前回に引続き本編においては事故の拡大防止対策について記途し,最後に結言としてパイプラインの安全確保の完璧を期するために考慮すべき基本的方策についての私見を述べることとした.事故の拡大防止対策にも各種の方法があるが,そのうち事故の未然防止対策を兼ねる一部のものを除いては概ね第二義的な対策であり,この対策を過剰評価することにより第一義的な未然防止対策の効果を低下せしめるものであってはならない.各種パイプラインの安全性向上のための基本方策としては,関係者の認識向上はもちろん,欧米諸国における実情を参考として関係技術者に対する総合教育の徹底ならびに関係監督官公庁におけるパイプラインに関する技術行政の改革が望まれる.
低温液化ガス等の漏洩を点で検知していたものを,今回は赤外線映像装撮を用いることにより面で検知することを試みた.結果として,低温液化ガスが液のまま漏洩した場合には検知できた.また低温液化ガスがガスで漏洩した場合には,このガスが物体に衝突し,その物体が冷却した場合に検知できた.さらに,半地下タンク模型で底から地中に低温液化ガスが漏洩した場合には,地上で赤外線映像装置を用いて観察することにより検知できた.地中の温度の数値計算を行い,地表の異常から地中の異常を発見できることを示した.
建設現場等で用いられている仮設手すりの具備条件を明らかにする目的で,次の内容について実験的研究を行った.(1)作業中,人が手すりを乗り越えないための手すりの必要商さ.(2)作業中,人から手すりに与えられる荷重.(1)の結果,人の姿勢に関して,手すりを乗り越えるまたは足が浮くための限界実験式を得た.また(2)については,典型的な二つの動作に対する実験式を得た,さらに,(1),(2)とも実験式を用いたシミュレー ションを行い,手すりの必要高さおよび必要強度について検討し結論を得た.
LNGは天然ガス発生地または近傍にて液化され,日本および他消費国に輸送される. 天然ガスの組成が例え大幅に異なるにしろ輸送上のメリットを考えれば,液状にすることが不可欠であり,また中間精製等の手段が介在することによりLNGのエネルギとしての利用に価値が高まる. 液化のためには大きなエネルギが必要であるが,このエネルギをいか程に要したかよりも液状で持っている寒冷,すなわち何らかの型で常温近くまで気化蒸発,昇温してからを常とする燃焼のエネルギ利用での寒冷回収,または利用は,今日では種々の試みがされ,すでに商業ベースで操業されているものも少なくない.LNGの単位量当たりの寒冷利用度は空気分離装置の場合がベストのものの一つである.