従来ヒューマンエラーの問題は人間と機械との間の接点の問題として検討されてぎたが,最近では製作におけるヒューマンエラー,工作におけるヒューマンエラーという取上げ方もなされるようになってぎた・そこでここではこれらのヒューマンエラーと過去における破壊事故例とがどのように関係Lているかを検討することとした,まずこのような間題を扱うのに当たってヒューマンエラー,人の過失という用語をどのように定義すべきかを考察した.そしてこれをいくつかの実際の事故例に適用し,その事故の原因をヒューマンエラーに該当する事故原因,ヒューマンエラーとはいえ組不可抗力の事故原因とに分類した,同様の方法を30件の破壊事故例に適用した結果では13件または14件,43%または47%がヒューマンエ ラーによる事故と判断された.
相平衡破綻型蒸気爆発の機構を検討するための基礎データを得るために,高庄力下で飽和温度にある水を内蔵した容雛の開口部を破断させ,この時に生じる容器内の圧力変化などを調べ,その現象を説明した.また,初期圧力と水の体積比との関係,開口面積率と最高圧力との関係などを考察し,実験で得た最高圧力と体積比との関係に相関があること,換算減少圧力とピーク過圧に相関があることなどを示し,圧力減少速度と換算減少圧力に過圧を生じるための限界値を求めた.
前報までに化学反応系においては安定度指数μが系の安定性を評価する上で重要であることを述べ た1)-5). 既に安定度指数は環境の温度変化に対する系の温度変化を定常状態において測定することによって求めることがでぎた1)この方法によってμを得るには時間がかかり,系の安定性の変動を追跡するのはそれ ほど容易ではなかった、 本報告ではμを迅速に導出するために過渡応答を用いる方法を提案した. (i) 環境温度をステップ状に変化させた場合,系の温度の過渡応答に,著者らの提案した作図法(図1及び図2)を適用するとμと時定数を得ることができた・ (ii) 環境温度を正弦波状に変化させ,それに対する系の定常応答を調べると,その振幅並びに位相遅れのいずれからもμを得ることがでぎた. (iii) 環境温度が任意に揺動した場合,変形位相空間プロットを行うとμと時定数を容易に得ること がでぎた.
前報に続いて,熱的に1次な化学反応系を想定し,理論的な解析を行った.発熱速度がステップとして与えられる時及び伝熱係数が急激に変化する場合などについて,まず安全工学的な意味付けを行い,次に実際にこれらの解を求めた.求めた解を危険性評価のために便利な形に変形し,具体的なプロットの仕方及びそれから導出される情報について詳しく議論した,その結果,化学反応系の温度変化を多様に解析することにより,多くの安全工学的に有用な情報を引ぎだし得ることを示した.
著者はかねてから,可燃性液休を取り扱う上での下部引火点と上部引火点の重要性を認識した結果,多くの物質についてこの数値の実測による検討を重ねてきた.本稿ではその成果を,蒸気の爆発危険性状が一べつして理解できるように,蒸気圧線に基づく引火温度と爆発限界の関係線図という形態で,各物質について順次紹介することとした.今回の(2)から物質ごとの線図を示してゆく.