安全工学
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62 巻, 5 号
安全工学_2023_5
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
会告
安全への提言
総説
  • 乗合バス事業を中心に
    須和 憲和, 吉田 裕
    原稿種別: 総説
    2023 年 62 巻 5 号 p. 285-290
    発行日: 2023/10/15
    公開日: 2023/10/17
    ジャーナル 認証あり

    わが国において乗合バスが運行を開始して約120 年になるが,経営環境の変化や重大事故を契機に新たな法的措置が取られ,事業形態や安全管理体制が変わってきている.国の安全対策は,事故が発生してからの事後対応的なものとなっている面も否定しきれない.国の安全施策が必ずしも十分とはいえないことから,独自の安全管理体制を構築している事業者もある.本稿では,筆者が独自に作成したアンケートにより,バス事業者の実態を把握するとともに経営者層に直接インタビューを試み,バス事業者の安全管理について考察した.

  • 伊藤 大輔
    原稿種別: 総説
    2023 年 62 巻 5 号 p. 291-297
    発行日: 2023/10/15
    公開日: 2023/10/17
    ジャーナル 認証あり

    2023 年4 月から自転車用ヘルメット着用の努力義務化が開始した.本稿では,四輪車対自転車乗員の衝突時の挙動を概説した後に,自転車用ヘルメットに期待される保護性能や昨今のヘルメットの研究開発状況,ヘルメット規格における衝撃吸収性能評価について整理する.従来の並進運動に起因する頭部傷害に加えて,頭部の回転運動に起因する脳損傷に対しても保護効果が期待されるヘルメットやその評価方法を紹介する.一方,ヘルメット着用が努力義務化となったものの,着用率の劇的な向上は見られていない.ヘルメットの着用頻度と相関がある因子や,ヘルメット着用者を増やすために必要な取り組みに関する調査結果なども併せて紹介する.

  • 堀竹 学
    原稿種別: 総説
    2023 年 62 巻 5 号 p. 298-304
    発行日: 2023/10/15
    公開日: 2023/10/17
    ジャーナル 認証あり

    企画旅行契約において旅行業者が旅行者に対し安全確保義務を負っていることは学説・判例で認められてきている.しかし,その安全確保義務の具体的な内容については,旅行業者と旅行サービス提供機関の関係によって差異がある.この差異があることから,各企画旅行契約の旅行業者としては安全確保義務がどの程度の内容なのか,旅行者に契約締結に際して明らかにすることが事前の紛争を回避するために有用である.特に,2017 年の民法(債権関係)改正により,債務者の債務不履行責任が過失責任の原則から契約の趣旨に照らした契約責任に変更されたことからも該当する.

  • 野本 泰之, 越島 一郎, 橋本 芳宏
    原稿種別: 総説
    2023 年 62 巻 5 号 p. 305-308
    発行日: 2023/10/15
    公開日: 2023/10/17
    ジャーナル 認証あり

    2022 年CCPS より発行された「Managing Cybersecurity in the Process Industries」のPart1 Chapter6 に産業用オートメーションおよび制御システムに対するサイバー攻撃事例が10 ケース紹介されている.そのうち数件をここで紹介する.プラント,重要インフラ等の安全を脅かすサイバー攻撃の事例が既に多数発生しており,今後の対応の参考にして頂きたい.

論文
  • 佐藤 大輔, 菱田 翼, 勝身 俊之, 門脇 敏
    2023 年 62 巻 5 号 p. 309-316
    発行日: 2023/10/15
    公開日: 2023/10/17
    ジャーナル フリー

    将来の脱炭素化社会の形成において水素は有力なクリーンエネルギーキャリアの一つであり,製造,貯蔵・輸送,電力への変換といったサプライチェーンの各フェーズにおける技術革新が世界中で加速している.しかし水素は,火炎を視認することが困難である,着火しやすい,燃焼速度が大きいという危険性があり,水素システムを社会インフラとして普及させるためには安全性の確保が極めて重要となる.本研究では,水素輸送パイプラインなどに生じた細い亀裂から水素が漏洩した際の防火安全対策として,水素ガスへの二酸化炭素添加と漏洩箇所へのメッシュ被覆を組みわせる方法を提案し,コンセプトの妥当性を実験検証した.亀裂を模擬した小型のスリットバーナーを用いて,様々なガス流量条件における火炎形状と消炎特性を解析し,水素火災リスクの低減に有効な手法であることを実証した.

  • 遠藤 雄大, 崔 光石
    2023 年 62 巻 5 号 p. 317-324
    発行日: 2023/10/15
    公開日: 2023/10/17
    ジャーナル フリー

    灯油は高引火点引火性液体であるが,ミスト状態では常温下でも容易に着火し,最小着火エネルギーは 1 mJ 以下になることが確認されている.灯油のような絶縁性液体が撹拌や流動により強く帯電すると,その液面と付近の導体との間でブラシ放電と呼ばれる静電気放電が発生する.近年,ブラシ放電により灯油ミストが着火したと推測される火災事例もあるが,この組み合わせにおける着火危険性については現在までに明らかにされていない.そこで本研究では,外部電界により金属製球電極とPTFE 平板間に発生する模擬的なブラシ放電を着火源として実験を行い,灯油ミストのブラシ放電による着火危険性を調査した.その結果,実験において着火が確認されたことなどから,灯油ミストがブラシ放電により着火する危険性は高いと考えられる.

技術ノート
  • 八島 正明
    2023 年 62 巻 5 号 p. 325-335
    発行日: 2023/10/15
    公開日: 2023/10/17
    ジャーナル フリー

    本研究は前報の回収調査に続くもので,産業現場からのガス溶断器具の回収調査と測定について,圧力調整器を対象に調べた.その1 では本体を分解せずに外観やガス供給時の圧力変動などを測定した.外観試験によると,圧力計のプラスチック製の窓が白濁し,不透明になって指針が見えにくくなったものがあった.気密試験と放出能力試験の結果,酸素用は限定的な試験数ではあるが,漏れのあるものが多かった.アセチレン用では圧力が低いため試験数に対する漏れの数は少なかった.ガス供給中の圧力変動の周波数解析,ガス供給の開始と停止における圧力変化を解析した結果,ピーク周波数と使用年数,新品を除いた圧力変化と使用年数,には関係しないことがわかった.

資料
  • 消防庁危険物保安室
    2023 年 62 巻 5 号 p. 336-339
    発行日: 2023/10/15
    公開日: 2023/10/17
    ジャーナル 認証あり

    我が国では,2050 年までのカーボンニュートラル及び2030 年度における温室効果ガス46%排出削減の実現に向け,再生可能エネルギー最大限導入のための規制の見直しや蓄電池の導入拡大などの投資を進めるとされている. これらを踏まえ,消防庁では「リチウムイオン蓄電池に係る火災予防上の安全対策に関する検討会」を開催し調査検討を行ってきた. 海外の基準を基にした実験を行うなど,議論を重ねた結果,リチウムイオン蓄電池に関する火災予防上の安全対策について新しい方向性を見いだすことができたものと考えられる. なお,本検討会の検討結果については,令和5 年2 月に報告書をとりまとめて公表しており,本稿ではその一部について紹介する.

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