後天的亜鉛欠乏症の7例を報告し, 各種臨床検査および組織学的検索を行なつた。皮膚病変部の病理組織学的所見は, 紅斑部が過角化, 不全角化, 有棘層肥厚, 表皮突起延長および真皮の慢性炎症像を, 水疱部が海綿状態, 表皮内水疱ないし膿疱, 真皮上層の浮腫, 急性炎症像をおのおの呈しており, 一部Munroの微小膿瘍, 棘融解細胞が認められた。電顕的にはランゲルハンス細胞, keratinocyteに多数の類円体を, 水疱部でdesmosomeの解離とtonofilamentの退縮を認めた。2症例の表皮組織内亜鉛はそれぞれ127.0
μg/g, 101.6
μg/gと低値を示した。血清亜鉛の低下は全身の代謝異常に関連するのみならず, 局所の皮膚組織内亜鉛低下をもまねき, 種々の皮膚病変を招来させるのかも知れない。
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