膚に対する安全性とは別に全身的な影響, 血液生化学検査, 尿検査も実施した。その結果, 全身的な影響については血液生化学検査, 尿検査において異常所見は認められず, 安全であることが確認された。また, コウジ酸製剤の使用により使用部局所に皮膚症状がみられたが, 使用を中止することにより消失した。今回, コウジ酸製剤をヒトに長期使用した場合の安全性について検討し報告をした。
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