安全工学
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55 巻, 5 号
安全工学_2016_5
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
会告
安全への提言
総説 海外事業所における安全管理の問題点と現状 小特集
  • 杉本 亨
    2016 年 55 巻 5 号 p. 320-327
    発行日: 2016/10/15
    公開日: 2016/10/15
    ジャーナル フリー

    組織における安全文化というものはその組織を構成する個々人が持つ安全に対する意識の集合であり,その組織の安全成績に大きく影響するものである.その文化の醸成には時間を要し,その組織のリーダーによる強い牽引がなければ安全文化の醸成は難しい.日揮では海外におけるあるプラントの建設でIncident and Injury Free(IIF)プログラムに出会い,安全文化の醸成に成功し,その結果すばらしい安全成績を収めることができた.この経験をもとに,組織の安全文化を醸成するために有効なプログラムであるIIF プログラムを,国内外のプラント建設プロジェクトに適用し効果を上げてきた.さらにこのプログラムを建設工事だけでなく,企業全体の安全文化の醸成へ適用していくことで,企業文化そのものを変容しようとしている.

  • 高尾 和俊
    2016 年 55 巻 5 号 p. 328-333
    発行日: 2016/10/15
    公開日: 2016/10/15
    ジャーナル フリー

    企業を取り巻くリスクが多様化する中,日本企業の海外進出意欲は引き続き旺盛であり,経済活動のグローバライゼーションの中に身を置く企業が増えている.時代とともに組織の在り方も国内外を問わずグローバル化への適応が求められてきている.そのような中,海外拠点では人材や職場環境の在り方について課題を抱えている日本企業が非常に多い.日本とは異なる従業員意識や習慣への対応が十分に進んでいないことも課題の一因であると考えられる.安全活動は経済活動の一部であり,組織管理とは切り離せない.組織を活性化させ円滑な業務運営を行うことは活きた安全活動を実現することにもなる.個々の企業の組織の特性を考慮し,パフォーマンスを向上させる人事労務関連ルールの再検討と教育システムの確立はグローバル化の進展の中で避けて通れない課題である.

  • 小澤 謙二・伊藤 政司
    2016 年 55 巻 5 号 p. 334-338
    発行日: 2016/10/15
    公開日: 2016/10/15
    ジャーナル フリー

    トヨタ自動車(株)では,安全衛生基本理念「安全な作業,確実な作業,熟練した作業,安全な作業は作業の入り口である.わたしたちは,まずしっかりとこの入口を通りましょう」に基づき,グローバルに安全活動を推進している. 具体的には,安全活動の3 本柱「人づくり」「リスク管理」「環境・設備の整備」に地道に継続して取組んでいるが,各地域や国により状況が大きく異なる為,それぞれに応じた取組みが必要となる. そこで,各地域の統括会社や生産事業所と連携し,各種情報(災害情報,安全教育,安全マネジメントシステム,設備安全,等)を共有できる体制やしくみを構築する事で,グローバルでの安全管理活動を効果的に推進している. 本稿では,このような取組みの一端を紹介する.

  • 出口 敦
    2016 年 55 巻 5 号 p. 339-345
    発行日: 2016/10/15
    公開日: 2016/10/15
    ジャーナル フリー

    本稿では,三井化学の海外事業所の安全管理の取り組み状況3 点について報告する. ① 三井化学のRC への取り組みとその一例として「SHE(Safety, Health, Environment の略称)会議」について ②次に,筆者が所属する安全・環境技術部が具体的に取り組んでいる横串機能の3 つの事例について ③最後に海外各関係会社が安全・保安に関して,取り組んでいる5 社の良好事例について今回,ご紹介する事例が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです.

総説
  • 岩間 啓一
    2016 年 55 巻 5 号 p. 346-356
    発行日: 2016/10/15
    公開日: 2016/10/15
    ジャーナル フリー

    石油化学工業会では,2011 年~12 年において協会会員企業で発生させた3 件の重大事故を契機に産業安全に関する行動目標を定め,毎年,実績を確認するとともに次年度の計画を立てている. 行動目標では,CCPS 事故評価方法を利用して会員各社における事故の影響度別の推移を示すとともに,会員企業が実施する取り組みのガイドライン,業界団体が実施する取組について述べている.特に,業界団体の活動では,保安に対する経営層の関与の強化と安全文化の8 軸のうち共同で取り組むことで個社単独にて行うより大きな効果が期待できる学習伝承と動機付けに重点を置いて活動を行っている.また,学習伝承の一つとして田村先生と石化協,日化協,石連の3 団体にて,これらの団体会員を対象に産業安全塾を開催している.本稿ではこれらの活動についてご紹介する.

  • 片山 佳子, 伏脇 裕一
    2016 年 55 巻 5 号 p. 357-360
    発行日: 2016/10/15
    公開日: 2016/10/15
    ジャーナル フリー

    近年,地球温暖化が進み,我が国においても気温上昇等による異常気象が広く観察されるようになって きた.それに伴い,気象変動が農作物に及ぼす影響が懸念されている.本報文においては,気象変動の要因,我が国における気象変動の将来予測,温暖化による野菜,果樹,穀物に及ぼす影響,さらに気象変動による農作物への対策などをまとめて概説した.現在では,地球温暖に対処するには「緩和策」や「防止策」から「適応策」の段階に入ったというのが世界の認識であるので,今後は農業政策も大きく変化することが求められている.

トピックス
資料
  • 鈴木 康弘
    2016 年 55 巻 5 号 p. 364-372
    発行日: 2016/10/15
    公開日: 2016/10/15
    ジャーナル フリー

    危険物の分類は日本国内では消防法による分類が一般的であるが,労働安全衛生法によるGHS 分類や危険物船舶輸送及び貯蔵規則による国連分類もある.危険物の定義や試験方法及び判定基準がそれぞれによって異なるため,同一の物質または物品でも消防法,国連勧告,GHS 区分で危険物に該当したりしなかったりする場合がある.消防法は昭和63 年(1988 年)に改正,国連勧告は1986 年に試験方法及び判定基準のマニュアル策定,GHS は2003 年に策定されて現在に至っているが,名称が同じだと同一分類であると誤解されている方も多いと思われるため,危険物分類のための評価方法を分かりやすく述べる.

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