本研究は,大型燃料タンクが有風時に火災を起こした時の現象を模型を用いて取り扱う場合の相似則について述べたものである.相似則を得るには,物理法則の確認による方式と呼ばれる方法を用いたが,単にこの方法を当てはめても実現不可能な相似則が誘導され,模型実験をすることすら問題となる.ここで現象をより詳細に考察すると,ある瞬間における火炎の幾何学的形状と火炎の時間的変化とは互いに独立な物理法則で支配されていることがわかる.その結果,火炎形状と形状の変化に関する時聞とを独立にとり,実現可能な相似則ヘと誘導した.実験は形状が相似な直径0.3,0.6,1.2mの3種類の薄形円筒容器を用いてn-ヘキサンの風洞燃焼実験を行い,容器径10mの原型燃焼と比較した,実験結果は良く相似則を確認している.
本小文はフォールト・ツリー解析(FTA)の基礎となる概念と方法を紹介する.フォールト・ツリーを表現するため2値変数を用いた構造関数を導入する.これを用いて主要な諸概念を明確にする.頂上事象の発生確率の評価法を,基本事象が独立である場合だけでなく独立でない場合(ここではアソシェイトしている場合)についても示す.さらに,最小カットおよび最小パスを求めるアルゴリズム,基本事象が頂上事象の発生に貢献する程度を順位づける構造的および確率的重要度の概念などを示す.
石油化学コンビナートの用役プラントは全プラントの動力源であり,きわめて重要な存在であるため,緊急対策を含めて安全性を十分確認する必要がある.とくにLoss Prevention の観点から,スチーム系統が及ぼす影響が大きく,各プラントにおけるトラブルがスチームを媒体として,コンビナート全体に波及する.そこで,動酌シミュレータを用いて各種のトラブルの波及状況を経時的に把握し,コンビナートの各部門の対応措置およびその役割について検討を実施した.その結果,非常に有効な手段の一つであることが判明した.
アメリカのロスアンゼルス,サソフランシスコ,ヒュ一ストンおよびデトロイト地域における大気汚染の現状について,アメリカの諸官庁から報告された最近の資料をもとに,その慨要を紹介した.資料は,主に,1975年のものを用いたが,経年変化についてはできるだけ古い年度のものから引用した.大気汚染物質はSO21,NOX,CO,0X,炭化水素および粉じんの6項目である.光化学スモッグに関しては,ロスアンゼルス地域で各汚染質ともかなり高濃度が測定されている.例えば03 0.33ppm,NO2 0.62ppm等である.
公害振動は大気汚染などの7公害の一つとして問題になっている.昭和51年度の統計資料によると,苦情陳情件数の約20%が振動となっている.その発生源を分類すると,1.工場事業場60%,2.建設工事20%,
3.交通機関20%となる.1件当たりの被害入口は工場事業場・建設工事が約20~30人,交通機関では100~200人となっている.本編では公害振動の測定に関係ある振動規制の変遷,振動レベルおよび振動に関する用語について記述する.