石油精製ならびに石油化学プラントで使用される機器・材料は,厳しい環境条件から経年劣化を受け やすい. この概要と,それらの検知技術の代表例,さらに余寿命推定法の現状について述べる. これらの技術はプラント構造物の安全性を確保するうえから重要で,今後いっそうの技術進歩が必要 と考える.
アメリカの工場防災に150年の古くから定着しているHPR思想が日本にまったくないのはリスクマネジメントの概念がないからによる.リスクマネジメント論では工場防災の目的を損失抑制に置く、一方,工場防災を「プリベンション」と「プロテクション」に分けて考えたとき,企業の社会的責任を果たすには「プロテクション」すなわち損失抑制こそ重要となる.したがって,工場防災を安全管理からリスクマネジメントすなわち危険管理にまで拡げ,発災に備えた管理,特に緊急時計画を重視すべきこ とを説く.
酸化剤の爆発危険性を3っに分類する方法として,より簡便な10/20試験法を提案した.これは標準物質にっいて昇降法で50%爆点(H50)を求め,このH50で調べたい酸化剤一赤リン混合物について20回の実験を行う,そして,10回以上爆発したとき,この酸化剤は標準物質より危険性が高いとする方法である.この方法に基づき,いくっかの代表的な低感度酸化剤と高感度酸化剤の試験を行った.また,騒音の測定,新旧赤リンの影響,試料の経時変化の影響などを検討し,測定上の注意点について考察した.
近年,赤外レーザ光と光ファイバの結合システムあるいは超音波センサの計測などへの応用例が数多く発表されており,ガス濃度計測にっいてもそれらを応用したシステムの実用化あるいは高性能化が進められている.本報告では,代表的な可燃性ガスであるメタンガスの吸光度と音響物理特性の基礎データの1つとして,各メタンガス濃度に対する3,39μmレーザの吸光度特性および215kHz超音波の音速・減衰特性に関する測定結果を示し,これらの特性を利用したメタンガス濃度計測システムの可能性 についても述べた.
低騒音発破の消音剤としての泡の消音効果を6号雷管および3号桐ダイナマイトを用いて調べた. 亜鉛引鉄板製円筒内に泡を満たし,その中心で6号雷管を爆発させたときの消音効果は,泡の厚さ50 cm以下で約15dBであり,このとき,爆発によって円筒内の泡が全部消失した.また,1辺2mの立方体の金網中に泡を満たし,その中心に6号雷管をつるして爆発させたときの消音効果は約20dBで,このときにも泡の一部が消失していることから,消音効果の一部は泡の破壊による爆発エネルギーの吸収 によ、るものと思われる.
硝酸カリウムー赤リン混合物の落球打撃感度測定を行った,間接法より直接法のほうが50%爆点の落高(H50)が低い値となり,バラツキも小さかった.直接法の場合,重量225~535gの4種類の落球を用いた実験ではE50=0.24~0.31J(E50=H50における落球の位置エネルギー)であった.2559の落球を用いた実験では累積発火率を正規確率紙にプロットして考察した.また,接触混合物と完全混合物との感度の比較を行ったところ完全混合物のほうがlogHスケールで0.02~0.21高感度であった.また,2 成分の比が50/50のとき最高の感度を示した.
昨年,製鉄所において高炉に付設する熱風炉の爆発事故により,同炉付近にいた作業者34名が一酸化中毒で死傷するという労働災害が発生した.労働省では本災害を重視し,災害原因の究明と同種災害の再発防止対策の樹立を図るため,特別調査団を設置し調査検討を行った. 本稿は,同調査団での検討経過および災害原因の究明を通じて明らかにされた問題点,これらの問題点を解消するための対策などの検討結果について紹介するものである.