悪臭防止法が国会で成立してから満4年を経過した.元来この法律は,昭和45年のいわゆる公害国会の最後の懸案として翌46年6月に持ち越されて可決されたものである.当時の情勢を考えてみると,幾つかの面で画期的であると共に,いろいろ問題を含むものであった.従ってこれの制定に関係したものとして,解説の必要を感じていたが,機会をえないまま今日に至った.しかし公害,環境の問題は依然として,全国民,産業,行政共重要案件で,恒久的な方針が求められている状況にある.すなわち,公害病や災害も常に後手回しで,その収拾に苦労しているし,また石油ショックのような経済的変動があれば,国の方針の根拠なども疑われる始末である.悪臭問題は勿論,最初から公害基準法に指定の公害の1つであり,人の傷害や,会社がつぶれたりするような深刻な性質ではないが,それでも現在対策を求められる環境問題の動向に大きく関係するものである.このような意味から,悪臭防止法にかかわる当面の諸問題を取り上げ,この難局に対処する方向を探りたいと思う.
液融塩が水と接触したときに生じる蒸気爆発について,前報において,表面張力と蒸気爆発の起こり易さの関係を検討した.ここでは,種々の溶融塩を用い,高速度写真により現象を解析し,さらに,水中での圧力変動を測定することにより,蒸気爆発の誘因となる微細化の機構を検討した.その結果,表面張力の比較的に高い溶融塩が水と接触すると,誘導期をもつ爆発が生じ,水中に大きな衝撃圧が発生した.この誘導期間中には局部的な小爆発が生じ,これが大規模な微細化を引きおこし,蒸気爆発に至らしめた.いっぽう,表面張力の低い溶融塩が水と接触すると,水の表面近くで蒸気爆発が生じるが,水中にはあまり大きな衝撃圧が発生しないことがわかった.
自動車排出ガス対策の手法の1つである燃料添加剤の効果を,含酸素化合物に関して検討した.すなわちアルコール類,工ステル類,ケトン類,エーテル類およびアルデヒド類から合計10種類の含酸素化合物を選び,市販レギュラガソリンに添加しその効果を明らかにした.これらの添加剤はその化学的性質は浄化作用および熱効率には直接影響せず,いずれも単に酸素供給源として作用し空気過剰率の変動に寄与することが判明した.10モード走行および定速走行における添加剤による汚染物質減少効果を検討し,特にNOxは,走行条件によってはかえって増加することを認めた.また炭化水素の個々の成分には,添加剤による特異な現象は認められず,共通して低級炭化水素において減少効果が著しかった.
発火温度は安全工学上重要な数値であるが,可燃性物質全般についてはデータがまだ不備であり,現状では適切な予測方法がないので,今後も実測に頼らざるをえないと考えられる.著者ほ発火温度データを整備し,さらにはその推算法を探求するため,基礎的物質について一連の実測を行なっている.その測定結果の今回は19回の報告である.
このたび当社であらたに開発した「窒素酸化物除去装置」と「低温吸着式オゾン供給装置」を紹介する.「窒索酸化物除去装置」は主として,比較的高濃度でかつ常温の排ガス(硝酸工場,金属表面処理ガスなど)を対象とした湿式脱硝装置である.硝酸で酸化したのちアルカリ溶液およびアルカリ性還元溶液で吸収除去する,約90%以上のNOx
を除去することができ,排ガスが10000Nm3/hまでの大量処理に適した型と,50Nm3/h程度までに向くコンパクトな型を開発した.「低温吸着式オゾン供給装置」は,酸素を原料としてオゾンを発生し,オゾンをいったん低温の吸着器に留めた後,乾燥窒索または空気でパージ脱着する方法であり,空気を原料とする従来法よりも20~30%安くオゾンを生産することができる.