安全工学
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61 巻, 5 号
安全工学_2022_5
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
会告
安全への提言
総説
  • 門間 淳
    原稿種別: 総説
    2022 年 61 巻 5 号 p. 296-299
    発行日: 2022/10/15
    公開日: 2022/10/15
    ジャーナル 認証あり

    防爆に関する国際規格は大きく分けてヨーロッパ系と米国系に分けられるが,ヨーロッパ系はIEC 規格に統合されていると考えてよい.そのIEC における防爆系の規格のここ数年の動向,及び著者が近年感じている傾向に関して記載した.特にこの10 年程度の間で大きな動きのあった,EPL(Equipment Protection Level)の導入,Ex nA 機器のEx e カテゴリーへの移行(Ex ec),及び使用前検査(Initial Inspection),個人能力(Personal Competency)に関して紹介する.

  • 野田 和俊
    原稿種別: 総説
    2022 年 61 巻 5 号 p. 300-307
    発行日: 2022/10/15
    公開日: 2022/10/15
    ジャーナル 認証あり

    IEC 防爆関係技術委員会は,作業員が身につける電気機器の中で小電力などの一定条件下の機器に対して,防爆区域内でそのままの状態で使用を認める考え方を提案した.そこで,同提案内容を調査し今後の課題などを検討した.また,同様にエナジーハーベストを活用したIoT システムの防爆区域での利用についても検討した. ワイヤレスイヤホンやスマートウォッチなど一部の個人携帯型電気機器は,防爆型式検定を取得しなくても一定の安全性が認められれば利用可能とする考え方が示された. IoT システムも,小電力・小型・一体化で進化することが予想され,結果的にそのままでも防爆区域内で使用できる仕様になることも考えられる.機器の安全性を担保しつつ,作業員自身の健康や安全などに寄与できる新技術の活用と実用化が必要である.

  • 牧野 良次, 野田 和俊, 久保田 士郎
    原稿種別: 総説
    2022 年 61 巻 5 号 p. 308-315
    発行日: 2022/10/15
    公開日: 2022/10/15
    ジャーナル 認証あり

    石油化学プラント等の可燃性・爆発性物質を取り扱う施設で使用する電気機械器具類は労働安全衛生法により爆発や引火を誘発しない防爆構造としなければならないが,ドローンのような飛行体を想定した規格は存在していない.そこで経済産業省は,防爆対応のドローンを実現するにあたっての課題点を洗い出し,明確な指針を示す等により防爆ドローンの開発・実装に繋げることを目的として令和2 年度補正産業保安高度化推進事業 防爆ドローンの要件に関するガイドラインや仕様設計等の調査を実施した.本稿はその概要を紹介するものである.

  • 安全工学会法人会員向けアンケート調査結果
    石丸 裕, 木根原 良樹, 和田 祐典
    原稿種別: 総説
    2022 年 61 巻 5 号 p. 316-320
    発行日: 2022/10/15
    公開日: 2022/10/15
    ジャーナル 認証あり

    COVID-19 禍において化学・石油精製などのプロセス産業では,感染拡大及びその対策に伴う動員可能な従業員の減少,原材料調達や物流の制限などから,生産の規模縮小や中断が懸念されたとともに,安全管理へ影響が及ぶことが重大な問題と考えられた. 本稿は安全工学会の産業防災研究会*1 の活動の一環として,COVID-19 禍におけるプロセス産業での対応の実態を記録することを目的に,プロセス産業における安全管理の概要とCOVID-19 禍に対する国内外関係機関による措置,海外での事故事例を整理した上で,安全工学会の法人会員向けに実施したCOVID-19 禍における安全管理に関するアンケート調査結果を報告する. (本稿は,第54 回安全工学研究発表会(2021 年12 月3 日)の発表資料を再編集したものである.)

  • 美濃 良輔
    原稿種別: 総説
    2022 年 61 巻 5 号 p. 321-327
    発行日: 2022/10/15
    公開日: 2022/10/15
    ジャーナル 認証あり

    欧州では域内における単一市場を形成することを目的として,鉄道の自由な往来や運行市場の自由化が進められている.このような単一市場の形成を促進するための重要なEU 法として,車両や信号システム等の鉄道システムのインターオペラビリティー(相互運用性)を拡大するために鉄道システムの標準化を促進し,営業投入で必要な適合性評価(認証・認可)の手続を共通化していくことを目的とした「インターオペラビリティー指令」と,鉄道事業の安全性向上と鉄道システムや鉄道事業に関わる安全性評価の共通化を目的とした「鉄道安全指令」が存在する. 本書では,それらのEU 法を紹介するとともに,鉄道システムを導入するに当たって適用される法的な技術仕様や安全性評価方法,そして,調和が難しく未だに残る各国の技術規則について解説する.

  • 中村 祐二
    原稿種別: 総説
    2022 年 61 巻 5 号 p. 328-334
    発行日: 2022/10/15
    公開日: 2022/10/15
    ジャーナル 認証あり

    宇宙は普段の生活とはかけ離れた特殊空間・特殊環境である.これまでは特殊訓練を受けた宇宙飛行士のみが許されたところであったものが,今後,民間の参入により一般に開かれ,より一層身近なものになることは間違いない.そのような特殊空間・環境下での安全を担保するためには,宇宙空間特有の危険条件を熟知することを通じて,そこでの危険性の把握および安全対策への還元が必須となる.本稿では生命体に対する紫外線または重量影響以外における,工学を主体とした宇宙での居住空間内での安全性,中でも防災対策に着目して,特殊空間・環境における安全工学の役割および必要な取組について論じる.

  • 大野 拓也
    原稿種別: 総説
    2022 年 61 巻 5 号 p. 335-339
    発行日: 2022/10/15
    公開日: 2022/10/15
    ジャーナル 認証あり

    2016 年以来,日揮グループは製油所,LNG プラント,化学プラント,金属精錬プラント,及び一般廃棄物処理施設等に対してプラントデータ解析サービスを数多く提供した実績を有し,分野や用途範囲においてさらに拡大し続けている. このプラントデータ解析には,エンジニアリング知見が組み込まれたAI が用いられている.これらのAI はプラント運転の可視化,異常の予兆検知,機器材の経時変化予想,及び生産性向上においてエンジニアや運転員への大きな助けとなっている. ここにプラントデータ解析のいくつかの実例を紹介し,エンジニアリング知見を搭載したAI がプラントの運転や保守保全の向上に大きく貢献することを示す.

論文
  • 川瀬 健太郎, 日佐 和夫, 濱田(佐藤) 奈保子
    2022 年 61 巻 5 号 p. 340-347
    発行日: 2022/10/15
    公開日: 2022/10/15
    ジャーナル フリー

    食品の品質不良が原因で発生する事故や苦情が日常的に報告されており,消費者の食に対する視線は依然厳しい.とりわけ食品異臭苦情は申告者の臭気表現に多様性がある,食中毒のような公定法や明確な分類基準がない,原因物質が揮散・消失しやすい,など苦情を引き起こす要因の特定が難しいにも関わらず,実態を体系的に整理し異臭発生工程の特定に寄与する知見が導出された研究はあまりみられない.そこで本研究では過去40 年間の食品異臭苦情事例を収集し,原因食品,臭気,原因工程およびフローダイアグラム(FD)評価の4 つの視点で分類し個別に事例を整理した.考察としてHACCP 視点に基づくハザード分析とFD 分析の実施により原因工程の特定率を臭気分類の視点から数値化した.その結果FD 分析を実施することが,異臭原因工程の特定につながることが明らかとなった.

我が社の環境安全活動
研究施設・活動紹介
  • 中村 昌允
    2022 年 61 巻 5 号 p. 356-363
    発行日: 2022/10/15
    公開日: 2022/10/15
    ジャーナル 認証あり

    コンビナート人材育成教育は本来企業連合の手で実施されるべきであるが,2006 年に経済産業省が「製造業中核人材育成事業」として募集した際には,京葉地区には企業連合からなる組織はなかった.2018 年より京葉コンビナート各社が協議を重ねて,コンビナート中核企業4 社を中心に,企業連合による一般社団法人「京葉人材育成会」を2021 年12 月に設立した.京葉人材育成会は2023 年度から,現在,千葉県産業振興センターが実施している「京葉人材育成講座」を全面的に引き継いでいく. コンビナート教育は,運転者(初級・中級・上級),管理者・経営者,協力会社を対象に行う.運転者教育は,「現場で活かせる知識」,「現場で使える技量」,「現場で発想できる感性」を身につけた人材育成を狙いに,研修カリキュラムを検討した.管理者・経営者はリスクベースの考え方に基づいて自ら率先垂範する人材を育成する.協力会社教育は各社に共通する安全の基盤教育を行う. 今,化学・石油会社は,,カーボンニュートラルなどの新たな社会環境の変化に基づく大きな転換期にきている.人材育成教育とともに産官学を繋ぐプラットホームとしての役割も果たしたい.

  • 安全工学グループ・リスクセンス研究会
    2022 年 61 巻 5 号 p. 364-367
    発行日: 2022/10/15
    公開日: 2022/10/15
    ジャーナル 認証あり
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