ごみ焼却プラントの自動化に伴いプラント運転員の業務は,現場における直接的な確認・操作業務から,制御室での監視業務中心に変わってきた.本総説では,ごみ焼却プラントの自動制御システムの歴史と運転員の役割の変化,制御盤とCRTオペレーションの比較について述べ,ごみ焼却プラントに必要なヒューマン・インターフェイスの機能について考察した.さらに,ヒューマン・インターフェイスの評価法,および最新技術にっいても紹介した.
環境中にはダイオキシン,PCBなどの健康に障害を与える化学物質が放出されており,社会問題となっている.このような化学物質に加えて,いままでは安全と考えられ,環境中に放出されていた,農薬,界面活性剤,プラスチックの原材料などの化学物質の中に,生体のホルモン受容体,特に女性ホルモン受容体に結合することにより,あたかも女性ホルモンと同じような働きをする化学物質(環境ホルモン,内分泌擬乱化学物質)があることがわかってきた.環境中に放出されてホルモン様の作用を示すことから,このような化学物質を「環境ホルモン」と呼ぶことにする.ヒトの精子数がこの50年間で半減しているとの報告もあり,環境ホルモンが原因になっている疑いもある.また,ダイオキシン,PCBなどは生物濃縮により,食物連鎖の上位の動物である,ヒトのみならずイルカ,クジラ,アザラシなどの皮下脂肪に蓄積されている.環境ホルモンは,水系に入り水棲動物の生殖を概乱する懸念がある.日本の沿岸では有機スズによる巻貝の性の異常が見られている.環境ホルモンとはなにか,なにが問題なのか,どのような影響が出ているかについて総説する.
電子部品には多くの半田接合部があり,これらの健全性を保証するための有効な非破壊評価技術の確立がエレクトロニクス関連分野において強く求められっっある.本研究では,表面実装型多極IC基板におけるICピンの半田接合部を対象とした実用的な超音波非破壊評価システムを試作・構築した.まず,半田接合作業直後に純水による洗浄工程があることを考慮し,水浸法に基づく高周波・集束型探触子(35MHz)ならびに高精度の超音波パルサー・レシーバおよびディジタイザーからなる計測システムを試作した.半田接合部に各種の欠陥を有するICピン上から,ピンポイントで超音波ビームを入射し,その応答波形を計測した.欠陥のない良品の標準波形を設定して,計測した各種欠陥を持っ接合部からの超音波応答波形に対する遅延時問,最大電圧,波形積分値の比,ならびに相互相関度を求め,これを併用することによる欠陥認知アルゴリズムを開発した.さらに,一部の識別が困難なものについては,波形のケプストラム解析を適用する手法を提案した.開発したシステムと欠陥検知アルゴリズムを多く のサンプルに適用した結果,その有効1生が確認できた.
シーケンス制御回路においては,回路内で制御信号があらかじめ決められた順序に従って伝送され,制御の各段階を遂次的に進めていく.本論文では,シーケンス制御回路を対象としたフォールトツリー 自動生成法を提案した. 対象とするシーケンス制御回路の構成要素の接続に関する情報を配線知識べ一スとしてコンピュータに入力する.また,要素の異常の因果関係をミニツリーの形で格納しておく.提案するフォーノレトツリー自動生成法は,まず配線知識べ一スの情報を基に,圓路内の信号経路を自動探索し,信号経路に関する情報を含んだ僑号伝播知識べ一スに変換する.そして,信号伝播知識べ一スを基に,要素のミニツリーを結合し,フォールトヅリーを自動生成する手法である. 本論文では,基本アルゴリズムを示すために,簡単なモーター制御回路に適用し,手法の有用性を明らかにした.
阪神・淡路大震災のような大災害の場合には,電気・ガス・水道などすべてのエネルギー源が遮断さ れる.したがって,ガスライン,水道ラインなどの復旧もまた,倒壊家屋の下敷になった人の救助は困難を極める。ここでは,内部にエネルギーを有する爆薬を利用したエアージャッキを開発し,下敷になった人の救助を,大変形動的数値計算を行い試みた.また簡単な実験結果も検討し,エアージャッキの有要性を理論・実験両面から検討した,
一般には最も安全な乗物として広く利用されている遊戯施設の「安全」を確保するための,法律上,構造上また運行管理面,保守管理面の諸問題についてを説明するとともに,過去約20年間に発生した事故についての統計をもととして,事故をなくすためにいかに対応しているか,またいかにすべきかを考える.
企業が海外に進出し現地で操業を開始するためには設備や施設の安全性について,その設計段階から注意を払っておく必要がある.その際検討すべき,基本となるリスクに「火災・爆発・労働災害」の三 っが挙げられる. シリーズ第13回目は,「インド」を取り上げ,上記三つのリスクに関する安全防災法令・規則の種類と概要,その運用実態にっいて紹介する.
大気圧空気の酸素分圧約160mmHgより高い高圧空気や純酸素は,大気圧空気より支燃性が強く可燃物の存在により激しい火災や爆発を生ずることがある.高圧空気が安全なエネルギーとして用いられ始めたり,酸素が生産販売されると同時に事故が発生した。日本は遅れた技術導入により,一応安全化されていたため,その危険は十分認識されていなかった.しかし1950年代に過剰酸素による火災・爆発が多発したが,技術,教育,保全などの発達により事故は激減した.ところが近年再び事故を生じているので,事例と大気空気と異なる支燃性を紹介する.