安全工学
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58 巻, 1 号
安全工学_2019_1
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
会告
安全への提言
総会特別講演
環境・安全・防災のシミュレーション技術 特集(2)
  • 大野 香代, 岡本 眞一
    2019 年 58 巻 1 号 p. 6-11
    発行日: 2019/02/15
    公開日: 2019/02/15
    ジャーナル フリー

    化学プラント等の事故の際に漏洩する化学物質よる被害を未然に防止するためには,想定事故時における化学物質の拡散範囲を適切に予測できることが重要である.本誌では漏洩ガスが高密度ガスを形成する場合も含めて,その挙動を記述できる拡散予測モデルについて解説する.さらに,経済産業省が開発した低煙源拡散モデル(METI-LIS)をこのようなリスクアセスメントへ活用する方法についても紹介した.

  • 青木 伸一
    2019 年 58 巻 1 号 p. 12-15
    発行日: 2019/02/15
    公開日: 2019/02/15
    ジャーナル フリー

    大阪湾など大都市を抱える内湾においては,大規模な地震・津波・高潮などの自然災害によって臨海部の石油コンビナートが被害を受けることにより,これまで経験したことのない大災害(Natech = Natural hazard triggering technological disasters)につながる可能性がある.本稿では,大阪湾岸域を対象にこの問題に取り組む大阪大学を中心とする研究グループの活動を紹介する.研究を行う上において,様々な場面で大規模災害を再現するシミュレーション技術が必要であり,また個々の事象を統合してリスク評価に結びつけるツールの開発も必要であることがわかった.さらに,これらの研究活動を地域のリスク低減にまで結びつけるには,まだまだ多くのハードルがあり,地域住民との地道なリスクコミュニケーションの必要性や諸外国に学ぶ点も多いことを指摘した.

  • 鈴木 博善, 高木 洋平
    2019 年 58 巻 1 号 p. 16-22
    発行日: 2019/02/15
    公開日: 2019/02/15
    ジャーナル フリー

    2011 年3 月に発生した東日本大震災では,津波により沿岸域に設置された石油タンク等が滑動・漂流することにより油流出や津波火災が発生する二次被害が発生した.今後,南海トラフ地震とこれに起因する津波が発生することが予想されており,沿岸域に多くの石油化学コンビナートや石油タンク等類を有する大阪湾でも,このような災害は懸案事項の一つである.したがって,津波来襲時に石油タンク等が滑動・漂流するのか,これにより油流出が発生するか否かを評価しておくことは有効であると考えられる.本稿では,津波来襲時に石油タンク等の構造物に及ぼす津波流体力を実験的・数値的立場から評価するが,総務省消防庁の安全基準とタンク模型あるいはタンク数値モデルが津波流れによって漂流(滑動)するか否か等の基準で調査することとした.

  • 入江 政安, 山西 悟史
    2019 年 58 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2019/02/15
    公開日: 2019/02/15
    ジャーナル フリー

    大きな地震が多発する昨今,災害防除策の事前検討はいよいよ重要である.発災後の陸域を支援するために海側からのアクセスを確保するには,発災後速やかに航路啓開に当たる必要があり,そのためには精確な漂流物予測が必要である.津波の予測計算が平面2 次元で行われるため,漂流物の予測も,それに付随する形で2 次元で計算されることが多い.しかし,漂流物は浮力や形状により浮遊限界時間や沈降速度が異なる.さらに,津波収束後の沿岸域では,河川流入等に起因する密度差や潮汐に流動が支配される.このような,時の経過とともに流れの主要因が変化する場での漂流物予測のため,本研究では,3 次元海洋モデルを用いて,大阪湾での津波漂流物の漂流予測を行い,立地や漂流物の性状,潮流および河川水の流入が及ぼす影響について解析し,それらの考慮の重要性を示す.

  • 橋本 博公
    2019 年 58 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 2019/02/15
    公開日: 2019/02/15
    ジャーナル フリー

    大規模な長周期地震が発生した場合,石油類タンクのスロッシングが大きな問題となる.スロッシングは強非線形の自由表面流れであるため,計算格子を必要とせずラグランジュ記述された粒子法は有力な計算手法となる.また,粒子法では質量が完全に保存されるため,タンク外への溢流量を正確に算出することが可能である.そこで,近い将来の発生が懸念されている南海トラフ巨大地震を仮定した強震動を与えた場合の浮き屋根式タンクからの溢流量を,粒子法のひとつであるMPS 法により推定することを試みた.その結果,浮き屋根式大型円筒タンクからの大量の溢流が確認され,巨大地震発生時の石油類タンクからの溢流防止対策の重要性が再認識された.さらに,中型・小型のタンクについても粒子法シミュレーションを行い,一例として,堺泉北臨海地区における南海トラフ巨大地震発生時の石油類の溢流総量の推定を試みた.

  • 石丸 裕, 向山 和孝, 花木 宏修, 倉敷 哲生
    2019 年 58 巻 1 号 p. 36-49
    発行日: 2019/02/15
    公開日: 2019/02/15
    ジャーナル フリー

    危険物あるいは毒性物質など“HAZMAT”を保有するプロセスや設備・機器において漏洩が発生した場合に生じる大気拡散,火災,爆発などの環境に対するフィジカルな影響について,その危害の見積もりや減災方法の効果の評価のために用いられているモデルとその解析方法の概要を紹介する.

総説
  • 西郷 貴洋
    2019 年 58 巻 1 号 p. 50-59
    発行日: 2019/02/15
    公開日: 2019/02/15
    ジャーナル フリー

    日本でも評価が高い米国CSB の事故調査・分析の機能を日本に適用するイメージを試行的に検討することを通して,プロセス産業の事故調査に係る課題を抽出した.CSB が有する特徴と,これまでの日本の事故調査機関に関する議論の両面を整理し,CSB のあり方に近い適用形態を構想した.三条委員会として独立性や権限を確保すること,調査費として年1 億円程度を確保すること等が必要と考えられたほか,事故調査と刑事・民事・行政責任との関係に係る社会合意,業界全体における専門人材の流動性確保,等の課題が挙げられた.日本における事故調査機関の議論においては労働災害や企業内事故を対象とした検討が少なかったが,事業者・労働者・行政機関など社会全体が事故の教訓を活かす「社会的学習」の機能はプロセス産業の事故においても重要である.

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